2022/12/28

ウォルドルフ風ソフビ人形

クリスマス前に訪れたRochester ロチェスターの最初に覗いたチャリティショップで、この今まで見た事のない人形に出会い、一目で惹かれ購入しました。アウトフィットは全て着脱可能で、ちゃんと着せ替えタイプの人形になっています。身長は25cmですが、頭の大きい幼児人形な為、スケールは1/6ドールよりは大き目です。

髪は、ソフトビニール製の人形としては初めて見た仕様で、縮れた毛糸が植毛されています。茶系のワンピースの上に、どう見ても手編みのカーディガン、マフラー、ポシェット、ワンストラップの靴を着用しています。

人形のスケールの割に編み物の毛糸はローケージな為、足の親指が靴から覗いてしまうのは御愛嬌。

ビンテージ・ドールっぽくも見えますが、ドール本体の造り的には、ワンピースも含めて絶対に現代の製品だと思いました。ワンピースは化繊地で縫製が粗末で、背面の留め具には極薄のベロクロ・テープが使用されている所に、最近の製品なのが伺えます。恐らくこのワンピースのみはオリジナルのアウトフィットで、髪は傷んだ為に元持ち主(の親)が毛糸で植毛し直し、更に手編みのカーディガン等を加えたのではないかと想像しました。だとしたら、髪に結んだコットン・レースのリボンも含め、オーガニック・カラーでこんなに可愛くまとめたコーディネイトに、イギリスとしては相当熟練したドール修復力とセンスの良さを感じました。

ボディにメーカー名等の記載が全くない為、この人形の正体を突き止めるのはネット検索でも苦労しました。が、やっとドイツのシュタイナー教育が生み出したPuppen Waldorf ウォルドルフ人形、それをソフビでファッション・ドール化した製品(多分中国で全く許可無しに)である事を突き止めました。一番下に着ているワンピースだけでなく、手編みにしか見えないカーディガン、マフラー、ポシェット、靴、髪の毛、髪の毛のレースのリボンも、驚いた事に全てデフォルトで、この状態で販売されていたそうです。


しかし植毛技術は、このままで商品だったとは信じ難い程酷く疎らで、後頭部は見事に大禿げになっています。でも毛量は既に凄まじいのだから、これ以上植毛したら収拾が付かなくなるのは目に見えています。

髪色や服のバリエーションが幾つか存在し、御参考までに日本のアマゾンでも購入出来ます。三千円位。しかしウォルドルフに似せて作っているだけで、天然素材に拘った本家のウォルドルフとは全く無関係なのに違いなく、それなのに堂々と「ウォルドルフ人形」と名乗って販売している訳です。こんな模倣品が大量に野放しにされて溢れているアマゾンの無法地帯ぶり(英語版でも)に、改めて呆れ返ります。

その一方で、こちらで見掛けるファッション・ドールとしては破格な素直な愛らしさにも、改めて感心します。人形の顔は、返ってシンプルであればシンプルな程可愛く表現するのが難しい物ですが、この最小限の顔パーツでも可愛く見える的確さは、マドレーヌちゃん人形にも匹敵するデザイン性です。そして、ソフビ製でもウォルドルフっぽさはちゃんと出てていて、バチモンのくせに小憎らしい程です。

こんな好みのナチュラル・ファッションも、イギリスの着せ替え人形としては非常に珍しいスタイルです。しかしそれってつまり、現代のイギリスの子供の好みとは掛け離れている事を意味します。実際これを買って貰った元持ち主の子供には、恐らく気に入れられなかったのでしょうね。遊ばれた形跡もほとんどなく、かなり綺麗な状態でチャリティ屋に手放されていました。

購入後、このお人形を撮影まで日の当たらない場所に仕舞っていましたが、何故か床の上に転がっている事がありました。どうも不思議だと思っていた所、このわしゃわしゃした髪の毛が猫を魅了したらしく、タラちゃんの仕業であった事が発覚しました。

 

 

 

 




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