2025/02/28

リボンと勿忘草の刺繍のテーブル・クロス

地元の地方系チャリティショップで、中々素敵な古い刺繍の布が安く売られていたので買いました。昔は刺繍はイギリス人女性の代表的な趣味や嗜みだったようで、こう言った古い刺繍布は今でも多く見掛けます。ほとんどが白地の布で、素材はリネンかコットンから、後の時代は手入れが楽な化繊地または化繊混に流行が移ったようです。刺繍自体は大抵糸4本どり位の、決して緻密とは言えない素朴なフランス刺繍です。色使いも工夫がなく垢抜けません。やはり刺繍の魅力や技術では、民族衣装や伝統工芸を重んじる東欧中欧には、イギリスは到底敵わないと思います。デザインも手芸本or雑誌の図案集から転写したか、予め布にガイドラインがプリントしてあった物らしく、モチーフは花が圧倒的に多く、どれも似たり寄ったりで印象に残りません。

そんな訳で、イギリスではありふれたアイテムなので、普段は余り気に掛けず物色もしませんが、たまに結構惹かれる柄に出会う事もあります。この布の刺繍は、リボンの表現と勿忘草らしき空色の小花の全体的に散っている所が、気に入って買う決め手になりました。

全体的な構成は、このようになっています。一辺80㎝位で、テーブル・センター、またはコーヒー・テーブル等の小ぶりの台用のクロスだったようです。素材はリネンで、結構古い時代の制作である事が伺えます。小さな点状のシミが所々にあるものの、刺繍の解れ・擦り切れや大きなダメージもなく、全体的な状態は良好です。

図案の要となり一番刺繍が混んで華やかなのは、大抵角です。

気に入ったリボンの表現は、こんな風に流れるように動きのある図案になっています。

勿忘草は、イギリスではヴィクトリア時代に持て囃されたらしいモチーフで、その時代の絵葉書には大抵描かれています。刺繍のモチーフとして好まれたとしても、不思議ではありません。

昔の刺繍布は、今でもイギリスでは安く購入出来る機会があるので、買い集めて服やバッグ等に改造する人もいます。元が素朴で物足りないだけに、返って加工し易く映えるようです。

 

 

 


2025/02/27

ブロードステアズの春の海岸

昨年の自分の誕生日にケント州の海辺の町Margate マーゲートを訪れた後は、一昨年前の夏に訪れた時と同様に、Isle of Thanet サネット半島の反対側の町Broadstairs ブロードステアズの海辺にも行きました。

前回は崖の上から海を眺めていた時点で雨が降り出したので、海辺には降りずに帰りましたが、今回は海辺に降りてみました。

イギリスの南の海岸線は、有名な観光地Seven Sisters セブン・シスターズのように、概ね白いチョーク(=白亜、石灰岩の一種)質のほぼ垂直の崖になっています。ここも例に漏れず、街は崖の上にあります。海辺に降りるには数か所に設けられた階段を通って行く為、街の名前がブロード「ステア」ズになったようです。

崖が垂直に近いので、階段もこんなに急。ここは町の外れですが、中心部には浜辺に降りる為のエレベーターも設置されています。

海岸が否応無しに崖下までで終わる為、同じ浜辺でも崖がなく広々として開放感のある、シーフロントらしい街並みと一体化して見渡せるマーゲートとは印象が大きく異なります。

ここの浜辺は、砂浜と岩礁、すなわち磯浜の混合なのが魅力です。多くの子供にとっては、磯辺の方が楽しいかも知れません。私が子供の頃もそうでした。

何故って、様々な海洋生物を観察する事が出来るから。

例えばヒトデとか(ただし死体)

蟹とか(ただし死体)。ここは波で打ち上げられた死骸ばかりで、生憎生きた生物はほとんど見掛けませんでした。 

このイソギンチャクは、生きています。

卵のように丸くなった白い塊は、崖から崩れて波に洗われたチョーク。

ブロードステアズも本来人気のビーチ・リゾート地ですが、夏じゃない上に町外れで、しかも夕方近くだから犬の散歩をする地元民位しか居らず、 誕生日に相応しい穏やかな春の海の雰囲気を味わう事が出来ました。


 

2025/02/26

マーゲートのアンティーク街

昨年の自分の誕生日に夫婦で出掛けたMargate マーゲートでは、海辺だけでなく勿論街も散策しました。マーゲートのようにアーティストの多く住む町は、アンティークやビンテージのお店の多いのが相場です。写真は、一階部分が市場として使われていたらしい、かつての町役場の建物。今気付きましたが、右下端に写っているのはナニ?!

