2023/08/31

ノーリッジでの夕食

 

二月に夫婦で訪れたノーフォーク旅行のNorwich ノーリッジで、最後の最後を締め括る夕食を取る事にしました。ノーリッジは我が家から結構な遠さなので、早めに夕食を済ませ早めにこの街を去るのに越した事はありません。行き先の飲食店は、今迄何度か訪れてお気に入りのベルギー・ブラッセリ―「The Belgian Monks」に最初から決めていました。元々今回の旅行先をノーフォークに決めたのは、日帰りでは中々行けないKing’s Lyne キングス・リンを一度ちゃんと歩いてみたかったのと、ノーリッジのこの店の料理とワッフルを久々に食べたかったからです。

メインはお決まりのダブル・ミール、二皿で24.95ポンドの料理から選択。これは二人で一皿ずつ注文しても、一人で2コース注文してもOKなようです。しかしこのダブル・ミール、値段は4年前から10ポンド(約1700円)以上も値上がっていて…、正直普通のパブめしと比べても最早そうお得ではありません。

ダブル・ミールのサービスは午後6時までなので、5時には入店しましたが、既に店内は混んでいました。予約が推奨されます。いつも車で来るので、沢山の種類が揃っているベルギー・ビールを飲めないのが残念。私だけは飲んでもOKですが、ラガーはそれ程好きではなく、また朝から腹の調子がイマイチなので見送りました。

左上に飾ってある一番上の漢字は、中国語で店名の「歓迎、ベルギーの僧侶」と書いてあるようです。

この階段の左脇は、実はセラー(主に酒類の地下貯蔵庫)に通じていまして、覗いてみたら相当深く、急な梯子が掛かっているだけでした。若い女性店員さんがビールを一カートン抱えてピョイッと登って来ましたが、本当はかなりキツく結構危険な労働です。

私は、今回初めて「Traditional Tartiflette」なる料理を選びました。スキレットで出て来る熱々の料理で、冬(この時二月だったから)にぴったり。チーズが濃厚でとろ~り、ポテトはホクホクです。

確かにイギリスのパブでは見掛けない料理ですけど、言わばポテト・グラタンなので、日本人にとってはそう珍しい味ではないかも知れません。それと野菜が足りなかったから、温野菜でも注文すべきだったかも。

P太は、ベルギー風ミート・ボールを選択。ベルギー本国の飲食店でも何度か肉団子に出会ったので、ベルギーを代表する料理なのかも知れません。ポムフリ(細目のフライドポテト)や芋のみのコロッケが添えられるのは、ベルギーやオランダの料理では定番のようです。

こちらにはたっぷり目のグリーン・サラダが付き、トマト・ソースにも野菜がふんだんに溶け込んでいて、満足の味わい&バランスだったそうです。

デザートのワッフルは、四角いブリュッセル風から丸いリエージュ風に変更されていました。ソースは、チョコ等もありますが、温かいベリー・ソース一択。カリッと焼き立てのワッフルと甘酸っぱいソース、ホイップ・クリームの組み合わせが最高~。

リエージュ風ワッフルは、外側が結構硬く、中身はふんわりしているのが特徴です。食べ歩き用に便利なので、ベルギーの屋台で売られているのは、専らこのリエージュ・タイプのようです。

前回に比べると然程感動的ではありませんでしたが、どれもイギリスの普通のパブでは味わえないお料理で、旅の最後を締め括るのに相応しい楽しい夕食となりました。




2023/08/29

50年代の仔猫の絵本「ミミ」

 

イギリスで今年四回目のフリーマーケットは、三回目から雨天中止を挟んで二週間後となりました。基本的には毎週日曜日開催の予定なのに、結局この二ヵ月で実際に開催されたフリマは、天候不良に寄り半分以下だった訳です。しかし四回目のフリマは、早くから晴れと予報され、気温も上がってようやく夏らしい気候だった為、ほぼ満席に近い出店数でした。ただし正午過ぎ位から、ほとんどのストールが早々と店仕舞いを始めていました。出店数は多かったものの、この日の客の足は悪く、売れ行きが悪かったからだそうです。何故ならイングランドが参戦した女子サッカーW杯の決勝日で、時差の為に丁度フリマの開催時に試合が行われていたからです。

