2022/11/24

湖水地方の老舗ホテル 3

 

P太と義母との三人の湖水地方の旅行では、結局宿泊したホテル内のレストラン二泊とも夕食を取りました。しかし二日目の夕食時に、義母の話を聞きながら食事をするのが、なんだかしんどいな…と感じ始めました。普段一人で食事をしている義母にとっては、話したがるのは仕方のない事だし、我々の分の旅費も出してくれている、義母の為の旅行なのだからとは自分に言い聞かせましたが、話の内容が自分の体の不調だの政治や社会への不満だのネガティブな話題ばかりで、話し方も感情的なので、聞いていて嬉しくないのもどうしようもありません。その上、この食材は好きじゃない、この食べ物は嫌い、これはアレルギーを起こすと、毎回のように言います。


実際に私とP太が「この地エール、美味しいねえ♡」と楽しんでいる時も、「ビールは苦いから嫌いよ! おえっ~!!」って何故言うかなあ(苦笑)。もう何十回と聞いて皆知っているし、誰も義母にビールを勧めませんって。

私が前菜の自家製フィッシュケーキ(魚のコロッケ)を食べている際も、もう何度も聞かされているのに、義母は自分はフィッシュケーキにアレルギーを持っていて、かつてフィッシュケーキ(単に英語の呼び名が同じだけで中国の魚団子の事で全く非なる物)を食べ、どんな酷いアレルギー症状を起こしたかを語り出し、P太が「もう知ってるし今聞きたくないよ」と言ってくれ助かりました。ところでここのが、魚の身の割合がとても高くて、今までで最高に美味しいフィッシュケーキだったのですよ。思わず写真を撮るのを忘れ、気が付いたら食べ終わり近くでした()

おまけに、いつも義母は一回の食事の量が驚く程少ないのですが(ただし間食が非常に多く始終お菓子やパンを食べている)、食べる速度は信じられない程遅いのです。更に食事中に喋り続けているもんだから、一層遅くとんでもなく時間が掛かります。私は三日目の朝食の終いには、「…あのう、準備したいから先に部屋に戻って良いかな」と言わずには居られなかった程です。P太のこの日の前菜は、農家風パテ。やはり写真を撮るのを忘れ、もう食べ終わる寸前です。果物とチャツネと、スコットランドで御馴染みのオーツ麦のケーキ(クラッカー)が添えらています。

P太は主菜としては、二日目は「ステーキ&エール・パイ」を選びました。ほんとここぞとばかりに、外食では肉を選ぶなあ君は。パブ・メニューとして御馴染みですが、ここのはパイ皮で包んであるのではなく、別個に焼いたパイ皮が乗せられています。この方が、予め大量に焼いて置いてもパイ皮がパリパリのままだから、の工夫と思われますが、これがとんでもなく硬かったそうです。パイのフィリングは、根菜が盛り沢山で美味しかったのに残念です。

一方私と義母は、ベジタリアン・ラザニアを注文しました。肉の代わりに地中海野菜になっただけで、味わいは普通のラザニアに近くて美味でした。昨日のルーラードもですが、ここのシェフは元々イタリアン専門なのか、バジルの利いている点がマルです。

どの料理にも、硬めに茹でられた温野菜がふんだんに添えらているのも嬉しい点です。外食では兎角野菜不足になり勝ちですが、嵩張って食べにくく更に体の冷える生野菜よりも、温野菜の方が有難く感じます。どの料理にも乗せられて来る豆苗は、P太と義母には不評。

しかしラザニアに添えられたガーリック・ブレッドとロースト・ポテトは、流石に炭水化物過剰の組み合わせで食べ切れませんでした。

それなのに、デザートは食べました。この日は、三人とも「チョコレート・ムースのハニカム添え」を選びました。


ハニカムは生の蜂蜜&蜜蠟が付いた蜜蜂の巣のセルで、栄養価が高くカリカリして美味しいのですが、このチョコ・ムースと一緒では甘過ぎた、と言うのが三人とも一致した意見です。
部屋に戻ってから私とP太は、ほとんど歩かない旅行なのに食べ物だけは大量に食べて(例え昼食は抜きでも)、まるでフォアグラのようだと笑い合いました。

