アニメ「薬屋のひとりごと」の二期が始まったので観ていますが、設定やキャラクターの確認の為に、改めて一期全話を見直しました。すると、最初に観ていた時より、二回目に続けて観た方が返って面白く感じられました。伏線が巧妙に張られていて話の組み立てが上手く、物語に引き込まれ易いのが一層分かります。
そして、昔の中国の架空の帝国の宮廷や花街を舞台にしているので、漢服風の華やかな衣装が多く登場するのも魅力です。そんな服装を見ていて、改めてドール用に作ってみたい気持ちがムクムクと湧いて来ました。
古代~中世の中国を舞台にした日本の漫画やアニメの登場人物は、概ね漢服っぽい恰好をしています。しかし、これらはあくまで漢服のイメージでアレンジされた物であって、歴史的な根拠のあるデザインではなさそうです。
厳密には時代や王朝に寄って、当然それぞれ特徴や流行が大きく異なっていたはずです。それを漫画やアニメの中では大抵一緒くたにして、更に創作を加えているように見えます。
「キングダム」にも、紀元前にこれは絶対ないだろってな恰好が沢山登場します(そこが好きだが)。私のも、あくまで「漢服風」の自分勝手なデザインです。ついでに、「薬屋~」に登場する衣装でもありません。
前にも書きましたが、現在中国風の衣装の代表とされているチイパオは、実は清朝の服、つまり満州族の民族衣装が元になっていて、1920年代に生まれ流行し世界に広まったそうです。これに対し、中国の大多数を占める漢民族の伝統的な衣装なのが漢服で、チイパオとは掛け離れています。
それ故に、漢服を中国の代表的な民族衣装として世界に広めよう!と言う「漢服復興運動」が、主にℤ世代の間で活発化していると聞きます(正直単にコスプレを楽しんでいるだけにも見えるが…)。
日本の着物が現代風に自由にアレンジされて着付けされる事もあるように、この現代の漢服も様々に今風にアレンジされているようです。
日本の着物、そして多分朝鮮半島のチマチョゴリも、この漢服が元になっているようです。どちらも、袷は右前です。着物が今でも時に呉服(呉=古代中国の国名の一つ)と呼ばれるのは、その為です。因みに、ベトナムの越服や琉球王国の流装も、漢服の影響を受けているそうです。
残されている資料が極めて少ないのではっきりはしませんが、飛鳥~奈良・天平~平安時代初期の日本の宮廷衣装は、漢服の基本にかなり近かったと言われています。
ただし高松塚古墳の壁画の貴婦人像を見ると、袷が左前になっています。この頃は右前の習慣が未だ入ってこなかったのか(日本で法律化されたのは719年)、高貴な身分だから左前なのか、それとも墓所の壁画な為、あえて埋葬者に合わせて左前にしたのかも知れません。
今回のモデルは、リカ城お人形教室スタンダードの紫髪リカちゃんに、ピュアニーモ・フレクションSボディを初めて合わせてみました。肌色も首穴の大きさも全体的なバランスも、大体しっくり来るようです。
最初はピュアニーモ2エモーションを合わせるつもりでしたが、上半身が余りにも華奢で肩幅がなく、この衣装を着ると撫で肩どころか全くの肩無しになってしまう為(普通は袷には撫で肩の方が似合うのですが…)、肩に丸みのあるフレクションに替えました。
私が作ったこの服装は、上衣、下衣、帯、髪飾り、唐団扇、領巾(ひれ)のセットになっています。本来の漢服の素材は絹や麻のはずで、それに対し綿の歴史は比較的浅く、「薬屋」の中でも綿は高級品だと言っています。
しかし現在の女性用漢服を見ていると、オーガンジーやチュールが多用されているように見えます。色も素材も兎に角淡く夢可愛いイメージで、天女のようなふわっとした嫋やかさが身上のようです。
ところが1/6ドールの大きさでそのふんわり具合を再現するとなると、小さなサイズではドレープが同じようには寄らず、相当難しいと実感しました。
私が作った漢服擬きは、下衣は綿ローンとチュール生地で出来るだけ柔らかく表現したものの、上衣はシーチングみたいな生地なので、袖にカッチリと張りが出過ぎてしまいました。
下衣のチュールは、随分前にフリマでインド人女性から買った物。元々ラインストーンが貼り付けてある、刺繍の美しい生地です。本来下衣は巻きスカートだそうですが、私のは全く普通のギャザースカートで、後から普通のコーデに使い回しするつもりです。
あちこちの装飾に使った普段は安っぽいだけの金プラが、ここでは中華っぽさを高めるのに中々良い仕事をしてくれています。
髪飾りの大きなオーガンジーの花は、最近山小屋風チャリティショップでパックで買った造花。袋に漢字が書いてある丁度中国製で、ピンク系の中々素敵な微妙な色合いが揃っていました。
ドールに対してはかなり大きな花ですが、ヘアアレンジをする技術がまるでなく、ヘッドドレスでしかそれっぽさを出せない為、なるべく大袈裟にしてみました。
領巾は、地元チャリティショップで買ったラメ入りチュール地を、細長く切っただけ。辺り一面ラメをぼろぼろと零して撒き散らし、自分の顔までラメラメになりました。
漢服(擬き)を作ったら、この手前の袖の中で手を組み合わせる中国人の典型的なポーズは、是非させてみたいと思っていました。しかし生憎フレクション・ボディでは、中々上手く出来ませんでした。
ホント自分で見ても、漢服と言うよりは中華魔法少女とでも言ったコスプレのようで、色髪だから尚更アニメかゲームのキャラクターみたいに見えます。
昔の中国を舞台にした漫画やライトノベルは、今は定番の一つと言える程珍しくないようで、一昨年前の帰国時には「後宮の烏」と言うアニメをアマプラで観ていました。やはり中華風の仮想の帝国を舞台としたラノベが原作で、宮廷の難事件を少女が解決する話です。
しかしこちらの主人公は不思議な力を持ち、起こる事件も心霊的なファンタジーなのに対し、「薬屋」の主人公・猫猫(まおまお)は幽霊や呪いを否定し、豊富な医学の知識と好奇心で科学的に事件を解決するミステリーです。
もし濃い緑髪のリカちゃんを持っていたら、猫猫風リカちゃんを作ってみたかったところですが、次回帰国した時に、再びリカちゃんキャッスルに行って手に入れるしかなさそう。もっともその前に、姉から頼まれている「葬送のフリーレン」リカちゃんを完成させないといけないのです💦