2025/02/20

白熊亭で誕生日の夕食

 

昨年のP太のお誕生日のお出掛けの最後は、お気に入りのカントリー・ガストロ・パブでの夕食で締め括りました。其処は「The White Bear 白熊亭」と言い、細い山道だけが通じるノースダウンズ丘陵地帯のド真ん中の、人家も疎らな牧草地にポツンと在ります。しかし歴史は古く、17世紀から営業しているそうです。もしかしたらこの場所は、大聖堂都市カンタベリーとウィンチェスターを結ぶ巡礼路上なのかも知れません。そんな辺鄙な立地なのにも関わらず、金曜の夜と週末は予約必須。更に晴れた週末の日中は、サイクリストでも賑わっています。ロンドン及び近辺の都市部の住民にとっては、ちょっと遠出気分を味わえる隠れ家的なパブなのかも。

ここへ来るのも、本当に久しぶりです。以前は、2月の引っ越し記念日に大抵利用していました。最後に訪れる予定だったのはコロナ流行の前で、その日は丁度イギリス南部としては異例の大雪になり、山間部では尚更雪が深く、坂道が滑って運転が困難な為、予約をキャンセルせざるを得ませんでした。その後コロナのせいで、引っ越し記念日自体の習慣がしばらく消えていました。

以前は古い建物の薄暗い小部屋に分かれた店内でしたが、今回訪れると、半分は広々とした明るい空間に改装されていました。

アーツ&クラフツな壁紙も素敵。

今回は前菜は飛ばして、主菜から食べ始める事にしました。私が選んだのは、ヴェジタリアン&ヴィーガン・メニューで「ホウレン草と豆のパイ」。出て来た時に、一般的なパイらしからぬ予想外の姿に期待が高まりました。

付け合わせは、茹で茎ブロッコリーと根菜のマッシュ。ソースも、ヴィーガン仕様のグレービーです。今時のイギリス外食界の盛り付けの流行りで豆苗が乗っていますが、正直生では大して美味しくありません(苦笑)P太もP太母も、これは残します。

パイ皮はサクサクのタイプの「パフ」ではなく、「クラスト」と言うタルトに似たタイプで、中身はとろーり。食材の組み合わせも塩梅も食感も丁度良く、最後まで美味しく頂きました。

一方P太はステーキを注文。やはり、ここぞとばかりに肉を選びます。イギリスではステーキやハンバーグは、焼き加減だけでなく大きさ(重さ)も選べる事が多く、また大抵は付け合わせやトッピングもオプションで追加出来ます。しかし凝ったオリジナル・ソースは大抵存在せず、市販のトマト・ケチャップやブラウン・ソース(ウースターに似た物)、BBQソース等を選ぶしかないようです。

凄い厚さだけど、焼き加減が的確で、肉汁たっぷりで柔らかく大満足だったそうです。 付け合わせはチップスとルッコラと丸ごとローストしたニンニクで、初めて食べるロースト・ニンニクが意外と美味しくて驚いたとか。

特製ペッパーコーンのソースとサラダは、追加注文したようです。

デザートには、私は「チョコレート・プディングのラズベリー・シャーベット添え」を選択。

普通粉糖を降り掛けると、お菓子&デザート類は美味しそうに見えますが、…これは正直掛け過ぎですよね(苦笑)

チョコレート・プディングとはフォンダン・ショコラの事で、中からチョコレート・ソースがとろ~り。甘さは控え目でも濃厚で、さっぱりしたシャーベットと交互に食べると美味しさが増します。

P太が注文したデザートは、「焼きリンゴと蜂蜜のクランブル、バニラ・アイスクリームとクレㇺ・アングレーズ添え」で、鉄製のスキレットで熱々で出て来ました。クランブルは、ビスケットを砕いたようなそぼろを掛けてオーブンで焼いた、イギリス人の大好きなデザートの一つです。

クランブルの上の乗った、ハニカム型のチョコレートが可愛い。

クレム・アングレーズとは「イギリスのクリーム」、すなわち緩いカスタード・ソースの事。イギリス人が余りにもカスタードが好きなもんだから、フランスでこう呼ぶようになったそうです。確かにクランブルには、カスタードかアイスクリームを添えるのが定番で、それが両方付いて来るのは嬉しい限りでしょう。

付け合わせの飴掛け焼きした無花果が、これまた意外と美味しかったそうです。

どれも家では食べられない料理で期待通り美味しく、お祝いの日の食事はこう特別じゃなくっちゃ!と思いました。難を言えば、和食器のような渋いお洒落なストーンウェアなのに、盛り付けが垢抜けなくて後一歩と言う所。でもやっぱり次回は、古い建物のままの部屋のテーブルにして貰おうかなと思っています。




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