イースト・サセックス州の州都Lewes ルイスは、観光に人気の城下町かつ市場町で、我々夫婦もアンティーク・モール巡りに度々訪れています。しかし、歴史の古い町だから中世から続く教会も幾つかあるのにも関わらず、未だちゃんと見学していない教会がありました。自分の中で教会に対する興味の温度差が時期に寄ってあるからですが、その内の二つをやっと訪問してみました。
まず、ルイスの長いハイストリートの東端に在る、St Thomas A Becket’s Church 聖トーマス・ア・ベケット教会。
ノルマン教会の典型的な外観で、いかにも古そうに見えます。ここなら、中には何度か入った事があります。夏の暑い日とかのモール巡りで歩き疲れた時の休憩で、壁の厚い教会の中は大抵涼しいのです。
名前となっているトーマス・ア・ベケットは、12世紀のカンタベリー大聖堂の大司教で、対立した国王ヘンリー二世の騎士四人に寄って暗殺され、13世紀に聖人に叙されました。この暗殺は王が命じたのではなく、騎士達が勝手に意を汲んで行動したと言われ、国王は後悔に苛まれ懺悔したそうです。どちらにせよ、この事件はヘンリー二世にとって政治的にも不利になりました。
内部は、意外な程ノルマンらしさも、これと言った特徴もありません。実際にノルマン時代の建造が残るのは内陣部分のみで、身廊、側廊、鐘楼塔の大部分は14~15世紀の築。それでも十分中世の教会です。
一方、約1㎞離れた(しかも途中は急な坂道!)ハイストリート西端にあるSt Anne’s Church 聖アンナ教会は、ルイスで最古の教会だそうです。かつてこの町が市外壁に囲まれていた頃、ここには西門が立っていました。
ルイスはカンタベリーからウィンチェスターを結ぶ中世の巡礼路上に在り、この教会は巡礼者の寄付に寄って中継の休憩所・宿場として建てられたそうです。
近くに在った聖アンナの聖なる泉の井戸に因んで、名付けられたようです。
ギザギザ彫刻のアーチを持つ北入り口が、ノルマン様式らしさを伝えています。
その側に地下に繋がる階段があり、crypt 地下礼拝所か地下墓所が在るのかも知れません。
内部も、太い柱や半円型アーチにノルマン様式らしさが残っています。この天井は、近くに在った小修道院から移築されたと伝えられています。
東側祭壇部分の窓を見ると、壁の厚さが実感出来ます。
珍しい籠目模様の聖水盤も、ノルマン時代の製造。今見ても、かなり巧みな石工の業だと思います。
この覗き穴のような小さな窓は、「anchorite cell 隠遁者の庵」と言う狭い空間に続いています。12世紀に作られた社会から隔離された祈禱者の為の隠し部屋で、長年壁に塗り込まれていた為、20世紀に入ってから発見されたそうです。勿論、イギリスの古い教会としても貴重な例です。
この教会の墓地で興味深いのが、この鉄製のバー状の墓碑。こんな形態の墓碑、他で見た事がありません。全て19世紀の物で、場所を取らず倒れにくい!とかの理由で、もしかしたら一時的に流行した?
…とか想像しましたが、後から調べたところ、「leaping-boards」と呼ばれる地元の鉄工所主の作で、全部彼の家族の墓標だそうです。思わずハードル飛びしたくなりますが、間隔が狭いから絶対しちゃ駄目(…しませんって)。
この他ルイスのハイストリートには、サセックスでは珍しい円柱搭を持つSt Michael Church 聖ミカエル教会が在ります。随分昔に一度見学しましたが、機会を見て再び訪れてみたいと思います。昔と今とじゃ、興味を引くポイントがまた違うと思いますので。
