2026/06/17

モーリス車創業者の邸宅ナフィールド・プレイス 1

 

昨年の今頃、庭園の美しい季節の晴れた日に、NT(ナショナルトラスト)が管理するWilliam Morris ウィリアム・モーリス(モリス)の邸宅Nuffield Place ナフィールド・プレイスを夫婦で訪れる事にしました。と聞いてP太は、「じゃあ、きっと古風な花柄の壁紙でいっぱいだったりする家なんだね!」と言いましたが、…そのウィリアム・モリスとはちゃいます。ここで言うウィリアム・モリスとは、自動車メーカーMorris モーリスの創業者の事です。

ナフィールド・プレイスは、オックスフォードシャーの風光明媚なChiltern Hills チルターン丘陵地帯の中の農村に在る20世紀築のお屋敷です。

専用駐車場から屋敷へ向かう途中、まずはモーリスの妻が運転したモーリス車Wolseleyが車庫でお出迎え。今でもちゃんと走るそうです

彼女はBradley Road ブラッドレイ通りに面した正門を、一度車から降りて自分で開けるのが面倒だった為、屋敷の北側をぐるっと回り(因みに北は刑務所)、裏側から入る自動車道を作らせたそうです。そのボロボロになったコンクリート舗装道が、現在のNT駐車場の脇に残っています。

室内見学の開始時間まで未だ少し時間があった為、先に庭園を見学する事にしました。

ここの庭園は、モーリス家に残る写真を元に再現されているそうです。 

一見特に特徴のある庭には見えませんが、典型的な英国式庭園として楽しむ事が出来ます。20世紀初頭に流行だった、アーツ&クラフツ形式にデザインされているそうです。 

18世紀に生まれた自然に出来るだけ近い風景式庭園を元として、19世紀には寄り田園的な素朴さを求めた「コテージ・ガーデン」が生まれ、その頃にジェイキル女史の色彩計画も造園に取り入れられたので、今日我々日本人が思い浮かべるイングリッシュ・ガーデンと言えば、正にその時代に確立したと言えます。

こちらは、日当たり抜群の屋敷の南側。敷地は4エーカー(16,000)有り、庶民にしてみれば十分贅沢な広さですが、NTに多い宮殿級の豪邸の、ギリシャ風の彫像が立ち並び噴水のあるような形式的庭園に比べたら、一般人の庭造りの参考にならない大きさではありません。

南側には、こんな風に段差があります。

段の上には、濃い緑の生垣に沿って宿根草花壇が伸びています。丁度、英国式庭園を象徴する花々が見頃でした。

屋敷のすぐ側のロック・ガーデンは、モーリス夫人の特にお気に入りだったとか。 

高山植物等のロック・ガーデン向きの植物は、乾燥を好み多肥や過湿には弱い為、花壇を岩と砂か砂利で特に底上げする必要があります。

南東には、割と近年植えられたらしい紫葉スモモの並木があります。春には、桜に似た花が見事に咲くそうです。北東側には、キッチン・ガーデン()があるようです。 

また、敷地は森に囲まれていて、春にはその森の中でブルーベルの絨毯が楽しめるそうです。

この施設には飲食コーナーはない為、屋外に移動式のワゴン・カフェが設けられていました。

西側へ続く小径のパーゴラの蔓バラは、未だ十分育っておらず少し寂しい状態。

こちら屋敷の西側には、一番大きな花壇があります。この時も、庭師さんがせっせと作業中でした。

西には池の残骸が残っていますが、今は使われていません。

モーリス夫妻はこの庭をこよなく愛し、庭師任せではなく実際にあれこれと好みに合わせて細かく指示して作らせたそうで、家庭的な雰囲気の十分感じられる居心地の良い庭園でした。




2026/06/16

チェコ・ビーズの花束ブローチ

今年最初に訪れた三月初旬のArdingly アーディングリーのアンティーク・フェアでは、最後の最後にこのブローチを買いました。先に見掛けて、現金が余ったら買っても良いな位に思っていました。 

大して古くもないし珍しいデザインでもないのですが、値段はフリマ並みでした。それに、実際に使い勝手が良いブローチと言うのは、案外こんなタイプだと思ったからです。 

全体的な直径は約4㎝で、シャワー台の上に様々な形のガラスビーズがブーケ状に、テグスでしっかりと括り付けられています。 

これらは、皆チェコのファイヤー・ポーリッシュ・ビーズのようです。ビーズが大き目で立体的に盛り上がっている為に光が通ってキラキラ輝き、また青系の涼しげな色合いが透明感を高めています。

今回のアンティーク・フェアは、開催日の二日間とも快晴でした。にも関わらず、やはり出店数は減少して行くばかりで不景気ぶりを反映しています。客の多さは変わらずに賑わって見えますが、売り場面積が縮んでいるのに客の密度は変わらないのだから、結局買い手も減っているようです。

ビンテージ・ジュエリーの収穫には満足でしたが、今回の最大の目的である友達への誕生日プレゼント用としては、本当はいつものビンテージ・ジュエリーの他にメインになるべき物を探していました。しかし、買えない値段どころか生憎見掛けさえしませんでした。元々友達が好みそうな北欧デザイン風のビンテージやモッズ時代のレトロ物は少数派なのですが、その手のアイテムを得意としていた専門店自体を見掛けなくなりました。




2026/06/15

ぷかぷか三春駒

 

