熊本地震で被災された全ての方に、心よりお見舞い申し上げます。
庭便りと言いつつ今回はガーデニングの事ではなく、ほぼ天候の話題です。正直言って、せいぜい水やりとバラの花殻摘み位で、この所余り庭仕事をしていません。日差しが強過ぎるのと水が足りない為に、下手に剪定や植え替えは出来ないし、地面は乾き切ってガチガチに硬いし、実際に水不足で芝生や雑草さえ一向に伸びて来ません。現在ここイギリス南東部では、兎に角雨が全く降らないカラカラ天気が続いています。この季節なら本来鮮やかな緑に覆われるはずの草地が、あちこちですっかり茶けて来ています。数日前に一カ月以上ぶりにちょこっとだけ雨が降りましたが、地面の表面を濡らした程度ですぐに乾いてしまい、大して意味がありませんでした。 当然貯水湖の水位は下がり生活水も不足して来ており、とうとう先週からhose pipe ban ホース使用禁止令が発せられました。これは、ホースを使っての植物への水撒きや洗車、窓や外壁、私道の掃除、また子供用や庭に設置された(結構イギリスでは多い)プールへの給水は禁止と言う意味です。破った場合、相当額の罰金が課せられます。
元より屋外に水栓のない我が家では、とっくに四つの雨水タンクの水は尽き、風呂水の再利用か台所の水道水をジョウロで運んで水撒きをしています。勿論相当面倒臭い為、雨が降らないこの天気にイライラし捲っています。二週間天気予報の先の方に雨マークが幾つか現れる事はあるものの、そんなの全く当てにならず(予測出来ないなら予報出すなっちゅーの)、実際日にちが進むにつれどんどん無情にも消えて行き、最終的には全て無くなります。
思えば、このところ毎年のようにホース禁止令が出る程、夏は雨が降らずに水不足になります。本来にわか雨の季節である四月でさえ雨不足になる事が多く、今年の早春に新たに種を撒いた、または地植えした植物は、春から初夏までの一時帰国の間にほとんど死に絶えました(留守中P太は鉢植えは水撒きをしてくれたものの、地面まではしてくれなかった…)。その一方で、元々雨が多いイギリスとは言え、冬は異常な程毎日雨が続き、海抜の低い土地では毎年のように洪水を起こします。P太が子供の頃は、イギリスでもこれ程までは極端な天気ではなかったそうです。
普通は気温が高くなると、強い上昇気流を起こして上空の大気が不安定になり、積乱雲(入道雲)を発生させて雷雨を起こし勝ちですが、この所はそう言う夕立の気配も全くありません。そもそも積乱雲をしばらく見ていない程、空気そのものに湿気がまるでないのです。またイギリスでは、大西洋の在る西側から海洋性の湿った風が流れて来て、丘の斜面にぶつかっては雨を降らせるのが定番ですが(それ故西部の方が雨が多い)、少し前まではこの季節としては異例の東からの乾燥した強風が吹き続けていました。室内でさえ喉や皮膚がヒリヒリする程湿度が低く、返ってわざと加湿する為に室内で洗濯物を干している程です。
この極端な天候は、勿論イギリスだけの問題ではありません。チェコやハンガリー等の中欧でも40度を超える熱波が毎年のように来ますし、スペインやフランスでは極度な高温と乾燥で深刻な山火事が続いています。それらに比べれば、また日本の酷暑に比べたら、イギリスの熱波の気温自体は大した事無く思えるかも知れませんが、家の造りが元々夏の暑さ向きには全く作られていない為、気温30度近くになっただけでも相当不快に感じます。
レンガや石造りの家は、外壁自体が分厚く素材的にも熱伝導率が低く、木造家屋に比べて外気温に影響されにくい反面、一度屋内に熱を溜め込んでしまうと、外気温と変わらない処か寄り暑くなってしまう事もあります。我が家は外壁中に断熱材を注入している為、熱波でも長く室内を涼しく保つ事が出来ますが、余り長く暑さが続くと返って建物自体が熱されてしまい、熱波が去った後でも家自体が冷めるのに数日間掛かります。
また窓が小さ目&少な目に作られていて密閉度が高い為、夜間の外気温が20度を超えただけで、室内は寝苦しい熱帯夜になる事も。北欧の家は更に徹底した冬仕様だそうで、加えて人間の肉体自体も暑さに耐性が無い為、昨今の熱波では室内でも簡単に熱中症に掛かり、亡くなる御老人が続出すると聞きます。
そして、やはり自宅に真っ当なエアコンがないと、例え気温30度程度でも、心身共に休める機会がない為、意外な程体力の消耗が激しく疲労して来ます。エアコンを設置している一般家庭は、イギリスでは未だ少数派です。持っていて、せいぜい移動式の簡易型ですが(我が家もコレ。日本でも返って今人気になっているらしい)、まるで飛行機内に居るが如く騒音が凄まじい上、太いダクトを窓から屋外に出さねばならない為、その間窓は開けっ放しなので冷房の効き目は大してないし、外出中に使用する事は出来ません。
日本で一般的な壁面+室外機型のエアコンを持っている家は、イギリスでは見た事がないと思いきや、実は室外機を公道に面した場所に置いてはいけない、隣家から2メートル以上離して設置しなくてはならない等の面倒な規制が在る為、単に私からは見えないだけで、本当は案外持っている家は多いのかも知れません。
「公道から見える場所に室外機を置くから、日本の家並みは醜いんだよなあ」とP太は言っていましたが、私に言わせれば「ハア?ゴミをゴミ箱に捨てる習慣がなくなったゴミだらけの国が、今更美観を気にする意味なんてあるワケ?」と口あんぐりです。実際室外機を置ける場所が全くなさそうな、間口が3~4m程度のテラスハウスがイギリスには多いので、街の美観と国民の安全健康を天秤に掛ければ、今後は規制を緩めるのは必須かと思われます。
六月の今年最初の熱波以来、ネットではすこぶる怪しい新しいタイプの工事不要のエアコンの広告を多く見るようになりました。Youtuberが実際に幾つか購入して試した結果、案の定すぐに壊れるか役に立たないそうです。折しも義母の家の扇風機の一つが老朽化で壊れてしまい、代わりを買おうとしたら、一時イギリス中の市場から扇風機が消え、品切れで全く手に入らない状態になっていました。アマゾンでさえ在庫切れ。たかが扇風機と言えど、換気の悪いイギリスの家屋では十分頼れる存在だから、一台でも使えなくなれば結構深刻な問題です。
そんな訳で、うちの庭のバラ達にも本当は水をたっぷり上げたいのは山々なんだけど、少しずつ与えるしか出来ないのが何とももどかしく可哀相です。その割に、健気に沢山の花を懸命に咲かせているのが一層不憫です(…流石に乾燥し過ぎで咲いてもあっと言う間に散る!)。早く水の確保の心配をしなくて済む、雨が十分降る天気になって欲しい。しかし雨が降り出したら出したで、今度は雨ばかり続く天候に変わるのでは?とか、または異様な冷夏になるのでは?と、不安にさせられ楽観視は全く出来ないのがイギリスの天気です。