2026/10/27

ボディアム城のハロウィーン

 

昨年の今頃の休日、何処かへ夫婦で出掛けたいけれど、曇りの冴えない天気なので初めての場所は避けようと、今まで何度も訪れた事のあるNT(ナショナルトラスト)のBodiam Castle ボディアム城を訪ねる事にしました。

イギリスに中世からの城は多く残れど、ここのように完全に近い保存状態で、しかも古城はどちらかと言うとEH(イングリッシュ・ヘリテイジ)の得意分野だから、NT管理で一般公開されている古城は割と珍しいのです。

Moated=堀池に囲まれた城や御屋敷も、イギリスでは珍しくありませんが、ここの池は水面が低くなった堀の底に水が溜められている訳ではなく、また幅が非常に広い為、まるで古城が水面に鏡のように映り、また湖の上に浮いているような独独の景観に見えます。 

どちらかと言うと、ここはフランスのシャトーっぽいかも。

堀池の中には、巨大鯉がいっぱい。人が水辺に近付くと、餌を貰えると思って寄って来て貪欲に口を開けます。

中島に立つ城の中へ入るのには、NTの駐車場とは反対の北の丘側に回ります。

城門へ続く木橋の欄干には、不思議な色合いのバンティングが飾り付けられていました。十月なので、ハロウィーン向けの特別イベントが絶賛開催中だったからのようです。

規模が大き目のNTでは、毎年こう言った季節的な子供向けイベントが熱心に開催されます。城門の天井にも、何だか怪しい(と言うか正直安っぽい)照明が。

堀の外からは完璧に残っているように見えるこの城は、実は内部は廃墟になっています。古城にダンジョンやゴーモン部屋は付き物なので、ここは立地的に如何にもハロウィーンにはぴったりの雰囲気のはずです。

ところが、イベント自体は子供の中でも相当小さな子供、しかもほぼ幼児のような年少向けのユッル~い雰囲気。


NTのイベントは何処もこんな感じで、微笑ましいと言えばそうだし、子供騙しと言えばその通りです。これは箒乗り訓練所。と言っても、飛び方を教えて貰える訳ではありません。

ドラゴン・ディスコ…。稚拙な動画のドラゴンと一緒に、単に廃墟の中で躍るだけ。 

NTのイベントの中には、これ子供でさえ面白いだろか?と思える物も多いのですが、例え大人向けであっても日本人が楽しめるような気の利いた娯楽は少ないイギリスなので、きっとイギリスの子供には十分楽しいのでしょう!


作る&用意する事自体は、かなりの力作に思えます。

城の塔は、既に赤竜に侵略されています。 

魔女鍋に見立てた本物の城内の古井戸。左奥には怪しい人魚、他の壁穴にはコウモリの目玉とかユニコーンの糞とか、魔女鍋の材料入りの瓶(張りぼて)が並べらています。

ハロウィーン専用の顔嵌めも…。やっぱ魔女鍋は、箒と並んで魔女には必須アイテムなんですね。

顔ではなく、目鼻嵌めです。

黒猫の顔がやたら長くて、まめきちまめこさんのイラストのようだと思いました。

一方こちらは、常設の中世風顔嵌め。道化師と吟遊詩人。

姫と騎士。絶対わざと弱ぶっているような(笑)。

これはハロウィーン用ではなく、この城には本当にコウモリが住んでいて、日中は眠っているので静かにしてネと言うサインです。

 

魔女のコスプレではなく、ここで時々見掛ける中世の衣装のスタッフさんです。 

数年前から一般公開用に整備された、城の南塔には登りました。

相変わらず天気はイマイチですが、ここからの眺望が良い事は確かです。 

城の北側の丘の斜面は、ブドウ畑になっています。斜面が南向きな上、太陽光が堀池に反射して倍増する為、ブドウの栽培には理想的な立地のはずです。

張り出した塔から堀池が真下に見える覗き穴の方が(多分矢や石を落とす昔の攻撃用に作られた)、私にはハロウィーン・イベントより余程恐怖でした。ここから体ごと落ちると言う事はないでしょうけど、もしウッカリ腕時計やスマホを落としたら…と考えると身震いするのです。 

お城の前では、イギリスらしいシャイヤー馬(世界最大級の重種馬)を見掛けました。もしかしたら別料金で乗せて貰えるのか? それとも単に近所の農家の人達が労働させているだけ? 

