2025/10/16

ブラッツィラズのヤスミナ人形

昨年のクリスマス前で買い物が忙しかった頃、地元の街に行った二日後に再び街へ行かなければなりませんでした。ついでに、いつも通りチャリティショップを覗きましたが、その店には二日前にはなかった中古ドールが、結構沢山売られていました。どれも状態は良く、しかもデフォルトのアウトフィットを着たままで、全て同じ人が寄付したように思えました。その上一体1ポンドと、現在のチャリティ屋の中古人形としては相当お買い得でした。 

その中から、気に入った物を三体購入しました。もしタイミングが合わず一日でも遅ければ、大方売れてしまい出会わなかったかも知れません。私が知る限り、Xmas前は結構チャリティ屋の狙い時です。恐らくXmasグッズを物置から出す時に長年の不用品も一緒に出て来て、西洋最大の祭り前に家をすっきりさせる為にも(多分Xmas後には更にモノが増えると想定し)、チャリティ屋に寄付する家庭が多いのだと思います。

その三体の内の一体が、今やバービーのマテル社を凌ぐ人気の、「ブラッツ」や「レインボー・ハイ」を製造するファッション・ドール・メーカーMGA社の「Bratzillaz ブラッツィラズ」です。服だけでなく、フットウェアもヘッドドレス(ミニ魔女帽)も残っている、ミントに近い状態で1ポンドでした。

ブラッツィラズは、実写映画まで作られ大人気だったブラッツのスピン・オフの魔女人形のシリーズで、またの名を「House of Witchez」と言い、その中でこれはYasmina ヤスミナと言うキャラクターだそうです。

パンツ・スタイルでも魔女らしく見え、尚且つちゃんとこのキャラに似合った服装なのは、中々のデザイン性の高さだと思いました。この金色のパンツには、ちゃんとしたポケットも縫い付けられています。 

ヘアスタイルも凝っていて、薄紫色で前髪付きの複雑で可愛い髪型になっています。

緑掛かった金色の瞳も素敵ですが、ディズニーのキャラでも良く見掛ける、この困り眉はどうも気に入らないので、後から描き直すかも知れません。リップの色が強過ぎなのも気になり、まあ実際のゴスのメイクもこんなもんですが、淡い髪色には不釣り合いに見えるから塗り直すかも。ただし、例えオープン・マウスでも、にっかり笑っていないこの中途半端な口の開き具合は嫌ではありません。

大きな鍵型イヤリングの片方は紛失しているのかと思いきや、最初から片方のみだったと知りました。それと、元は穴開きマントと虫眼鏡のようなアイテムが付属していたようです。

今持たせている杖は、小金井公園のフリマ10円で買いました(元は玩食?)。ドールにぴったり~と思ったからこそ買った訳ですが、実際には重過ぎて持たせられるドールが居ない…。特に可動式ボディの場合、関節が重みでかくんと曲がってしまう程です。

また、このドールのボディそのものの素材に重量感がある上に、足腰の関節が緩めで安定が悪く非常に立たせにくい為、途中からオビツのスタンドを利用して立たせています。 

それまで西洋のドール界を席巻していたブラッツの人気が、ライバル社のマテルの「モンスター・ハイ」に移った為に、この人外シリーズのブラッツィラズが対抗策として生まれたようです。MGAとマテルでは本当に真似し真似されを繰り返していて、実際に裁判沙汰にも何度かなっているそうです。

本家のブラッツはどう頑張っても好きになれない人形ですが(別に頑張る必要も全くないけれど)、入れ目のブラッツィラズのデザインは、アウトフィットも含めて結構好きです。巨頭系ですが一応可動式ボディだし、モンハイに比べるとボディのクセが少なくバランスが割と良く、momoko DOLLとは大体サイズが合い、アウトフィットの相互性がある点も気に入っています。

