2025/10/13

テームズ河畔の館バジルドン・パーク 1

 

昨年の夏の話です(相変わらず)。当日雨は降らなかったのに、前日までの雨でグラウンド・コンディションが悪かった為、フリマは中止された日曜日がありました。じゃあ代わりに何処かへ出掛けようと言う事になり、未だ行った事のないNT(ナショナルトラスト)Basildon Park バジルドン・パークを目指す事にしました。

場所はReading レディングの北西。晩年のジョージ・マイケルが住んでいた村Goring-on-Themes ゴリンの、テームズ川を挟んで対岸の高台に在ります。同じテームズ河畔のNTの豪邸Cliveden クリーヴデンよりは、複雑に蛇行したテームズ川の上流に位置します。

我が家から日帰りで十分行ける距離なものの、例に寄って豪華絢爛&贅沢三昧なお屋敷には余り興味が湧かず(余程庭園が魅力的じゃない限り)、今まで訪れた事がありませんでした。しかしそう遠くないのにも関わらず、いつもの日曜日通り朝はゆっくりしていて遅めに出掛けた為、午後2時位に到着しました。専用駐車場から今はカフェや売店になっている元馬屋を通り、森の中の坂道を登って館に向かいます。

館は、約400エーカー(160ヘクタール)の自然公園となった広大な敷地に囲まれています。もし天気が良ければ、ここを歩き廻るだけでも気持ちが良さそうです、この日は雨は降らなかったとは言え、景色を楽しむのには十分じゃない冴えない天気でした。

この館は、18世紀後半にスカイ卿に寄って、当時流行だった新古典様式の一つイタリア風のパラディアン様式で、これまた当時持て囃されたBath Stone バース石(コッツウォルズ地方特産の黄掛かった石灰岩)を用いて建設されました。その前にも、この敷地には貴族の邸宅が立っていたそうです。

これとて庶民にしてみれば十分豪邸なのですが、宮殿のようなクリーヴデンに比べれば地味いや控えめに見え、「館」と呼べるクラスかなとは思いました。大きさの割に、正直のっぺりした印象の建物です。

その後次々と家主は変わり、二つの大戦時には将校の宿舎や捕虜の収容所となり、最後の持ち主は後に男爵家となったメディア王The Iliffeアイライフ一家。部屋の調度は、その時の20世紀中頃の様子を再現しています。

今までNTのお屋敷を訪れるのに余り熱心でなかったのは、事前要予約だったり時間制で区切られていたりガイド・ツアーのみの見学だったり、更に開館曜日が限定されていたり夏期のみオープンだったり、突然思い立ってふらっと出掛ける私達にとっては、時間と行動に制約が付くのは面倒臭く思えたからと言うのもあります。しかしここは、何も制約はなく自由に見学出来ました。

アイライフ卿夫妻は1952年にここを買い取り、戦争で荒廃したこの館を熱心に修復し、収集した骨董品や美術品で飾り立てました。

古風な調度と建物自体の古さの割に、機能的にはモダンで住み易そうに見えるのはその為です。

天井の装飾まで、この凝りよう。 勿論、各部屋毎に意匠が異なっています。

しかし、修繕と維持に余りに費用が掛かり過ぎたのか、負債が大き過ぎて結局アイライフ家はここには25年間しか住まず、1978年にこの館と敷地をNTに手放しました。

吹き抜けになった階段の下では、ピアノの生演奏が行われていました。 

こう言うのを聞くとやはり雰囲気が抜群で、豪華屋敷も悪くないと思えてしまいます。




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