朝食はビュッフェ式で、イングリッシュ・ブレックファーストとシリアル類は一通り揃っていました。しかしパンケーキや菓子パンがない、と義母はボヤいていました(そりゃあった方が嬉しいですね)。杖を突いた義母に重い皿を持ちながら料理を自分で盛るのは無理なので、P太が代わりに盛って来て上げました。しかし義母は、ベイクド・ビーンズの量が多過ぎてマッシュルームが少な過ぎると文句を言い、私がやらなくて良かった~と心底思いました。

食パンが余り美味しくなかったので、滞在三日目の朝は私は揚げトーストとハッシュド・ブラウン(ポテト)を倍増し、普通のトーストは抜きにしました。私はイングリッシュ・ブレックファーストではいつも目玉焼きを選びますが、スクランブル・エッグを選んだP太と義母は、三日目のは卵の殻が沢山入っていたと文句を言っていました。

三日目の朝食室で、義母より歩くのが一層困難な、腰が90度以上に曲がって杖を突いたおばあさんと、明らかに知的障害のある40歳代の娘さんの宿泊客を見掛けました。おばあさんは朝食室の去り際にウェトレスに何か文句をぶちまけていて、更にトイレへ行くのにバッグを外したり沢山の上着を脱がせるのを、ウェトレスに手伝わせていました。一体彼女達は、どうやってこのホテルに辿り着いて旅行しているのでしょうか?? 双方とも車が運転出来るとは到底思えず、多分団体旅行に加わって観光バスで来ているのだろうとP太は推測しましたが、他の団体旅行者さん達なら皆既に30分位前に朝食を済ませています。この母娘の印象が強烈過ぎて、しばらく気になって忘れられませんでした。

チェックアウトの後で、一日目の三人分の夕食料金がすっかり抜けている事に気付きました。思うに、このホテルはスタッフの数が致命的に足りなくて、情報の整理等の基本的な管理が色々と行き届いていないようです。レセプションに居た女性は朝食時はウェトレスでしたし、バーテンダーは臨時で慣れておらず、時間は凄く掛かるし勘定を間違えました(そちらはすかさず訴えた)。しかしスタッフは概ねフレンドリーで、記憶力抜群の味のあるおばちゃんウェトレスも居て、立地の便利さとレストランは十分魅力的で、全体的に妙に味わい深いホテルです。体の不自由な高齢者には不向きかも知れませんが、我々夫婦だけ、またはもし家族や友達がイギリスに来た際に、一緒に湖水地方を旅行する機会があれば、またこのホテルを利用するかも(ただしケモノ臭のない部屋希望)知れません。

 

 

 


2022/11/23

湖水地方の老舗ホテル 2

 

今回のP太と義母との湖水地方の旅行で、荒野の老舗ホテル「Shap Wells Hotel」を宿泊先に選んだのは、建物内にレストランが完備されているのも理由の一つでした。車を長時間運転するP太にとって、一日の終わりはアルコールで締め括りたいので、旅行先の宿内に夕食の取れる場所が在るのに越した事はないのです。

昨年のハイランドでのホテルの経験から、実はこのホテルでの夕食は最初は不安でした。しかしホテルのHPや予約サイトのレビューから、シェフがそれなりにプライドを持って料理していて、割と期待出来る事が伺えました。このレストランでは、前菜・主菜・デザートはそれぞれ3~4ずつからだけ選べますが、メニューは毎日変更され、また他では聞いた事のない独特な料理も混ざっています。コースは三つ全てじゃなくとも、主菜だけ、または主菜と前菜かデザートの2コースだけと、好きなように選べます。朝食は宿泊代に含まれていますが、夕食は任意で別料金です。しかし外食が凄く高く付くイギリスでは、比較的良心的な夕食の価格でした。

一日目の夕食。まずP太は、前菜にハルーミのフライ、スウィート・チリ・ソース添えを選びました。ハルーミは熱しても溶けない独特な食感の地中海東部原産のチーズで、現在ヴィーガン流行りのイギリスでは飲食店で良く見掛ける食材です。多分これは冷凍を揚げただけであろうと言う事で、可もなく不可もなくと言った感想でした。


私の前菜は、「マッシュルームのフライ、タルタル・ソース添え」。これもイギリスでは在り来たりな前菜ですが、マッシュルームがジューシーで普通に美味しかったです。食の細い義母は、前菜は無し。

