昨年の夏に、夫婦でケント州のほぼ最東端の海辺の町Margate マーゲートを初めて訪れ、想像していた雰囲気とは随分違い戸惑いましたが、人気のビーチ・リゾート地だと言うのは実感出来ました。では、「アートとビンテージの町」と言うのは一体何処に?と疑問が残りました。
しかし浜辺を訪れた次に、先程通ったハイストリート(目抜き通り)の少し北側に足を踏み入れると、古い建物の並ぶ雰囲気の良い一角があり、ビンテージ屋やお洒落な路面店が幾つか並んでいました。
名前をMarket Place 市場広場と言います。この建物が、本当にかつての市場だったからのようです。
実際この日は、屋外で小規模ですが骨董市が行われていました。
イギリスにはアンティークの町は数多くあれど、マーゲートはビンテージの町と呼ばれています。何故かと言えば、アーティストが多く住むからで、彼等はアンティークよりビンテージを好むものとイギリスでは相場が決まっている為、と勝手に解釈しています。そう言う点では、確かにブライトンもビンテージの町です。
この骨董市では、ビンテージ・ドレスは中々素敵な物が揃っていました。
いかにもビンテージらしいプリント生地を使用した、スパイラルな継ぎ合わせのマキシ丈スカート。
こちらは、最近日本でも注目されているらしいアフリカの生地専門店。
「The Pickled Fox キツネの漬物」と言う、変わった名前のパブ。イギリスのパブ名は「王の頭」「王家の樫」「公爵の腕」とか、ドイツ語圏同様に「色+動物」とか、全国何処へ行っても割と決まり切っているのですが、たまに独特な名前があります。
そのお隣には、古着やジュエリー中心の中々充実したビンテージ屋さん。
ギャラリーや作家物を販売する店も、この周辺に集中しています。
このお店のビーズ細工のアクセサリーは、少し変わっていてお洒落です。
北欧or60
年代風の陶器製のライト・スタンドを売る店も。
この建物には、カール(チャールズ)・マルクスが住んでいた事があるそうです。彼の墓所はロンドン市内にありますが、数年前に極右主義者に破壊されました。
町の博物館の建物には、二階に渡り廊下があって変わっています。この他ここには「カニ博物館」なんてのも在りました。カニを生物学的に展示するのではなく、カニの甲羅を並べたジオラマを展示しているそうです。
マーゲートで特に興味深かったのが、このアンティーク屋さん。
兎に角、日本物のコレクションが圧巻。こけしのコレクションもこの通り。
この日は私はマトリョーシカ柄のスカートを履いていましたが、店主さんから「一瞬こけしかと思ったらロシアの人形なんだねえ」と言われました。
この表札なんて、わざわざ水郡線から来たもんだ。
板金製の大きなアルファベットは、恐らく遊園地等のサインとして使われた物だそうです。
初めてのマーゲートの印象として、ちょっと前までは確かにアートとビンテージのお洒落な町だったのだろうけど、ここ最近は様々な社会状況に伴い急変したように感じられました。
しかし何だかんだ言って、距離の割に我が家から高速道路経由で比較的簡単に来られるのと、町の中心近くに無料で駐車し易く、寂れて来てはいるけれど治安が悪い訳ではなく、またギリシャ・ベイカリーの魅力で、その後もこの町を何度か訪れています。