この日の私の収穫は、出店数が多かったのにも関わらず、やはり前回や前々回と似たような具合でした。ドール服用の手芸材料やリぺ用の中古人形は入手できたものの、ビンテージの収穫はありませんでした。ビンテージの販売自体が少なくなって来ているのもあるだろうし、元々ビンテージは単なるコレクションであって至急必要な訳ではないし、ジュエリー以外は保管場所も馬鹿にならないものだから、余程好みのアイテムじゃない限り、買うのを躊躇し勝ちと言うのもあります。そんな中、中々良さげなビンテージの絵本に出会ったので、久々に古絵本を二冊買ってみる事にしました。

その内の一冊が、この仔猫が主人公の絵本です。サイズは20×18cm位のハードカバーで、背表紙は傷んでいますが、中面は落書きもなく印刷の発色が綺麗なままです。凄く好みの絵柄ではないものの、猫盛り沢山だし、いかにも1950年代らしい作風で、ファッションやインテリアが興味深いと思いました。タイトルのロゴにも、50‘sらしさが溢れています。


これは裏表紙。発行・印刷はイングランドですが、元々の出版はアメリカで、所々に50年代の華々しかったアメリカ文化らしさが漂います。

中表紙を見ると、タイトルの「MIMI」の他に「The Merry-go-Round CAT メリーゴーラウンド猫」と言うのが付け加えられていて、ちょっとオチばれ。

 お話は、ミミと言う名の仔猫の紹介から始まります。ミミには沢山の友達がいましたが、「凄く特別な友達」は未だいませんでした。そしてミミの友達猫は、皆それぞれ「凄く特別な友達」を持っていました。

例えば、ミッシー(お嬢様と言う意味)にはアマンダ老嬢と言う特別な友達が居て、ミッシーをフカフカで居心地の良い籠に寝かせてくれます。老嬢のミッシーに対する猫可愛がりぶりが、一枚の絵から十分伝わって来ます。

また、ジンクスと言う猫には、食料品店を営むマックギー氏と呼ばれる特別な友達が居て、名前の入った特注のボウルで御飯を食べさせてくれます。

シャムの仔猫っぽいミスチーフ(いたずらっ子と言う意味)の特別な友達は、メアリー・スーと言う少女で、大きなピンクのリボンを結んでくれたり、毎日沢山遊んでくれます。ミスチーフを羨ましそうに窓から覗くミミが可愛い。


ここまで来ると誰もが気付きますが、ミミの言う「凄く特別な友達」とは飼い主である人間の事で、ミミは人間に飼われていない野良仔猫なのです。良く「犬は主人を必要とする、猫は人間を召使いとして必要とする」と言われていますが、特別な友達はぬこ様の下僕よりはマシか…。

私が知る限り大抵の猫は、人間を「お母さん」として必要としているように見えます。そしてその「お母さん」とは、一生懸命世話してくれて可愛がってくれる人間であって、必ずしも女性であったり一人だけである必要はないのです。姉の家の灰斗にとっては、多分義兄がお母さんなのではと思っています。

野良仔猫のミミは、自分も特別な寝床で寝て特別な御飯を食べて暮らしたい!と、特別なお友達を探し始めます。


八百屋、肉屋、花屋、お菓子屋と当たってみますが…。肉屋を「
butcher」ではなく「meat shop」、またお菓子屋を「sweets shop」ではなく「candy shop」と記している所がアメリカ作の絵本ならではです。

お店屋さん達は揃って親切で猫好きで、ミミにミルクや魚やキャットミントやお菓子をくれました。しかし皆既に猫を飼っていて、誰もミミの飼い主にはなってくれません。

その内犬に追っ掛け回されるわで、やっぱり安全な「ずっとのおうち」が欲しいにゃと願うミミ。すると、何だか楽しそうな音楽や笑い声が聞こえてきました。「陽気な」と言う意味で「gay」と言う単語を使うのも、50年代ならではの流行です。

その音楽の先は、メリーゴーラウンドでした。幸せそうな雰囲気でいっぱいです。

周りを見渡しても、他に猫は居なさそうです。そこでミミは、一人の朗らかな人間の足にシュリシュリしてみました。それはチャーリー・チャックル氏で、実はこのメリーゴーラウンドの経営者でした。

チャーリーさんは、ミミをメリーゴーラウンドの上に乗せてくれました。何て楽しいんでしょう。ここにずっと居たい!と、ミミはすっかり気に入りました。他のお客も、仔猫の飛び入りに大喜びです。

それ以来、ミミはメリーゴーラウンドのフカフカのクッションの上で眠るようになりました。

チャーリーさんは、ミミに鮭と黄色いクリーム(カスタードの事か?)を毎日与えてくれます。日曜日には、鶏肉もくれます。アメリカでは、例え缶詰でも鮭の方がチキンより安いんでしょうかね??

