2024/02/07

田舎駅のアンティーク・モール 1

 

昨年の七月に夫婦でロムニー・マーシュにぽつんと立つ極めて印象的な教会を見学した後、近くに(と言っても車にとって)未だ行ったことがないアンティーク・モールがあると知ったので訪れてみました。イギリスのアンティーク・モールには、元教会、元校舎、元穀物庫、元兵舎等の様々な建物を再利用している場合が珍しくありませんが、このモールは駅の建物だと言う事にも興味をそそられます。その名も「Station Antiques」。

実際には、一番上の写真が現在も使用されている駅舎で、モールはその脇の付属の元倉庫だったらしい建物に入っています。元の入り口の背が凄く高い為、もしかしたら馬車の車庫だったのかも知れません。鉄道が敷かれても未だ自動車の普及していない時代だったとしたら、馬車で駅まで乗り付けて来る利用者も居ただろうと想像します。

駅にはヴィクトリア時代の郵便ポストが備え付けてあり(現役です)少なくとも建物は19世紀築のようです。

一方こちらは、売り物のアンティークの鋳物の郵便受け。下部にKRANTEN(新聞)と書いてあり、オランダ製のようです。イギリスの各家庭の郵便受けは、ドアに直接備え付けられた挿入口の場合が多く、箱を掛けるタイプの郵便受けは少数派です。

駐車場は、駅と共有で無料。駅の駐車場が無料って凄いけど、最寄りの村からも結構離れた超ローカル駅で(恐らく無人)、停車する列車は凄く少ないんだろうなあ。

モールの中に入ってみました。一階は、主に家具のようです。

合間に、少しだけ小物が。普通のサイズの1/4程度しかない、とても小さなデコ時代のトースト・ラック。本当にトーストを立てられるのか??

製粉メーカーHomespreadのキャラクター、フレッド君人形。イギリスに住んでいても、Homespreadの小麦粉なんて全く買う機会がなく、フレッド君グッズを貰える商品に付いて来る券なんてさっぱり集められませんでした。

 しかし二階は、食器等の雑貨類も沢山並んでいます。

IKEAのガラス製キャビネットが、ここでも大活躍。今廃版になっているので、困っている人は多かろう…。

天井の梁が剥き出しで高く、上部まで商品がぎっしり。

オールド・シュタイフは、イギリスでも人気。今のシュタイフに比べると、昔の製品はなんと品良く愛らしい事か。

古いのかどうかは分かりませんが、中々惹かれる木製のロンドン二階建てバスの玩具。

50年代のカラフルなプリントのショット・グラスのセットは、スタンドのデザインもいかにも50sで素敵。

味わい深い陶製キャニスターが揃っています。右のは、スウェーデンのJIE Gantofta ジー・ガントフタ。ーーー2に続きます。


 



 

2024/02/05

湿地の孤高の教会

 

観光地で有名なRye ライの東側から、骸骨教会で有名な(あんまりだ)Hythe ハイスに掛けては、Romney Marsh ロムニー・マーシュWalland Marsh ウォランド・マーシュと呼ばれる非常に海抜の低い平地が続いています。元々「marsh」とは湿地の意味で、古来この一帯は海の氾濫原でした。しかし、ロムニー・マーシュは古代ローマ時代に、ウォランド・マーシュは中世に干拓され、現在は主に羊の放牧地になっています。このイギリスの原風景的な長閑な田園地帯には、中世の小さな趣深い教会が点在し、そんな教会巡りも密かに人気です。その中でも特に印象的でアイコン的な教会が、昨年の夏に訪れたトーマス・ア・ベケット教会です。それまでも訪れようと試みた事はありましたが、何せナビが機能しない牧草地のド真ん中にポツンと立つ為、辿り着く事が出来ませんでした。

