2026/06/13

梅雨晴れ散歩

一時帰国の為にしばらくブログを書いていなかったので、書くのが一際面倒な旅行・お出掛け記事を再開するのは中々やる気が出ませんでしたが、ドール記事はそれ以上にやる気が出ませんでした。決してドル活自体に飽きた訳ではなく、早くお人形遊びを始めたい気持ちはムズムズとありました。 

しかし、何せ撮影が面倒臭いのだけは身に染みて憶えていて、取り掛かる気になれなかったのです。非常に暑かったり、逆に天気が悪くて暗過ぎたりと、ドール撮影に向かない天候が続いた言うのもありました。しかしこのままでは、いつまで経ってもやる気が起きない為、まず着火剤代わりに一着ドール服を縫ってみる事にしました。

型紙は、日本ヴォーグ社の「Licca」最新刊「リカちゃんはおしゃれモデル」の春夏コーデのワンピースを利用しています。ノースリーブで簡単そうに見えたので選びましたが、シンプルで装飾も全く無いからこそ布の魅力がモノを言うと思い、返って布選びには時間が掛かってしまいました。この形の服の場合は子供っぽい柄だとお洒落じゃないし、布のしなやかさや風合いも大事だと思いました。 

この布は数年前にフリマで購入したカット生地で、以前浴衣を作った生地の色違いです。張りがあり過ぎると思い、裁断する前に水通ししましたが、余り効果はありませんでした。張りがあるのはノリではなく目の詰まったプリントのせいだったので、ついでに針通りの縫い心地も余り良くありませんでした。

型紙を見た時から肩幅が広過ぎるように思いましたが、案の定フレンチ・スリーブ気味に仕上がりました。

しかし、ハイウェストもスカートの丈の長さも流石はばっちり決まり、デフォルト・ボディでも十分大人っぽく見え、あえて可動式ボディに替えずデフォルトのままにしています。布柄の渋さも、我ながら丁度良かったような。 

返って六枚剥ぎのキャップの方が、パーツが多くて縫うのは面倒でした。心配した通り、歪んでるし不格好だし! タカラトミー社製の良く人形に付属されているビニール製のキャップを被せて、手っ取り早く間に合わせても良かったのですが、気に入った色の持ち合わせが無かったのです。

マキシ丈のワンピースにスポーティな厚底スニーカーとベースボール・キャップを合わせる、今の日本で良く見掛けるスタイルは私も好きです。が、こんな格好をするのは、実際には体型隠したい&日焼け怖いオバサンだけっすよね…。リカちゃん及びもう少し年上の10歳代の子は、こんなズルズル長いスカートなんて、まず履かないのでは。

イギリスには当然梅雨はないのですが、記録的な熱波が去った今、丁度日本の梅雨みたいな雨続きの天候になっています。おまけに六月とは思えない程寒く(最高気温14度とか)、実際にはこんなノースリーブで居るのは耐えられません。街では、ダウン・コートを着ている人さえ結構多く見掛けました。

グレー×白の眼光鋭い猫ちゃんは、最近フリマで買ったシュライヒ製。リカちゃんにとっては相当なデカ猫ですが、肉球まで描かれて流石に良く出来ています。

本当は三毛猫と二体買ったんですけど、あろう事か三毛は失くしてしまいました。バッグの奥底に仕舞い込んで、他の何かを引っ張り出す時に多分一緒に飛び出て、零れ落ちてしまったのに気付かなかったようです。

着火剤のお陰か、ドール服作りと撮影は何とか意欲が出て来た…と言うか、やり方の勝手を思い出しました。私の場合、余りにやる気が出過ぎて、頭の中がそればっかりになるのも困りものです。




2026/06/11

イースト・アングリアのパージェティング建築

 

 

昨年訪れたエセックス州のほぼ北西端の町Saffron Walden サフロン・ウォルデンは、かつてサフランの産地として栄えた古い市場町だけあって、今も立派な歴史的な建物が沢山残っていました。

その中でも特に独特で目を引き興味深いと思ったのが、外壁の漆喰にレリーフ状の模様を施した建物でした。

教区教会に近いChurch Street 教会通りには、この町では特に一見の価値がある見事な建物が並んでいます。 

この町へ来る前に訪れたBartlow バートロウ村の旧郵便局の建物でもこんな外壁模様を見掛け、今までも主にイースト・アングリアで度々見掛けて気になってはいました。


サフロン・ウォルデンの町のHPに寄れば、これは「pargeting パージェティング(pargettingや wall pargetingとも綴られる)」と呼ばれる建築技法で、16世紀に国王ヘンリー八世の命でサリー州の城館Nonsuch Palaceノンサッチ・プレイス(息子のエドワード六世が生まれた場所)を装飾する際にイタリアから輸入された、「stucco スタッコ=化粧漆喰」と言う技法が元になっていると伝えられています。

それ故、16世紀から17世紀掛けてイングランドで広まって行きました。しかし、19世紀末のアーツ&クラフツの懐古主義が持て囃された時代にも、人気が復活しました。


ここでは漆喰の色のみですが、この上にカラフルに彩色されている場合もあるそうです。サフロン・ウォルデンの町立博物館では、パージェティングの作成方法が詳しく説明されているようです。

かつて馬車が潜ったアーチの内側の、側面の壁にもパージェティング。 

こんな小路に面した僅かな部分(右下)にさえ、ちょっとだけパージェティング。 

パージェティングは、石灰の漆喰、またはモルタルが乾かない内に、木型で判を押して作成します。

または、櫛を使っても模様付けするそうです。 

しかし、これ程盛り上がっているレリーフだと、もっと深い型か手作業で立体化しているように見えます。

モチーフは幾何学模様の他、植物や鳥、動物が多いらしいのですが、上部の花に群がっているのは鳥?魚??

