2023/07/30

変光ラインストーン&フェイク・パールのリース状ブローチ

 

今年最初のイギリスのフリーマーケットでは、このビンテージ・ブローチも買いました。直径約6cmのリース状のブローチで、交互に並んだ模造パールのカボションとラインストーンの大きさは、それぞれ直径1㎜程もあります。

大ぶりですが、けして大味ではありません。その秘訣は、独特な色合いの繊細で美しいラインストーンが使われているから。

このラインストーンは、角度に寄って水色から紫掛った茶系に変光し、少しだけサフィレットに似た不思議な色です。もしかしたら、サフィレットの代用品として195060年代に西ドイツで製造されたサフィリーンかも知れないと思っています。それ位、他で見掛けない色のラインストーンです。

ブローチの仕様としては、典型的な1950年代辺りの製造の雰囲気です。ラインストーンは爪留めで安っぽくないしっかりした造りなのも、大味に見えない決め手です。




2023/07/28

マリン・スタイルのruruko

随分前(2015)にペットワークスから発売されていた「ゆめみる ruruko」が、前々から凄~く好みだったので、2020年にこの良く似たるるこが発売されると知った時、どうしても欲しくなり思い切ってポチりました。

るるこの各仕様の人形は基本的に限定販売で、売り切れとなった後は(人気が高く即完売した物は大抵再販してくれますが)、中古で出回るか転売される場合しか入手出来なくなります。しかし、そうなるとプレミアム価格が付いて益々高価で手が出にくい為、欲しいとなったら入荷時にただちにメーカーから直接購入するのに限ります。

「CCSgirl 20SS ruruko」と言い、初めはマリン・スタイルで販売されました。基本は昔の上流階級の男の子のようなセーラー・ブラウス+膝丈ズボンですが、薄いチュールのオーバースカートを合わせている所がミソでお洒落。袖とリボンもチュールになっています。着脱させるには、ちょっとコツが要ります。

公式サイト上の写真では、スカートが余り目立たず、もっとボーイッシュな服装の印象でした。このるること共に、マリン・スタイルのruruko boymomoko、1/6男子図鑑も次々に発売されたと記憶しています。

ボタンが沢山付いたブーツ(通称ジルベール・ブーツ)も魅力的で、今後色々なドール&服装に出番が多そうです。簡易仕様の「フレッシュるるこ」と違い、凝ったデザインのファッションを纏い、単品でも一足2000円はするフットウェアを履いていて、一体2万円位する為、私の持っているお人形の中では最高値の部類です。

このマリン・スタイルのるるこに初めて作る服は、「ゆめみるruruko」を少し意識して、白一色のドレス(の夏服版)にしたいと思いました。

そうなるとブロードやシーチングではない、もっと質感や風合いのある白無地の布が欲しくなりました。夏だし麻なんかが理想的と思いましたが、そんな物は持っていません。日本に帰った際、イギリスで手に入りにくい綿100%の無地布を中心に仕入れて来ましたが、麻までは高くて重くて手が出なかった…。

そこで、以前ドール服に活用しようと買っていた昔の刺繍の麻布の、白無地部分を活用する事にしました。一番薄い柔らかい麻布を利用しましたが、もしかしたらヴィスコス(レーヨン)混なのかも知れません。

肌触りを良くする為やコストを抑える、また手入れを楽にする為、日本では良く麻と綿をブレンドしますが、イギリスやヨーロッパではレーヨン混にする事が多いようです。

実物を確認するまでは、真ん中分けの髪は、首の後ろ部分で一つに結んである仕様だと勘違いしていました。豊かな亜麻色の髪は、実はゆるやかなウェーブと細かいウェーブがミックスされています。

ところでこの撮影中、髪を無理に引っ張った訳では勿論なく、ちょっと触っただけなのに、美しいブロンドが二、三本抜けた! 二、三本とは言え、人形はもう二度と髪が生えてこないのだから一大事です。高い人形なんだから、植毛はもうちょっとしっかりしてくれよ…。ヘアアレンジなんて、持っての他っぽいです。

袖は当初カップ袖にするつもりでしたが、パターンが分からず普通のシンプルな半袖となりました。「カップスリーブ」で検索すると、日本語でも英語でも使い捨て飲み物カップのカバーの型紙ばかりが出て来る!

