今日から春節、つまり陰暦に則った旧正月で、中華圏ではカレンダー上(太陽暦)の元旦以上に大々的に祝うそうです。バービー人形を企画・製造する米国マテル社では、毎年この時期に大人向けコレクタブルズの「Lunar New Year Barbie」を発売します。もしかしたらマテル本社の中国系デザイナーが企画しているのか、これが全て中々優秀なデザインなのです。漢服風もあればチイパオ等の満州服風、京劇の衣装風もあり、誰もが一目で中国らしいと分かる上にお洒落で美しく、更に毎年印象も違って新鮮に見えます。
その中でも2021年版の赤いチイパオ姿のバービーと、2023年版のモダンなショート・ツーピース中華服+外跳ねボブのバービーは、特に美しくスタイリッシュで素敵です。
しかし、どの春節バービーも実物を見ていないから、パッケージやウェブ上の写真で見る程は、「バービーあるある」で本当は素敵ではないのかもと疑っています。特にチイパオの柄は刺繍ではなくプリントのはずなので、近くで見ると安っぽいかも知れません。また、春節バービーのボディは可動式ではなく簡素なタイプみたいで、あくまで着せ替えして遊ぶのではなく、コレクションとしてデフォルトの衣装のまま飾るのが目的なようです。
アジア人バービーのリペイントをしていて、自分で2021年春節バービーに似たドールを、MTM(Move To Move=現在バービーのボディの中で最も可動域の広いタイプ)ボディを利用して作れないものか?と思い立ちました。
元になっているヘッドは、最も安価なファッショニスタ・バービーの東洋人版。元々のボディも、腕も広げられなければ首すら傾かない、単にプラスティックの塊のような一番安いタイプでした。ついでに、髪質も粗悪なパサ付き易い熱に弱いタイプ。しかし前にも書きましたが、フェイス・プリントを落とすと、バービーの顔のモルドとしては、もしかしてこれが一番優れているのでは?と思える程、変なクセがなく整って見えます。
2021年春節バービーの雰囲気は目指すものの、顔を模写するつもりはなかったので、兎に角自分で描き易いように、アジアン・ビューティーになるようにだけを目標にしました。しかし、グランスだけは真似しました。
バービーの基本は正面向きの瞳ですが、たまに2021年春節バービーのような横目向きも存在します。顔を模写しなくても顔型はほぼ同じはずだし、仕上がりはそう違わないだろう…と勝手に思っていましたが、仕上がってから気付いた事には、色気が本家にまるで及ばない(苦笑)。
今回は顔のリペが仕上がってから、ボディをMTMに替えました。しかし、元のボディの首からヘッドを引っこ抜く際に、お湯で温めて素材を柔らかくしてからでも、まるで親の仇のようにとんでもなく抜けにくく、力任せにヘッドを大きく捻ってしまい、ペイントが剥げ描き直す羽目になりました。特に、唇は塗装が落ちて寄ってしまい、その上に再びペイントしたのでガサガサ大荒れに。教訓:ボディの交換はリペの前に!その上、元のボディの首のジョイント(別名:首ち★こ…)が外す際にボキーンと壊れてしまい、それは安い使い勝手の悪いボディだったから構わないのですが、折れたジョイントがヘッドの首穴の中に残ったままでカラカラ音がします(苦笑)。小さな首穴からジョイントを引っ張り出すのは、これまたリペを傷めそうな程大変で見送っています。
ピュアニーモやオビツ・ボディのように交換するのを前提に作られていないせいか、今のバービー人形の首は、全般的に非常に抜きにくくなっています。特に色白のMTMボディは、私は一体しか持っておらず使い回するつもりなのに、ヘッドを引っこ抜く際にジョイントを折ってしまっては元も子もありません。今後交換し易いように、ジョイントと首穴に小細工をしました。
2021年春節バービーは、赤地に水色のパイピングのチイパオでしたが、私は逆の水色地に赤いパイピングにしました。赤地で最も適した和柄生地では、既に何度かチイパオを作ってしまったし、この水色地は金彩の割合が一番多く派手で、更にこの生地で和服はもう何着か作ったから、違う印象で見てみたかったのです。
中華サテンもフリマで幾つか手に入れましたが、今回も金彩多めの和柄コットンでチイパオを作る事に。ボディ・コンシャスなフォルムで、更に自分で作成した初めての型紙で作るとなると、ツルツル滑るサテン地では自信がなかったからです。
結局、その選択は正解でした。このバービーのボディにチイパオを作るのは本当に難しく、試作一着+三着挑戦して実はこれが四作目です。型紙なんて、五、六回作り直したかな。未だフォルムがヘンで満足出来ませんが、流石に飽きてこれで以上作る気になれず、一応完成~と言う事に無理矢理しました。
もしバービーのMTMボディ・サイズ用の、基本となるタック入り身頃の型紙が何処かで手に入れば、少しはマシ&ラクだったはずですが、海外のダウンロード可な型紙は信用ならないし、日本ではバービーでドル活する人口が少なさそうな上、現在のバービー用の型紙が掲載されているドール服本なんて手に入るとは思えません。昔のバービーの服本なら何冊か持っているものの、その頃のバービーとは大きく体形が違います。
チャイニーズ・ノットも、基本の「あわじ玉」と言うのさえ上手く習得出来ず、仕上がった時はボンドでベタベタ&ガビガビに(涙)。しかも苦労して仕上げたのにも関わらず、どう見ても服に対して大き過ぎ、一度貼り付けた物を外し、更にベタベタになりながら作り直しました。
MTMボディの関節は概ね固めなものの、足首の関節だけは緩過ぎて、こんなヒール靴を履かせても、勝手に踵がカクンと曲がってしまいます。着物の草履&足袋を履かせて立たせるなんて、スタンドを使っても無理そう。
肘が180度も曲がるのは素晴らしいのですが、肝心の腕自体が脇に密着出来ないのは、文字通り脇が締まらない気持ちになりやはり残念。バービーの他の可動式ボディに比べ、腕が少しだけ逞しいのは気に入っています。
あと、多くの日本人が指摘しているように、こんな露出の多い服装の場合、バリ(型から抜いた後の樹脂のはみ出し)が多いのはやはり気になります。肌の色は、バービーの中ではこれが一番白いそうですが、MTMボディを日本のドールに挿げ替えようとすると、これでも未だ肌の色が濃過ぎて合わない事が多いようです。
ボディの付いたままのヘッドの方が抑え易くリペし易いので、ついボディを替える前にリペしてしまい失敗しました。髪をカットするなりパーマする場合でも、リペの前にするのが望ましいのですが、リペしてから目指すイメージが固まり、後から髪型やボディを替えたくなる事が度々起こります。
今後は、まず元のフェイス・ペイントを落とした後に、予め首を引っこ抜いてボディを替え易く改造しておく、西洋のファッション・ドールをカスタムする場合は、これが鉄則だと思います。
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