私が子供の頃、隣の市に住む伯母(母の長姉)の家に、家族で時々泊まり掛けで遊びに行った。伯母の家は、僻地でもなく市街地からそう離れていないのに、旧街道の街並みから奥まった、周囲は田んぼや畑ばかりに囲まれた中に一軒だけぽつんと寂しげに立つ、今考えると奇妙な立地だった。
その日の夜、私の自称霊感のある姉は、伯母の家の二階の部屋で従姉妹達と一緒に寝ていた。しかし、外から非常に悲痛で不気味な「ひゅうぅぅぅーひゅうぅぅぅー」と言う人の声が聞こえて来て、姉は眠れなくなった。その声は家の二階の外側にぴったり張り付くかのように、飛びながら周囲を何度もぐるぐると回り続け、家の中に入りたいと訴えているようだった。余りの怖さに姉は隣に寝ている従姉妹達を起こしたが、「何も聞こえないよ」と言ってまたすぐに寝てしまった。結局姉は、怖過ぎてその夜は一睡も出来なかった。
明け方、伯母の家から500m程離れた線路から一番電車の走る音が聞こえると、その不気味な声は漸く去って行き聞こえなくなった。朝この恐怖体験を母に訴えると、「あ~あそこの線路、自殺者多いからねえ」とケロッと言ったそうだ。この話を成人した後に姉から聞き、何だか平然と言い放った我々の母が怖くない?と私は思った。その伯母の家は、東日本大震災の際に地盤が傾き住めなくなったと聞く。そして伯母も母も、もうこの世には居ない。
※以前たわごとブログに掲載した内容の焼き回しです。
撮影地:National Trust, Nymans