P太は主菜には、「ラム肉のキャセロール(シチュー)、ハーブ入りパン団子添え」を選びました。肉はホロホロに柔らかくじっくり煮込まれ、団子に合って美味だったそうです。

義母は、サーモンを選びました。魚を余り食べないイギリス人にとって、鮭はフィッシュ&チップスの次位に人気のある魚料理です。これは、ソースがサルサ・ヴェルデなのが少し変わっています。

私は、ベジタリアン・メニューの「サツマイモのRoulade」を選びました。「Roulade ルーラード」とは其処に居た誰もが初めて聞く単語でしたが、フランス語で巻くと言う意味だそうで、主に肉の薄切りやパイ生地で巻く料理の事で、これは実際には野菜のパイでした。

サツマイモの他に地中海野菜の混じったラタトゥイユのようなトマト・ソースが巻かれ、硬めのパイ生地がサクサクで、バジルが良いアクセントになっていてとても気に入りました。

デザートには、三人とも「苺のタルトレット、チョコレート・アイスクリーム添え」を選びました。これが甘過ぎずに美味しい事は美味しいのですが、…色々何かと硬い! 

タルト生地も分厚くて硬ければ、アイスクリームは正に歯ではなくスプーンが全く刺さらない硬さ。アイスが柔らかくなるまで、しばし待ちました。生チョコではなくココア・パウダーで手作りしたような、さっぱりした懐かしい味わいのチョコ・アイスでした。皿の底に敷かれたデコレーションのチョコレートも、ソースかと思ったら、全く皿から剥がれない程へばり付いて硬かった。それでもP太は、根性で全て剥がし取って完食しました。何も、こんな所で本気出さなくとも(笑)。妙なハプニングはあったけど、全体的には三人ともこのレストランでの夕食に満足しました。

 

 

2022/11/22

アナ雪のエルサ人形をリペイント

 

私の実験室へようこそ()。イギリスでフリマやチャリティショップ等で手に入り易い中古ファッション・ドールの筆頭に、ディズニーの「Frozen」、つまり「アナと雪の女王」人形があります。アナ雪、そりゃイギリスでも大ヒットしましたから、ドールを持っている子供もゴマンと居た事でしょう。アナ雪人形一つにしても、身頃はボディに直にペイントされた簡易版から、フル可動式ボディ、衣装違い、現代普段着版、セット物、デフォルメちみキャラ系、延々とれりごー♪を歌う仕様(ウザッ)、アニメーターズ・コレクションの幼児型抱き人形だったり、大人のコレクター向け限定豪華版だったりと、様々なバリエーションが存在します。メーカーも、Mattel Hasbro Simba、タカラトミー等、多くの会社が手掛けています。共通して言えるのは、大抵は色白でディズニーの姫人形にしちゃ割と珍しく丸顔気味だから、こちらで手に入れられるリペイントの素材としては自分にとって悪くないドールと言う事ですもう馬面やガングロや頭デカ過ぎ人形のリぺには、ほとほと飽きました…

世の中にはアナ雪人形のリペを手掛けている人も当然沢山居るのですが、それらはあくまでアナ雪ファンな人達の為、キャラクターを寄りリアルに「らしく」近付けると言ったリペがほとんどです。しかし私は「アナ雪愛」がまるで無いから(今だ一度も観た事すらないw)、アナ雪人形を全くキャラクターとは違った雰囲気に何処まで出来るか?と言う事に返って興味を持ちました。

数多く見掛ける中古アナ雪人形の中でも私が探したのは、状態がそこそこ良くて着せ替え可能で(つまり衣服がボディに直接プリントされていない)、口が余りひん曲がっていないタイプでした。そう思っていた処、フリマで中々理想的なアナ雪人形を手に入れる事が出来ました。大き目の紙袋に、アナとエルサの姉妹が一緒な上、特に欲しくはないけどオリジナルのアウトフィット、他にもファッション・ドールが二体とドール服やアクセサリーが色々詰まって、一袋50ペンスとフリマとしても激安でした!

