2023/09/29

月より団子

 

姉から中秋の名月のお飾りミニチュアを貰ったので、今年はリカちゃんに着物を着せてお月見したいと思います。

作った着物は、渋目のピンク地に和風ウサギ柄。実はこの布、元は私の枕カバーなのです。掛け布団カバーとセットでしたが、生地の厚み的にも柄の大きさ的にもドールの着物を作るのにピッタリだと思い、枕カバーのみ捨てずに取って置いてイギリスに持って来ました。

東京で一人暮らしをしていた時、寝室は純和風にしようと思い、この寝具カバー・セットを使用していましたが、生まれて以来畳+布団で寝起きした習慣がほとんどなく、その割にベッドの生活は手放せなかった私です。

一応雪ウサギ柄なので、冬のお正月にこそ相応しいとも思いましたが、ウサギの合間にススキのような草も描かれ、カジュアルな雰囲気が秋のお月見の方に一層合うかもと、卯年の新年には使わずに取っておきました。

しかし、縫い上がってから「しまった~」と気付きました。確かにドール用の着物を製作するには理想的な生地なのですが、…このくすんだピンクは、やはり肌写りが非常に悪いと痛感。

帯や袂袖など出来るだけ濃い色を用いてメリハリを付け、メイクが濃く顔立ちの華やか目のリカちゃんを選んだものの、それでも難しいと実感しました。

肌写りが悪ければ、写真写りも悪ゥ。 特にこの撮影日は、未だ秋分前の夏だったのに、更に本来なら南向きで陽当たり抜群の私の作業部屋なのにも関わらず、悪天候で昼間から異様に暗く、家中のライトを駆使して当てても、ダウンロード後に彩度明度等を微調整してもこの有様です。

焦げ茶地に洋風の花柄の生地の帯は、随分前に作って置いた物。やっと出番が来ましたが、濃い色の帯は何かと役に立つはずです。背後の簾は母から昔送られて来た物で、久々の再登場です。うさ耳は、新年からの使い回し。

タイトルは「月より団子」としましたが、ウサギが咥えているのは確かにお団子なものの、リカちゃんの持っているのはウサギ型おはぎ! しかも、巨大な(1/6ドールにとって)おはぎが三つも。一つでさえ、御飯一膳分以上は絶対あります。食いしん坊キャラのリカちゃんですら、これ全部を一人で完食するのは無理そう。

お彼岸ではなく、中秋の名月におはぎを食べる習慣の地域って、もしかしたら日本の何処かに存在するのかどうかは兎も角、ウサギ型は可愛いし美味しそうだからアリだと思います(笑)。左から黄な粉、小豆餡、右の白いのは御飯と餡子の逆転版??(中に餡入り)ってとこでしょうか。個人的には、ずんだや磨り胡麻があると尚良し。 

それでは、今夜は日本でもイギリスでも、お天気に恵まれ美しい月が眺められますように~♪

 

 

 


2023/09/28

夕暮れのウェスト・ウィコムの丘


今年二月に夫婦でバレンタイン旅行として、最初にノーザンプトンシャーのBrackley ブラックリーのアンティーク・モールを訪れた後、バッキンガムシャーの丘の上の風車の村Brill ブリルから更に30㎞程南下し、その日の最終目的地West Wycomb ウェスト・ウィコムにやって来ました。

ウェスト・ウィコムはHigh Wycomb ハイ・ウィコムの西にある古い村で、NT(ナショナルトラスト)管理の「The Hellfire Cave」「West Wycomb Park」等の観光名所がある他、村全体がNTに保護されています。丁度日没時だったので、夕食前に村の中心のすぐ脇に聳える眺めの良い丘West Wycomb Hillへ行って見る事にしました。

時間がない為、今回は車で頂上近くまで行きました。村からの入り口が分かり辛いのですが、この丘の上には割と広い無料駐車場があります。

この丘の上には、村の教区教会St. Laurence’s Churchが在ります。見晴らしの良い小高い場所は古今東西信仰的に有り難られた訳で、教会が立つのは珍しい事ではありません。しかしここで教会以上に眼を引くのが、教会の墓地に隣接したDashwood ダッシュウッド家の巨大な霊廟です。

上空から見ると、六角形になっています。

入り口には鍵が掛っていて、内部には入れません。この壁面に安置された棺も見えますが、多分多くは墓標のみが壁面に掲げられ、棺は敷地の地面に埋葬されているのではと思います。

ダッシュウッド家は貴族(男爵家)で、反対側の丘に建つ「West Wycomb Park」と言うお屋敷に住んでいました。

これを18世紀に建てたフランシス・ダッシュウッドは、財務大臣を務めた事もありますが、道楽と放蕩の限りを尽くした悪名高い人物で、霊廟の丘の中腹には「The Hellfire Cave」と言う頗る怪しい秘密結社の為の人工洞窟まで作りました。この洞窟では、黒ミサ紛いの行為も行われたと言われています。


