昨年の九月、バッキンガムシャーの英国景観式庭園の最高傑作Stowe ストウを訪れた翌日も、P太は有休を予約していましたが、前日と打って変わって今にも雨が降りそうな冴えない天気でした。それでも折角の有給なので無駄にしたくなく、何処かへ出掛けたいと言い張りました。こんな日のイギリスのお出掛けは、どう考えても庭園や自然を歩くのには向かず、大き目の街かアンティーク・モールを訪れるしかありません。
しかしイギリスの都市は、歴史的な観光地でもない限り、ぶっちゃけてんでつまらないのです。もし東京に住んでいたら、週末に御馴染みの吉祥寺に行くだけでも十分外出した満足感が味わえますが、イギリスは全国何処へ行っても同じチェーン店しかなく、その土地ならではの魅力的な商品も見掛けません。それでも今まで訪れた事のない街へ行けば少しは面白いかもと、イギリス南部最大の港湾都市Southampton サウサンプトンへ行く事にしました。
大きな街だから駐車するのが難しく、中心部の外れの路地に二時間だけ無料駐車する事が出来ました。
歩き出してすぐに、市役所や博物館、美術館が集まる広場に出ました。ここが町のヘソのようで、アール・デコ時代の建造物が多いように見受けました。
街は確かにデコ時代の1920年代に大きく開発されましたが、第二次世界大戦時に破壊された後に再建されました。
この市は、タイタニック号の出発地としても知られています(長い間ポーツマスと勘違いしとったわ)。港町には漁港、交通港、貿易港、工業港、軍港等の種類がありますが、現在のサウサンプトンは主に貿易港と英国最大のクルーズ港です。かつては軍港&造船業で発展した為に海底に深さが十分あり、大型クルーズ船が寄港・停泊するのに打って付けの立地なのだそうです。
まず中心部を歩いて最初に気付いた事は、大きな大学が在るから学生が多いと言う事。
しかも、中国からの留学生が驚く程多い。見掛けた学生の半分が中国人と思える位で、もしかしたらここの大学では、中国の大学に通っているような錯覚を覚えるのではないかと想像しました。
これ程中国人が集まる場所には、本国から「お世話係」が派遣され駐在するそうです。外国に居ても学生達が中国共産党に批判的な行動をしないかどうか監視し報告する係で、要は政府のスパイです。
中国人学生の多さに比例して、この町では中華レストランも沢山見掛けました。中国人には和食も大人気だから、日本食レストランも幾つか見掛けました。絶対日本人は入れないようなエセぶりだが…。
名前は日本語だけど(津波は英語でもTsunamiと呼ばれる)、日本食とは関係ないビーチ・バー。元々サウサンプトンは独身者の比率が高いせいか、英国有数の飲食店の多い都市だそうです。
イギリスの学生街では、大抵古着屋を見掛けます。このヴィンテージ衣料店は良さげに見えましたが、中は覗いていません。
これは指定場所の何処でも乗り捨て出来るレンタル・スクーターで、自転車ならロンドンで見掛けますが、スクーター版を見るのは初めてでした。
学生が多い割に、正直街自体の若い活気は不思議と余り感じられず、やっぱり見るべき店舗はチャリティショップ位しかありませんでした。この店は地元ならではのチャリティ屋で、この近くに邸宅を持っている貴族(王室の親戚)マウントバッテン伯爵家に因むようです。
元から街自体には然程期待していなかったものの、それでもここを訪れたいと思ったのは、この中世の門を見たかったからです。
The Bargate バーゲートと呼ばれる12世紀築の城門で、味気ない繁華街のド真ん中に本当に唐突に現れます。
サウサンプトンは元々鉄器時代からの定住地で、古代ローマ時代には既に重要な港町となり、ウェセックス王国時代には首都の一つでした。その後の中世には市街防衛壁に囲まれた城壁都市になり、壁も所々に残っています。
門の周囲では、この時ワールド・マーケットが開かれていました。
東欧からの魅力的な食べ物屋台も見掛けましたが、これ程買い食い好きの私なのに、イギリスのこう言う場所で飲食する事はまずありません。
だって、一気に食欲が失せる程、何でも理不尽に高いんだもんね…。
この他にもサウサンプトンには歴史的な見所があちこちに残っていますが、駐車時間が限られていて辿り付けませんでした。そしてウォーター・フロントに近付いて写真を撮る機会はなかったものの、港の膨大な数のコンテナーの山と、それを荷下ろす為の巨大クレーンが立ち並ぶ様子は、流石にこの都市ならではの光景で圧巻でした。