胸に縫い付けたるるこの「R」のイニシャル入り刺繍モチーフは、お友達キチ吉ちゃんからの寄付。

下部には、コラージュ風に白いパーツやモチーフを色々縫い付けています。ドール服を作る時、こう言う作業が私にとっては一番楽しいかも。裾フリルを付けるのには、生地が少し厚過ぎたようです。

色白肌に長い金髪、青い瞳で、西洋の古典的な正統派美少女と言った、透き通るような儚さが悩殺の可愛さのるるこです。児童文学の中のような少女服はこの上なく似合うはずで、創作意欲を大いに掻き立ててくれます。



2023/07/26

ノーフォークの宿

 

イースト・アングリアのノーフォーク州は、我が家からは微妙に遠い場所に位置します。ロンドンからそう離れていないのに、交通の便が余り発達していない為、距離の割に移動時間が掛かり、一泊する程ではないけれど、日帰りで行くにはかなりキツイと言った所です。今回帰国前の2月に夫婦でノーフォークを旅行した際は、一番の目的地であるKing’s Lyne キングス・リン自体が相当遠くて不便な場所に在り、また日が短い季節だった為、初めてノーフォーク州内で一泊する事に決めました。予約した宿は、18世紀築の貴族の元カントリー・ハウス。宿泊予約サイトで最高クラスの評価を得ている四つ星ホテルで、普段なら我々には縁が無い宿泊料金です。が、2月の観光の最閑散期だったせいか、破格の割引価格で宿泊する事が出来ました。

この丘の向こうへ1㎞程歩くと、浜辺へ出る立地です。残念ながら、海まで散歩する時間はありませんでした。

実際には陽がどっぷり暮れてから到着したので、最初に目にしたのはこの状態でした。名前を「The Pheasant Hotel」と言い、ノーフォーク州の北部で、蟹で有名なCromer クロマーからそう遠くない場所に在ります。

内部は全面綺麗に改装してある為、言われなくては古いお屋敷だとは気付きません。

そして真新しく改装してある分、本当に完璧なバリアフリー。ここなら、足腰の不自由な義母でも安心して滞在出来そうです。

ヨーロッパの古い宿には、野生動物の剥製の飾られている事が多くありますが、ここのは良く出来た籐で編んだ「剥製風」の鹿の頭部なのが、現代の感覚に合っているしお洒落です。

私達の部屋は、こんな感じでした。これと言って豪華ではないし特徴もありませんが、返って変に凝った気に触る装飾もなく、充分機能的な上に清潔で快適です。

備え付けのヘアドライヤーがダイソン社製の最新式で、使ってみたら髪が一発でサラサラになって脅威! また置き菓子が、国中で見掛ける大量生産のビスケットではなく、地元ベイカリー製のフィナンシェだったのが、イギリスでは特筆に値します。こんな些細な所にも、一流ホテルらしさを感じました。

結構遅い時間に到着したので、すぐにホテル内のレストランに夕食を食べに行きました。

ここのお料理はフレンチを基礎にしているようで、イギリスのパブ等では見掛けない独特なメニューばかりで心が躍りました。前菜は飛ばして、地エールを注文。

私は主菜として、「サーモンのオーブン・ロースト、トマト味のパイ皮、ルメスク・ソース、バルサミコ酢の照り焼き根菜、アーティチョークのピューレ添え」を選びました。最近の盛り付けの流行りのようで、生の豆苗が乗っていますが、イギリス人にも日本人にも受けが悪いようです。

サーモンは勿論焼き加減が的確で、皮がパリッ、中がふんわりジューシー。ルメスクとの組み合わせもピッタリ合い新鮮で、正に人生の中で最高級に美味しいサーモンだと感じました。付け合わせの根菜も余り主張過ぎない良い塩梅に味付けされて、サーモンとの相性がばっちりです。

正直ピューレは、特にアーティチョークらしさは感じられませんでしたが、クリーミーで美味なのは確かでした。

一方P太は、主菜に「H.V. Graves(地元のブランド精肉屋店らしい)の仔羊のランプ肉焼き、山羊のチーズと赤玉ネギのベニエ、そら豆とえんどう豆のフリカッセ(煮込み)、仔羊肉のクロケット、ラべージとミントのペスト添え」を注文。私が仔羊肉が苦手な為に普段家で食べる事がないので、外食では良くラムを注文するP太ですが、こちらも全て凄く美味しかったそうです。今改めて眺めると、手前のオレンジ色のピューレは何だろう??

