今年の元旦は天気が悪かったので、ここ数年ほぼ恒例になっているSeven Sisters セブン・シスターズへの散歩には出掛けませんでしたが、翌日の二日は快晴でした。イングランドではお正月は元旦のみが公休日ですが、今年は元旦が日曜日だった為、二日も代休でお休みとなりました。そこで、このお天気抜群の冬としては貴重な休日を無駄にしないよう、セブン・シスターズのBarling Gap バーリング・ギャップへ夫婦で出掛ける事にしました。
昨年の元旦は駐車場の空きを探すのも難しい程混んでいたし、この頃は午後2時代には陽が翳り始めるので、出来るだけ早い時間に出掛けるのは必須でした。元旦ではなかったせいか、到着時は絶好のお天気の割には、駐車場は意外な程混んでいませんでしたが、やはり去り際の午後には満杯近くになっていました。
バーリング・ギャップの、海岸に降りる階段の上からの眺め。やはり、白い絶壁と海と緑の牧草地は、こんな快晴の青い空との組み合わせこそ映えます。この時は干潮で、この日の波は穏やかなようです。
しかし、浜辺には誰一人いません。浜辺へ下りる為の階段の門が、鍵が掛って閉鎖されているからです。
冬の大雨続きで地盤が緩み、脆いチョーク質の崖が一層崩れ易くなっている為、危険性が高かったからのようです。それもそのはずで、崖下に崩れたての土砂が見えました。
NT(ナショナルトラスト)の案内板に寄れば、ここの崖はどんどん崩れて毎年平均で70cmずつ内陸に後退して来ているそうです。しかし平均が70cmってだけで、ある日突然部分的には2m分位ごっそり崩れ落ちないとも限りません。崖際の建物も、いずれは地面が後退して利用不可能になる運命です。
今回は、今まで行った事の無いバーリング・ギャップの西側を歩いてみる事にしました。西側には家が数軒立っていて、明らかに農家には見えず、もしかしたら住居ではなくサマーハウス(主に夏用の別荘)なのかも知れません。
いつもならこちらの東側、バーリング・ギャップとビーチィ・ヘッドの間を歩きます。灯台がある為か、こっちの方がメジャーなコースで、多くの人がぞろぞろと登って行きます。
一方西側を歩く人は少なく、この部分は我々の独占状態でした。崖の土壌が崩れ易い上に、崖の上はいつも風が物凄く強いので、崖の端に近付くのは厳禁です。
先程の、本来なら海岸に降りる為の階段が見えます。
西側を更に進むと、いずれはセブン・シスターズのもう一つの有名な拠点、カックミア川の河口のCuckmere Haven カックミア・ヘヴンに到達します。
それまで、幾つかの丘の勾配を上り下りしながら進んでいく訳です。
その丘が、全く木が生えていないので歩き易くなだらかに見えますが、実はかなり高低差があり、場所に寄っては丘の斜面が崖かと思える程急です。眺め的には大差なくとも、トレッキング的にはこちらの方が厳しいので、バーリング・ギャップの東側程は人気がないのかも知れません。
今降りた斜面を振り返って見ると、こんな感じ。私は白く見える歩道を通らなかったので、ほとんど崖を滑り落ちる状態で下って来ました。山を下る時って、山育ちの経験上、走った方が転びにくく楽なのです。
海岸線の白亜の絶壁の下には、洞窟のように窪んだ場所が見えました。
P太の推測では、度重なる土砂崩れで偶然穴が開いたものの、多分この穴もいつかは崩れ落ち、今だけ見える一時的な洞窟だろうとの事でした。
カックミア・ヘヴンが見える場所まで歩いて行きたいと思っていましたが、P太が根を上げた為、ここら辺で引き返す事にしました。確かに河口に向かって徐々に下っている訳で、復路は概ね登る事になるから一層キツいはずです。
絶壁の彼方に、大きな町らしき景色がうっすらと見えます。ブライトン辺りかも知れません。
丘の上部には、放牧された羊がいっぱい。中には、毛が刈り取られていないモコモコの羊も混じっています。
ところで、日本では「手ぶら女子」なる現象が昨年の流行語にもなっていました。手ぶらの男性は昔から珍しくなくとも、手ぶら(またはスマホだけ)の女性は新しい傾向だからのようです。しかしイギリスでは、こう言う自然の中で手ぶらで散歩する人を、もう何年も前から見掛けます。大抵は比較的若い世代のカップルで、女性だけが手ぶらで、連れの男性のみはしっかりバックパックを背負っている場合もありますし(旦那か彼氏に全部荷物を持たせている?)、男女共に手ぶらの場合も多く見掛けます。
最寄りの駐車場を考えると、絶対一、二時間以上は何も持たずに歩いているだろと思える距離の場所がほとんどで、中には本格的な登山装備が必要な場所もあります。全く余計なお世話だけど、見ているこちらが不安になります。返って街中の方が、スマホの電波は十分届くし、必要な物をすぐに買える為、手ぶらを理解出来ます。
そんな手ぶら女性は、細身のダウンなんかを着ている事が多く、財布やスマホ等の最低限の所持品でさえ、全てポケットに入れて持ち歩いているようには見えません。こう言う場所では、返って中高年のトレッカーの方が(私だ)、マウンパ着てリュック背負って完全装備で歩いています。
車に戻り、持参したお弁当を食べました(インチキ御節の残りを詰めて来ただけ。流石にちと飽きたw)。昼食後、てっきり今度はバーリング・ギャップの東側を歩くつもりでいましたが、P太が靴擦れして足が痛いとか訴えたので、今回はこれで引き上げました。私にとってはちと歩き足りない今年最初の散歩でしたが、少なくともこんな美しいお天気の日を無駄にしなくて良かったと思います。初日の出を見る為ではなく、信仰の場所でもパワースポットでもないけれど、一年の始まりには、やはり眺めの良い場所での気持ち良い散歩が相応しいと実感しました。
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