NT(
ナショナルトラスト)
の会員に復帰したら、是非行ってみたい場所がありました。それが、イギリスの有史時代の考古学上で最も偉大な発見と言われるSutton
Hoo
サットン・フーです。歴史好き&古墳好きな私は今まで何度も行きたいと思っていましたが、サフォーク州と言うのが高速道路が全く通っておらず中々行きにくい場所なのです。一泊する程ではないけれど、日帰りで行くには時間が十分なく遠いと言った所。
しかし、コロナでNTの会員を中断していた時期、やっぱり行かなくては!と一層強く思いました。それで、昨年の今頃いつもより朝早く出掛けました。そもそも我々夫婦は、大抵割と朝のんびり出掛けるのです。

サットン・フーは、アングロ・サクソン時代にこの地を治めていたイースト・アングリア王家の6~7世紀の埋葬地で、デベン川を見下ろす切り立ったほぼ崖の上に在ります。
右に見える家は、20世紀初頭にこの土地を所有していたプリティ家のお屋敷。その女主のEdith
Pretty イーディス・プリティが、敷地内の古代の塚に興味を持ち、アマチュア考古学者Basil Brown バジル・ブラウンを個人的に雇って発掘を依頼した為、イギリスの歴史を変える程の偉大な発見に繋がりました。その様子は、「The Dig(邦題:時の面影)」と言う映画にもなりました。
ベンチが船形なのは、ここの古墳の一つが、古代ゲルマン人やヴァイキングの墓に見られる、船体を棺とした船葬墓である事が、発掘に寄って証明されたからなのに因みます。
専用駐車場から資料館や売店、カフェ等の建物の脇を通り、今はTranmer
Houseと呼ばれる旧プリティ家の屋敷脇を通り、更に遊歩道を進むと埋葬地である開けた土地が見えて来ます。
まず目に入るのが二号基で、古墳好きにとっては理想的な土饅頭っぷりです。ここで唯一、元の高さを復元してあると言われています。6~7世紀と言うと、日本でも古墳を作っていた、しかも前方後円墳等の巨大古墳ではなく、同程度の規模の円墳か方墳の時代です。
ここには19
~20
基の古墳があるそうですが、案内板の地図では18
基までしか確認出来ません。
古墳の在る区域は柵で囲まれ、特別ガイド・ツアー以外は立ち入り禁止です。
一般入場者は、柵を囲む遊歩道をぐるりと歩くのみ。
東側は、農地でもないのにビニール・シートで覆われた一瞬異様な光景です。この一帯は今も軍用地で、第二次世界大戦中は大切な遺跡をドイツ軍の目から隠す為にも、古墳地帯でさえ軍用地として使用されたそうです。
しかし、正直遠巻きの地上からでは草原が広がって見えるのみで、ドローンでもない限り(ドローンの飛行は禁止されていると思うが)、どれが古墳なのか中々認識出来ません。
その為、わざわざ古墳を見下ろす為の展望塔なる物が設置されています。
高さは 3~4階建てのビル並みで、周囲の風景を損なわないように木調を生かしたデザインにされています。
登り詰めた所。
我々が到着した時は独占状態でしたが、その内どんどん他の訪問者も登って来て満杯近くなりました。
確かにここからは、古墳の全貌がばっちり見下ろせます。
どれがどんな古墳か説明した案内板はあるのもの、鳥のフンだらけで近付くのも憚られる…。
展望塔の一番手前にあるのが船葬墓である一号基で、624年に死去したイースト・アングリア王Rædwald レドワルドの墓ではと言われています。年号まで推測出来るのは、副葬品の硬貨に発行年が刻まれていたからです。
塔の反対側からは、デベン川と対岸のWoodbridge ウッドブリッジの街並みが見渡せます。古代遺跡は眺望の利く場所に多いと言うのを納得させます。
この展望塔が在るのとないのとでは古墳の印象が大違いで、ナショナルトラストよ、良くぞ建ててくれて有難うと思いました。