祝! 映画「キングダム3」公開(…イギリスじゃ観れんけど)。と言う訳で、キングダムのヒロイン羌瘣(きょうかい)の衣装を、リカちゃん人形用に作ってみました。
羌瘣は、紀元前中国・秦国の女性武将で、伝説の女暗殺者集団一族の出身と言う設定になっています。登場当初は、「嫌いな事は喋る事」と言い放つ目付きの怖い子供でした。しかし、それは一般社会から隔離された特別な環境で育ち、過酷な経験を経て復讐のみに心を曇らせていたからで、決してドライでニヒルな性格ではありません。
その後、主人公の信が率いる飛信隊の仲間達と交流する内に、心を開き生きる希望を見出し、信の片腕的な慕われる副長になります。
羌瘣は独特な剣術の達人で、その戦闘能力は、超人的な強者揃いのこの話の中でも屈指の高さです。尚且つ頭脳も明晰で、軍師並みの戦略や適格な判断力にも長けています。
加えて眼の覚めるような美貌の持ち主な訳ですが、大喰らいだったり子供の作り方を大きく勘違いしていたり、お茶目な所もある魅力的なキャラクターです。
民族衣装や漫画やアニメの服を作る時、まずその構造から探ります。実物が手元にないと、幾らネットで検索して見ても、服の構造を掴むのは容易ではありません。特にアニメや漫画の衣装は、構造が被服として現実から掛け離れている事も良くあります。しかしドール服の場合、本物と同じ構造に作る必要は全くないのです。
この羌瘣の衣装は、元は①白い袖の長いブラウス(多分前袷)②赤い袖無しの袷の上衣③赤い前後エプロンのような前立て④黄色か白の帯⑤白いスヌードかマフラー⑥文様の入った鉢巻き⑦モモテコのようなダブっとした白いクロップ丈パンツ⑧地下足袋のような白いショート・ブーツ…から成り立っているようです。多分基本的には漢服の原型のような衣装で、どちらかと言うと着物に近い構造だと想像しました。
しかし1/6サイズのドールでは、どんなに薄い布を使用しても、三枚も重ねると布の厚みが出てモタ付いてしまう為、私は①②③は一体化させました。袖付けも、漢服や和服のような直線的な筒袖式ではなく、普通の洋服のようなカーブのある袖ぐりのパターンにしています。
赤い上衣と前立ての装飾の要となるトリミングは、アニメの初期では紫に黄色い縁取りでしたが、現在は黄色に紫の縁取りに変更されていました。原作漫画や映画で確認すると、紫地に黄色(多分金色)の古代文字みたいな文様の刺繍が入っているような仕様です。しかしそんな物が1/6ドール・サイズで、しかもこのイギリスで手に入る訳がないので、私は黄色い綿テープにしました。赤地にこの黄色を合わせると、中国ゥ~って感じが漲ります(笑)。
脇のスリットも、どうすれば良いか迷いました。もし着物のような袷であれば、右側(向かって左)のみに開きがある訳ですが、華麗な剣さばきの際にあれ程広がるはずがありません。
また画面に寄っては、右側だけでなく左側にもスリットが入っている場合もあります。もしかして、袷なのに更にスリットが入っている造りなのか??とも思いました。兎に角ポーズを取り易くする為、私は両脇にスリットを入れました。「トーンタンタン」は、絶対させたかったしね。
彼女の暗殺団一族に伝わる殺人技の最奥義は「巫舞(みぶ)」と呼ばれ、その名の通り巫女がクルクル舞い踊るような、目に見えぬ程の速度と跳躍力で人を斬る恐ろしい剣術です。
「トーンタンタン」は、その時の合図と言うか調子を整える為の拍子です。
ただし巫舞は、呼吸を殺して神憑りなトランス状態になる為、持久力には乏しく長期戦には全く不向き。更に体力消耗が激しいので、この術を使った後しばらくは戦線離脱を余儀なくされます。
「トーンタンタン」には欠かせない、羌瘣の愛剣「緑穂(りょくすい)」とその鞘も制作しました。土台の材料は、アイスキャンディの棒と厚紙!
我ながらすっごい稚拙ですが、制作自体は楽しかったし、自分で初めて作ったドール用剣だから、それなりに愛おしく感じます。鞘は、もう少し小さく作るべきでした。
この衣装が実際に戦闘に向いているかどうかは兎も角、謎めいた巫女っぽさがあり、ひらひらした長い袖や翻る裾など、彼女の動作の魅力を最大限に見せるよう考えらていると思いました。ドール用でも上衣や前立ての裾は、黄色い綿テープのお陰で張りが出て、躍動感を加えるのに役に立っています。
ただし甘い顔立ちのリカちゃん+あんこ型のピュアニーモSボディでは、どう頑張っても強く見えないのが難点。可動域にも限界があるし、例えポーズ自体は中々上手く出来たと思っても、何せスタンドを使ってさえ立たせる事すら難しく(特に一本足は無理~)大変苦労しました。
漫画やアニメの実写化は山程ありますが、良作は勿論、ツッコミ処が楽しいので駄作も含め、概ね全てに興味があります。その中でも映画版「キングダム」は、最も成功している作品のようです。
中国本土で大掛かりな戦闘ロケをする、邦画としては破格の予算の掛け方ですし、役者もイメージに合った贅沢な顔ぶれが揃っています。何よりキャラクターの再現度が中々素晴らしく、長いストーリーを無理に端折るのではなく適度に区切り纏めている点も正解で、改めて実写版の成功の鍵は原作へのリスペクトだと思い知らされます。
おまけ。実家には、何故か「河了貂也~」の蓑ような物が長年飾ってあります。セリアのあのドール・ボディの手足を付けるのに、ぴったりな大きさ。こう言う意味不明なお土産物って、結構あちこちで売られていますよね??
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