何体かのバービー人形の顔をリペイントしていて、やはりボディはフル可動式に交換したくなり、ずっと中古でMTM(Made To Move=通称ヨガ・バービー)を探していました。しかし数年見付からず、出会っても足を失って壊れていたり、カーヴィ(デブ)タイプだったりで手に入らず、こりゃ新品を買うしかないかなあと思っていました。
人種の坩堝のアメリカのデザインの人形ですので、MTMボディだけでも約10種類の肌色が存在するらしく、更に体型も基本の他に長身、小柄、太目と用意されています。この中で、バービーとしては最も一般的な日焼け肌色と、赤毛や東洋人に使用される白肌の二種類の基本体型は、自分に必要だと思っていました。
しかし近辺の玩具屋を何度もチェックしても、何故か白人&東洋人の簡易仕様のMTMバービーは長らく売られていません。Amazonで購入するしかないと思っていた矢先、普通(日焼け)肌の方のMTMは、地元チャリティショップで入手する事が出来ました。
販売されていた当時は、こんなヒドイ恰好をさせられていました。実は向かって左の網タイツの下の脚にはテープがべた~っと貼ってあり、もしかして折れてるの?!と焦りましたが大丈夫でした(べたべたは中々落ちなかったが)。多分初めてMTMのスタンダード・ボディの実物をヌードでちゃんと確認し、バランスの良さに改めて惚れ惚れします。何処も誇張されていない、無駄のない健康的で自然で美しいバランスなのです。長身バービーのように、妙に間延びした寸胴でもありません。
クローズ・マウスなので、バービーにしては品が良くバカっぽくもなく中々の可愛さ。気に入らないのはリップの色だけで、もしフェイス・プリントのドットが荒くなければ、別に総リペイントする必要もないんだけどなーと思った程です。ちょっと調べたところ、この顔のモルドには「Millie Close Mouth」と言う名称が付いていて、大人のバービー・ファンの間では人気があるそうです。ツイン団子頭のExtraのバービーも、姉の買ったお高い実写映画版バービーも、恐らく同じ顔型を使用しています。MTMボディのブロンド・バービーには、こんな口を閉じている人形は余り存在せず、一体どのMTMバービーなのかは中々突き止められませんでした。着ているピンクのトップは実はステッフィ人形の物だったから、推測の助けには全くならず。耳から生えているんじゃないかと疑う程深くガッチリ刺さっていた、でっかいループ型のイヤリングのみが、多分このドールのデフォルトで、今では「車椅子バービー」じゃないかと推測しています。
更に、プレイセットや幾つかの小物も勝手にセットされて、チャリティショップでは売られていました。多分、元持ち主から単に一緒に寄付されたのだと思います。流しの付いた調理台は、Doughと言うシリーズの、粘土で食べ物のミニチュアを作る遊びのセットだったようです。
小物は犬用の骨型おやつ、ピザ、医療カルテと聴診器、哺乳瓶?で、これまた雑多な寄せ集めです。見た目も造りもチャチいので、今後ドル活に役立つかどうかは謎ですが、これで合計4ポンドなのは、チャリティショップとしてはかなりお買い得でした。
出来る限りオリジナルの顔の造形からは大きく変えないつもりで、こんなリペになりました。元が酷い顔の人形は心置きなく改造出来ますが、元から大して問題のない顔立ちの人形は、果たして改善出来るかどうかそれなりに緊張します。少なくとも、ケバさ&老け顔は回避出来たと自分では思っています。クローズ・マウスってのが、やっぱりつくづく重要。あくまでナチュラルな雰囲気を目指すのって、最小限の表現勝負だから、化粧で盛り捲っても平気なケバい顔にするより返って難しいといつも思います。
モード系は勿論、クラシックな衣装もナチュラルも似合う雰囲気にはなりました。ドールのリペイントが上手くなりたいのは確かですが、それよりも私にとって大事なのは、着せ替えしたくなる、服を作って上げたくなる人形に出来るかどうかと言う事です。
髪の状態も悪くありませんでしたが、どうせなので、お湯パーマでウェイビーに変更し、少しだけ華やかに柔らかい雰囲気を目指しました。リップの色は控え目にし、グロスはパール入りを使用しました。
このバービーには、まず茶系の服装を着せたいと思いました(秋ですし)。そこで、茶系のコットン生地を組み合わせ、ハイウェスト+二段切り替えのスカートのワンピースを作りました。この生地の組み合わせは、派手になり過ぎないよう、しかし寂しくなり過ぎないよう自分なりに結構考えました。
ところが!最初はカントリー・スタイルやロハス系、欧米で言うとBOHOっぽいファッションを目指すつもりだったのに、地味顔が仇となり返って老けて見え、単なる田舎のばーちゃんそのものの恰好になってしまった…。
元々グラニー・スタイルは好きだし、大筋は外れていないはずなんですけど、今時の服装らしさはまるでなく、メルヘン界の住民みたいと言うか、虐げられていた時代のシンデレラっつうか。
ベージュ色のショールや籠バッグを合わせたのが、やり過ぎだったかも。
ショールに使用したウール生地は、高級な毛布に使われそうな上質のツィードです。今年の夏頃に山小屋風チャリティショップで、全幅×1m位を1ポンドで手に入れました。
1/6ドールにとっては当然厚めですが、目は詰まってアイロンもまあまあ利くし、シンプルなコート位なら作れそうな生地です。
この樹脂製の籠バッグは、多分玩食のミニチュア。今年東京の姉の家の近所のホビー・オフで、百円程度で買いました。凄く良く細かく出来ていますが、多くのドールに持たせるのには重過ぎるのが難点です。しかしMTMボディは可動式の中では関節がかなり硬い為、珍しくこの籠を持たせる事が出来ます。
元々濃い目の肌の色に馴染み易いように茶系の服装を選んだはずだったのに、やはりこの肌色は撮影し辛い…。髪色が白飛びし易く、ブロンドと肌色が不自然で合っていないのだと思います。
MTMボディ自体は、素材的に割と丈夫そうで、紫外線や経年にも比較的強そうです。しかし比重が高くて重量がある為、更にバービーの足は1/6ドールとしても小さ目なので、ブーツを履かせても安定が悪く、撮影用に立たせるのが結構大変でした。
momoko DOLLのように関節が緩過ぎるのも問題ですが、MTMの関節は足首以外は固過ぎて扱いにくく感じます。
そして、本来MTMボディの肘は180度曲がるはずで、実際に関節自体もそう言う造りになっているのに、このバービーの肘は何故か90度までしか曲がりません。
力任せに曲げようとしてバキッと折れては本末転倒なので、このままで諦めています。更に、脇は相変わらず締まらない造り。 手を顔に近付けられると、表情が豊かに見えてかなり嬉しい可動域なんですけどね。
Millie(バービーの本名「バーバラ・ミリセント・ロバーツ」から来ている名称のようだ)の顔型は、馬面じゃないし目鼻口等の位置のバランスの良いモルドなのが魅力ですが、 少しでも下から見上げる角度だと、顎のラインが結構角ばっています。西洋では、女性のエラ張りは賢い顔の象徴と見なされるので、もしかしたら知的に見えるように工夫がなされているのかも知れません。
自分史上、最もケバくないバービーには仕上がったと思います。しかし彼女に初めて作ったアウトフィットは満足出来なかったから、今後はもっと似合う格好を追及して作って上げたいと思います。
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