次にP太は、デザートとして「ジンジャーブレッドのミルフィーユ、ダーク・チョコレートのクリーム、飴掛けオレンジ、オレンジ・ジュレ付き」を注文しました。

ジンジャーブレッドと聞くと、イギリスの子供が好きなクリスマスに出て来る人型クッキーのアレしか思い浮かばず、どうも美味しそうに思えなかったのですが、…想像と全く違う高級感で出て来たー! チョコレートとオレンジの組み合わせは勿論鉄板で、後引く美味しさだったそうです。

私が選んだデザートは、「飴掛け洋梨とホワイト・チョコレート、アール・グレイのカスタード、カカオニブのチュイール添え」でした。運ばれて来た時、正直まるでゴミみたいに投げやりな盛り付けに愕然としましたが…、

…食べてみて、見た目からは全く予想出来ない美味しさに再び愕然としました。噛み応えのある洋梨、香ばしくカリカリのチュイール、濃厚なホワイト・チョコ、滑らかでまろやかなカスタードと、味わい&食感の組み合わせが絶妙で新体験の、感動の美味しさでした。

非常に満足度の高い夕食でしたが、お値段の方もかなり良いので、この二人分の食事で、宿泊費自体と余り変わらない料金に()

そして、折角こんなお上品なレストランでのディナーなのに、P太の服装が…鬼滅のTシャツに進撃のバッグで酷い()。でもどうせ日本人に見られる訳じゃないからイイや~と思いきや、こんなロンドンから離れたホテルなのに、奥の席から日本語の会話が聞こえて来て耳を疑いました! 男性の二人客で、その内一人は日本人ではなく、日本語ペラペラの西洋人だったようです。敬語だったから、個人的な旅行ではなくビジネスのようでした。

翌日の朝食は宿泊料に含まれていますが、別個に支払うと17ポンド以上、日本円で3千円以上するそうです。スコットランド風のオートミール、コンチネンタル式、農家風(※肉無し)、キッパー、アボカド乗せトースト、オムレツ、エッグ・ベネディクト、エッグ・ロイヤル、エッグ・フロランタン等の中から選べました。我々二人は「The Pheasant Cooked Breakfast」、すなわち一般的なイングリッシュ・ブレックファーストを注文しました。


その前に、ビュッフェ形式でシリアルやギリシャ風ヨーグルト、果物を頂きました。写真を撮り忘れましたが、ここのグラノーラが、グラノーラってこんなに美味しい物だったけ~??と驚く程美味でした。これまた絶対美味しいのに違いない、ペストリー類にまでは手を出せなかったのが心残り。

イングリッシュ・ブレックファースト自体も、やはり上品な薄味で極力素材の味が生きていてすこぶる美味。

食器が金彩花柄のボーンチャイナとかではなく、食べ物が美味しそうに映える、どっしり素朴なアースンウェアなのにも好感持てます。

トースト・ラックのハンドルが、TOASTと読める仕組みになっている所がお茶目。

最高値の評判に全く違わぬ、文句の付け所がない素晴らしいホテルで、最高級の旅の思い出となりました。チェックアウトの際、スタッフが「滞在中何か問題はありませんでしたか?」と尋ねて来て、普通こう言う場合イギリスでは「全て大丈夫でしたか?」と聞いて来るのに、このホテルのプロ意識は凄いと、普段辛口のP太でさえ絶賛していました。機会があれば、是非また宿泊したいホテルです。ただし、やはり特別割引価格期間に限りますけど(笑)。

 

 

 


2023/07/25

ナタリー・レテのトート・バッグ

 

今回の帰国中も、あちこちから沢山の物を頂きましたが、姉からは特に大量に色々な物を貰いました。特に衣料は多く、郵送出来なかったプレゼント(イギリスの郵便配達が余りにも信用出来なくて)を含み、お下がりや貸して良い服も山程あるので、イギリスからは捨てて良い服だけを持って来るように言われていました。プレゼントの中には、このゴブラン織りのトート・バッグも含まれていました。

「お、ナタリー・レテのイラストじゃないか♡」と言ったら、姉はこのアーティストの事を知らなくて、只可愛くて私にピッタリだと思い選んだのだそうです。

モチーフは、有名な「ブレーメンの音楽隊」だと思いますが、しょぼくれたロバ以外は、高齢の為に厄介払いされた悲壮感が全く見えません()。ふっくらした猫は大きなリボン付きで愛されているっぽいですし、犬はひょーきんで十分幸せそうな顔をしています。

柄は両面で同じ。ゴブランのバッグと聞くと、普通はビンテージ等のクラシックなバッグか、またはおばーちゃんが持つようなイメージですが、これはシンプルなマチ無し平トート型だし、地色は優しいピンクだし、若々しくカジュアルなギャップが返って面白いと思いました。

持ち手もゴブラン織りになっていて、デザインが中々可愛いのです。

Nathalie Lété ナタリー・レテはフランスのアーティストで、そのちょっとシニカルで時に怖可愛いクセのある作風には、日本にも沢山のファンを持ちます。