2022/07/31

七月の猫便り(と言うか近況)

 

日本でも報道されましたが、今月の中頃、イギリスは記録的な熱波に襲われました。たった三日間だけですが、普段は夏でも気温30度を超える日が数える程しかない国だから、国中がうろたえて緊張が走るのには十分でした。暑さで英国初のRed Warning=避難勧告並みの警報が出て、三日目には実際に40度を越えた場所もあり、国内史上最高気温を更新しました。鉄道の線路は熱で曲がり、道路や空港の滑走路のアスファルトは熱で溶けました。

しかし、一番恐ろしかったのは火事です。米国のカルフォルニアやオーストラリア、スペイン、ギリシャ等が、熱波で度々山火事に見舞われる事は知っていましたが、それは気候と土壌の乾き切った、自然豊かな場所でのみ起こる物だと勝手に勘違いしていました。ところが40度を記録した日には、ロンドン近郊の住宅地でさえ熱波に寄る火災が多発しました。ほぼ同時に何件も発生した為、消防車や消防士が不足した程です。

煙草や焚火、BBQ等の不始末だけが原因ではなく、気温がそれ程高くなると、コンポストの中のピートや干し草が自然発火するそうです。通年比較的雨の多いイギリスでも、ここ一ヵ月近く真っ当な雨の降らない場所が多かった為、草木と土壌がすっかり乾燥し切って非常に燃え易くなっていました。おまけに、相変わらず風が強かったのも災いし、集落の大部分が短時間で焼け落ちてしまった場所もありました。

しかしその一方で、イギリス国民は猛暑にまるで慣れていない為、どんなにニュースで「これは災害だ」「出来るだけ外出するな」「スポーツ・イベントは控えろ」「する時は長袖を着ろ」「日焼け止めを塗れ」「帽子を被れ」「水を十分補給しろ」等の注意勧告をしても、聞かぬ構わぬ顧みぬバカは多いもので、ひゃっは~と祭りのように浮かれて出掛けて行き、多くが半裸でロブスターの如く赤焼け状態(それは日焼けではなくキッパリ火傷です)になっていました。そんな輩でも助けなくてはならない救助隊や医療従事者は、心底気の毒だと思いました。

我々夫婦はどうやってこの酷暑を乗り切ったかと言うと、その間は幸運にも外出する必要は全くなく、朝9時までには家中の窓とカーテンを閉め切り、一台だけの移動式エアコンをフル稼働し、扇風機数台を駆使して家中に冷気を送りました。それで何とか室内を30度以下には維持出来ましたが、27度と越えると屋内でも熱中症になる可能性はある為、水分をがばがば飲み続けました。あんまり大量に飲んで、胃液が薄まって胸焼けを起こした程です。

しかし旧式で騒音が凄まじくとも、我が家にはエアコンがあって本当に良かったと実感。今でもイギリスの一般家庭でエアコンを持っているのは少数派ですが、気温が35度を超える日が長く続けば、エアコン無しでは室内でも体力消耗して死にますよ。特にイギリスの家屋は、窓が少なく熱が抜けにくい、どちらかと言うと冬仕様に作られていると常々感じます。また暑さにも寒さにも、厚手のカーテンは本当に重要です。熱波は三日で去ったとは言え、家屋の熱された外壁が冷め切るまでは数日間掛ったし、我々の身体の熱に寄る疲労もすぐには抜けませんでした。

熱波の間の愛猫タラちゃんは、朝はいつも通り喜んで庭へ散歩へ出掛けました。日中は40度でも、夜間~早朝は20度位だったのです。気温が30度を超える前までに一度捕獲&撤収しようと試みましたが、いやにゃ~未だ庭で遊ぶにゃ~と抵抗した為、しばらく庭に放置したままにしていました。猫は犬に比べて暑さには割と強い生き物と言われていますが、それでも熱中症に罹る事はあるそうです。

10時頃再び家へ連れ戻す為に庭に出ると、タラちゃんは今まで居た事のないベンチの下でうずくまっていました。これまで経験した事のない暑さにビビッていたようで、抱き上げるとホッとしたようであっさり回収出来ました。

