昨年の夏の日が長い頃の日曜日、いつもの朝遅めに始まるフリーマーケットから帰って来て、「天気が良いから未だ何処かで歩きたいなあ」とP太が言い出しました。じゃあ今まで行った事のない散歩道に行こうと提案し、海辺の町Brighton ブライトン近くのDitching Beacon ディッチリング・ビーコンへ車で出掛ける事にしました。
其処はブライトンの北のSouth Downs サウス・ダウンズ国立公園内に在り、NT(ナショナルトラスト)に管理されて駐車場が設置されています。自動車道は、ディッチリング・ロードと呼ばれる細いほぼ山道のみが通じています。
1970年代辺りの地図を見ると、この道路はブライトンから行き止まりで未だ貫通していませんでした。私達はその道を今までも何度も車で通過した事はありましたが、ディッチリング・ビーコンで車から降りて歩いた事は未だありませんでした。
海抜は248mで、イギリス南東部としてはかなり高い丘です。Beacon ビーコンは狼煙の事で、昔はここに狼煙台が立っていた事を意味します。当然眺望の利く立地だから選ばれた訳で、ここには紀元前の鉄器時代にはHillfort 丘砦も築かれました。
イギリス南東部の海岸線に沿って、東は海辺のリゾートの町Eastbourne イーストボーンから西は大聖堂都市Winchester ウィンチェスターまで続く、国内で最も新しく認定された国立公園サウス・ダウンズは、大抵南側は比較的なだらかで徐々に標高が上がって行きます。
しかし北側は、突然丘が終わるように標高が下がり、急な斜面になっている場合が多くあります。このディッチリング・ビーコンは北端で、ほぼ崖上に近い尾根沿いの遊歩道が東西に延びています。
北には、ディッチリングと言う雰囲気の良い古い村が見下ろせます。
また、「Jack &Jill」と呼ばれる白い風車も見えます。ハンガリーの友達の話だと、ハンガリー国内にはこんな古風な風車はもう一基しか残っていないそうです。
この西の先には、もう一つの「Wolstonbury」と呼ばれる鉄器時代の要塞遺跡が在ります。
北西の風景。ひたすら長閑な田園地帯が広がっています。
南はブライトンの町で、その先には海が薄っすらと見えます。
我々は駐車場から西側の遊歩道はここで引き返し、今度は東側を歩いてみます。
東側の遊歩道には、羊が放牧されていました。
牛も居ます。
勿論自然は豊かな場所で、野の花を沢山見掛けます。
天然の花畑が広がった牧草地も。
始終こんな景色を眺めながら、暑い日でも爽やかな海風が届き、しかも遊歩道自体にはほとんど高低差がなく歩けるのだから、散歩を楽しむのには打って付けの場所です(ただし家畜のフンは避けて歩かなきゃいけないけど…)。
そもそも、この尾根道自体がSouth Downs Wayと呼ばれる古代の街道で、実は遊歩道沿いには古墳だらけのはずなのです。しかし、生憎はっきりとそれと気付ける土饅頭には出会えませんでした。
もしかしら、このボコボコした部分がそうなのかなあと、一応写真を撮ってみました。
東を進むと、Seven Sisters セブン・シスターズの白い崖がほんの少しだけ見えました。
この東の先は城下町Lewes ルイスに繋がり、その手前には13世紀の古戦場が在ります。
我が家からそう遠くなく、歩いている間はずっと眺望が楽しめる格別な遊歩道ですが、ここには滅多に来れなさそう…。何故って、人気の割にNTの駐車場が狭過ぎて、非常に駐車し辛いからです。我々は比較的遅く到着したから一つだけ空きを確保出来たものの、特に週末&休日は避けた方が良いかも。
公道を塞いでまで駐車する身勝手な人も多く、実際に路線バス(が通るんですよ~)はしばらく通過出来ず立ち往生していました。中に一人乗っていた観光客らしきアジア人の女の子は、物凄く不安そうな様子でした。自分が一人旅をしていた頃を思い出し、気の毒に思いました。
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