2026/06/09

サフランで栄えた市場町サフロン・ウォルデン

 

昨年、貴重な古代ローマ時代の古墳群と教会を見る為に訪れたBartlow バートロウ村を訪れた後は、既に夕方近くでしたが、南西に78㎞程離れたSaffron Walden サフロン・ウォルデン(「サフラン」「ワルデン」と日本語表記される事も)と言う町にも立ち寄ってみる事にしました。古い市場町で、雰囲気が良さそうに思えたからです。

バートロウはケンブリッジシャー州でしたが、このサフロン・ウォルデンはエセックス州に属します。と言うか、ケンブリッジシャーとエセックスが接している事が意外でした。

規模は、町と呼ぶには十分の大きさ。閉店間際の夕方でも、商店街は結構活気がありました。


そして期待した通り、古い魅力的な建物が沢山残っていました。

チューダー時代の木組みの家も、あちこちに。

ところで、この町に到着するや否や、前を歩いていた見知らぬ男性が20ポンド札を地面に落としたまま気付かずスタスタと歩いていて、走って届けて上げました。財布ではなく、こう言う生札をダイレクトに地面に落とす人にイギリスで何度か出会い、拾って渡した事があります。…拾ったのが私で良かったね。

歩き出して結構すぐに、一際立派な建物がぐるりと囲む広場に出ました。かつて市場が行われていたらしい町役場と思しき建物が立っていて、どうやらここが町のヘソのようです。

イースト・アングリアとその周辺は、かつて羊毛産業で非常に栄えたと聞きます。

しかし次第に羊毛産業は斜陽し、またこの地域は交通の便が余り良く無い為に近代化が遅れ、返って古い立派な家並みの残る村や町が多く在るように思います。

また、サフロン・ウォルデンの地名は、かつて香辛料・染料・香料・薬用として雌蕊が珍重され非常に高価だった植物サフランの産地だったからと言われています。この土地の土壌と気候が、栽培に適していたそうです。

町の一番高い部分に立つ教会にも、足を伸ばしてみました。St Mary’s Church 聖マリア教会と言い(正式にはThe Church of St Mary The Virgin)、エセックス州内の教区教会としては最大だそうです。

確かにかつての繁栄を示しているかのように、規模も内部の装飾も豪華でした。

天井には良く見ると木彫のレリーフが飾られていて、この天使像はちょっと稚拙で玩具っぽくて可愛い。 

ここのステンド・グラスも、やはり19世紀以降に大きく改修されているようです。


しかしこのステンド・グラスだけは、少し古い物を再利用しているように見えました。

南側の入り口に展示された古い小さな像が、一番印象的でした。1415世紀作の雪花石膏製で、20世紀初頭に司教館の庭から発掘されたそうです。 

教会の側にも、立派な木組みの家。 

商店が閉まった後も街が結構賑わってると思いきや、この日はD-Day=対ドイツの戦勝記念日の80周年で、大々的なイベントが行われていたからでした。貼ってあったポスターに寄ると、無料フィッシュ&チップスなんてのも振舞われたそうで、こんな太っ腹なイベント、イギリスで初めて見ました。

何の知識も無く、勘だけで良さげに思えたので立ち寄っただけでしたが、期待通り歩くのが楽しい素敵な町でした。この日は夕方まで始終天気が良かったのも、家並みが映えて見えた理由だと思います。ここには興味深い古城跡も残っているらしいので、また機会があれば訪れてみたいと思います。




2026/06/08

モンベルの三春Tシャツ

 

実家の近くの三春町に、アウトドア・スポーツ・ブランド「mont-bell モンベル」の東北最大級の直営店が昨年オープンしました。女性で世界初のエヴェレスト山登頂を成功した三春町出身の登山家で、モンベルを愛用していた故・田部井淳子さんを記念した店舗だそうです。その直営店だけでなく、田部井淳子記念館とビジターセンター、モンベルが設計監修した「さくら湖キャンプサイト」、またレンタサイクルやEバイク、カヌー、クライミングピナクルが楽しめる、「アウトドアヴィレッジ三春」と言う一大レジャー施設が併設オープンされています。周囲には人気の豆腐カフェ等の地元に密着した美味しい飲食店も集まり、かなり魅力的なスポットになっているようです。そのお店で姉が、私用にオープン記念Tシャツを買って置いてくれました。