タラちゃんにラブ・コールを送る黒猫は、その後も度々庭に現れますが、こんな姿をしています。雄猫でも体がタラちゃんより小さくて、タラちゃんも心は許していないものの、この子には余り警戒していないようです。

しかし、二軒先のこのチャシロ君には、尻尾をぶっとくして怒り捲りです。

この猫は体格は大きく、タラちゃん同様にお腹たぶ~んです。

イギリスの暴力的な熱波はあっと言う間に去りましたが、インパクトは絶大でした。もう二度とあれ程の酷暑には戻って来て欲しくないと願っていますが、ヨーロッパでの広範囲での雨不足は相変わらず続いており、作物への影響が心配されます。私の住む地域の二週間天気予報にも、雨マークが一つもありません。

コロナの感染率も日本同様に増加していて、おまけにイギリスではサル痘の感染例も多く、物価高も凄まじく、交通機関もパニック状態で、先々を考えると心配事の多過ぎる世の中です。しかし、自分が心配しても正直余り意味のない事が圧倒的に多く、そんな暇があったら猫を愛でて今を楽しむのに限るのかも知れません。



2022/07/30

貝ボタンのアソート

春に訪れたアーディングリーのアンティーク・フェアでは、このボタンのセットもプレゼント用に買いました。其処は屋内会場の手芸用品中心のストールで、毎回シートに留め付けたボタンを沢山売っています。

最初はこんな状態でしたが、プレゼント用に自分で作った台紙に留め付け直しました。バランス良く並べ、尚且つグラ付かないように糸で台紙に留め付けるだけでも、結構手間の掛かる作業だと実感しました。


このボタンのセットもピアスド・ワークのブローチも、同じ友達に贈りましたが、気付ばどちらも貝被りになってしまった
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彼女には、以前にもM.O.P.のブローチを贈った事があるような…。でも貝やガラスって、ボタンの中ではやはり別格の魅力があると思うのです。そして、真珠やM.O.P.の清楚で凛とした美しさを嫌う人は、日本人は中々居ないと信じています。

どうもビンテージ・ボタンの取り引きでは、同じデザインの数がある程度揃っていた方が価値が高いようで、それに比べると全部バラバラのアソート・ボタンは割安になります。確かに服に縫い付けて使用するとなると、同じボタンの数が揃っている必要があるのですが、単なるコレクションとしてなら、全部同じである必要は特にありません。このボタンのシートの場合、一つ一つが十分大きく、それぞれの意匠も割と凝っていて、裏にピンを貼り付けたら即ブローチになりそうです。全て素材は貝でも、黒蝶や白蝶、茶蝶等の種類があり、また形や彫刻等の細工で違った表情が生まれます。贈った友達なら、コラージュなり色々工夫して活用出来るのではと思っています。



2022/07/29

サクランボ頭巾ちゃん

このサクランボ柄のワンピースは、Sindy Play(昨年発売されたビンテージ・シンディの復刻版)用の身頃にダーツの入った型紙の試作として、女王様のドレスに先駆けて縫ってみた物です。しかし、Sindy Playの中にはこのワンピがしっくり来るモデルを持っておらず、やはり肌色が普通の(日本人にとって)人形のほうが合わせ易かった為、結局本物のビンテージのシンディにモデルになって貰っています。

ビンテージ・シンディのボディは、復刻版より若干太目です。首の付け根は更に広くなっていて、襟開きがスタンド・カラー気味に仕上がってしまいました。ダーツは前後に入っていますが、それでも未だボディにぴったりは沿わなかったので、その後型紙を改良しました。

このサクランボ柄の布は、数年前にフリマで買ったカット生地です。イギリスでは貴重な薄手コットン100%で、似たような赤系の細かいプリント生地数枚と一緒に安く購入出来てラッキーだと喜んでいました。しかし、糊を落とす為に一度使用前に洗濯したら、プリントが色落ちして地が所々赤っぽく斑になってしまいました。

