2023/07/03

キングス・リンのアンティーク・モール 1


2月の小旅行先にノーフォーク州のKing’s Lyne キングス・リンを選んだのは、イースト・アングリア最大のアンティーク・モールが在ると言う情報を得ていたのも理由の一つでした。実際には、キングス・リンの一歩手前のSetchy セッチ―と言う村に在ります。広大な専用駐車場も手前に完備されていて、訪れ易そうです。

 「The Warehouse Antiques & Collectables」と言い、その名の通り巨大な倉庫の建物を利用しています。ただし左半分は「世界のビール店」で、奥には飲食施設もあるようです。

アンティーク・モールの中に入って最初に目に入ったのは…、ん?新品のシュタイフの縫いぐるみ売り場? ここはイースト・アングリア最大のシュタイフ専門店だそうですが、イギリスでシュタイフを買う気はしません。

アンティーク・モールそのものの売り場は、こうなっています。確かに広い。

…広いのですが、何だか間延びしていると言うか、通路もやたら広くとられ、小綺麗に整理され過ぎていて、肝心の商品が然程多くないのです。

アンティーク・モール特有の、何処にお宝が潜んでいるか分からない、心ときめくゴチャゴチャ感に乏しいと言うか。綺麗好きな人ならホッとするかもですが、そもそもアンティーク・ファンに清潔に拘る人が居るだろか()

全体的にセンスが好み~と思えるストールも、残念ながらありませんでした。

棚そのものだけが可愛く、並べてあるのは古くもなければどーってことない物ばかり。

こちらにも、縫いぐるみコーナーがあります。今まで聞いた事はありませんでしたが、「Hansa」と言うメーカーの製品だそうです。

リアルで尚且つ可愛く、良く出来た造形です。おまけに、値段もそれ程高くありません。種類も豊富で、哺乳類のみならず魚から虫、恐竜や空想上の生き物の縫いぐるみまであるそうです。

もしP太への誕生日プレゼントを買う前であったら、ここで彼用にキツネの縫いぐるみを買ったかも知れません。

トランプ柄の螺鈿?の箱は、珍しいデザインで美しいと思いました。

多分姉が望む蜻蛉型アクセサリーって、こんなのではないかと思うのですが、値段的に手が出ません。これすらアール・ヌーヴォー「調」で、本当のアンティークではないようですが、銀製でしかも状態の良い七宝だから高価なのです。

折角の美しいラリック社のガラスのプレートが、分かり辛~く展示してありました。

こちらのホーンジーの「世界一」シリーズのマグも、ガラスケースの奥底に隠れて、非常に見え辛い…。

ヴィクトリアンではない、シンプルな60年代辺りのシンプルなドール・ハウスの家具には惹かれます。

引き出し式のお裁縫箱は、自分で持っていた事はなくともノスタルジックな可愛さ。

 

悪趣味な売り場は、このモールにもあります。

多分主に地元のイベント用とかに手作りしたのではと思いますが、この子供が泣き出しそうな毒のあるセンスはイギリスならでは。

一体誰が買うの?と思えるようなアイテムでも、こうして面白がって写真を撮るヤツが居るのだから、客引きパンダ的の効果はあるんでしょね。 

一番奥は古書専門スペースで、まるで図書館のようになっていました。

児童書のコーナーには、結構惹かれる昔絵本も混じっていました。

 その表紙。

この絵本は、木版画のようなタッチが独特で魅力的。

中面は切り絵のよう。

最後に、お隣の「世界のビール店」も一応覗きました。

こちらも、正直無駄に広いって感じでした。特に珍しいビールはないし、今時スーパーでも世界各国のビールが売られていて、それに比べても値段が割高で、おまけに肝心の地元ビールも充実している訳ではありません。

日本のクラフト・ビールはありました。

大きさの割に、少し期待外れのアンティーク・モールでしたが、やはり実際訪れて見ないと分からないとは思います。そして、そんな余り期待出来ない場所でも、お宝に出会えないとは言い切れないのが、古物の面白い所です。


2023/07/01

ノーフォークの旅の始まり

帰国のレポートの前に、帰国直前の2月に夫婦で出掛けた小旅行の記事を書きたいと思います。何せその後4カ月間もP太と一緒に過ごせなくなり、特に毎年恒例の誕生日や結婚記念日の旅行も今年は出来なくなる為、観光に相応しい季節では全くなかったけれど、前以て二人で出掛ける事にしたのです。目的地は、前々から行ってみたかったノーフォーク州のKing’s Lyne キングス・リンと言う町。天気の悪いイギリスの冬でも、東部なら少しは晴れる可能性がある、と言うのも選んだ理由の一つです。しかしノーフォークの中でもほぼ北西端のキングス・リンは、交通の便が悪く地味~に遠く、州内で一泊する事にしました。高速道路はケンブリッジまでしか通っておらず、その先の大聖堂都市Ely イーリーからでさえ、かなり行くのに時間が掛かります。

