2026/07/31

七月の庭便り


熊本地震で被災された全ての方に、心よりお見舞い申し上げます。


庭便りと言いつつ今回はガーデニングの事ではなく、ほぼ天候の話題です。正直言って、せいぜい水やりとバラの花殻摘み位で、この所余り庭仕事をしていません。日差しが強過ぎるのと水が足りない為に、下手に剪定や植え替えは出来ないし、地面は乾き切ってガチガチに硬いし、実際に水不足で芝生や雑草さえ一向に伸びて来ません。現在ここイギリス南東部では、兎に角雨が全く降らないカラカラ天気が続いています。この季節なら本来鮮やかな緑に覆われるはずの草地が、あちこちですっかり茶けて来ています。数日前に一カ月以上ぶりにちょこっとだけ雨が降りましたが、地面の表面を濡らした程度ですぐに乾いてしまい、大して意味がありませんでした。 

当然貯水湖の水位は下がり生活水も不足して来ており、とうとう先週からhose pipe ban ホース使用禁止令が発せられました。これは、ホースを使っての植物への水撒きや洗車、窓や外壁、私道の掃除、また子供用や庭に設置された(結構イギリスでは多い)プールへの給水は禁止と言う意味です。破った場合、相当額の罰金が課せられます。

元より屋外に水栓のない我が家では、とっくに四つの雨水タンクの水は尽き、風呂水の再利用か台所の水道水をジョウロで運んで水撒きをしています。勿論相当面倒臭い為、雨が降らないこの天気にイライラし捲っています。二週間天気予報の先の方に雨マークが幾つか現れる事はあるものの、そんなの全く当てにならず(予測出来ないなら予報出すなっちゅーの)、実際日にちが進むにつれどんどん無情にも消えて行き、最終的には全て無くなります。

思えば、このところ毎年のようにホース禁止令が出る程、夏は雨が降らずに水不足になります。本来にわか雨の季節である四月でさえ雨不足になる事が多く、今年の早春に新たに種を撒いた、または地植えした植物は、春から初夏までの一時帰国の間にほとんど死に絶えました(留守中P太は鉢植えは水撒きをしてくれたものの、地面まではしてくれなかった…)。その一方で、元々雨が多いイギリスとは言え、冬は異常な程毎日雨が続き、海抜の低い土地では毎年のように洪水を起こします。P太が子供の頃は、イギリスでもこれ程までは極端な天気ではなかったそうです。

では、何故今そんな極端な天候に変わってしまったのか? イギリスの気候は、対流圏上層に位置する強い偏西風の流れ「ジェット気流」の中でも、北極を中心に流れる寒帯ジェット気流に左右される事が多く、蛇行しながら西から東へと移動するジェット気流の影響で、高気圧と低気圧が交互にやって来て天気が変わる仕組みになっています。しかし近年の異常気象の為、このジェット気流が停滞する事が多くなったと言われています。

普通は気温が高くなると、強い上昇気流を起こして上空の大気が不安定になり、積乱雲(入道雲)を発生させて雷雨を起こし勝ちですが、この所はそう言う夕立の気配も全くありません。そもそも積乱雲をしばらく見ていない程、空気そのものに湿気がまるでないのです。またイギリスでは、大西洋の在る西側から海洋性の湿った風が流れて来て、丘の斜面にぶつかっては雨を降らせるのが定番ですが(それ故西部の方が雨が多い)、少し前まではこの季節としては異例の東からの乾燥した強風が吹き続けていました。室内でさえ喉や皮膚がヒリヒリする程湿度が低く、返ってわざと加湿する為に室内で洗濯物を干している程です。 

この極端な天候は、勿論イギリスだけの問題ではありません。チェコやハンガリー等の中欧でも40度を超える熱波が毎年のように来ますし、スペインやフランスでは極度な高温と乾燥で深刻な山火事が続いています。それらに比べれば、また日本の酷暑に比べたら、イギリスの熱波の気温自体は大した事無く思えるかも知れませんが、家の造りが元々夏の暑さ向きには全く作られていない為、気温30度近くになっただけでも相当不快に感じます。

レンガや石造りの家は、外壁自体が分厚く素材的にも熱伝導率が低く、木造家屋に比べて外気温に影響されにくい反面、一度屋内に熱を溜め込んでしまうと、外気温と変わらない処か寄り暑くなってしまう事もあります。我が家は外壁中に断熱材を注入している為、熱波でも長く室内を涼しく保つ事が出来ますが、余り長く暑さが続くと返って建物自体が熱されてしまい、熱波が去った後でも家自体が冷めるのに数日間掛かります。 

