秋の始め頃に山小屋風チャリティショップで、MTM(メイド・トゥ・ムーブ)バービーを再び入手しました。値段は3ポンドと中古人形としては特に安くありませんでしたが、今までMTMバービーの状態の許せる物を見付けるのが非常に難しかった事を思うと、買わずにはいられませんでした。
欲しいのは可動式のボディで、ヘッドの顔や髪の状態はどうでも良かった訳ですが、手に入れたヘッドをリペやカスタムの練習に使わない手はありません。
このバービーは、一般的な金髪日焼けバービーよりも、更に肌の色が濃いようです。ブロンドって白人の中でも一際色素が薄く紫外線に弱い訳で、実際に白人がこんなに日に焼けると、赤焼け火脹れするか、しみそばかすが増えてマダラになるか、皮膚癌のリスクは爆上がりで極めて危険。
アイプリのデザインもリップの色も悪くないんだけど、プリントのドットの粗い安っぽさは許せないと思います。イギリスの中古人形の多くは、オールバック後ろ引っ詰め一つ結びにされているんですが、これはハーフアップにした形跡のあるところが、…ちょっと芸があるね。
日焼け肌に映える鮮やかな青い瞳を目指したのですが、何だか正に80年代のバービーのようになってしまった! 目が離れ気味に仕上がったのも(何故??)、顔型が四角っぽく見えるのも、その原因だと思います。
故意にケバくするつもりは全くありませんでしたが、やっぱりケバい。華やかなのではなくケバい。美人な事は美人なんでしょうけど…、陽気なアメリカ娘には見えます(にしか見えない)。
髪質は結構傷んでいたので、手を加える必要がありました。髪型を変える場合は私は大抵リペの前にしますが、このバービーは肌の色やオープン・マウスから、どうリペしてもケバく仕上がるであろうとは予測し、それなら髪型も予め思いっ切りゴージャスにしておいた方が良いと思いました。
小さいロットでくしゃくしゃの巻き毛に一度挑戦してみたかったので、モール(英語ではパイプクリーナー)で髪を巻きお湯パーマを掛けました。すると、本当にくるくるくしゃくしゃに。モールを全部外すのが結構大変で、我ながらかなり細かくブロッキングしたもんだと思いました。
モールを外した直後は妙な縦ロールの毛束ですが、一たび櫛の柄を通してほぐしただけでフワッと広がるのは、ちょっとマジックみたいでクセになる面白さ。ただし髪がモールに絡み付いて取れにくくなる事があり、その時気を付けていても髪が抜けてしまう為、大事な高いお人形ではお勧めしない方法です。
因みに、向かって右の額に落ちないシミが元からあり、おでこを出す髪型には出来ません。で、髪が目に掛かってウザいなあと思いつつ、月影先生状態になりました。
彼女には、一体どんな格好をさせたもんかと、色んな布を合わせてみながら凄―く考えました。
雰囲気からして似合うと真っ先に思う浮かぶのは、クリスマス・シーズンな事もあり、露出の多いハリウッド・セレブ風のパーティー・ドレス、またはミニスカのサンタ・ガール。
ですが、こんなバービーとしては極ありふれた格好をさせた所で、カスタムした意味が無くつまらないし、満足出来ませんでした。華やかにすると益々ケバく軽薄に見え、シックにすると老けて見える為、本当に困りました。
結局四着位作ってみても納得が行かず、あくまで自分の好みの服装を優先すべきか、それとも全く好みじゃなくても彼女に似合うスタイルを優先すべきか葛藤(大げさ)しました。要は、自分がそんなドールに仕上げちゃったのが問題なんですが(笑)。このお姐さん、確かに赤は似合うんだよね…。
最終的に、「バービーと言えば」なピンクの生地でドレスを作る事にしました。と言ってもお決まりのショッキング・ピンクではなく、濃いけれどくすんだ、どちらかと言えば臙脂が白っ禿げたような不思議なピンク色です。
多分中古端切れの詰め合わせとかに混じっていた布で、自分では選びそうもありません。その地色に細かい星柄が散り、生地自体にラメが織り込んであってやたらキラキラします。
素材は綿100%ですが、糊が利いているのかパリッと張りがあり、一度水通してから使おうかとも思いました。しかし、張りがあるままだとスカートの広がりにボリュームが出ると思い、結局そのままにしました。縫い辛くも、ギャザーを寄せにくくも特にありませんでした。
その地味なようで煌めく生地に、銀色の細リボン・テープを合わせたら、思いの外キラッキラなドレスに仕上がりました。形的にはダーツもなくゆったり目で大人しいデザインなのに、色味的には派手で目立ちます。
もっとモダンな雰囲気になるかと自分では思っていましたが、意外とクラシックに仕上がりました。
しかし、そんなクラシックな服を着ていてさえ、仕事の合間の休憩で覗きに来たP太(※在宅勤務中)に、「何だかハスッパっぽい」と言われちゃうし。
使えるとは思っていなかった布地で、思い掛けず面白いドレスに仕上がり、このバービーにも割と似合ったと思います。が、もう二度と彼女をモデルにする事はなさそう…。
やはり、肌と髪の色の組み合わせが自分の好みと掛け離れていて、合わせる服を考えるのが難し過ぎるし、何より顔が(自分でリペしておいて散々な言い草だけど)創作意欲を起こさせません。MTMボディのみは手元に残し、ヘッドは他の普通のボディに挿げ替えて、チャリティ屋にでも寄付しちゃおーかなと考えています。
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