モンベルは日本が誇るアウトドア・ブランドで、私の友達の何人かも愛用しています。流石はジャパン・クウォリティで、質や機能性はピカイチ!なのだそうです。…が、正直デザインは今一つ垢抜けない物が多いとの事。姉が買ってくれたこのTシャツも、日本で着るのはちょっと…()と憚られるダサ悲しいデザインで、日本滞在中は袖を通しませんでした。しかし今だイギリスのファッションで持て囃されている日本語が書いてあるし、イギリスで着る分には結構イケるのでは?と思っています。

渋いピーコック・グリーン地に、「三春」の毛筆タッチの文字の他、日本三大桜の一つ滝桜三春ダム(さくら湖)がプリントされています。

機能的には、確かに物凄いハイスペックなようです。強度のUVカットは勿論、通気性、速乾性、消臭機能を備えているとか。それに伴いお値段の方も、Tシャツとしては結構高価です。

ついでに姉は、三春駒キャラのトートバッグも買って置いてくれました。一体何故、この尻を付き出したポーズ?? Tシャツと併用し、三春コーデを楽しみたいと思います()




2026/06/07

バートロウの円柱搭教会

 

  

貴重な古代ローマ時代の古墳群を見る為に昨年夫婦で訪れたケンブリッジシャーのBartlow バートロウ村には、もう一つ訪れる目的がありました。この村の教区教会が、小さい古い教会マニアにとってはかなり魅力的なのです。

多くの教会は、主に鐘楼としての塔を持っています。イギリスのノルマン様式の教会は大抵四角柱の塔、ゴシック様式は尖塔ですが、この教会の塔は円柱形なのがまず目を引きます。

ドイツやバイキングの文化の影響を受けていると言われる円柱搭を持つ教会は、イギリスには数える程度しか残っておらず、その多くはノーフォーク州とサフォーク州に集中しているそうです。ケンブリッジシャー州に残るのは二つだけで、その内の一つがこれと言う訳。

この教会は、正式名をChurch of St Mary, Bartlow バートロウの聖マリア教会と言います。11世紀にクヌート王に寄って建てられたとの伝承を持ちますが、現在の建物の大部分は14世紀築。 

15世紀の壁画が残っているのも、この教会の魅力です。

壁画は、三つの主題に分かれて描かれています。まずは、魂の秤量をする大天使ミカエルの図。つまり地獄行きかどうかを、魂の重さで計って審判しているのです。

こちらは、幼子イエスを肩に乗せて激流を渡ったと伝えられるセイント・クリストファー(聖クリストフォロス)。それ故、子供の守護聖人的に親しまれています。この絵は、全体がはっきりと残っています。

最後は、竜と戦うセイント・ジョージ(ゲオルギオス)。聖ジョージはイングランドの守護聖人なので、イギリスでは良く目にするお馴染みのモチーフですが、生憎ほとんど竜しか残って見えません。これのみは南からの日差しが当たる北壁に描かれている為、日に焼けて退色したのかも。

イギリスの教会のステンドグラスは、多くが19世紀に修復、または新しいデザインに交換されました。この祭壇のステンド・グラスは図案が美しく、確かに19世紀作の物に見えます。 

一方この教会の他の窓は、単なる無色透明ガラスに交換されているように一瞬見えます。

が、実は最上部のガラスは、古い(多分中世の)ステンド・グラスが再利用されています。古い小さな教会で、つい見逃し勝ちな部分です。

毛むくじゃらの怪物のような顔が混じっていますが、もしかしたらライオンのつもりかも知れません。


外壁にも、気持ち悪いガーゴイルが幾つかあって好み。 
しかし、少なくとも人間には見える造形なので、比較的新しい時代の制作だとは思います。

墓ウォッチングもしましたが、このエンパイヤ・ステート・ビルのような、アール・デコ調の金属製の墓標が一番独特で目を引きました。

「何故この十字架には米国ドルマークが付いているの~?」とP太も疑問に思いましたが、実はドルマークと違いSの字に掛かる線は三本。同じマークを教会内部でも見掛けたので、もしかしてこう言う家紋だったりするんだろか??

確かに、私にとっては十分興味深く見応えのある教会でした。とは言え、正直この教会を訪れる為だけにこの村へ来るのは、我が家からの距離的に贅沢過ぎます。しかし偶然P太の買い物のついでで、貴重な古代遺跡も同時に見学出来るとあって、こうして訪れる事が出来たのだからラッキーでした。