やっとキングス・リンに近付いて来た時、運河の脇の駐車場で車を止め、持って来たお弁当を食べました。土地の標高差の少ないイギリスの中でも特に平坦な、いかにもノーフォークらしい田園風景が続いています。

道路より運河の方が一段高くなっている不思議な光景も、イギリスならでは。

この先がキングス・リン方面のようです。並んでいる巨大なタンクは、穀物貯蔵庫ではないかと思われます。―――そんな訳で、今となっては相当季節外れですが、2月のノーフォーク旅行のレポートを始めます。

 

 


 

2023/06/29

バーベキューするモモコ達


今回の帰国で、姉に保管しておいて貰っていたmomoko DOLLrurukoと言った大人のドール道楽の為のお人形達を、受け取って英国に連れて帰るのを心待ちにしていてました。それらの人形は、姉が私へのプレゼントとして買っておいてくれた物や、姉に頼んでネットで落札しておいて貰った物、または私自身が英国から日本のオンライン・ショップで購入して姉宅に送っていた物です。決して安くはない人形だし、イギリスの郵便配達が余りにいい加減で信用ならず、郵送して貰うのは見送っていました。モモコとるるこでも合計8体で、これらは心配だから飛行機の手荷物で持って帰りました。この他にも中古のリカちゃん人形が10体程、素体だけでも10体位持って来ました。人形の他にも、姉は主にガチャや玩食等のミニチュア類を、私の為にどっさり買っておいてくれたのを、イギリスに連れて帰りました。ここ数年仕事が忙し過ぎてドールは全く構えない姉ですが、私の帰国中はドール熱が堪え切れなくなったようで、忙しい合間に必死で時間を作って久々にドール用の背景を設定しました。いい歳こいたおばちゃん姉妹二人が、せっせと仲良くドールで遊びました()

姉がまずモモコで遊んでみたかったのが、この南欧風パティオでのバーベキューのシーンだそうです。セットは、相変わらず極力百均を利用して出来ています。


パティオでもてなすのは、姉の中では主役設定のシズカ(静寂を捧ぐ)とアリサ(アリスのさがしもの)の双子姉妹。中央のパエリヤは、昔誰かから貰ったスペインのお土産で、長年姉の家の冷蔵庫に貼ってある物。お米部分には、実物の米粒が使用されています。その下の竈は、実は義兄のアロマ・ランプを借りて来た物だそうです。

BBQに招待されたのは、手前が双子姉妹のお友達の響ちゃん(うんざりな日々)と、奥が大学の先輩の志賀千代子さん(シガレットチョコ)。響ちゃんの手には、姉の好きなモヒートが乗っています。小物類は、仕事が忙しくとも、姉が常日頃からガチャや玩食で抜かりなく買い集めている物です。日本のこう言う物のミニチュアのクウォリティやバラエティには、帰る度に感心させられ、そりゃ止まんなくなるよね…と思います。

私の場合のドール遊びと言うと、着せ替えをした時にドールのイメージが違って見え、新しい魅力が発見出来たりするのに醍醐味を感じるので、服を作るのがメインです。撮影の際のバッググラウンドは、単に服が見え易いように、大抵は手っ取り早く布を張るだけにして済ませています。一方姉の場合のドール遊びは、インテリア等の背景セット作りがメインで、安い意外なアイテムをいかに工夫して生かせるか考えるのが楽しいのだそうです。ドールのアウトフィットは、あくまでそのシーンに相応しい合わせる為の物。しかしやはりこう言う背景セットがあると、人形が一層生き生きして見え、服の物語性も更に出て来て面白いと実感します。

 


2023/06/27

ただいま日本、おかえり英国


4年ぶりの一時帰国を終えて、ようやくイギリスの自宅に戻って来ました。今回は2月から6月までの4ヵ月間を日本に滞在し、その大半を福島県の両親の住む実家で過ごしました。年老いた両親には最早補助や介護が必要で、また実際に父は重病を患っていて余命幾ばくもないと宣告されている為、海外に住む私にとって、両親と揃って一緒に暮らせるのは、恐らくこれが最後の機会になるであろうと覚悟したからです。しかし結婚後これ程長く自宅を離れた事はなく、また元から性格・行動的に問題の多い両親との生活にはたして耐えられるのか、帰国前からビビる程非常に不安でした。が、…そんな覚悟をせせら笑うかのように、実家での滞在は危惧した通り実際凄~く大変でした()