マーゲートでアンティーク屋が多く集まっているのは、 旧町役場が在るマーケット・プレイスの周辺です。

見覚えのあるホーロー看板達に、一瞬ここがイギリスである事を忘れます。

日本の古物が見事に集まったお店で、日本愛に溢れています。

アーツ&クラフツの小ぶりの棚は、和室にも難なく馴染みそう。

アーティストは、古着で個性的なファッションを好む傾向があります。ビンテージ・ドレスのお店も、この周辺に幾つか集まっています。

この町の古物屋の品揃えは、やはり全体的に若め。アンティークより、ビンテージが充実しています。

古着屋では、大抵ビンテージ・ジュエリーも売られています。右下の長方形のブローチが素敵なんだけど、残念ながらラインストーンの幾つかが無くなっています。

ミッドセンチュリーのテーブルウェアを代表するような、ドイツの名窯ローゼンタール社のカジュアル・ライン「トーマス」の、洗練されたフォルムとデザインの中でも、この柄は特に好きなティーセット。

アーティストが多く集まる町では、当然アート・ギャラリーや作家物を売るお店も在るもので、また大抵はお洒落な飲食店も集まっています。

ここは確かに、古いヨーロッパの町らしい立派な建物が並ぶ、瀟洒で活気ある一角ですが、目抜き通りであるハイストリートは雰囲気が一変して、空き店舗も目立ち正直安っぽくみすぼらしいのが意外です。

ついでに、一般民家の庭で見掛けた、サビサビの古い機械をガーデン・アクセサリーとして再利用しています。

一方こちらは、明らかに粗大ごみとして打ち捨てられている1/6サイズ人形用のドール・ハウス。リノベするから譲ってくれーと、思わず持ち主に掛け合いたくなりました。

 

 

 


 

 

2025/02/25

ギリシャ・ベイカリー・カフェのケーキ

 

昨年の自分の誕生日のお出掛け先をMargate マーゲートに選んだ理由は、この町に在る美味しいギリシャ・ベイカリー・カフェがお目当てでもありました。外食が物凄く高く付くイギリスでは、普段はお弁当を持って出掛けますが、この日は昼食はこのベイカリー・カフェで取りました(その代わり誕生日なのに夕食の外食は無し。ケチ)

ただし今回は、ここで前から食べてみたかったケーキも注文する事にしました。

ここのショーケースには、イギリスでは非常に貴重な、沢山の種類の美味しそうなフランス風のケーキがずらりと並んでいます。

食事として選んだのは、今回もギリシャ風のお惣菜系パイ。まず「ハムとフェタチーズ」。

そして「ホウレン草とフェタチーズ」を、二人で半分個ずつ食べます。

フィロと言う極薄のパイ皮を使い、温め直して出してくれるので皮がパリパリ。中身も良い塩梅。コーヒー(カプチーノ)もイギリスでは珍しくちゃんと美味しく、パイに合います。

そしてケーキは、まず苺ムース。

そしてキャラメル・ムースのケーキを一個ずつ。どちらもハート型で、お誕生日らしいではないか。こちらも、半分個して二人で両方味わいました。

ところが、このケーキは正直どちらも期待外れでした…。甘過ぎてクリーミィなコクはなく、何だか懐かしくも安っぽい味なのです。言うなれば、私が子供の頃田舎のパン屋で売っていた、バタークリーム・ケーキのようでした。今改めて写真を眺めても、この美味しそうな外見からは中々想像出来ない程イマイチな味でした。夫婦二人共、今後はここではケーキを買おうとは決して思わず、お食事系パイだけを頼もうと誓いました。

今思い返してみても、昼食が外食だから夕食の外食は無しってのは流石にケチ過ぎるのに、自分が騒いだ覚えが全くないのはヘンだなと思いました。良く良く思い出してみると、日本に帰ったらしばらく味わえなくなるからと、夕御飯は予めうちの近所の抜群に美味しいフィッシュ&チップスのテイクアウトを希望していたからのようです。私にとっては、自分で料理しなくて済んで美味しければ、それで十分お祝いになります。




2025/02/24

マーゲートの春の浜辺

昨年の単独帰国直前のお出掛けラッシュで、P太の誕生日の次は、私自身の誕生日(P太と三日違い…)で出掛けました。あ、その間にアーディングリーのアンティーク・フェアへも行ったのだった。

P太の誕生日とは打って変わって、その日は清々しい程の快晴。こんな日は海に出よう!と、選んだ目的地はケント州の東端Isle of Thanet サネット半島の海辺のアーティストの町Margate マーゲートでした。

前回マーゲートを訪れた際は、夏でも今にも雨が降りそうな惨めったらしい空模様でしたが、やはり海は晴れてこそ映えます。

そして、こんな気温も穏やかなお出掛け日和なのにも関わらず、人が少ない! 

夏は酷い天気の肌寒い日でさえ、あんなに人で溢れていたのに、やはり多くの人は「海=夏」って発想なんだと思いました。

水の色も周囲の景色も、前回とはまるで違って見えます。

イギリス南東部では海はほとんど南側、または東側に在る訳ですが、ここでは海が珍しく北側。また、南東部の浜辺は小石浜が圧倒的に多いものの、ここは珍しく砂浜で、しかも広々としているのが人気の理由のようです。

あらゆる公共物が反社会的行動で、または単に扱いが乱暴過ぎて破壊されるイギリスですが、この時計台の上の棒が傾いているのは、…人の仕業ではなく海辺で風が強いからでしょうか。

このカモメの若鳥の頭の形がヘンなのも、強風で羽毛が逆立っているせいかも知れません。

何はともあれ、お誕生日に海と言うのは王道で、また今回はマーゲートの印象が全く違って見え、文字通り晴れ晴れした、大変満ち足りた気持ちになりました。