2026/09/26

英国最大級の港町サウサンプトン

 

昨年の九月、バッキンガムシャーの英国景観式庭園の最高傑作Stowe ストウを訪れた翌日も、P太は有休を予約していましたが、前日と打って変わって今にも雨が降りそうな冴えない天気でした。それでも折角の有給なので無駄にしたくなく、何処かへ出掛けたいと言い張りました。こんな日のイギリスのお出掛けは、どう考えても庭園や自然を歩くのには向かず、大き目の街かアンティーク・モールを訪れるしかありません。

しかしイギリスの都市は、歴史的な観光地でもない限り、ぶっちゃけてんでつまらないのです。もし東京に住んでいたら、週末に御馴染みの吉祥寺に行くだけでも十分外出した満足感が味わえますが、イギリスは全国何処へ行っても同じチェーン店しかなく、その土地ならではの魅力的な商品も見掛けません。それでも今まで訪れた事のない街へ行けば少しは面白いかもと、イギリス南部最大の港湾都市Southampton サウサンプトンへ行く事にしました。

大きな街だから駐車するのが難しく、中心部の外れの路地に二時間だけ無料駐車する事が出来ました。


歩き出してすぐに、市役所や博物館、美術館が集まる広場に出ました。ここが町のヘソのようで、アール・デコ時代の建造物が多いように見受けました。

街は確かにデコ時代の1920年代に大きく開発されましたが、第二次世界大戦時に破壊された後に再建されました。

この市は、タイタニック号の出発地としても知られています(長い間ポーツマスと勘違いしとったわ)。港町には漁港、交通港、貿易港、工業港、軍港等の種類がありますが、現在のサウサンプトンは主に貿易港と英国最大のクルーズ港です。かつては軍港&造船業で発展した為に海底に深さが十分あり、大型クルーズ船が寄港・停泊するのに打って付けの立地なのだそうです。

まず中心部を歩いて最初に気付いた事は、大きな大学が在るから学生が多いと言う事。 

しかも、中国からの留学生が驚く程多い。見掛けた学生の半分が中国人と思える位で、もしかしたらここの大学では、中国の大学に通っているような錯覚を覚えるのではないかと想像しました。 

これ程中国人が集まる場所には、本国から「お世話係」が派遣され駐在するそうです。外国に居ても学生達が中国共産党に批判的な行動をしないかどうか監視し報告する係で、要は政府のスパイです。 

中国人学生の多さに比例して、この町では中華レストランも沢山見掛けました。中国人には和食も大人気だから、日本食レストランも幾つか見掛けました。絶対日本人は入れないようなエセぶりだが…。

名前は日本語だけど(津波は英語でもTsunamiと呼ばれる)、日本食とは関係ないビーチ・バー。元々サウサンプトンは独身者の比率が高いせいか、英国有数の飲食店の多い都市だそうです。

イギリスの学生街では、大抵古着屋を見掛けます。このヴィンテージ衣料店は良さげに見えましたが、中は覗いていません。

これは指定場所の何処でも乗り捨て出来るレンタル・スクーターで、自転車ならロンドンで見掛けますが、スクーター版を見るのは初めてでした。

学生が多い割に、正直街自体の若い活気は不思議と余り感じられず、やっぱり見るべき店舗はチャリティショップ位しかありませんでした。この店は地元ならではのチャリティ屋で、この近くに邸宅を持っている貴族(王室の親戚)マウントバッテン伯爵家に因むようです。

元から街自体には然程期待していなかったものの、それでもここを訪れたいと思ったのは、この中世の門を見たかったからです。

The Bargate バーゲートと呼ばれる12世紀築の城門で、味気ない繁華街のド真ん中に本当に唐突に現れます。

サウサンプトンは元々鉄器時代からの定住地で、古代ローマ時代には既に重要な港町となり、ウェセックス王国時代には首都の一つでした。その後の中世には市街防衛壁に囲まれた城壁都市になり、壁も所々に残っています。

