2026/04/01

七宝焼きの花束ブローチ

 

今年の自分の誕生日には、Brighton ブライトンのフリーマーケットに連れて行って貰いました。庭園を楽しむのには未だ早い季節で、野山を歩くのには冬の長雨でぐちゃぐちゃに泥濘り、海には三日前のP太の誕生日に行ったばかりだった為、しばらく地図を眺めて何処へ行くか云々考え、未だ一度も行った事のない年中開催されているこのフリマへ行くのが、またとない機会で最良の選択だと決断しました。 

この日はまずまずの晴れの予報だったのに、実際には凄く霧掛かっていたので、そんな雨は降らないけど冴えない天気も、庭園や自然ではなくフリマを訪れるのには打って付けでした。ブライトン郊外の、小高い丘の上の競馬場で開催されます。本当は、ここからの景色は海も見えて抜群のはずですが、霧ですっかり隠されています。

買い手の入場料は80ペンス(1030分以降。早手は2.5ポンド)で、今時のフリマとしては安いし、駐車場は無料です。因みに売り手の出店料も10ポンドと今時にしては破格に安く、しかも売り場面積は好きなだけ取って良いとか。しかし、やはり我が家からはフリマに行くにしては結構遠いのです。高速道路クラスの道路を織り、牧草地の中の田舎道(しかし意外と混む!)を暫く運転しなければなりません。

売り場はレース・コースそのものを使用しているようで、凄く奥深いのです。普通フリマ会場にはボックス型の仮設トイレが設置されていますが、ここににはコンテナ式のトイレが常設されていて、外側の建物はボロボロなのに、内部は驚く程綺麗に改装されているのに思わず笑いました。

ブライトンはヒッピーやエコ思考の強い人が多く住み、言ってしまえば左派色の強い町です。そう言う人達はビンテージを好むので、フリマでのライバルも多かろう、商品の値段も高めなのではと思っていましたが、意外と値段は一般的でした。お客には、カラフルな個性的なファッションの人達を多く見掛けましたが、意外と有色人種は少なかったような。私が良く行くフリマでは、客の半数以上が主にイスラム教徒の有色人種に見えます。

そのフリマで買った、今まで見た事のないタイプの味わい深~い七宝焼きのブローチです。いかにもブライトンらしい、お洒落ではつらつとしたお婆さんが売っていました。今まで見た事がないのは道理で、彼女の話ではお友達の手作りとの事。

私の母も若い頃七宝に凝っていた事がありますが、普通七宝で花を表現するとなると、まず金属の(素地)に花を描くはずです。しかしこれは、わざわざ花や葉型に切り抜いた銅板の土台を釉薬で着色し、束ねてブーケにしている仕様が興味深いと思いました。


元は、こんなリボンに留められたチョーカーだったようです。リボンの色褪せ具合から、かなり古い物であるのが伺えます。

花の中心には、花弁としてビーズが通されています。このコバルト・ブルーの花が一際目立ち、魅力の要になっているように思います。

アイビーのような葉は、葉脈まで表現されています。 

造りはブローチ・ピンに花や葉がワイヤーで無理矢理括り付けてあるだけな為、安定は良くありません。一度外してシャワー台に固定するか、それともグルーガンで接着した方が良いのかも。

駐車場の周囲の牧草地に、不自然に盛り上がった小山が在り、もしかして古墳だったりして~と思いましたが、実はこの丘自体がWhitehawk Campと言う新石器時代のcauseway enclosure =土塁や土手道と溝で囲まれた環状遺跡で、考古学的にかなり貴重な場所だそうです。

結果的に、収穫はまずまずあったし、初めて行くフリマで面白い体験になりました。実はこの日、競馬場の建物の中ではアンティーク&ビンテージ・フェアが行われていましたが、既に入場料を払うのには閉館時間に近過ぎた為、その後素通りしてLewes ルイスへ行きました。結局この日は、一日中霧掛かって晴れる事はありませんでした。風邪引きで食欲も十分無かった為、外食もせず(何せイギリスの外食は高く付くからね…)普通に家で晩御飯を作って食べましたが、自分の誕生日としては中々悪くない一日だったと思っています。




2026/03/31

エリザベサン・ポッタリーの「フルール・ブル」のC&Sとクリーマー

 

度々夫婦で訪れる Ardingly アーディングリーのアンティーク・フェアでは、あろう事か売れ残った商品を会場に置き去りに捨てて行く出店者を目にします。しかも、そう言うマナーの悪い出店者は最近どんどん増えて来ているように思います。このC&S(カップ&ソーサー)とクリーマー(ミルク・ピッチャー)は、三月初旬の我々夫婦にとって今年初のアンティーク・フェアで、そんなゴミの山の中から拾って来ました。

素材はボーン・チャイナで薄く軽く、フォルム自体は中々エレガントです。

同柄のソーサーは何枚も打ち捨てられていましたが、カップが一つだけなので、一番状態の良いソーサーを一つだけ選んで来ました。他にも、同セットで蓋の無い背の高いポットも混じっていました。

196070年代に活躍したElizabethan Pottery エリザベサン・ポッタリーの「fleur bleue フルール・ブル(フランス語で「青い花」)と言うシリーズで、イギリスのフラワー・パワー時代を象徴するデザインとして結構人気が高いそうです。今までも何度か、アンティーク・モール等で見掛けた事があります。

大胆な花柄ポップながら色合いは渋めなのが、人気の秘訣かも知れません。

カップは細長く、どちらかと言うと紅茶用ではなくコーヒー・カップです。

ティーまたはコーヒー・セットでアイテムを一つだけ手に入れるとすれば、一番活躍するのはクリーマーかシュガー・ボウルかも知れません。これ程大き目のクリーマーなら、クリームやミルクだけでなくソース・ディスペンサーにもなりますし、花を生ける事も出来ます。 

雰囲気が偶然ぴったりだった背景布は、同日のアーディングリーのフェアで買ったビンテージ・ファブリック。ドイツ製で、素材は綿とヴィスコス(レーヨン)混です。 

中々素敵なレトロ食器をタダで手に入れられてラッキー♪…と喜んでいると言うよりは、やはり不正投棄に呆れ返ると言う気持ちが強く、それを忘れず伝える為にも拾って置こうと思いました。





2026/03/30

緑の葡萄のブローチ

 

今月初旬に訪れたArdingly アーディングリーのアンティーク・フェアでは、屋内会場で次にこのブローチが目に入りました。姉が好きな葡萄モチーフのブローチとあっては、買うのは必須です。

縦約5㎝。葡萄はやはり紫か青系で表現するのが一番多いのに、緑系は結構珍しいと思いました。マスカットとか緑の葡萄は実際にありますが、モチーフとしては意外と使われないのです。葡萄の房部分のラインストーンも、緑色なのは上部だけで、株は無色透明AB加工の石なのが、返って一捻りあるデザインになっています。爪留めではありませんが、石は全て揃っていますし、大き目の粒で輝きは結構派手です。

葉の部分はエナメル塗装で、その組み合わせも意外と今まで見た事がありませんでした。エナメルは手彩色のようでグラデーションがあり、状態はまあまあ。地金のくるんと丸まった蔓が、可愛いアクセントになっています。

裏面に非常に不鮮明な刻印がありまして、辛うじて読めた事には「Hollywood」と言う文字で、ミッド・センチュリーに活躍したバーミンガムのコスチューム・ジュエリー・メーカー(またはブランド)の名前だそうです。このメーカーの製品は当時は広く出回っていたようですが、検索しても全く同デザインにはヒットせず、多分同じ台座で石部分が白い模造パールの葡萄ブローチは見掛けました。