元々目が粗めの生地な上に、余り精度の良いプリントではなかったし、地色がくすんでビンテージっぽくなったと言えばそうかも知れません。

髪の毛が広がり気味でまとまらなかった為、バブシュカを被せたら(リカちゃん用なのでちと小さい)、即興で「サクランボ頭巾ちゃん」と言う設定になりました。

ついでにバスケットも持たせましたが、こんな事なら、もっとサクランボ盛り沢山にすべきだったかな~。 

何はともあれ、こんな昔のママのお手製ドレスみたいな懐かしの少女服が、シンディにはこの上なく似合うと改めて思いました。

服のデザイン的にmomoko DOLLには子供っぽ過ぎる、でも布の柄の大きさや造りからリカちゃんよりは大きな人形の方が都合の良い場合、ビンテージ(タイプの)シンディをモデルにするのは凄く有効だと実感。更に、やはりシンディちゃんはレトロなファッションが文句無しに様になります。

 

 

 

2022/07/28

M.O.P.のピアスドワークの八芒星のブローチ

春に訪れたArdingly アーディングリーのアンティーク・フェアは、自分史上最も収穫の少ないフェアとなり、自分用には一個のブローチしか買いませんでした。しかし、友達のバースデイ・プレゼント用には幾つか買い物が出来ました。このプレゼントも、ウクライナの戦争の影響で航空便が停止してしまい、お誕生日までに発送出来る見込みは薄かったのですが、いつかは渡せる日が来るだろうと願って買って置く事にしました。

その一つが、このM.O.P.(マザー・オブ・パール)のブローチです。恐らくイスラエルのベツレヘム製で、pierced work ピアスドワークと言う、極細の糸鋸で貝を丁寧に繰り抜き透かし模様を付ける特別な技術で出来ています。別名「ベツレヘム・パール」。このブローチのメインとなるモチーフは、八芒星(オクタグラム)です。ベツレヘムのM.O.P.のピアスドワークでは、五芒星(最も一般的な星型、安倍晴明マーク)、六芒星(ヘキサグラムorダヴィデ・スター)等のモチーフは割と見掛けますが、八芒星と言うのは初めて見ました。ウィキに寄れば、東方の三博士にキリスト誕生を知らせて導いたベツレヘムの星は、この八芒星で表現されるそうですが、七芒星の場合もあるようです。

繊細で壊れ易いアイテムなので、アンティーク・フェア会場で持って移動する際も、持って来たタッパーに入れて運びました。結構古い物だと思いますが、今まで良く壊れずに居てくれたと考えると一層愛おしく見えます。

友達の誕生日プレゼントとして買ったものの、国際郵便の混乱で誕生日には送るのは無理と思っていました。しかしロイヤル・メールのHPで確認したら、「日本への航空便の空路は確保出来た。しかし通常より時間は掛かる」との事で、発送から二週間掛かって日本に到着しました。都市封鎖中でもこれ位日数が掛かったので、まずまずだと思います。プレセントを買って置いて、少しばかりのお祝いが出来て良かったと安堵しました。一方日本からイギリスへの国際小包や小型包装物は、今だ船便しか受け付けていないそうです。



2022/07/27

赤いエナメル花ブローチ

 

 

今年の春に訪れたArdingly アーディングリーのアンティーク・フェアでは、結局自分用にはこのブローチしか買いませんでした。しばらく他へ遠出する事も出来ないからと現金を多めに用意して来て、自分を甘やかす物を出来るだけ買おうと楽しみにして来たのに、天気が悪くて出店数がいつもより少なかったと言う訳でも全くないのに、全部を見渡しても買いたい物がこれしか見付からなかったのです。いつもカット布をどっさり購入するストールが今回も出店していなかった事もあり、全体的に今までで最も収穫の少ないアンティーク・フェアとなりました。

そんな中で唯一選んだ品だけあり、このブローチは文句無しに気に入っています。1960年代に流行したフラワーパワーの象徴的な、大好きなエナメル花ブローチで、艶やかな赤い花が抜群に目を引き、レトロなポップさは申し分ありません。状態も良く、値段も魅惑のたった5ポンドでした。

良く見ると、花の中央には花びらと同色のラインストーンが鏤められています。

花びらの端が、風車のように少し跳ね上がっている所も気に入っています。

黄緑色の葉と茎が付き、葉に葉脈が型押しされている所も素敵。自分のエナメル花ブローチのコレクションの中でも、最高級のお気に入りになりました。