二年前の八月、天気は一日中雨で出掛けるのには全く不向きだったけれど、どうしてもお出掛けしたくなった(主にP太が)日がありました。イギリスで庭園や自然歩きにも向かない天気の日のお出掛けとなると、私達にとっては目的地はアンティーク・モール巡り位しかありません。その上、雨で濡れるのがP太は猫並みに嫌い。そこで、店が棟続きなので、ほとんど歩かなくても済むSawbridgeworth ソウブリッジワースのアンティーク・モール巡りに出掛けました。この季節は未だ日が長かったから、残り時間でもう少しドライブしようと言う事になりました。
まず地図を広げ、眺めが良い道路と記されているB1051号線を、何の前情報も知らずに進んで行く事にしました。すると、丘の上に昔ながらの風車と教会の高い尖塔が見えて来たので、突然その町で停車する事に決めました。
Thaxted サクステッドと言う町で、古い木組みの家が並んでいます。町の中心には年季の入ったギルドホールが立ち、何度も言うけど、これが残っている町や村は歴史ある市場町な訳で、雰囲気が良いと言うお墨付きです。
このギルドホールは15世紀後期の築で、一階のピロティ部分では定期的に市場が開かれていたと思われます。今は博物館となり、時々内部公開しているそうです。
ギルドホールの立つハイストリート(目抜き通り)には、作曲家のギュスターヴ・ホルストの住んでいた家が残っています。彼は、ここに1917年から1925年まで暮らしていたそうです。またここは、「ハウルの動く城」の原作者ダイアナ・ウィン・ジョーンズの育った町でもあります。
イギリスの古い小さな町や村には返ってある事で、中心を交通量の結構多い幹線道路が通過するのが落ち着きませんが(大きな町や市の方がパイパスが通っている)、確かに素敵な家並みの町です。
兎に角、ここに到着する前に目撃した風車を目指そうと言う事になりました。私もP太も、どうも風車や灯台は無視出来ません。
風車へ行くには、ギルドホールの左脇の小路を通って行きます。
この小路には、特に素敵な古い田舎家が並んでいました。
この家なんて、長年に渡って増改築を重ねたのか、かなり複雑な構造になっています。
ここはエセックス州ですが、サフォーク州の特色のピンク色の外壁の家を幾つか見掛けました。
こちらの家の外壁は、サフォーク・ピンクの上にパージェティング装飾。おまけに、屋根の上には赤い竜が乗っています。
教区教会の脇も通過します。現在の町の規模にしては大きい立派な教会で、かつてかなり栄えた土地であった歴史を物語っています。
教会の側の一際目を引く、まるで御伽噺に登場するような一階建て(英語ではバンガローと言う)テラス・ハウスは、実は古い町には残っている事が多い元Almshouse 救貧院。恐らく、教会の司祭様が建てたのでないかと思います。しかし、こんな茅葺屋根の田舎家タイプは初めて見ました。
向かい合う救貧院の合間に風車が見え、ポストカードになるような典型的なエセックスの風景と言われています。
風車に近付いて来ました。その足元には、多分教会の墓地が満杯になってしまった為に近年設けられたらしい新しい墓地が。
まるでこの直ぐ下に死体が埋まっているかのように、何故丁度人体の大きさ位に盛り土するんでしょうね。
風車には、羽根の裏手から近付けるようになっています。
この風車はJohn Webb's Millと呼ばれ、19世紀初頭に建てられました。
今は稼働していませんが、時折イベント時等に公開実演されるようです。
また公開時には、カフェも開設されるとか。
イングランドの中でも特に平坦で標高差の少ないイースト・アングリアですが、風車は風当たりの強い周囲で一番高い場所に建てられる事が多く、ここからの眺めも中々でした。
中心部に戻り、ギルドホールの右手の教会に通じる小路は、石畳が残り更に素敵でした。
ギルドホールの隣(と言うか繋がっている)には、またしてもパージェティングの家。ここイースト・アングリア地方では、本当に多く見掛けます。
その隣の木組みの家が、また迫力。もしかしたら、前出の複雑怪奇に繋ぎ合わせたような家の表面かも。
少し中心から離れた場所には、茅葺屋根の消防署が。
最初は日照時間が許す限り単に景勝道路を通過するだけのつもりでしたが、思わず立ち寄らずには居られない程、こんな生憎の天気でさえ十分魅力的に見えたサクステッドでした。