買った当初は人形は全てマッパでしたが、一緒に袋に入っていたデフォ服と思われる物を一応着せて撮影しています。アナとエルサの靴まで残っていたのは、中々貴重なのでちと嬉しい。

特に、モモコにも履かせたアナのブーツは可愛くて使えると思います。エンボスされた模様の部分に、自分で金色のペイントをしました。エルサのハイヒールは美しいけれど、生憎他のドールには大き過ぎるようです。

ドール関係の他にも、子供用のアクセサリーなんかがゴチャゴチャ詰まっていました。私にとってはゴミでしかありませんが、眺めると不思議とノスタルジーが込み上げて来るように感じます。時代も国も全く違うのに、プラスティック製の指輪なんかは、私の子供の頃のと変わらなく見えます。

この中から、まずエルサをいじってみる事にしました。雪の女王なだけに、色白と言うより絶対低体温に違いない程蒼白。この肌の色にこの濃いルージュの色では、最早ゴスの女王です。

リぺで目指したのは、繊細な肌や髪の色に合わせ、儚げでふんわり優しいイメージ。ハスブロ社のファッション・ドールのヘッドの素材は硬く、ソフビではなくポリかと思う程です。それで、これなら水彩色鉛筆のみでリぺを描き進められるかもと思いましたが、部分的にてかてか光る程肌が滑らか過ぎて、色鉛筆が全く乗りません。

やむを得ずジェッソで瞳の下白を描き入れましたが、光沢のある部分はジェッソすら乗りにくく、鉛筆の線で簡単に削れてしまいます。結局、アクリル絵の具メインで仕上げました。

このリぺしらたエルサには、雪の女王ではなくエルフの女王ガラドリエル様っぽい中世ケルト風のドレスを着せる事にしました。この凄い爪先立ちで大き目足に履けるドール靴は、私の手持ちの中では極限られる為、靴の余り目立たないフルレングスのドレスにせざるを得なかったからです。因みに、ハスブロ社のディズニー人形の靴は、モンハイブラッツィラズとなら相互性があるようです。

ついでに、後からフリマで購入した、同じくハスブロ社のエルサ人形の可動式ボディと交換してみました。肌色&体型的には全く同じ見えましたが、実は首の形が微妙に違っていて、顎を突き出した状態にしか頭が嵌らないのです。しかし、この首のジョイントは複雑且つ凄く壊れ易そうな造りで二度と外したくない為、このままで進めました。

ハスブロ社のドールの首のジョイントはまるで碇のようで、子供が絶対に引き抜く事の出来ない(壊さない限り)非常に強固な造りになっています。首穴は小さくヘッドの素材は硬いから、ボディを交換する為には、ヘッドをしばらくお湯に浸して相当柔らかくしなければなりません。何故そこまで、首が外れるのを目の敵にしたのかは謎。

おまけに可動式とは言え、相変わらず肘は120度位までしか曲がらない(関節にする意味あった??)のに対し、膝は緩過ぎてガクガクです。更に、工場で抜型から外す工程がいい加減なのか、元持ち主の子供にかじられたのか、足や手の先が溶けたように崩れています。手先の形は、鋏で切り落としてある程度整えました。廉価品人形の可動式ボディなんて所詮こんな稚拙さかとガッカリしましたが、元のボディでは椅子にさえ座らせられないのです。

とは言え、透明感のある色白肌はやっぱり有難や~。日本では「色白は七難隠す」と言われていますが、似合う服の色を選ばず、血色さえ良ければ写真写りの良い点では、ファッション・モデル・ドールとしても七難位は隠します。

髪の状態は割と良好で、美しい豊かなプラチナ・ブロンドのままです。ヘッドドレスは、園芸用ワイヤーを曲げてテキトウに作っています(笑)。一方、元持ち主の少女が同時に購入したのに違いない妹人形のアナの方は、既に髪が相当ちりちりに傷んでいました。

共にヘッドは大き目で背の高さは同じ人形でも、アナの方が肩幅は狭く身頃が華奢で、エルサの方が心持ちバランスの良いボディをしています。

エルサのイメージから脱却する為に、あえて青系の服は避けましたが、瞳は青いままだしフルレングスのお姫様ドレスだから、やはりエルサっぽさからは抜け切っていないと思います。しかし中世風ドレスに挑戦するのは初めてで、失敗や改良点も含めて中々面白い経験でした。未だしばらくは、このエルサ人形で遊んでみたいと思います。