門の周囲では、この時ワールド・マーケットが開かれていました。


東欧からの魅力的な食べ物屋台も見掛けましたが、これ程買い食い好きの私なのに、イギリスのこう言う場所で飲食する事はまずありません。

だって、一気に食欲が失せる程、何でも理不尽に高いんだもんね…。

この他にもサウサンプトンには歴史的な見所があちこちに残っていますが、駐車時間が限られていて辿り付けませんでした。そしてウォーター・フロントに近付いて写真を撮る機会はなかったものの、港の膨大な数のコンテナーの山と、それを荷下ろす為の巨大クレーンが立ち並ぶ様子は、流石にこの都市ならではの光景で圧巻でした。






2026/09/25

月を渡る兎

 

今夜は中秋の名月なので、お月見用のドール着物を縫いました。

最初は単なる着物と小道具だけでそれっぽくして撮影を済ませるつもりでしたが、後からどうも余り月見らしく見えないと不満に思い、ギリギリの手前で突然月見用の着物を作る事に決めました。

月見用と言っても、帯留めをウサギにしただけ。お月見着物(人間用)で検索すると、着物が兎+ススキ柄で、帯のお太鼓部分が月柄だったり、もっと月見限定の着物が存在するようです。

この単衣の着物は、以前momoko DOLL用の七夕の浴衣に使ったフリマで手に入れた端切れで、丁度リカちゃんの着物を作れるだけの面積が残っていました。

純粋な和柄に見えますが、イギリスでデザインされた生地のようで、KASURIと題名が付いています。ローンかポプリンの薄手で滑らかな綿生地で、本物の絣ではありません。 

肝心のウサギの帯留めですが、出来れば白ウサギのボタンとかを利用したいと思ったものの手元になく(おいおい)、急に思い立ったので買いに行く時間もなく、どーしたものかと頭を抱えていました。

そもそも、イギリスでは白ウサギのボタンが手に入りそうもありません。日本で文様や伝統意匠的なウサギと言うと、必ず白兎で表現されますが、イギリスではウサギが白く表現される事は余りないのです。

と言うのも、一般的なイギリスの野ウサギは、冬になっても保護色の白毛に変わる訳ではないからです。スコットランドのハイランド地方なら、そんな冬毛に変わるウサギが生息しているらしいのですが、ここ数年は温暖化で変わらなくなって来ているとか…。ええ?じゃあ、その内日本のウサギも白くならなくなる??  

ウサギは西洋では復活祭のシンボルの一つですから、ウサギ・モチーフのグッズ自体は多く見掛けますが、香港や中国デザインの輸入品とかでもない限り、大抵茶色で表現されます。

色々考えた挙句、帯留めのウサギはプラバンで手作りすると言う考えに到達。プラバンなんて試すのはウン十年ぶりで、果たして出来るんかいと不安でしたが、不格好なものの結構思い描いた通りには仕上がりました。オーブントースターが家にあって、つくづく良かった~(※普通はイギリスの家庭にはありません)。

予備として二つ作ったので、残り一つは髪飾りにしました。本当はこの上にレジンを乗せると、補強にもなり見栄えが良いんですけど、百均のレジンで十分だから買って置くべきでした。

プラバンは今後もドル活に色々と役立つはずで、クリカットも3Dプリンターも買えない私ですが、これでちょっとだけはドール服作りの幅が広がりそうです。

この際だから、月見団子もススキも縁台用の毛氈(綿だけど)も作りました。団子を乗せる木製の三宝は前から持っていましたが、団子はなかったので、ウッドビーズを白く塗って積み上げました。

最初は粘土で団子を作る方が楽だろうかと思いましたが、粘土が古くて硬くて(おまけに素材が劣化して臭いw)上手く丸まらず、そもそも乾かす時間もなさそうでした。

ビーズはビーズで、穴をアクリル絵の具で塞ぐのが中々大変で…。塗っても塗っても塞がらず、最終的に凄い厚塗りになってゴルフボールのようなボッコボコに。最初に木工ボンド等で穴を塞いでから、彩色すべきでした。

ススキを生ける為の和風の花瓶すら無く、棗型の大きなウッドビーズと木製チェスゴマで急遽でっち上げました。本当に気付いた時に、何でも買って置かないと駄目ですねえ。 

もっとも、こう言う物が後からドール撮影の背景小道具として必要になるとは、実際に必要になってみないと中々気付けないのです。そして、コレはもしかしたら後々役に立つかも?と思い何でも取って置くと、たちまち膨大な量になって仕舞う場所に困って来るドル活地獄。