最寄り公道は、こんな車がすれ違うのもやっとに見える細い農道。駐車場はありませんが、道路脇に車を止めるスペースがあります。

其処から牧草地内の遊歩道を通って、教会に向かいます。

遊歩道に入ると、教会はすぐに目に入りました。遊歩道は一応手入れされていますが、教会の礼拝は二週に一度だけだし、こんな人口密度の低い場所では通う信者は殊更少ないと見え、草も大分伸びていました。

真っ平らな土地だから、ドライブ中に遠方からでも教会が見付けられるだろうと思いきや、道路脇にはイギリス特有のサンザシの生垣が沿い、更に教会自体も背が低いので、意外と見付け辛いようです。

辺り一面、こんな草原と言うか牧草地。高く伸びた夏草が風にそよぎ、波か羊の毛並みのよう。近辺には集落すらなく、農家がぽつぽつと立つのみです。

牧草地には小川と言うか水路が張り巡らされていて、更に遊歩道以外は草の背丈が高過ぎダニにでも食われたら大事なので、好き勝手に進める訳ではありません。

教会へは、水路に掛かる木橋を通って行きます。

北側から、教会に近付いて行きます。この教会は、「St Thomas Becket Church, Fairfield フェアフィールド村のセイント・トーマス・ベケット教会」、または「Church of St Thomas a Becket」と呼ばれ、12世紀後半に建てられました。トーマス・(ア・)ベケットの名は、12世紀に国王ヘンリー二世と対立し、暗殺され殉教者及び聖人となった、カンタベリー大聖堂の大司教に因みます。

東側。下部は煉瓦造り、上部は木造。内部は、木組み+漆喰壁のようです。これらは、18世紀に大きく修復されました。

東の祭壇部分には、小さなステンドグラスが嵌め込まれているのが分かります。

妙に現実離れした光景で、我ながら写真ではなく絵画のようだと思いました。こんな印象的な教会なので、TVや映画の撮影にも度々使われるそうです。

独特な立地の上、天候に寄っては非常に映える為、長時間粘って写真を撮るアマチュア・カメラマンも少なくないようです。

教会の入り口は、ぐるっと回って南側にあります。鍵が掛かっていましたが、時々内部を公開している事もありますし、予め近隣(と言っても1㎞近く離れているかも)の管理人に連絡すると、開けて貰えるそうです。

窓から中を覗いてみたところ、壁が分厚いせいか、一層こじんまり見えました。18世紀の内装が、そのまま残っていて興味深いそうです。


 

南側にも木橋が架かり、公道からの遊歩道が続いていたようですが、木橋の先は草が深く茂って長年使われていないようでした。

教会の周りには寄贈された墓碑代わりのベンチが設置されているものの、草が深過ぎて座れない…。(※ダニは本当に怖いです!)


南側と西側は、水路に囲まれ夏草も深く、引いて写真を撮る場所がありませんでした。

西側。遠景から撮影しています。

西側の塔は木造。

俗世からわざと遠く離れたような特別な立地の教会は、世の中に結構存在するものの、私が山育ちなせいか、小高い丘の上に一軒だけ立つ教会より、こんな見渡す限り平坦な土地の教会の方が一層孤独に見えます。夏なのに薄い日差しに照らされそよぐ夏草が、更に哀愁を感じさせました。洪水被害がどんどん増えて来ている今のイギリスでは、こんな海抜の低い牧草地は雨季の冬が来る度に水没しますし、その上ここは元々干拓地。この貴重な教会が、気候変動の被害に遭わず、ずっと無事である事を祈っています。




2024/02/04

樹脂製の果物籠のブローチ

 

昨年秋頃のフリマで買った、バスケットに入った果物を模った樹脂製のブローチです。素材はベイクライトやセルロイド等のオールド・プラスティックではなく、ピンの形態からもそう古くはなさそうです。