また窓が小さ目&少な目に作られていて密閉度が高い為、夜間の外気温が20度を超えただけで、室内は寝苦しい熱帯夜になる事も。北欧の家は更に徹底した冬仕様だそうで、加えて人間の肉体自体も暑さに耐性が無い為、昨今の熱波では室内でも簡単に熱中症に掛かり、亡くなる御老人が続出すると聞きます。

そして、やはり自宅に真っ当なエアコンがないと、例え気温30度程度でも、心身共に休める機会がない為、意外な程体力の消耗が激しく疲労して来ます。エアコンを設置している一般家庭は、イギリスでは未だ少数派です。持っていて、せいぜい移動式の簡易型ですが(我が家もコレ。日本でも返って今人気になっているらしい)、まるで飛行機内に居るが如く騒音が凄まじい上、太いダクトを窓から屋外に出さねばならない為、その間窓は開けっ放しなので冷房の効き目は大してないし、外出中に使用する事は出来ません。

日本で一般的な壁面+室外機型のエアコンを持っている家は、イギリスでは見た事がないと思いきや、実は室外機を公道に面した場所に置いてはいけない、隣家から2メートル以上離して設置しなくてはならない等の面倒な規制が在る為、単に私からは見えないだけで、本当は案外持っている家は多いのかも知れません。 

「公道から見える場所に室外機を置くから、日本の家並みは醜いんだよなあ」とP太は言っていましたが、私に言わせれば「ハア?ゴミをゴミ箱に捨てる習慣がなくなったゴミだらけの国が、今更美観を気にする意味なんてあるワケ?」と口あんぐりです。実際室外機を置ける場所が全くなさそうな、間口が34m程度のテラスハウスがイギリスには多いので、街の美観と国民の安全健康を天秤に掛ければ、今後は規制を緩めるのは必須かと思われます。

六月の今年最初の熱波以来、ネットではすこぶる怪しい新しいタイプの工事不要のエアコンの広告を多く見るようになりました。Youtuberが実際に幾つか購入して試した結果、案の定すぐに壊れるか役に立たないそうです。折しも義母の家の扇風機の一つが老朽化で壊れてしまい、代わりを買おうとしたら、一時イギリス中の市場から扇風機が消え、品切れで全く手に入らない状態になっていました。アマゾンでさえ在庫切れ。たかが扇風機と言えど、換気の悪いイギリスの家屋では十分頼れる存在だから、一台でも使えなくなれば結構深刻な問題です。
 

そんな訳で、うちの庭のバラ達にも本当は水をたっぷり上げたいのは山々なんだけど、少しずつ与えるしか出来ないのが何とももどかしく可哀相です。その割に、健気に沢山の花を懸命に咲かせているのが一層不憫です(…流石に乾燥し過ぎで咲いてもあっと言う間に散る!)。早く水の確保の心配をしなくて済む、雨が十分降る天気になって欲しい。しかし雨が降り出したら出したで、今度は雨ばかり続く天候に変わるのでは?とか、または異様な冷夏になるのでは?と、不安にさせられ楽観視は全く出来ないのがイギリスの天気です。






2026/07/29

フォトジェニック・リカ「ネリネ」

 

今回の帰国でイギリスに持ち帰った新品のファッション・ドールは、意外と二体だけでした。一体はアゾンの「Pookie Boo BonBon」で、もう一体はこのリカちゃん人形です。東京で「リカちゃんのON/OFF」を観ている内に、ドールを増やすつもりは無かったのに突如欲しくなり、展覧会のショップで衝動買いしました。

大人のリカ活向け高級仕様リカちゃんシリーズ「LiccA」の内、「ゴシックノワール」同様に独自の可動式素体「ネオリカ・ボディ」を持っている、「フォトジェニック・リカ」と言うシリーズです。その中にも、ウェイクアップmomoko、Today's momokoやFresh ruruko同様に、部屋着を着用しただけの比較的安価な簡素仕様があり、それぞれ花の名前が付けられていて、これには「ネリネ」と言うデザイン名が付いています。

「ゴシックノワール」が凄く独特なリカちゃんだから、もっと普通の汎用性の高い可動式ボディのリカちゃんがモデルとして居たら便利だと思い、この「ネリネ」を選びました。もう一種ショップで売られていた簡素仕様のフォトジェニック・リカ「ヴィオラ」は、メイクが「ゴシックノワール」に似てテイストが被りそうでした。

