2026/02/25

田園の館グレイズ・コート 2

 

昨年の三月に夫婦で訪れたオックスフォードシャーのチューダー時代のカントリー・ハウスGreys Court グレイズ・コートの屋内見学で、一番印象に残っているのは、館の最後の住人レディ・エリザベス・ブラナーの寝室でした。

このベッドに掛かるイギリスらしいヘキサゴン・パッチワークのベッドカバーは、夫人が存命時に使用した物ではなく最近の制作ですが、地元の婦人会に寄る力作です。 

そのパッチの中の一柄は、肖像画中のブラナー夫人のブラウスと同じリバティの生地を使用しています。

何せリバティでは、創業当時からの幾つかの柄を今でも販売し続けていますから、少し昔の肖像画と同じ生地も入手出来る訳です。

 

木調を生かした、壁紙のセンスも良い心地良さげなインテリア。現在は使用されていない大きな暖炉には、これまたフラワー・アレンジメントの大作が飾られていました。 

またこの部屋には、中々素敵なサンプラーも展示されています。

女児が初めての刺繍作品として仕上げたサンプラーではなく、夫人が男児誕生の際に記念に自ら仕上げた作品のようです。

この小さな階段は…、

…専用のバスルームに通じています。秘密の小部屋っぽくて面白い造りですが、ちょっと高齢者には不便です。

ここの館は天井のレリーフも興味深く、写真を幾つか撮りました。

こちらは壁面。これらのレリーフは、石膏を型に入れて固めて制作しているようです。

こちらは、正面玄関ホールの天井の角。 

こう言う所まで拘って装飾するのが、金持ちが金持ちたる所以です。 

しかしここのは、繊細な優雅さに溢れていてケバケバしくないのが気に入りました。

また、この館の台所も魅力的に見えました。台所に通じる階段に設置された移動椅子は、ブラナー夫人が使用した物かも知れません。

今でも十分機能的で実際に使えそうなキッチンなのは道理で、時々ボランティアの方々がここでお菓子を焼いて来館者に配るからだそうです。 

調理器具は、「カントリーなおうちにはこれでなくっちゃ」の大きく古風なストーブ式。 

その上に並んだ、50年代風のカラフルな花柄の容器は、鍋ではなくキャニスターです。

陽当たりの良い窓辺のシュガーピンクの小さなダイニング・テーブル・セットと、壁のタイルの柄の絶妙な組み合わせも素敵。ここで焼き立てのお菓子を味見しながらお喋り…なんて光景が似合いそうです。

 
日本の主婦の憧れ?パントリーも、イギリスの大抵のお屋敷の台所には在ります。

そして、この古風なキッチンに、巨大な冷凍庫の置かれているアンバランスさが面白い。イギリス人は余程冷凍食品を多く食べるのか、一般家庭でも普通の冷蔵庫とは別に、冷凍専用庫を持つ家は多いようです。

ここぞとばかりに有り余る財力を見せ付けるお金持ちのお屋敷見学には、普段は余り気乗りしない私ですが、ここは楽しめ気に入りました。これとて庶民にとっては大邸宅には違いないものの、豪華過ぎる宮殿級よりは、やはりこんな住居者の暮らしぶりが感じ取れるお屋敷が良いなあ。 

日本人が英国に対して勝手に思い描くバラ園とアフタヌーン・ティー的な、最早本国では失われつつあるステレオ・タイプな英国の雰囲気が、ここには確実に残っています。







2026/02/24

田園の館グレイズ・コート 1

冬期は閉まっていたNT(ナショナルトラスト)のお城やお屋敷の屋内公開が、三月に入り再開し始めたので、天気の良い週末を選んで早速出掛ける事にしました。昨年の春に我々夫婦が最初に選んだNTの目的地は、オックスフォード州のGreys Court グレイズ・コートと言うカントリー・ハウスでした。我が家から日帰りで行けない距離では全くありませんが、今まで訪れた事はありませんでした。

場所はHenley-on-Thamesの近くの、Chiltern Hills チルターン丘陵に横たわる風光明媚な田園地帯。

この日は快晴の上に、気温も早春にしては高かったと記憶しています。イギリスのあちこちの草地にほぼ自生するクロッカスの群生も見事に満開で、訪問者の目を引いていました。


これらの写真を見返しても、昨年のこの季節はお天気の良い日が比較的多く、今年より頻繁にお出掛け出来たと思い出されます。

建物の前には、石製の水槽に植えられたミニ・アイリス。こう言った水槽はtrough トラフと呼ばれ、アンティークをガーデニングに利用するのは非常に人気があり、新たにアンティーク風に作られた物も売られている程です。

お屋敷脇の石塀の上には、武装した幼児(ケルビム?)の像が並んでいます。勇ましく武装しても、全く戦力にならなさそう…。 

この場所は、元々ノルマン時代のガーター騎士だったグレイ家のマナー・ハウスで、11世紀の土地台帳「デュームズデイ・ブック」にも登場します。

14世紀には、現在の館(母屋)とは緑地を挟んだ反対側に、Rotherfield Greys Castleと呼ばれる城が築かれました。 

城の古風な塔と合体されたレンガ造りの建物は、17世紀初期に建てられた物でThe Dower Houseと呼ばれています。元々は現当主の母親(未亡人)が住んだ、言わば隠居用の離れだそうです。 