しかし道楽者らしく、それらの建設労働の賃金は気前良く惜しまなかったようで、少なくとも地元民に多くの働き口を与えると言う地域貢献は果たしたようです。 

夜間はライトアップされ、丘の上に堂々と聳える霊廟の姿は圧巻です。日本の大名クラスでさえ、これ程荘厳な霊廟は持っていませんでした。と言うか、イギリスでもこれ程派手な墓所は中々例を見ないと思います。

続いて、教会にやって来ました。やはりフランシス・ダッシュウッドに寄って18世紀に建設され、ヴェニスのプンタ・デラ・ドガーナに影響されたと言われる塔の先の黄金の球体が独特です。

この季節、墓地のあちこちがスノードロップで覆われていました。

別名夏の教会で、冬期は結構急な坂道の丘を登るのが困難だった為、後に麓に「冬の教会」を建てたそうです。

信仰に有り難がられた眺望の利く小高い丘は、太古から軍事的にも重要だった訳で、この場所は鉄器時代の要塞(Hillfort)跡でもあります。

更に、村から東のハイ・ウィコムの町へ続くまっすぐな道路は、実は古代ローマ時代に開かれた道。この村は、考古学的にも中々興味深いのです。

しばし丘の上を散歩した後は、麓の村のお気に入りのパブで夕食を取る計画を立てていました。

入店すると、未だ夕食を提供するには早い時間だった為、バーで地エールでも飲んで30分程待つ事になりました。

やっと夕食を提供する時間になった時に、オーナーらしき人物がテーブルにやって来て、今夜は「クイズ・ナイト」と言うイベント・デイな為、レストラン席部分は開けておらず、簡単な食事しか用意出来ないと言います。オーナーの説明では、このコロナ渦の不況で、本当は毎晩は店を開けたくない状況にあるが、苦肉の策でこう言ったイベント・デイを設けて、何とか営業を続けているとの事でした。

 

しかし! 前日にこのパブのHPを見ても、そんな事は全く記されていなかったし、入店時にもバーテンダーから告げられませんでした。このお店の美味しい、他のパブにはない独特なお料理が気に入っていたからこそ選んだのに、もし入店時に知っていれば、他のお店に換えた事でしょう。

仕方なく、ハンバーガーとスカンピなんて在り来たりな物を注文しましたが、これが不味くもなければ特に美味しくも安くもなく。おまけにバーの簡易な席なので、居心地も余り良くありませんでした。

折角楽しみにしていたバレンタイン・ディナーだったのが、結局ガッカリな事に。不況で何処も大変なのは分かるけど、残念ながら今後このお店に来る事は二度とないなと思いました。

 

 

 


2023/09/26

キモノ×ロックのmomoko

このモモコは、一昨年20周年を記念してPetWORKsから登場したPW-momokoで、「魔女モモコ」や「Midnight Rose」と並んで、現在姉の中で別格級にお気に入りのモモコです。「キモノ&ロック」と言うテーマで、元はタータン・チェックの着物に黒地水玉の帯、足には10ホール・ブーツ、黒髪の内側のみがブロンド、はっきりしたメイク、指にブラックのネイル・カラーの仕様で販売されました。

但し初版は即完売してしまい、これはその後に再販されたセカンド・バージョンです。初版は青系のタータン・チェックの着物だったのに対し、二版目は赤系のタータン・チェックに変更されていて、姉は青い方の初版の方が好みだったらしく、買い逃したのが悔しそうでした。

ウェイクアップ020のモモコは、モモコ・ドールの中でも特に気弱で人の良さそうな顔をしていた一方で、このモモコはいかにも性格キツそうでクソ生意気そうな、モモコ史上最高に根性の悪そうな顔をしていると、姉と意見が一致しました。元々アーモンド・アイが特徴のモモコとしても、瞳は特に吊り上がって見えるし、への字にひん曲がった口は不平不満ばかり言っていそう(笑)。それも含め、姉は大好きなドールなのだそうです。「日本発のアグレッシブなドール」と言うコンセプトには、ぴったりかも知れません。

やはりロックでやって来たこの子には英国っぽい恰好が似合うであろうと、またティータイムを準備した室内インテリアの雰囲気にも合うだろうと、ロンドン柄のミニ・ドレスを着せました。

姉はモモコ達には全て雰囲気やデザイン名に因んだ名前を付けていますが、この子は商品番号「CCS 21AN momoko」なので安直に「アンナ(漢字は知らん)」に決定。ANと言うのは、多分秋発売だからじゃないかと。

姉作の極力百均ミニチュア舞台は、今回もリキ入って良く出来ています。本当は「CCS 20AN momoko 魔女モモコ」こと魔女っ娘マコさん用の部屋らしいのですが、アンナちゃんにも似合っています。