このドールは、確かにリカちゃんとしては一番スタンダードなはずの茶髪に前髪付きで、メイクもナチュラルなオレンジ系であっさりして、若々しく健康的に見えます。

しかし汎用性が高いと言うのは、特徴や個性も余り無いと言う事。どんな服装でも無難に着こなしそうと思う反面、このドールだから着せたい!と閃くファッションが中々思い浮かびませんでした。

そこで、結局リカちゃんのアウトフィットの定番の一つとも言える、まずはいかにもドーリーなカントリー風のドレスを作って着せてみる事にしました。

スカートに使用した古風なCS(カップ&ソーサー)柄の生地は、毎度お馴染みセリアで買ったカット生地。英国トラッドっぽく見えますが、実は日本製です。こんなプリントの質の良い魅力的なカット生地が、たった百円(TAX)で買える日本ってやっぱスゴイ! 同柄色違いも、同じシリーズの皿柄の生地も、勿論買いました。

正直1/6ドールにとっては、特に身長22㎝以下のドールには柄が大き目ですが、フレアがたっぷりボリュームのある長めのスカートなら、ギリ行けるかもと思いました。 

しかし身頃や袖に使うには、面積が小さ過ぎてCS柄が生きず不向きなので、スカートだけに利用し、トップには藍色地のピンドット生地のブラウスを合わせました。このトップは最初無地にするつもりでしたが、青系で希望した色目の無地の布地が見付かりませんでした。

例えスカートと身頃の生地が違っても、一体化したワンピースに仕上げた方が、返って確実で簡単だろうかとも考えました。トップとボトムを別々にすると、多少サイズの違うボディにも対応出来る利点はありますが、バランス良く組み合わせる事が出来なく仕上がる場合もあるのです(…そんなヘマするの私だけか?)

ネオリカ・ボディは、肩が不自然に張って非常に厳つく出来ているので、それを覆い隠す袖付きの服にデザインするのは必須です。しかしパフ・スリーブと言うのが、私にはいつまで経っても難易度高く…、綺麗にギャザーを寄せて左右均等に膨らませるのが上手く出来ませんでした。 

固体差があるのか、それともフットウェアとの相性が悪いのか、このリカちゃんは膝の関節が緩めで安定が悪く、つっかえ棒を使用しても立たせるのに中々苦労します。「ゴシックノワール」では、そんな経験したかなあ??

髪は背面で緩くウェイブ掛かっていて、元々乱れ易い髪質なのか、油断するとすぐにグチャグチャになり勝ちです。ON/OFF展で立たせて撮影するのに使われていたモデルも、このネリネだったように思います。

しかし手が取り外し出来、ハンドパーツが他に三種類付属しているのは、やはり着せ替え人形として嬉しいところ。加えて可動域は十分あるので、こんなあざと可愛いポーズも出来ます。

ピュアニーモのハンドパーツと比べても小さく指が非常に細いので、失くさないか折れないか心配です。素材的には、もしかしたらピュアニーモより壊れにくいのかも知れませんが。

フォトジェニック・リカの中では最もスタンダードで、汎用性が高いリカちゃんだと思って購入しましたが、実際に撮影してみて、実は他のリカちゃんとは大分雰囲気が違うと言う印象を得ました。

プリントがぽってりした子供向け廉価版の甘ったるいリカちゃんとは明らかに違うし、日本産キャッスル製のリカちゃんともまた違い、若干すっきりシュッとして甘さ控えめに見えます。今後はその特性を良く把握して、似合うアウトフィットを考えて上げねばと思います。

 


2026/07/28

「リカちゃんのON/OFF展」に行ってみた


今年の春に一時帰国した際、丁度東京で開催されていた「リカちゃんのON/OFF展」の最終日の夕方に、姉も私も揃って予定が取れそうだった為、行ってみる事にしました。

場所は、新宿LUMINE 0(ルミネゼロ)の五階。「リカちゃんのON/OFF展」とは、日本を代表する着せ替え人形「リカちゃん」を通して、現代を生きる誰もが(ホントか?)持つ「ON(仕事モード)」と「OFF(リラックス・プライベートモード)」の姿を描き出す体験型の展覧会です。

この展覧会の事は前々から聞いてはいたのですが、帰国する予定は直前までまるで無かったので、まさか実際に見に行くとは思っていませんでした。

ここでは普段の煌びやかなエセお姫様ドレスを纏ったようなリカちゃんは皆無で、今時の東京ファッションのリアル・クローズの、お洒落なリカちゃん達がいっぱい展示されています。 