状態の良い値段の高くない物を見掛ける度に買っていたら、最初のシリーズの5種類の内これで4体は揃いました。最初のメイガーナだけはアウトレットで新品を買いましたが、他は中古ばかり。なのに、何故か被る事はなく、そして全てデフォルトのアウトフィット付きだったのが不思議です。もしかしたら魔女服以外は似合うとは想像出来なくて、子供が着せ替えする発想にはなれなかったのかも…。そもそも、今まで中古でも初回シリーズ以外はほとんど見掛けた事がなく、メーカー側が期待する程は売れず出回らなかったのかも知れません。




2025/10/15

テームズ河畔の館バジルドン・パーク 3



 

昨年の夏に訪れたバークシャーのNT(ナショナルトラスト)所有のBasildon Park バジルドン・パークで、屋敷の内部を見学した後は、次に屋敷の外の南&東側の庭園を見学します。

その前に、館の東の裏側が入り口になっているホールで、このバジルドンで撮影された映画やドラマが紹介されていたので入ってみました。 

NTは撮影誘致に熱心で、それを目当てに訪れるファンも当然居る為、結局はNTの良い宣伝になります。

まず、日本でも放送された大人気TVドラマ「ダウントンアビー」。主なロケ地は同じバークシャーのHighclere Castle ハイクレア城で、撮影地見学ツアーも組まれた程の人気ぶりだったようです。

何度も実写化されている「高慢と偏見」の、キーラ・ナイトレイ主演の2005年度版映画。この物語には、コリン・ファースも出演した1995年のBBCドラマ版、ボリウッド版(舞台がインドって事?)も存在するそうです。

そのパロディの「高慢と偏見とゾンビ」も、ここで撮影されたとは! 未だ観た事はありませんが、前々から話しには聞いていて爆笑怪作だそうです。ジェーン・オースティンな格好の女性達がゾンビと戦うのだから、このタイトルだけで十分笑っちゃいますね。

左は、やはりキーラ・ナイトレイ主演の映画「ある公爵夫人の生涯」。左は、話題になった(物議を醸した)のが記憶に新しい、英国王室を描いたネトフリの配信ドラマ「ザ・クラウン」。

ここには紹介されていませんでしたが、ソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット」の一部も、ここで撮影されたとウィキには載っていました。

庭園は、イギリスのお屋敷としては特筆する事はないかも知れませんが、良く手入れされた心地良いイングリッシュ・ガーデンには違いありません。

背の高い繊細な色のデルフィニウムが目を引きます。  

この庭園には、かつてはアイライフ夫人自ら設計し手入れたバラ園が在りました。が、宿根雑草が増え過ぎバラを弱めてしまい、十年以上前に総植え替えしたそです。

 

イングリッシュ・ローズが多い事から、比較的新しく植栽されている庭園なのは気付きました。

強靭性や花付きの良さを考えると、やはりイングリッシュ・ローズのコスパは良好なので、NTの庭園では多くのイングリッシュ・ローズを植えています。

その厄介な宿根雑草って、もしかしてコレ↑の事⁈ 地中海沿岸原産の宿根性のスウィートピー(でも香り無し。只のマメ)、別名サマー・スウィートピーで、ここ数年前から高速を始め道路脇で大繁殖しています。花は可愛いんだけど、勝手に種が弾け飛んで増え、おまけに根が深くて取り除きにくいのです。

庭の東端は、テラスになっています。昔は、ここからテームズ川を見下ろせたのかも知れません。

対岸の小高い丘は、実は鉄器時代の要塞遺跡。

この庭で一番気に入ったのが、このメドウです。近年あちこちの庭園や公園でメドウを見掛け、メドウ・ブームなように思えました。

矢車草の青と、赤と白の花の組み合わせは大好き。赤は普通はヒナゲシ、白はデイジーですが、ここでは赤はゴテチア? 白はレースフラワーやコスモスでした。

日本では秋の訪れを告げるコスモスも、イギリスでは夏の早い時期から咲き始めます。 

メドウの脇には、黄色い花で纏めた花壇もありました。

ふらっと突然出掛けた割に、いや何も考えずに期待していなかったからこそ、意外に楽しめたバジルドン・パークです。やはり初めての場所を訪れると、新鮮な気持ちになれます。貝の部屋は、特に必見。館の内部は一度見学したら十分だとは思いますが、今度は広大な公園を散歩する為に来たり、また近くにはゴリンウォリンフォードと言った魅力的な村や町もあるので、一緒に訪れるのはお勧めです。