コロナの感染流行後の初めての渡航だった事もあり、一時よりは規制がかなり緩和されていたとは言え、今迄とは色々と勝手が違う事にも戸惑いました。2月の日本入国時には未だワクチン証明が必要で、これを登録する為のウェブぺージが、いかにもお役所らしくダメダメな造りで呆れました。いつもならイギリスから日本への飛行は12時間程度ですが、今はウクライナやロシアの上空を避けるルートを通る為、それより多く時間が掛かりました。ハンガリー~トルコ~何とかスタンの国々~中国上空を経由し、日本に向かったと思います。世界的な燃料費の高騰に伴い、航空運賃もべらぼうに高いとあちこちから脅されていたからこそ、一度の渡航で出来るだけ長く日本に滞在しようと決心した訳ですが、実際には4年前の前回と大差ない価格で拍子抜けしました。しかし日本の友達に聞くと、やはり皆口を揃えて航空費は今手が出ない程高いと言い、もしかしたらそれは凄まじい円安のせいで、自分はポンドで払ったから、また普通は観光では利用しない一番安い時期を選んだ為、それ程でもなかったのかも知れません。

航空券を予約してからも、未だコロナが勢いを失くした訳では全くなかった為、くれぐれも罹らないよう緊張しました。高齢の両親に会いに行くのに感染していては元も子もありませんし、もし高熱でも出たら搭乗拒否されます。そもそも飛行機の中と言うのが、ウィルス感染にとって非常にリスクの高い劣悪な環境なので、すこぶる不安でした。その頃日系の飛行機ならマスク着用が義務付けられていたと思いますが、私は今回も羽田発着の英国航空(機内マスク着用は推奨するのみ)を利用した為、実際に着用していた乗客は半分以下のほぼ日本人のみに見えました。私の隣の席には見るからに具合の悪そうな20歳代の女の子が座っていて、しかもアジア人なのに背がやたら高く、エコノミー・クラスの狭い座席では到底身体が収まり切れず、何か動く度に私の体に触れて来るので焦りました。飛行機に乗る度に限って言えば、体格が良いのは居心地が悪いのに違いなく、自分は小柄で良かったとつくづく思います。更に、私の席の周囲には非常にうるさいブラジル人のグループ客が座っていて、マスク無しでべらべら喋り捲り、その上何人かはゴホゴホ咳もしているので気が気ではありませんでした。こんな飛行機の中に14時間近く閉じ込められているのでは、健康的に無事で済まされるはずがないと絶望しました。

しかし日本に到着してしばらく経ってからも、自分の体調に異変が現れる事はありませんでした。あの飛行機の中から風邪すら拾って来なかったのは、奇跡に近いと思いました。ところが実は、その後寄りに寄って両親の家でとんでもないウィルスに感染し、一ヵ月近く体調不良でした。


5月になるとコロナに関する日本への渡航の規制が撤退された為、東京周辺では外国人旅行者が顕著に増えたのを実感しました。6月の英国に戻る便の中は、行きに比べて乗客も概ね大人しく、具合の悪そうな人も居なかったので安堵しました。しかしこれまたいつもとは違うルートを通らなくてはならない為、フライトは通常より長く15時間近く掛かりました。BAのエコノミー・クラスは、出発24時間前からのオンライン・チェックイン時に無料で席を選べますが、この僅かの間に希望に合う席を獲得出来るかどうか結構気を揉みます。実際今回は、出発の一ヵ月前から既に通路側の席が残り少なくなっていました。15時間のフライトの一人旅で、もし通路側の席を確保出来なかったら非常に窮屈であろうと心配し、今回は初めて予め通路側の席を購入しておきました。英国行きのルートは、
一度アラスカ方面に飛んで日付変更線を越え、カナダ北部の北極圏~グリーンランド~アイスランド上空を通過し、スコットランドからブリテン島に入ると言う、今迄予想だにしないルートでした。今年は梅雨が早く始まった為、東京は既にかなり蒸し暑くなっていましたが、戻って来た時期のロンドン周辺も丁度変わらない程の蒸し暑さでした。帰国時のレポートについては、今後少しずつ書いて行こうと思います。写真は、ロンドン・ヒースロー空港内のハロッズの店内です。