この肘掛け椅子のミニチュアは、リバティ・プリントで出来たユザワヤのオリジナル。元々はピンクッションとして作られたので、座椅子部分に厚みがあり、ドールを座らせるのは多少コツが要りますが、十分1/6ドール用家具として活用する事が出来、また絵になります。様々な柄が売られていて、椅子自体の形にも幾つかバリエーションがあり、また長椅子(ソファ)版もありました。

値段はリバティなのに驚く程手頃で、これを見ていた小学生の娘を連れたお母さんが、「もしかしてイギリス本国で買うより安いんじゃなーい?!」と思わずデッカイ声で言っていましたが、全くその通りだと思います。ってか、イギリス本国だからって安い物、ビンテージ以外に何かあるのかよ?と常々思います。

お友達も参加させようと言う事で(※姉と遊びながら撮影していた)、「うんざりな日々」の響ちゃん登場。

アンナちゃんに合わせて英国スタイルって事で、またもやこの格好(割と誰にでも似合うらしいw)。実家の和菓子を、手土産に持って来ました。

紅茶なのに和菓子なのか…?とか、細かい事は気にしないで(笑)。

このミニチュアのティーカップは、紅茶まで入っている所が良く出来ています。実際にはイギリスの紅茶の色は、ミルクを入れる前は最早コーヒーに近い色で、全然こーんな薄くはないんですけどね。

本当にイイ歳したおばちゃん二人がウキウキと人形遊びをしている姿は、傍目から見れば滑稽を通り越して不気味でしょうが()、やっぱり姉妹で一緒だとドール撮影は一層楽しめます。

 

 

 



2023/09/25

ブリルの白い風車

 

二月の一時帰国直前のバレンタイン・デート小旅行で、Brackley ブラックリーのアンティーク・モールを訪れた後は、南に30㎞程のお隣の州バッキンガムシャーのBrill ブリルと言う村に車で移動しました。その日はイギリスの冬には珍しい快晴で、その村に在る白い古風な風車を眺めるのに絶好の機会だと思ったからです。イギリスの多くの風車がそうであるように、この村の風車も風当りの強い丘の頂上に立っています。風が強い丘の上と言うのは、大抵見晴らしも抜群。ところが前回初めてこの風車を訪れた時は、生憎の視界の悪い小雨だった為、それ以来快晴の日に再び訪れなくてはと思っていました。

概ね標高差が少なく平坦なイギリス南部で、途中特に急な坂道を通って来た訳でも無いのに、いつの間に?と意外に思える程小高い丘の上に、風車と村は在ります。

狙った通り、風車を眺めるのには理想的な天気でした。

白い風車の羽根が、青空と緑の草原にこの上なく映えます。

写真の微調整を全くしなくとも、このコントラストの強さ。

私の住んでいる地域の周辺にも、未だこんな古風な風車が幾つか残っていますが、羽根車は白と言うのが基本のようです。


すっかり風車の立つ場所がこの地域の最高峰かと思いきや、一番高いのはすぐ北のNorth Hillsだそうです。

ブリルの村自体は、風車の南東に広がっています。

そして、風車の周囲の地面には、不自然にボコボコと凹凸があります。普通に考えると要塞か採石場など古代の土木工事の跡なんですけど(…どう言う普通だ?)、一応そう言う説はあるものの、未だ証明はされていないそうです。

この日は天気が良過ぎて霞掛かっていて、周辺景色の眺望は生憎期待した程は良くありません。

視界が良ければ、この丘から六つの州が一辺に見渡せるそうです。

海抜自体は200mにも満たず全く高くありませんが、周囲は更に低く平坦と言う訳です。


風が強いと言う事は、凧揚げするのにも最適な場所。この日は平日でしたが、ハーフ・ターム(学期の中休み)か教師のストライキで学校がお休みだったようで、風車周辺は子供連れで賑わっていました。

保護されている為かここ数年イギリスで増えて来ているらしい、red kite=赤鳶も数羽見掛けました。飛んでいる鳥を撮影するのは、かなり大変です。 

ところが、俄かに近くの民家の庭でゴミを燃やし始め、まさか火事?かと思える程の大量の煙を周囲一帯に撒き散らしていました。しかも、明らかに化学物質を燃やして有毒ガス入り。余りの大気汚染に、子連れ家族はどんどん立ち去って行きます。私もたちまち喉が痛くなり、この後すぐに長時間のフライトに耐えなくてはいけないのに、ここで体調を崩しては一大事と、逃げ去るしかありませんでした。


もしかして、観光客を追い払う為にわざと燃やしているのか?と疑う程でした。こんなに自然豊かな環境で、折角の素晴らしい場所と天気だったのに、エコ意識の低い残念なブリルの一住民です。