そう、これは完全に大人を対象としたリカちゃん展でして(念の為年齢制限はないが)、子供が減少し着せ替え人形の需要も減って来ている現在、大人のリカ活者の維持と新規獲得は大変重要なのです。

プロに寄る、リカちゃんの可愛さ・魅力も分析されています。ネット配信サービスで日本のアニメが寄り簡単に観られるようになった今、「原宿可愛い系」とか明らかに日本のアニメや漫画、ゲーム等に影響されたらしいドールが、一般の子供向け玩具としても西洋で沢山出て来ています。しかし日本人から見ると、どうにも非常に残念な見た目ばかりです。是非この分析を参考に、西洋でも可愛いドールを発売して欲しい物だと切に願います。

また、現在北米で再び(45年ぶりだとか)リカちゃん人形が進出展開され始めていて、そんな日本のポップ・カルチャーが世界的に浸透して来ている今だからこそ、絶対リカちゃんの需要は海外でも高いはずで、是非成功して欲しいと思います。 

この展示の最大の見所は、超人気のインスタ・アカウント「現実を生きるリカちゃん」とのコラボで、「職業編」「プライベート編」「恋愛編」の3つのテーマでリアルな日常の一瞬を再現したミニチュア・ジオラマ。

基本的には、1テーマに付きこんな展示になっています。左が「公」つまりONで、右が「私」であるOFF。上部に説明書きがあり、一つのブースに付き50×50×50㎝位だったかなあ?

ONでは、モデルとして撮影中で華々しく活躍するリカちゃん。まあこれは、従来のリカちゃんの商品サイトでも見るような、昔から典型的な女の子の憧れの場面だと思います。

一方OFFでは、身バレ&日除けの完全防備でこっそりラーメン屋に通うイケてないリカちゃん。愛李麺(らぶりーめん)と言う店名も、選挙ポスターも(実はリカパパですけど!)、古惚けて煤けた外壁も絶妙な完成度です。実は背景のスケールが人形より小さ目ですが、ぱっと見は違和感ありません。

駅名は、「髪散々台」と書いて「ぼさぼさだい」と読む。正直このOFFの方がONより見ていて断然面白く、実際どの角度から眺めても隅々までリアリティに拘っていて関心します。

リカちゃんは本来11歳の小学生設定ですが、ここではどう見ても20歳代独身独り暮らしのOL。 

乱雑なテーブルの上に、またしても愛李麺のカップ麺が。どんなにズボラな私でも、食べ終わったカップ麺を出しっぱな生活だけはしたくないと思いました。

健康に良いと聞いた物を手当たり次第買ってはみたものの、まずは生活そのものが健康とは程遠く…。 ONとOFF、理想と現実とも言えます。

昔ながらの日本旅館の内装、中央に楕円型の窓の開いたレトロな布団カバーまでリアル。

またしても愛李麺登場。今度は店内で、食券機が良く出来ています。

夜中のファミレスで友達とだべり続け、皿やコップの数が滞在時間の長さを物語っています。実はソファの上には、無造作に投げ出されたバッグ類が。


家ではコンビニ弁当をツマミに、しょーもないリアリティショーを友達と見ながら、「こんなのヤラセに決まってるじゃん」とか、しょーもない話に花を咲かせているシーン、とかだったかなあ?

女性には、女を演じる表舞台と…、

その為の結構涙ぐましい努力の舞台裏が必要なんだぞって事を、否応無しに痛感させられます()  

その点男性の場合、結婚後の家族に対しては全部OFF(ただし努力は無し)ってのが、周囲には一層厄介かも。  

この日の展覧会はそれ程混んではいませんでしたが、中には熱心なリカ活者もやはり来ていて、一展示につき凄~く粘って撮影していらっしゃるので、中々自分の順番が回って来ず待たされました。

こちらは、自分でリカちゃんにポーズを取らせて撮影するコーナー。丸窓が開いるブースで、スマホのカメラを固定する仕組みです。平置き撮りって、意外と難しいのです。

こちらは、リカちゃんをスタンドを使って立たせて撮影するコーナー。リカちゃんの髪が、沢山の来場者に触られて流石にもしゃもしゃ気味です。 

ここでのモデルのリカちゃんは、概ね可動式ボディの「フォトジェニック・リカ」が使用されています。

最後は、ショップをじっくりチェック。勿論、大人用のアイテムが充実しています。現在は全国巡回中なので、もしお近くで開催の際は、リカちゃん人形の新たな魅力や可能性を発見出来るかも知れないから、子供の頃ならリカちゃんと遊んだなあと言う方も、普段ドールに馴染みのない方も、是非足を運んでみて下さい。