 

 


 

2023/06/22

クサクサと(笑)グリーティング・カード作り

今回の帰国前は、日本へのお土産を集めるだけでなく、イギリスの家族の誕生日や幾つかのイベントをすっ飛ばして日本に帰る為、その贈り物やグリーティング・カードを予め用意しておくのにも時間が掛かり大変でした。イギリスではカードを送る習慣が日本よりも確実に盛んで、勿論プレゼントに沿えるのは必須。家族内の些細なお祝い毎や、ちょっとしたメッセージにさえカードを使用します。それに伴いカード専門店も沢山存在しますが、ロクなデザインが売られていない上に値段が結構高い為、我が家ではカードは基本的に手作りのみです。多分イギリスの家族は、余程私がカードを作るのが好きなのだと思い込んでいる事でしょう。しかしイギリスでは、しばらく経つとそのカードはいとも簡単に処分されちゃう為、すぐに捨てられる物にお金なんか掛けてられるかっと言うのが本音です。

2月から4月に掛けては特にカードを作る機会が集中し、正直毎年ウンザリしています。なんで自分達の結婚記念日にまで、わざわざカードを送り合わなくちゃならないワケ!?と、相当イライラしながら作っています

そんな全く心が籠っていない嫌々な状態で投げやりに作っているもんだから、絶対に拡大しては御見せ出来ないクウォリティです。これは、新しく買った水彩色鉛筆の試し描きを、いっそ利用してしまえ~と貼り付けました。

このカードに貼り付けたプラスティック板の蝶も、ドール用妖精の羽根を作る際の試作品を利用。少しでも半立体的にする、異素材を加えると言うのは、言わば手作りカードの鉄則のような物です。

勿論、カード作りに役立ちそうな材料・画材・アイディアは、常日頃から貯めて置くのに限ります。予め手作りカード用のトッピングとして作られた商品も沢山売られていますが、それを使っては出来合いのカードと同じ位高く付き、出来合いのカードと大差ない仕上がりになる為、なるべくそれ以外の物を頭を働かせてカードに生かします。

楕円の窓付きカード台紙は、特価だったので買って置きましたが、意外と出番がない…。窓の中に写真か何かを挟んだだけでは到底間が持たず、結局普通の台紙同様に色々デコらなくてはならないのが原因のようです。

こんな文字中心のデザインは、イギリスに良くある割と簡単に空間を埋める「手」です。

P太が喜ぶので、恥ずかしいヲタ絵も随分描くようになりました。因みに、これでもバレンタインのカード()。パワ子の瞳を金色に塗ってから「+」を描き込むのが、地味~に面倒でした柄マステは、カード作りにもお役立ちです。

カード用紙がペン描きにも水彩にも向いていない為、ヲタ絵は筆ペンかコピックで主線+色鉛筆で彩色と言うのが多くなります。今はClip Studioも使っていますが、デジタル内だけではない紙物として見せる場合は肉筆が有利だし、実際未だ肉筆の方が表現するのが少しだけラクです。しかし、カードの面積内に描きたいポース等のレイアウトを収めるのが中々厄介で、こう言う時にクリスタなら後から位置を変更調整出来るのにな~とぼやきたくなる事もあります。単に別紙に描いて、後から台紙に貼り付れば良いだけの話か。

少なくともP太は、私からのイラスト系手作りカードは絶対に捨てないで保管しているので、やはり既製品に逃げる訳には行かなくなってしまいます。 市販されているイギリスの男性用のカードのモチーフと言うのが、これまた酷く偏っていて全く買う気がしないのですよ。車、ゴルフ、酒(ビール)、サッカー位で。

ジブリ好きのイギリスの姪っ子が16歳になったので、ナウシカの誕生日カードにしてみました。ナウシカも16歳の設定なのだそうです。背景は…腐海の胞子。それって猛毒じゃあ(笑)。

進撃ネタは、既に随分やったなあ。P太宛てだけじゃなく、姪っ子にも友達にも。

ミカサが出尽くした為、サシャ登場。「(誕生日プレゼントとして)半分上げます!」…全然半分じゃねえし。

ちょっとだけスペルが違うAttack on Tintin。巨大タンタン、ウォール・マリア襲撃。


こちらは、数年前「聖⭐︎おにいさん」好きの義妹の為に作ったクリスマス・カード。ブッダの頭の上は、実はイギリス人なら一発で受けるクリスマス・プディング(…バチ当たりめが!)。