しかし、どうやって形成したのか謎な程、細かく深く立体化されています。型抜きでは難しそうだし、かと言って手彫りでもなさそう。

幅は6cm位で厚みも最大1.5cmあり、ずっしり重みのある密な樹脂です。

全体的に、彩色がクドくて毒々しいのが眼を引きます。端に多少カケがあり、素材の地色は黄色ではなく白なのが分かります。モチーフ自体は可愛く形成も良く出来ているのに、もう少しあっさり美味しそうに彩色出来なかったもんかなーとも思います。

 

 

 


2024/02/02

紅いキューピッド

 

昨年バービーとケン用にクリスマスのペア・ルックとして、実は最初はこの赤いハイウェストのワンピースをバービー用に縫いました。しかし仕上がってから実際に予めモデルに決めていたバービー・エクストラに着せて見ると、…明らかに似合わない! 

デザインが合わないのではなく、そのバービーの濃い目の肌色に渋めの赤の布地が映えないのです。日本では「色白は七難隠す」と言われていますが、似合う服の色を選ばない点では、色白は確かに優位だと思います。一方、褐色や黒の濃い肌色には返って映える色がはっきりしていますが、微妙な地黒には合わせる色が難しいのです。

うちで新ボディの色白のバービーさんは、今の所LOOKSの高身長バービーだけです。このワンピは確かにその肌の色には合いましたが、今度は身長の高さと顔の怖さ…いえシャープさには、デザイン自体が合いませんでした。

そこで、赤いからバレンタイン・デイのドレスとして、Sindy Play」の色白ミュージシャンのシンディちゃんにモデルになって貰いました。 

バービー用に作ったアウトフィットは、大抵momoko DOLLには大き過ぎてブカブカですが、シンディなら新旧共に着こなせる物が結構あります。

バービーの袖はシンディには長過ぎるものの、これは元から五分袖に仕立てていたのがラッキーでした。…シンディにとっては、最早五分丈じゃありませんけど。

レースや別布等の装飾に頼らず、今回はこの赤い布だけで仕立てようと、何故か最初から思っていました。この布は、最早フリマかチャリティショップのどちらでで買ったのかさえ憶えていない中古布で、綿100%のはずなのにかなり光沢があります。しかし織り目は結構粗く、綿サテンとかではありません。

別素材が一切ないせいで、やはり地味さは拭えないワンピですが、このカーリーヘアがゴージャスなシンディちゃんには丁度良いバランスに見えます。

フットウェアはハイ・ヒールにしたかったのですが、シンディの足に合うヒール靴がなく、フラットなメリージェーン(ワンストラップ)靴に合わせて、随分子供っぽくなりました。

可動式ボディの割には、可動域が意外と狭くてポーズを取りにくいSindy Play。特に肘が余り曲がらないのは、感情の表現が限られて難点だと、改めて思いました。

 

 


2024/02/01

雪こんこ

 

昨年のクリスマスも、お友達のキチ吉ちゃんは嬉しい物を沢山贈ってくれました。昨年秋に京都を訪れたそうで、今回はそのお土産も色々入っていました。その一つが、この老舗和菓子屋「亀屋良長」の京干菓子です。


蓋を開けてみて、ひゃ~期待以上に萌える♡と、思わず撮影しました。純白の雪の結晶型&ニッコリ可愛い雪だるまの落雁、白い金平糖の詰め合わせです。そして大き目の銀色のアラザンが、粋なアクセントに。

基本的には砂糖の味しかしない訳ですが、落雁のホロホロ、金平糖のカリカリした独特な食感を楽しめ、和三盆の甘さは滋味深く繊細です。渋い緑茶と一緒にちびちび頂くと一層味わい深く、これはP太も気に入っていました。見た目的にも甘さ的にも、イギリスのお菓子の対極を行きます。ところで、イギリス南東部では降雪、まして積雪は稀とブログに書いていた頃、丁度珍しく雪が降りました。積もったのはせいぜい2、3㎝でしたが、その後最高気温でも2度程度の寒い日が続き、日陰では3、4日は雪が消えませんでした。2月に入ってからドカ雪が降ると言うのも、あり得なくはありません。