秋のリンカーン旅行では、郊外のB&Bに宿泊しました。P太は出来れば旅行中の夕食時にはアルコールを楽しみたい為、宿内に食事の出来る施設があるのに越した事はありません。しかし宿はB&Bなので、夕食は取れませんでした。でも歩いて行ける距離内にパブがあるのを確認した為、この宿を選びました。
ところが、当日の夕食時は酷い土砂降りで、数百メートルでも歩ける状態ではありませんでした。そこで宿の女将さんに、多少運転しても構わないので、近場でお勧めの飲食店があるかどうか尋ねました。彼女の一番のお勧めが、この「CENTURION」と言うパブでした。この周囲で最も雰囲気が大人っぽく、評判も良いとの事です。私も前もって宿周辺の飲食店を調べていた所、ここが一番期待出来そうに思っていました。しかし、徒歩で行くにはちと距離があり過ぎ、ここで食事する事はないだろうと思っていました。思わず私は女将さんに、「其処は何か郷土料理が食べられるパブですか?」と尋ねました。彼女は一瞬戸惑って、「…あの、有るのは普通のパブ料理ばかりよ?」と答えました。私はすぐに、「このイギリスで大変バカな質問をしましたあああ」と反省しました。
かなり広い店内でしたが、金曜の夜と言う事もあり、ほぼ満杯に近い状態に非常に混んでいました。数組の家族が誕生会らしき物を祝っていて、子供も多く騒がしいのは否めませんでした。
まず通されたテーブルに、でっかいQRコードが貼ってあるのに気付きました。これをスマホで読み込むと、パブのメニューがダウンロードされて料理を選べ、ウェイターorウェイトレスが来なくても注文&支払いが完了し、誤注文もなくスムーズに給仕が運ぶ仕組みです。こんなシステム、イギリスでも初めて見ました。こんなに混んでいてウェイトレスが中々回って来ない日には有効だと思い使用してみましたが、自分で支払いのカードの番号を入力するのが中々手間で、更に実際に料理の量を確認してから追加注文出来ない点が面倒だと分かりました。
確かに、飲み物は注文後ただちに運ばれて来ました。「Black Sheep」と言うクラフト・エールで、大変美味でした。しかしヨークシャー産で、地ビールと言う訳ではありません。「あれ、車で来たんじゃないの?」と思われるかも知れませんが、念の為イギリスでは、ビール一杯位で飲酒運転で逮捕される事はないのですよ。
そして、料理自体は待てど暮らせど来ませんでした。これだけ混んでいるから仕方ないとは自分達に言い聞かせましたが、結局一時間以上待たされました。その間壁の音声無しTVのニュースを見ているしかありませんでしたが、お粗末な政治ニュースばかりを繰り返していて余計ウンザリしました。
やっと運ばれて来た私が注文した料理は、正に典型的なパブ・メニューの「スカンピ」。宿の女将さんの言う通り、在り来たりなメニューばかりで、地方料理や独特な創作料理は何も見当たりませんでした。しかし「スカンピ」は、ハーブやガーリック等で味付けした小海老に細かいパン粉を塗して揚げた物で、大抵は何処で食べても外れの無い美味しい料理です。
ところが、ここのは正直余り美味しくありません。海老の身がショボくて、ぷりぷりしていないのです。そしてあろう事か、量が足りない! 空腹で散々待たされたせいかも知れませんが、P太の皿から少し恵んで貰う程でした。不味い事はないのですが、こんな悲しいスカンピ、生まれて初めて食べました。
一方P太が注文したのは、肉のグリルの盛り合わせでした。外食となると、本当にここぞとばかりに肉を選ぶP太。
ソースがクリーミィ―・ペッパーコーン・ソースでちょっとだけ変わっていると思いましたが、こちらも全般的に可もなく不可もなくの極在り来たりな味と質だったそうです。
デザートには、ワッフルを二人でシェアしました。硬めでモッサリした家庭風の素朴なワッフルで、以前ノーリッジのベルギー・ブラッセリーで食べたワッフルとは全く食感が違いました。
掛ったチョコレート・ソースも準チョコのような、懐かしくも安っぽい味でしたが、ホイップ・クリームと生のフルーツがたっぷり乗っているので楽しめました。
結局美味しかったのはエールとデザートのワッフルのみで、給仕と料理は満足に至りませんでした。QRコードの注文システムも、店側にとって都合が良いだけで、客にはメリットがほとんどないように思います。しかし最初に行く予定だった、宿から歩ける距離のパブは、ウェブ上で見ても肉食系ファミレス・チェーン店っぽかったから、ここより更に質が良くなかったであろうとは安易に想像出来ます。イギリスは外食が非常に高く付くので我々は滅多にしない分、また散々料理を待たされた分、期待が大き過ぎたのかも知れません。どうせ車で行かなきゃならないのなら、もっと遠くても良さげな店を選ぶべきだったと思う程、ちょっとガッカリの夕食でした。
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