二年前に訪れた古い市場町Thaxted サクステッドを、昨年再び訪れようと思ったのは、天気の良い日に改めて素敵な街並みを眺めたいと思ったのと同時に、前回は到着した時間が遅過ぎて閉まっていた為に出来なかった、教区教会の内部を見学したいと思ったからです。
この教会には、「St John the Baptist with Our Lady and St Laurence, Thaxted Parish Church 洗礼者聖ヨハネと聖母及び聖ラウレンティウスのサクステッド教区教会」と言う長ったらしい正式名が付いています。が、一般的には単にサクステッド教会と呼ばれるようです。
現在の町の規模にしては大きく立派と思いきや、実際にエセックス州で最大級の教区教会だとか。
南側にもポーチが張り出していますが、現在の一般的な入り口は北側に在ります。日本の門の脇戸や潜り戸のような、普段は右下の小さな扉で出入りする仕組みになっています。
そして潜り戸同様に低いドアなので(私には問題ナシ)、こんな注意書きが貼ってありました。天使なのに、じーさんに描かれている所が味。
サクステッド教会は、13世紀から15世紀に掛けて建設され、典型的な「Perpendicular Gothic 垂直ゴシック様式」と言われています。この様式は、14世紀後半から16世紀にかけて主にイングランドで発展したゴシック建築の最終段階のスタイルです。
その名の通り、直線的で強調された垂直の線、巨大なステンド・グラス窓、そして「扇形ヴォールト」と呼ばれる精巧な天井装飾が特徴です。代表例は、私がイギリスで最も美しいゴシック建築と信じるケンブリッジのキングス・カレッジ礼拝堂や、グロスター大聖堂の回廊。
この様式は、ペスト(黒死病)の大流行後に熟練した石工が減少したことから、装飾を簡素化しつつも壮大に見せるための合理的な工法として生まれました。後にイギリスの教会建築の標準的な様式として、広く普及しました。…とまあ、グーグルAI先生の回答をほぼ丸写し(笑)。
イギリスを旅行し始めた頃、石造りの教会であっても、天井だけは木製なのに少し驚きました。それまで旅行し慣れていた中欧では、そんな教会建築は見た事がなかったからです。石製の天井を支えるだけの建築工学の技術がイギリスに無かったせいではないかと長らく思っていましたが、その通りだそうです。
しかし木製天井にも、ならではの興味深さがあります。ここの教会の身廊の天井には、眼を凝らすとレリーフの付いているのが分かります。
この窓際の天井部分には、実は太陽のような模様が描かれています。
良く見ると、所々に中世の壁画らしき物もうっすらと残っています。
祭壇脇の不思議な壁の穴は、螺旋階段に繋がっています。階段への入り口だとしても、何故こんな中途半端な行き辛い開け方…。この部分に階段の在る事自体が珍しく、もしかして隠し階段?
給仕コーナーの脇には、何気なく素敵なトールペイントのアンティークのキャビネットが。イギリスでは珍しい、重厚なフォークロアっぷりです。
余り古い物ではなさそうですが、カラフルに彩色された金属製の花々のモチーフが愛らしい、宙吊り燭台?。元々は、こう言う吊り下げ燭台をシャンデリアと呼んだそうです。
この教会で印象的だったのが、北側のステンド・グラス。東、西、南側は多分19世紀のヴィクトリア時代の制作ですが、北側は16世紀のステンド・グラスを再利用しているそうです。
この教会は今まで数度巨大暴風雨の被害に遭い、その度にステンド・グラスも大きく破損したようです。
破片を根気良く広い集めて繋ぎ合わせる作業は、ステンド・グラスを新たに制作するのと大差無い程大変であっただろうと想像します。
これは落書きではなく、氏名と生没年が記してあり、ここの墓地に埋葬、または散灰された故人の、言わば墓標代わりの記念碑のようです。ガラスに薄っすらと色の付いているのが、儚な気で綺麗。
外観からの期待通り、内部も見応えの十分な、訪れる価値のある教会でした。裕福だった地域の大きな教区教会って、長い年月の間に大きくどんどん豪華に(当時としては流行最先端の様式に)改装され、オリジナルに近い部分の余り残っていない事も多いのですが、ここは度々暴風雨で破壊され修復されたのにも関わらず、中世の装飾が多く大切に残されているのが、私にとっては殊更興味深く楽しめた決め手です。
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