ところで、布の大きさから、最初からリカちゃん(以下)のサイズの着物しか作れないとは分かっていた訳ですが、モデルをどのリカちゃんにするかでも最後まで中々決められませんでした。

黒地の着物だから、黒髪ロングのリカちゃんでは重くなり過ぎそうだし色も被る。でも、明るい淡い髪の色のリカちゃんでは、着物の色目が強過ぎて負けてしまう…。 

割とキリリとした組み合わせの着こなしにしたかったので、そうなると顔立ちもはっきりした子の方が合いそうでしたが、うちに居る金髪のリカちゃんはふんわり優しい幼い雰囲気の子が多いのです。 

そこで、青いアイシャドーが目立っても凛として涼し気で、黒髪でもすっきりアップにしていて重く見えない、浅田真央ちゃんリカちゃんに御登場願いました。これがまー、期待通り和服が最強に似合うこと。

お月見にわざわざ和服を着る人は、余程の着物好きか普段から着慣れている人に限るとは思いますが、ドールで表現するとなると、やはり和装じゃなければと思ってしまいます。

帯は、毎度愛用の会津木綿。赤系に見えますが、実は緑の糸も織り込んである生地で、純和風のしっとりはんなりした柄の着物が、この帯で少しだけ賑やかに見えます。

オリジナルのボディは、立ったままでも脚も閉じない酷い品質だったから、ピュアニーモSに替えています。リカちゃんのデフォ・ボディより身長が高い為、おはしょりの丈を調節し直さなければなりませんでした。

そんなこんなで時間のない中を行き当たりばったりで進めた割には、何とかお月見を祝う雰囲気に見えるようには揃ったと思います。…いや、少なくとも、モデル人形は最初に決めてから制作始めた方が良いはずです(苦笑)。

今夜はイギリス南部でも晴れるらしく、美しい中秋の名月が拝めそうです。

 

 

 

2026/09/24

ル―サイトのインタリオの置物 三種

 

ル―サイトのインタリオのペン立てに出会った日のフリマでは、帰り掛けにこの置物に出会いました。其処は一度眺めたストールでしたが、うっかりこれらは見落としていました。コレクションだったらしいル―サイトのインタリオの置物が6~7つ位売られており、一つどれでも50ペンスと言われました。全て無彩色で、動物柄もありましたが、花モチーフの物だけ三つ買いました。

一番大きい物は、台も含めて高さ16㎝もあります。こんなモチーフを今まで見た事がなければ、この形態を見た事もありません。正直、ちょっと墓石のような形だな…と思います(また其処かい)。 

側面は結構複雑にカットされ、反射が綺麗です。 

モチーフは、茎がすっくと伸びたキク科のような素朴な花です。左上に、蝶が飛んでいます。背の高い植物の構図は、こんな縦長の形ならではのモチーフです。 

次に大きいのは、ル―サイトのインタリオの置物では何度が見た事のある円型で、直径は約9㎝、厚さは2.5㎝。大きさの割に彫刻の面積は少ないので、その分ル―サイトの透明感が映えます。 

転がずに安定良く立ち、尚且つモチーフが良く見えるよう少し上反りに傾くよう工夫され、底が平らな面にカットされています。

定番のバラ・モチーフが彫られていますが、ブローチのバラに比べ、無彩色でも間が十分持つよう、花びらの重なり具合や葉の葉脈まで非常に細かく、匠の職人技で表現されています。

何より側面から眺めると、その立体感が際立ちます。 

一番小さな物は、中間のと同じ形態で直径約6㎝。

厚さも同じなので、こちらの方が分厚く見えます。

モチーフは同じくバラですが、背景に麦穂のような草が沢山彫られ充実して見えます。

陽当たりの良い窓辺に飾ると、やはり透明感が映え側面の反射も一層綺麗です。ル―サイト自体は透明度が非常に高く、何年経っても紫外線で変色しない樹脂ですが、彩色の塗料は経年で色褪せてしまいます。その点こんな無彩色のル―サイトなら、窓辺に飾るのに持って来いです。