2026/06/02

水色ラインストーンのリース型ブローチ

 

三月初旬のArdingly アーディングリーのアンティーク・フェアでは、友達への誕生日プレゼント用にこのビンテージ・ブローチも買いました。

直径は約3㎝で、葉をあしらったリース状の台座に、水色系のラインストーンと極小のマーカサイトが嵌め込まれています。

この水色のラインストーンが、アクアマリン色とも違い若干緑味掛かって深みがあり、少し変わったニュアンスのある魅力的な色合いなのに惹かれました。 

マーカサイトは爪留めではなく接着ですが、マーカサイトの欠けが一つもないのは結構珍しいと思いました。  

ピューター製っぽいリース状の台座も、ありそうでなかったデザイン。裏面のピンの原始的な形態から、20世紀初頭の製造なのが分かります。 

小ぶりながらも全体的に重厚感と存在感があるクラシカルなデザインで、今回友達へ贈ったビンテージ・ブローチの中では、自分的にはこのブローチが一番気に入っています。

結局その日のアンティーク・フェアで、友達への誕生日プレゼントのビンテージ・ブローチはこれだけ集める事が出来ました。冬の間はアンティーク・モールへ行く機会も中々なく、それまでプレゼントが揃えられないのを焦っていましたが、たった一日でこれだけのビンテージ・ジュエリーを見付けられるのは、やはりアンティーク・フェアならでこそだと思います。




2026/06/01

カロチャ刺繍の半袖ブラウス

 

母の葬儀の後の実家での遺品整理では、大量の衣料品も待ち構えていました。と言っても、母が介護施設に入所するや否や、弟夫婦が既に大方処分してしまっていたので、納棺の際に添える母のお気に入りの服を選ぶのにも困った程でした。母は衣料の手入れもまるで無頓着で、大抵はシミが付いていたり虫食いがあったりと傷んでいない物の方が珍しかった為、残った服も結局ほとんど処分するしかありませんでした。 

そんな中、このハンガリー刺繍のブラウスをゴミ袋の中で見付け、奇跡的に状態は良かったのを確認し、自分で引き取る事にしました。

どう考えても、かつて私や姉がハンガリー旅行をした際に、母にお土産として買い贈った物でした。襟元と袖に、ハンガリー南部のカロチャ地方特有の刺繍が入っています。

カロチャ刺繍では今まで長袖ブラウスしか持っていなかったし、十分オフショルダーに見える長めのフレンチ・スリーブも、ゆとりあるシンプルなフォルムも、今時の日本の普段のファッションに合わせて可笑しくないデザインだと思いました。 

ブラウス自体の素材は、乾き易く皺になりにくいポリコットン。その反面、毛羽立ち易い素材なのは難点です。襟開きがたっぷり取られ、透かしもふんだんに施されて涼し気なので、着心地的にも夏にぴったりです。

ちょっと肌寒い季節なら、こんな風に重ね着しても。ボトムは、デニムのワイド・パンツなんかを合わせたい気分です。首に掛けているコットン・パールのネックレスも、母の遺品から引き取った物。姉からの母へプレゼントで、軽いからと喜んで使っていました。

ハンガリーは今でも伝統手工芸を重んじる国で、地方毎に異なる個性豊かな刺繍が残っています。その中でも華やかなモチーフ、鮮やかな色彩、凝った大胆なカットワークを施したカロチャ刺繍は、マチョー刺繍と並んで国を代表するフォークロアです。

ステッチは普通のサテン刺繍ですが、ハンガリー独特の刺繍糸でふっくら立体感が出るように縫われています。

 こちらは、袖の刺繍部分。 

このブラウスの刺繡には、カロチャを象徴するはずの赤の糸は使用されていません。母は赤が嫌いだったし既に年配だった為、この少し落ち着いた色合いのを私達姉妹は母用に選んだのだと思います。カロチャ刺繍には、この他青系のグラデーションや白だけで纏めた物も存在し、かなり印象が変わって見えます。



2026/05/31

五月の庭便り

  

五・六月はイギリスで最も美しい季節だと言う事に、異論を唱える人は余り居ないのではと思います。バラが咲き、それに合わせてイングリッシュ・ガーデンの典型的な他の植物達も花開くこの季節、あちこちが正に絵に描いたようなイギリスの光景に見えます(…と毎年同じような事を言っているような)。 

今年の二か月間の臨時一時帰国で、またしても沢山の春の球根植物の開花時は逃してしまいましたが、少なくとも今回は自宅の庭のバラの開花時には間に合いました。

裏庭に面した掃き出し窓を開けた途端、バラ(とハニーサックル)の芳しい香りが漂って来るのは、バラを育てている最高の御褒美と言えます。

兎に角天気の悪い日が多く、冬が暗くて長くて辛いイギリスなので、この最も光り輝く最高の季節を逃すと、最早この国に住む気力すら失うような気持ちになります。

我が家のバラはほとんどが四季咲きですが、一番初めの最盛期がやはり最も美しく咲き揃い見応えがあります。 

その最初のバラの開花の最盛期は、ここイギリス南東部では数年前までは六月に入ってからでしたが、今は四月からバラが咲き始める事も珍しくはなくなりました。

我が家でこの春に最初に開花したバラは、P太からの報告に寄れば、蔓バラの「スパークリング・レッド」だったそうです。モッコウバラにさえ先駆けて咲いたようで、その早さに驚かされます。私が日本から戻った時、そのモッコウバラは終盤の散る間際でした。