人物を表現した場合、造形の稚拙さが極まって面白コワイ。芸術家ではなく当時の職人が作成すると、こんな造形になったようです。

 …何故か脚…。いや、きっと何か意味は込められているはずです。

イースト・アングリアでも特にサフォーク州とエセックス州に多く見られると言われ、これは明らかにイギリスでは貴重なフォークロアです。イースト・アングリアの古い町を訪問する際は、外壁に是非注目してみて下さい。


 



2026/06/10

水色ラインストーンのフィリグリー・ブローチ

 
三月に訪れたArdingly アーディングリーのアンティーク・フェアでは、このクラシックなブローチも買いました。

好きな1930年代のチェコスロヴァキア製のフィリグリー・ブローチで、美しく状態も良く、値段も手頃だったから購入しましたが、買った時点では未だ誰用にするかは決めていませんでした。横4.5㎝弱と小ぶりだから姉の好みではないし、友達の好みとも違いそう…。と言う訳で、最終的に自分用にしました。

全体的には小さ目なものの、細かい透かし金具を立体的に重ねた凝った意匠で、ラインストーンの輝きが美しい、魅力的なビンテージ・ブローチなのは確かです。

この水色のラインストーンが、アクアマリン色とも違う少しだけ緑掛かった濃い目の、独特な色なのにも惹かれました。どちらかと言うと、ブルートパーズ(あれは大抵は染色した物らしい)の三色の内の、「スイスブルー」に近いかも知れません。 

中央の一番大きな石は、実はオープンバックなのですが、買った時には埃が溜まっていて曇り、しばらくそうとは気付きませんでした。裏面の僅かな隙間から掃除するのに、ちょっとだけ苦労しました。




2026/06/09

サフランで栄えた市場町サフロン・ウォルデン

 

昨年、貴重な古代ローマ時代の古墳群と教会を見る為に訪れたBartlow バートロウ村を訪れた後は、既に夕方近くでしたが、南西に78㎞程離れたSaffron Walden サフロン・ウォルデン(「サフラン」「ワルデン」と日本語表記される事も)と言う町にも立ち寄ってみる事にしました。古い市場町で、雰囲気が良さそうに思えたからです。

バートロウはケンブリッジシャー州でしたが、このサフロン・ウォルデンはエセックス州に属します。と言うか、ケンブリッジシャーとエセックスが接している事が意外でした。

規模は、町と呼ぶには十分の大きさ。閉店間際の夕方でも、商店街は結構活気がありました。


そして期待した通り、古い魅力的な建物が沢山残っていました。

チューダー時代の木組みの家も、あちこちに。

ところで、この町に到着するや否や、前を歩いていた見知らぬ男性が20ポンド札を地面に落としたまま気付かずスタスタと歩いていて、走って届けて上げました。財布ではなく、こう言う生札をダイレクトに地面に落とす人にイギリスで何度か出会い、拾って渡した事があります。…拾ったのが私で良かったね。

歩き出して結構すぐに、一際立派な建物がぐるりと囲む広場に出ました。かつて市場が行われていたらしい町役場と思しき建物が立っていて、どうやらここが町のヘソのようです。

イースト・アングリアとその周辺は、かつて羊毛産業で非常に栄えたと聞きます。

しかし次第に羊毛産業は斜陽し、またこの地域は交通の便が余り良く無い為に近代化が遅れ、返って古い立派な家並みの残る村や町が多く在るように思います。

また、サフロン・ウォルデンの地名は、かつて香辛料・染料・香料・薬用として雌蕊が珍重され非常に高価だった植物サフランの産地だったからと言われています。この土地の土壌と気候が、栽培に適していたそうです。

町の一番高い部分に立つ教会にも、足を伸ばしてみました。St Mary’s Church 聖マリア教会と言い(正式にはThe Church of St Mary The Virgin)、エセックス州内の教区教会としては最大だそうです。

確かにかつての繁栄を示しているかのように、規模も内部の装飾も豪華でした。

天井には良く見ると木彫のレリーフが飾られていて、この天使像はちょっと稚拙で玩具っぽくて可愛い。 

ここのステンド・グラスも、やはり19世紀以降に大きく改修されているようです。


しかしこのステンド・グラスだけは、少し古い物を再利用しているように見えました。

南側の入り口に展示された古い小さな像が、一番印象的でした。1415世紀作の雪花石膏製で、20世紀初頭に司教館の庭から発掘されたそうです。 

教会の側にも、立派な木組みの家。 

商店が閉まった後も街が結構賑わってると思いきや、この日はD-Day=対ドイツの戦勝記念日の80周年で、大々的なイベントが行われていたからでした。貼ってあったポスターに寄ると、無料フィッシュ&チップスなんてのも振舞われたそうで、こんな太っ腹なイベント、イギリスで初めて見ました。

何の知識も無く、勘だけで良さげに思えたので立ち寄っただけでしたが、期待通り歩くのが楽しい素敵な町でした。この日は夕方まで始終天気が良かったのも、家並みが映えて見えた理由だと思います。ここには興味深い古城跡も残っているらしいので、また機会があれば訪れてみたいと思います。