昨年クリスマスに義実家でP太に渡したカードが、自宅に戻って来た際に何故か行方不明になってしまいました。P太は相当がっかりしていたので(結局一ヵ月以上経って見付かったのだが)、それ以来作ったカードは、送る前に一応記録用に写真を撮っておく事にしました。記録しておけば、ネタが被るのも防げます。

 猫モチーフは猫好きにとってはカードの王道ですが、これも相当出尽くした感が

ポコちゃんトラちゃんもモデルにしましたが、表現し易さではタラちゃんが一番。 

どんなに雑で稚拙な仕上がりでも、手作りカードのメッセージ性、情報量、インパクトは、既成品とは比べ物にならない。そう勝手に信じているからこそ、嫌々ながらも作り続けているのかも知れません。

 

 

 

2023/06/20

本日のポーランド?ケーキ



我々夫婦がいつもポーランドの切り売りケーキを買う店は、いつも同じなのですが、実は地元にはポーランド及び東・中欧の食料品店が幾つもあります。大抵はハムやサラミ等の加工肉類を測り売りする大きなガラスケース・カウンターがあり、切り売りケーキも多くの店で扱っている物と思われます。とある日夫婦で街へ行った際、ほんの気まぐれで今まで入った事のないポーランド食料品店に覗いてみました。

其処でもケーキは売られていて、どれも美味しそうでしたが、切り売りではありません。予めカットされ、プラスティック・ケースに入れられています。価格、商品名や材料名(アレルギー持ちの人には重要)もラベルに記されている為、いつもの店より買い易いと思いました。イギリスにあるポーランド・ベイカリー工場から、配送されているようです。その時はカウンターに誰も居なかった為、レジのお姐さんに「ケーキが欲しいんですけど…」と声を掛けたら、不愛想に「NO!」と言われ、うわあこう言う所も東欧の店のまんまだな…と思いました。

すぐにカウンターに店員はやって来て、ケーキを買う事は出来ました。我々がこの時選んだのは、「ハンガリーのチェリーケーキ」。こんなケーキをハンガリーで見た事はありませんが、英語でも確かにそう書いてあり、恐らく酸味の強いサクランボが使用されたチョコレート・ケーキで、一番美味しそうに見えました。

結構良く出来たプラケースで、いつもの店のと比べて造りが頑丈だしピッチリ閉まるし、手前が低くなっている為に切ってからお皿に盛るのも楽です。

上から二色の削りチョコ、チョコレート・ソース、チョコレート・スポンジ、チョコ・クリーム、チェリー・コンポートの入った生クリーム、再びチョコ・スポンジで、想像した以上に美味でした。甘さはギリギリで、濃厚なチョコレートとチェリーの酸っぱさとのバランスが絶妙。また、一番上のチョコ・ソースには洋酒が利いていて、全体的に大人の味です。この洋酒は、もしかしたらハンガリーの果物蒸留酒パーリンカなのかも知れません。言ってしまえば、黒い森地方のサクランボ・ケーキには似ています。ブダペシュトのカフェで黒い森ケーキは食べた事があり、それがポーランドに伝わったのかも知れません。

その後、楽しみにしていた外食が期待外れだった事があり、その翌日に憂さ晴らしとして同じポーランド屋へ行ってケーキを買う事にしました。その時選んだのは、「CIASTO JAPONSKIE」と書いてあり、どう考えても日本の~と言う意味のようです。

確かに、英語で「日本のケーキ」と書いてあります。…いや、全く日本風じゃないんですけど。多分サクランボに因んで、日本をイメージしたのでしょう。その日はこのケーキが一番美味しそうに見えた為、これを選びました。その時のレジのお姐さんの接客対応は、充分英国レベルでした。

上からチェリーのジェリー、ポーランド特産のフレッシュ・チーズ「トファルク」のケーキ、チェリーのコンポートどっさり、チョコレート・スポンジで、こちらも甘さギリギリ、チーズ・ケーキ部分はムースのように滑らかで軽い爽やかさです。ちょっと人工のチェリー香料が安っぽいのが気になり、前出のハンガリー・ケーキの方が寄り好みでしたが、こちらも十分美味しいと思いました。

どちらも控え目な甘さ、果物の酸味、しっとり滑らかなスポンジが楽しめ、極甘で砂糖の味しかしない、スポンジが乾き切ってゴワゴワのイギリスのケーキとは真逆だ!とはP太も言っていました。余りにも違い過ぎて、中東欧人にとってはイギリスのお菓子は食用不可能だろうから、イギリス国内の至る所に中東欧食料品店があるのは納得です。