昨年の十月に夫婦で訪れた、国内唯一の川無し橋とダイナミックな修道院の廃墟が残るCrowland クローランドを訪れた後は、其処より南東へ約7~8㎞のThorney ソーニ―村の修道院を訪れる事にしました。州境を超え、ここはケンブリッジシャーの北端になります。
こんな近くにもう一つ修道院が在ったなんて、そりゃ随分乱立していたものです。もっとも日本の仏教寺院の宗派のように、修道会にも幾つかの種類があり、思想や戒律が大きく異なっていたようだから、仕方ないのかも知れません。…と思ったら、ここもクローランド修道院と同じくベネディクト会だったそうで…やっぱ多過ぎ。
一般的にThorney Abbey ソーニ―修道院と呼ばれていますが、教区教会としての正式名はthe Church of St Mary and St Botolph 聖母マリアと聖ボトルフ教会です。7世紀中頃の庵(私的な修道生活場)を起源に持ち、その後ヴァイキングに破壊され、10世紀にベネディクト会修道院として創立されます。
例に寄って16世紀に解散させられましたが、身廊部分は生き残り、単なる村の教区教会にしては高さが際立つ西側ファサードが聳え立って見えます。
上部の壁龕には、精巧な彫像が並んでいます。その下と両脇の塔にも、浅めの壁龕のみが装飾されています。
正面玄関も、見事な大きさです。
玄関上部には中世の教会装飾らしい原始的で気持ち悪いコ―ベルも健在ですが、17世紀に大きく修復された為、オリジナルに基づいているかどうかは分かりません。
内部に入ります。実は現在の教区教会は、修道院教会だった時代の中央交差部までの長さしかなく、全体的に東西のほぼ半分の奥行きしか残っていません。そして当時は南北両脇に側廊が在りましたが、今残っているのは中央の身廊部分のみです。それでも、教区教会としては十分な大きさはあります。
典型的なノルマン様式の柱は、当時の物がそのまま残されているそうです。
東側祭壇の見事なステンド・グラスは、カンタベリー大聖堂トリニティ礼拝堂の13世紀作のステンド・グラスを模した物で、初期ヴィクトリア時代の最高傑作の一つと言われています。題材は、聖トーマス・ベケットの生涯。
こちらの渋いステンド・グラスは、もっと古い物のようです。
訪問者は誰でも(募金すると)、自分で紅茶を入れて飲める仕組みが用意されていました。お布施用に、クレジット・カード支払い機も用意されています。
う、こんな可愛い十字架、初めて見ました。石製の洗礼盤の上に乗っているようです。編み物はイギリスで最も人気の手芸なようで、イギリス人はありとあらゆる物を編み物で装飾します。アクリル毛糸だと屋外でも多分カビないらしく、郵便ポストや自転車、ベンチとかでも編み物で飾り立てます。
現在墓地になっている部分には、かつては回廊等の修道院の施設が立っていたはずです。しかし今残っている建築物は本当にこの教区教会のみで、他の修道院の名残りは礎石すら全く見当たりませんでした。
近年の発掘調査に寄れば、この敷地の東側は既に昔は海岸線だったそうです。
教会の正面には、背が高めで古い石造りの(と言うのが既に)裕福そうな家屋が並んでいました。
今は店舗が数軒しかない村ですが、明らかにかつて栄えた痕跡が残っています。