実家に帰省の際に姉は、これも私の為に三春町で買って置いてくれました。福島県を代表する郷土玩具・会津の赤べこの、ソフビ版カプセルトイ「ぷかぷかべこ~ず」の、福島県民のソウル・ドリンク「酪王牛乳」とのコラボ版「酪王あかべこ」の、もう一つの福島県の代表的な郷土玩具・三春駒とのコラボ版です。五種コンプリートは「三春の里田園生活館」でしか入手出来ないそうで、わざわざ出向いて買っておいてくれたのだそうです。

とは言え、念の為私が頼んで買って貰った訳ではありまへん。可愛い事は確かに可愛いんですが…、どう考えてもイギリスの生活に必要な物ではないし、問題は結構嵩張るコレを、一体どうやってイギリスに持って帰るか?でした。他にも姉は、暖か~いダウンとかパーカーとか非常に嵩張る物を沢山私の為に買って置いてくれて、全ては到底荷物に入らないと訴えると既にお冠だった為、姉の特に自慢の品のこれを、持って帰らない訳には絶対行かないだろうと、イギリスに戻る日程が近付くに連れジワジワと焦りました。

そもそも嵩張るのは、コンプリートはこんなパフェを入れるような容器に入って売られていたからです。結局容器は処分し、ビニール袋に入れてから荷物の隙間に詰めました。

五種類の中身は、まずは伝統柄の三春駒の黒と白。高柴デコ屋敷の彦治民芸が監修している為、ソフビ製ながら忠実に、尚且つ可愛く再現されています。見比べて見ると、単に色違いではなく、模様もあちこち異なっています。

酪王牛乳とのコラボは、この三種。左からいちごオレ、カフェオレ、牛乳です。 

酪王牛乳はカフェオレが美味しいと全国的に有名ですが、実は私は福島県に住んでいた時でも余り酪王のカフェオレを飲んだ覚えがありません。私が専ら飲んでいたのは、その後姿を消した「レモンホワイト」。お隣栃木県では一般的なレモン牛乳の、福島県版だったそうです。つい最近復活したと聞き…、うう、飲みてえ。

この同封されていた栞に寄ると、酪王牛乳を生産している酪王協同乳業の母体は、1975年に事業拡大の為に福島県内の幾つかの乳業が合併した出来た会社で、その中の一つに「三春牛乳」がありました。三春牛乳の瓶には三春駒がプリントされていて、今見ると渋さとレトロさがイカス。 

白い三春駒のお尻って、こんなピンクだっけ?と思いましたが、本物を確認すると、経年で色褪せたのか確かにピンクっぽい薄紫色でした。

郡山駅で赤べこバージョンも見ましたが、三春駒の角張っているボディのほうが、丸っこいフォルムの赤べこより、パック入り酪王牛乳のイメージを的確に伝えているように思います。


 

 

 

2026/06/14

バート・ヴィンプフェンのお土産ブローチ

 

三月に訪れたArdingly アーディングリーのアンティーク・フェアでは、去り際近くに、この古いキッチュなお土産ブローチも買いました。見掛けるといつも気になる、ドイツ語圏に良くある、多分チロリアン・ハット等の登山帽に着ける為の典型的なスーベニール・ブローチです。今でも現地で金属製なら売られていると思いますが、一昔前まではセルロイド等のこんなプラスティック製も多く出廻っていました。

ワイン樽の上には黒猫、脇に飲んだくれオヤジがしゃがみ込んでいるデザインから、ワインの産地のブローチでもある事も分かります。黒猫が居るのは、「黒猫(シュヴァルツェ・カッツ)の座った樽は最も出来が良い」と言うドイツの言い伝えを意味しているのかも知れません。下部のワインのボトルも含むと、縦の長さは約6㎝。

ワイン・ボトルは透明感のある異素材で、ぶら下がっている仕様が面白いと思いました。このボトルにはかつてはラベルが貼ってあったようですが、今は剝がれて僅かに形跡が残っています。また黒猫の尻尾、葡萄蔓の一部も欠けて無くなっています。 

この手のブローチは、主にその場所を訪れた記念品として買われるので、必ず地名が入っています。ただし、ブローチ自体は多くが同じ場所で生産され、地名のみ刷り替えて販売されているようです。このブローチには、酒樽にはハイデルベルクのラベルが貼ってあるもの、中央にはBad Wimpfen バート・ウィンプフェン」と記されています。Badは温泉(保養地)の意味で、ドイツ語圏には似たような地名が沢山あります。一体どの辺なんだろう?と地図で確認してみると、…「ここ新婚旅行で立ち寄った町じゃん!」と言う事が思い出されました。


私達夫婦の新婚旅行は、自家用車でヨーロッパ中部各地を三週間掛けて、ほぼ行き当たりばったりにちょこちょこ廻るロード・トリップで、凡そ新婚旅行らしくない物凄く楽しい旅でした。バート・ウィンプフェンは、ハイデルベルクで一泊した後、エーベルバッハ村(※青池保子ファンの聖地)を横切ってネッカー川沿いの古城街道を南下する際、車窓から高台に魅力的な古城が見えた為、急遽気まぐれに立ち寄った町です。後から知った事には、「ドイツで一番シルエットの美しい町」と呼ばれているそうです。

ほとんど忘れ掛けていた、そんな偶然ほんのちょっとだけ立ち寄った町の事を鮮明に思い出させてくれ、やはりこのブローチを買って良かったと思いました。