どちらにせよ、私には緩いハロウィーン・イベントより、こっちの方が古城に相応しくて魅力的に見えました。




2026/10/26

オレンジ×茶系のビンテージ・エプロン

 

久々に、ビンテージのエプロンを買いました。其処はフリーマーケットで古い布物を多く扱うストールで、ビンテージ・エプロンも段ボール箱にどっさり持っていましたが、全て確認して買いたいと思ったのはこの一枚でした。他にも悪くないデザイン&コンディションのエプロンはありましたが、レトロっぽさが足りないと言うか、似た物を既に持っているとかで、欲しくなる程ではありませんでした。

ビンテージに良くある、ウェストから下部分だけのハーフ・エプロンです。正直私としては、胸当てがないとエプロンとしては物の役に立たないのですが、当時の人はこれを普通に使用していたらしく、沢山出回っていたのが不思議です。でもビンテージ・エプロンは、私にとってはコレクションで実用はしません。

四角い模様が不均等な間隔で散った、60年代らしいジオメトリックな柄です。オレンジ+黄色+白+ベージュ+焦げ茶地の色合いも、この時代らしさに溢れています。

鮮やかなオレンジ色の無地が、全体をビシッと引き締めて小気味良いアクセントになっています。ベルトの切り替えがV字型で、ポケットがバケツ型なのも面白くてお洒落。

そして、この時代に良くあるバイヤス・テープに寄るパイピングが、やはり可愛いアクセントになっています。素材はコットンなのに色味は鮮明に残っていて、未使用かと思える程状態は良好です。


 

 

2026/10/25

テスト谷の市場町アンドーヴァー

 

昨年の今頃、久々にSalisbury ソールズベリーのアンティーク・モールへ行こうと言う事になりました。しかしその途中で、今まで立ち寄った事のないAndover アンドーヴァーと言う町を訪ねてみる事にしました。理由は単に古くからの町だからと、今まで見た事がないと言う好奇心から。

 

アンドーヴァーは、River Test テスト川が流れる谷(と言っても少し周囲より低くなっているだけの土地)に在る、中世から続く市場町です。ただしテスト川は、町の中心部を通過している訳ではありません。

規模としては、町と言うよりは日本なら明らかに市クラスです。しかし中心部近くに、無料で駐車する事が出来ました。ハイストリート(目抜き通り)を歩くと、すぐに町のヘソらしき役場前の広場に出ました。

元ギルドホールの立派な新古典様式の庁舎の前には、昔の石畳も残っています。古い市庁舎や役場の建物が残っている市町村は、必ずと言って良い程歴史的で雰囲気が良いのです。

この広場では、中世から今だ毎週開催され続ける市が丁度立っていました。

が、イギリスの一般市場なので、売られている商品は全く魅力ナシ。おまけに、目抜き通りであるハイストリートが大々的に工事中で歩くのがままらならず、町の魅力を大きく損なていました。


工事は必要不可欠な物だから仕方ありませんが、初めて訪れた場所でこうだと、やはり良い印象は持てなくなります。そしてイギリスの工事&大工仕事が伝統的に日当式だからか、まるでわざと出来るだけ長引かせて工事しているように進むのが遅く、とんでもなく長い時間が掛かります。

ここは中世から王室も利用する中継地、宿場町としても重要だったようで、当時からの旅籠も残っています。このThe Angel Inn 天使亭も、その一つ。  

19世紀初頭には、スペイン沖でのナポレオン軍との対戦での勝利を海軍本部に一早く報告する為、コーンウォールからロンドンへ向かう途中、この町で15度目の馬に乗り換えたと記されています。所謂The Trafalgar Way トラファルガー道と呼ばれる有名なルートで、馬の乗り換え合計21回、総距離271マイル(約440㎞)、37時間掛かったとか。しかも一人の将校が激走し成し遂げたようで、当時は伝令すら血反吐が出そうな命懸けの大仕事だと想像しました。そもそも何故、現在でも車を使ってさえロンドンからは滅茶苦茶遠いコーンウォールに、わざわざ上陸したのか?と最初は思いましたが、対仏西戦だった為、フランス近海は避けねばならなかったのだと推測します。


所々に木組みの家の残る、中々雰囲気の良い街並みではあります。

 

教区教会の尖塔が、町の大抵の場所から目に入ります。 

かなり大きな立派な建物の教会ですが、19世紀にゴシック懐古様式で建てられた物で、イギリスの教会としては然程古くありません。

ただし、この場所には元々サクソン時代からの起源を持つベネディクト会の修道院が存在したそうです。

 

しかも、フランスに総本山…と言うか母体を持つalien priory 外国修道院だったらしく、つまり英国王室にとっては治外法権の厄介な存在だったようです。 

その為か、16世紀の国王ヘンリー八世の修道院解散法より一世紀以上先だち、15世紀にヘンリー五世に寄って解体させられました。

その修道院の名残りと思える、ノルマン様式のアーチ門が教会西側に立っています。 

教会の墓地には、昔の洗礼盤と思しき石造物がプランターにされていました。 

アンドーヴァーの周囲には幾つかの鉄器時代の要塞遺跡(丘砦跡)が在り、この町には国内でも珍しい鉄器時代博物館があります。建物は、元グラマー・スクールの校舎を利用しています。前から一度見てみたいと思っていましたが、急に思い付いてこの町に立ち寄った為、この日は休館。週末のみ、開館しているようです。

 

歴史的に面白く家並みも悪くない町でしたが、何度も訪れたくなる程は惹かれませんでした。やはりハイストリートが大きく工事中だったのが、大きく印象に影響しました。初めて訪れた町がこうだと、工事が終わって落ち着いた頃に再び来てみようと言う気には、残念ながら中々なれない物です。