そしてチャーリーさんは、ミミに「M」のイニシャル入りタグ付きの赤い首輪を付けてくれました。誇らしそうなミミ。どうして彼がミミって名前を知っているのか?…なんて野暮なツッコミは、考えっこ無しで(笑)。

メリーゴーラウンドのチケット売り場でも、ミミは招き猫として大人気。今や日本のあちこちのローカル鉄道線では猫駅長が運営促進に貢献していますし、猫カフェが世界中に広まるずっと前から、イギリスでもパブの看板猫や教会猫が活躍して来ました。

こうして晴れてミミは、野良仔猫ではなく「メリーゴーランド猫」になり、ずっとのおうちと凄く特別なお友達を手に入れました。チャーリーさんが結構御高齢なのが気になりますが、全体的に猫に寛大で優しい社会なのが感じられる、猫好きにとって嬉しい絵本です。




2023/08/27

ノーリッジのアンティーク・モール 2

 

二月に夫婦でやって来たノーフォーク旅行で、最終目的地の州都Norwich ノーリッジでアンティーク・モール巡りを楽しんでいます。

訪れた二つ目のアンティーク・モールは、街の中心部からやや北西に在る「St. Gregory’s Antiques & Collectables」と言います。


やはり元教会の建物で、最初に訪れた「All Saints Antique Centre」よりも規模が大き目です。また立地が大学に近いようで、こちらの方がいつも客が多く混んでいます。

この元教会は14世紀の建造で歴史的建造物一級に指定されていて、建物自体も見応えがあります。

パイプ・オルガンも見事。もう演奏される事はないのかも知れませんが。

もしかしたらかつては墓所だったのでは?と疑う、入る度に毎回ドキドキするcrypt クリプトと呼ばれる祭壇下の地下は、今は売り場ではなくなっていました。

大学都市でアート・カレッジも在るらしく、ここのビンテージ・ドレス売り場はいつも若者に人気なようです。美大生って、用の東西を問わず古着が好きそう。

有名なマスタードのメーカー「Colman」グッズの専用コーナーがあるのは、地元ノーリッジらなでは。一度だけこのメーカーのソースを買った事がありますが、流石はイギリスではお馴染みの味で凄く不味かった…。

ビンテージ・ジュエリーは結構充実していますが、ガラス製キャビネットを開けて貰ってでも確認したい程魅力ある珍しいデザインは中々見付かりません。

ここでも、アンティーク・フェアでさえ滅多に見掛けない60年代のポップなエナメル花ブローチに幾つか出会いました。

しかし、やはり皆20ポンド近くで買う気がしません。

右の白いマーガレットの小さなブローチは、ここでもAll Saints Antique Centreでも何故か幾つか見掛けました。かと言って他で見た憶えは今までまるでなく、もしかしたら地元のイベントとかで配った物とか?? 上の蜻蛉のブローチは、姉にプレゼントした物と多分同じ。実は古くないのに、何処でも割と高目で売られています。

人気のリア・ステイン風のセルロース製のブローチ。本物ではないので、高くはありません。

ビンテージ玩具が結構売られていたので、こちらのモールの方が楽しめました。

体が藁で出来た素朴な人形は、聖歌隊員のようです。

写真下段中央に、うちにも居るセルロイド製バンビが売られています。上段のクロシェ・パッチワークのティーコジーにも惹かれます。

ビンテージのファッション・ドールが二体。顔が見えない方は、シンディかも知れません。もう一体のポーズから、思わず「ありゃ~こんな所に生き倒れが!!」とでも言っている場面を想像してしまいました。

ニードルポイントのマトリョーシカの手作り縫いぐるみは、勿論ロシア製ではないだろうけれど、フォークロア感はばっちりで中々の可愛さ。

うちで長年愛用しているミルク・ガラス製ミニ・ボウルには、元はこんな蓋が付いたミニ・キャセロールだったと確認出来ました。

今でもチャリティショップでも割と見掛けるタイプですが、フラワー・パワー全開な柄のピッチャーにはちょっと惹かれます。しかし分厚いガラス製で既に結構重く、飲み物を満タンにすると持ち上げるのに面倒な重さです。

マーヴェル・ルーシー・アットウェルはやはり人気らしく、グッズをあちこちで見掛けます。

結局ここでも買いたい物には出会えず、二軒とも充実したアンティーク・モールなのに空振りで、やはり古物との出会いは偶然の積み重ねだなあと実感しました。でもパンデミック以降初めてこれらを訪れる事が出来、見て楽しんで満足しましたし、コロナ渦を潜っても無事活気あるようなので安堵しました。