その後バラ戦争や宗教革命に翻弄され、この領地は幾つかの貴族の手に渡ります。現在の母屋は、16世紀にエリザベス一世の寵臣フランシス・ノリーズに寄って、当時流行の最先端のチューダー様式で建てられた物。 

庭園もここの見所ですが、まずはお屋敷内から見学します。正面玄関ホールでは、造り付けのキャビネットが印象的です。

今は勿論綺麗に快適そうに改装されていますが、市民戦争(ピューリタン革命)では破壊され、その後も持ち主に大事にされなかった為、廃墟同然に荒れて行った時代もあったそうです。

 「007シリーズ」の原作者、イアン・フレーミングの母親が一時住んでいた事もあったとか。

1937年にここを買い取った最後の持ち主は、スイス出身のThe Brunner ブラナー卿一家。右手の引き出しの上には、ブラナー家の歴代の当主の写真が飾られています。 

今でも十分人が生活出来るように感じられるのは、割と近年まで持ち主が実際に暮らしていたからです。

 

ここは1969年にNTに寄贈されましたが、ブラナー未亡人のみは2003年に99歳で亡くなるまで館の一部に住み続け、その後全てがNTに管理・運営されています。

家具や調度、食器類もそのまま寄付されたので(流石に非常に価値のある物は子孫が持ち出しただろうが)、館の雰囲気にぴったり馴染み、家庭的な暖かさがしっかり残って感じられるのはその為です。 

NTは映画やドラマの撮影には協力的なので(何せ宣伝になる)、このグレイズ・コートも「ダウントン・アビー」「名探偵ポワロ」「ミッドサマー殺人事件」等のロケに使用されました。 

こちらは育児室。他の部屋に比べてやけに細長く見えますが、天井が高く広さは贅沢な程十分あります。 
こちらは主寝室、いや子供部屋かな?

この部屋には、見事なドール・ハウスが飾られていました。ブラナー夫妻の子供達は4人とも男の子だったらしいので、これは夫人の娯楽だったのかも知れません。

サイズは一般的な1/12ではなく確か1/6で、思わず自分のドールを持って来て撮影したくなりました(笑)。 




2026/02/22

大猫の怪力

  

今日は日本では猫の日なので、愛娘タラちゃんの近況をお伝えします。その前に、先ずイギリスの洗濯物干し事情から説明しなければなりません。

イギリスでは雨が多い為、洗濯物を室内干しする機会が非常に多くなります。雨が降らずとも、10月以降は晴れた日が少なく気温も低過ぎ、外干ししても一日では洗濯物が乾かないので、結局室内干しに頼る事になります。

ベランダを持つ家自体は意外と少なく、まして軒付きの洗濯干し場付きのベランダの有る家は見掛けた事がありません。もっともイギリスの民家では、屋外の洗濯物は基本的に公道から見えない場所に干します。日当たりの良い場所にコンサヴァトリー(サンルーム)を持つ家は、多分其処で干すのだと思いますが、どちらにせよ室内干しです。

もしかしたらドラム式の洗濯機と乾燥機の一体式を持つ家庭は増えて来ているのかも知れませんが、大抵の家は単にAirer エアーヤ―と呼ばれる太いワイヤーで出来た折り畳み式の室内用洗濯物干しラックを使っています。 

我が家にも、P太の独身時代から20年以上しているエア―ヤ―があります。これ程コンパクトに畳めるタイプが最早売られていない為、相当ボロくなってコーティングが剥げて来ても修理して使い続けています。

先日この蛇腹式のエア―ヤ―の一番上でバスタオルを干していたら、ハンモックと勘違いした愛猫タラちゃんがその上に乗ってしばらく寝てしまい、重みで歪んでぺしゃんこに潰れてしまいました! 

大人の男性が両腕でも曲げられない程太くて丈夫なワイヤーで出来ているのに、一体この猫どんだけ重いんだ?!と私とP太は驚愕しました。

結局P太が何とか修理して復活しましたが、今更ながらタラちゃんの重量には驚かされます。雌猫としては確かに大き目なものの、それ程太っては見えません。しかし抱っこすると、想定外の重さに毎度腰にズシッと響くのです。

↑上の写真は、お気に入りのP太のパジャマの上で寝ている所。我々が寝ている時はタラちゃんがP太の上に乗る事はありませんが、単独でベッドの上と言うと、何故か決まってP太のパジャマの上が好きなのです。 

タラちゃんを撫でてみると、毛皮は滑らかで十分モフモフしているものの、その下の肉がぱんぱんに張って硬く、なんかコレ~我々が知っている猫の感触じゃにゃいっと思う事が良くあります。筋肉質で健康体で活発なのは確かなので、このまま長く元気で居て欲しいと願っています。