地元の地方系チャリティショップで、中々素敵な古い刺繍の布が安く売られていたので買いました。昔は刺繍はイギリス人女性の代表的な趣味や嗜みだったようで、こう言った古い刺繍布は今でも多く見掛けます。ほとんどが白地の布で、素材はリネンかコットンから、後の時代は手入れが楽な化繊地または化繊混に流行が移ったようです。刺繍自体は大抵糸4本どり位の、決して緻密とは言えない素朴なフランス刺繍です。色使いも工夫がなく垢抜けません。やはり刺繍の魅力や技術では、民族衣装や伝統工芸を重んじる東欧中欧には、イギリスは到底敵わないと思います。デザインも手芸本or雑誌の図案集から転写したか、予め布にガイドラインがプリントしてあった物らしく、モチーフは花が圧倒的に多く、どれも似たり寄ったりで印象に残りません。
そんな訳で、イギリスではありふれたアイテムなので、普段は余り気に掛けず物色もしませんが、たまに結構惹かれる柄に出会う事もあります。この布の刺繍は、リボンの表現と勿忘草らしき空色の小花の全体的に散っている所が、気に入って買う決め手になりました。
全体的な構成は、このようになっています。一辺80㎝位で、テーブル・センター、またはコーヒー・テーブル等の小ぶりの台用のクロスだったようです。素材はリネンで、結構古い時代の制作である事が伺えます。小さな点状のシミが所々にあるものの、刺繍の解れ・擦り切れや大きなダメージもなく、全体的な状態は良好です。
図案の要となり一番刺繍が混んで華やかなのは、大抵角です。
気に入ったリボンの表現は、こんな風に流れるように動きのある図案になっています。
勿忘草は、イギリスではヴィクトリア時代に持て囃されたらしいモチーフで、その時代の絵葉書には大抵描かれています。刺繍のモチーフとして好まれたとしても、不思議ではありません。
昔の刺繍布は、今でもイギリスでは安く購入出来る機会があるので、買い集めて服やバッグ等に改造する人もいます。元が素朴で物足りないだけに、返って加工し易く映えるようです。
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