 

 




2025/10/14

テームズ河畔の館バジルドン・パーク 2

 

昨年の夏に訪れたNT(ナショナルトラスト)Basildon Park バジルドン・パークで、館の内部を見学しています。

お屋敷にお客を招待した場合、最も重要な部屋の一つは晩餐室だと思います。

それ故、ここの装飾には特に力が入れられています。天井画も、この通り。

裕福者の家庭では良く食器を特注して作らせ、オリジナル・デザインや家紋入りの食器を使用しますが、このアイライフ家もその通りでした。 

しかし、財政難の折に館と共に手放したようで、その食器が後に廻り回って何故かスウェーデンのオークションに掛けられていたのを、NTが見付けて買い戻したとの事です。

主寝室の一つと思われる部屋。イギリスでは高貴とされるバーガンディーと呼ばれる深い赤が、この部屋のテーマ・カラーです。

アイライフ夫人は家庭的でクリエイティブな女性だったようで、この刺繍付きラグは夫人のお手製だそうです。

一方こちらの寝室は、東洋風がテーマ。

立派な中国の螺鈿の衝立が置かれています。

壁には、日本製らしき屏風を額装した物。 

この電灯になった女性の人形の清朝の衣装も夫人の手作りだそうで、ドール好きとしては服の造りの正確さや丁寧さ、センスの良さに驚きました。

その手前に在る、鳥籠の中の鳥がさえずる仕掛けのオートマタ。古物番組やアンティーク・フェアで時々似た物を見掛けますが、小鳥が凄く可愛いのです。

清朝の女性人形の対になるのが、ベッドサイド・テーブルに乗ったこの男性人形。

顔を良く見ると、…なななな何故竹中直人氏がここに

この館で最も印象的だったのが、この「貝の部屋」です。 

日本風に言うと8畳程度の大きさですが、大小の貝殻でびっしり埋め尽くされています。

アイライフ夫人が、趣味でコツコツと集めたそうです。恐らく南海の貴重な物は購入したり、自ら浜辺で拾い集めたりもしたようです。

かなり大きく高価そうなベツレヘムの名産の繊細な貝細工も、コレクションに加えられています。

作り付けの棚の中に並べられている大きな貝もあれば、極小の貝は壁や家具に装飾されています。一つ間違えれば海辺のキッチュなお土産風ですが(それはそれで好きだけど)、ここまで極めると圧巻。

これ程熱心に集めたのだから、きっと自分の子供に近い愛おしい存在だったのに違いなく、この館と共にこれらの貝殻を手放す時は、さぞかし断腸の思いだったのではと想像します。

こちらの寝室は、まるで砂糖菓子のように甘ったるいシュガーピンクの壁色。

祠のような壁の窪みの空間にベッドが収まってて、妙な安心感があり面白いと思いました。

この部屋にも、夫人のお手製らしい貝細工が。一瞬、散らし寿司のように見えなくもありませんが。

また、これも夫人作らしいレース編みが貼り付けられたアルバムも。

やたら広々とした浴室。中央の丸テーブルは、多分ここでお茶をした訳ではなく、じっくりお化粧や美容を整えるのに使用したと思われます。

この部屋は、画家Graham Sutherland グレアム・サザーランドのギャラリーになっています。彼は、第二次世界大戦時にドイツに爆撃された破壊され、全く新しいスタイルで再建されたコ゚ヴェントリー大聖堂に、巨大なタペストリーを制作しました。破壊された大聖堂の隣にはアイライフ家の経営する新聞社が在った所縁で、タペストリーのデザイン画や下絵等が展示されているそうです。

庶民の感覚とはかけ離れ過ぎた、単なる博物館にしか見えない他の貴族の大邸宅とは違い、実際の住人が暮らしを楽しんでいた生活感がここでは感じられました。これもそれもアイライフ夫人のドメスティックなセンスの良さに好感が持てたお陰で、予想外に興味深かったバジルドン・パークです。