その時はライラックも丁度終わった所で、日当たりの良い場所、または開花時期の比較的早い品種のバラだけが咲いていました。

後は開花の遅いバラが咲き揃うのを待つばかり…のはずでしたが、五月のイギリスとしても丁度異様に寒い時期で、最高気温でも10度位。残りのバラの蕾は硬く、中々育ちそうもありませんでした。


西日の良く当たるこの部分が、特に花付きが早く良かったようです。 左からER「ザ・ハーバリスト」、FL「ブルー・フォー・ユー」、ER「ゴールデン・セレブレーション」、そして上部のランブラー「オープン・アームズ」の色の組み合わせと配置は、我ながら上手く行ったと思っています。

「ザ・ハーバリスト」は微香と記されていますが、我が家の株は強香に近い程で、オールド・ローズ系の芳香を強く放ちます。有名な「薬剤師のバラ(ランカスターの赤バラ)」の四季咲き版なので、先祖返りしているのかも。ただし四季咲きと言うよりは返り咲きで、初夏に多く開花した後は、秋まで中々花が付きません。

「ゴールデン・セレブレーション」は、両親の金婚式に日本のデヴィッド・オースティン社経由で贈った事のある品種です。その後すぐに母はこのバラを枯らし、悔しいので自分で購入したものの再び枯らし、今三代目が実家で育っています。花付きも抜群に良ければ、一つ一つの花弁の大きさも迫力です。 

 

ところが、英国に戻って一週間後位から、突如気流が変わって熱波が到来し急に気温が上昇し、月末にはイングランドの五月の観察史上最高気温を記録しました。↑この写真は、帰宅直後の東端の花壇。

 ↑そして、同じ場所の約一週間後の熱波がやって来た時の写真。ERのランブラー・ローズ「ザ・レディ・オブ・ザ・レイク(湖上の美人)」が、ランブラーらしく大きく蔓を伸ばして旺盛に育っています。

この花壇の左端に2年前に植えたER「ガブリエル・オーク」は、やっと株が安定し出したのか、今年は沢山花を付けてくれました。  

家の北側の公道に面した、バラの開花が裏庭に比べて概ね遅れていた前庭も、熱波の後はこの通りになりました。 

しかし、気温上昇で確かに一気にバラは咲き進んだものの、余りに高温過ぎて、あっと言う間にチリチリに乾燥し萎れてしまった花弁も多く見られました。 

ついでに、この暑さで大量のアブラムシも爆誕したような…。 

本当は花の終わったライラックやモッコウの剪定、バラの花殻摘み等やるべき庭仕事が山程待っていましたが、余りの暑さに丸ッと後回しにしました。

 

この極端な気温差は、植物にだけでなく、自分にとっても年齢的に自律神経の調整やらで厳しいィィとつくづく感じます。 

昨秋に球根を植えたダッチ・アイリスは、自宅に戻った時に丁度咲き始めた所でしたが、この一週間後に全てが咲き揃いました。一つだけ白花の混じっていたのが御愛嬌。しかし、やはり急激な気温上昇に耐えられなかったのか、この後割とすぐに花が終わりました。

この熱波の間に、シャクヤクも一気に花開きました。バラに負けない華やかさがあります。

傷んだトマト(食品)を土に埋めていたら、芽が出てこんな風に育ちました。花も咲いたので、その内収穫出来るかも知れません。 

ところで、帰国前の冬の終わりの朝に、この裏庭で鳩の大量の羽根と死体の一部💦を発見しました。

タラちゃんは夜間は外出させない為、最初は他所の猫に襲われたのかと思いました。しかし、 木塀の地面近くが壊されて大きな穴が開き、その周囲にも鳩の羽根が付着していたので、どうやらキツネが我が家の庭に侵入して犯行に及んだようです。もし猫であれば、塀を乗り越えられるので、塀に穴を開ける必要はありません。

その穴は緊急に塞ぎましたが、キツネはその後も再び無理矢理侵入を試みたらしく、 更に塀が壊されていました。

一方、前庭で生卵が地中に埋められている奇怪な現象を何度か目撃した事があり…、ググってみると、どうやらイギリスでは度々起こるキツネの仕業のようです。牛乳配達の際に卵等の食品も一緒に注文する家があり、早朝玄関先に置き配された物をキツネがパックから盗み、卵を埋めるらしいのです。 

以前からロンドン市内ではキツネを良く見掛けましたが、ここ数年は私が住む地方の住宅地や街中でもキツネを見掛けるようになりました。春先は夜間お風呂に入っている時、しょっちゅうキツネの鳴き声が聞こえて来ました。

キツネは害獣で、現にうちは塀を壊された訳だし、ゴミを荒らすし伝染病も怖いのですが、まあどう考えてもクマが出現するよりは絶対マシかと。

愛猫タラちゃんは、きっとキツネが庭に侵略して来る度に、夜の窓辺で「こんにゃろめっ」と悔しく眺めていたのに違いありません。

寒い季節から一変して、この季節は、タラちゃんは毎朝庭に出るのを待ち遠しくしています。 

更に私が庭に出る度に一緒に出たがり、庭の写真の何処かしらには写っている事が良くあります。

丁度草花に映える毛皮の良いモデルさんだとは思うのですが、カメラを向けると「撫でて~♡」とすぐに近寄って来てしまう為、中々シャッターチャンスの掴めないのが玉に傷です。 

六月も引き続きバラのお世話には気が抜けず、今後の水不足や物価高に寄る肥料や薬剤の入手の難しさも気になります。とは言え、マメな手入れとは程遠く、正直最低限の世話しかしていません。しかし、私のイギリスでの暮らしにとって、今やバラは無くてはならない存在となりました。