三月に訪れたArdingly アーディングリーのアンティーク・フェアでは、去り際近くに、この古いキッチュなお土産ブローチも買いました。見掛けるといつも気になる、ドイツ語圏に良くある、多分チロリアン・ハット等の登山帽に着ける為の典型的なスーベニール・ブローチです。今でも現地で金属製なら売られていると思いますが、一昔前まではセルロイド等のこんなプラスティック製も多く出廻っていました。
ワイン樽の上には黒猫、脇に飲んだくれオヤジがしゃがみ込んでいるデザインから、ワインの産地のブローチでもある事も分かります。黒猫が居るのは、「黒猫(シュヴァルツェ・カッツ)の座った樽は最も出来が良い」と言うドイツの言い伝えを意味しているのかも知れません。下部のワインのボトルも含むと、縦の長さは約6㎝。
ワイン・ボトルは透明感のある異素材で、ぶら下がっている仕様が面白いと思いました。このボトルにはかつてはラベルが貼ってあったようですが、今は剝がれて僅かに形跡が残っています。また黒猫の尻尾、葡萄蔓の一部も欠けて無くなっています。
この手のブローチは、主にその場所を訪れた記念品として買われるので、必ず地名が入っています。ただし、ブローチ自体は多くが同じ場所で生産され、地名のみ刷り替えて販売されているようです。このブローチには、酒樽にはハイデルベルクのラベルが貼ってあるもの、中央には「Bad Wimpfen バート・ウィンプフェン」と記されています。Badは温泉(保養地)の意味で、ドイツ語圏には似たような地名が沢山あります。一体どの辺なんだろう?と地図で確認してみると、…「ここ新婚旅行で立ち寄った町じゃん!」と言う事が思い出されました。
私達夫婦の新婚旅行は、自家用車でヨーロッパ中部各地を三週間掛けて、ほぼ行き当たりばったりにちょこちょこ廻るロード・トリップで、凡そ新婚旅行らしくない物凄く楽しい旅でした。バート・ウィンプフェンは、ハイデルベルクで一泊した後、エーベルバッハ村(※青池保子ファンの聖地)を横切ってネッカー川沿いの古城街道を南下する際、車窓から高台に魅力的な古城が見えた為、急遽気まぐれに立ち寄った町です。後から知った事には、「ドイツで一番シルエットの美しい町」と呼ばれているそうです。
ほとんど忘れ掛けていた、そんな偶然ほんのちょっとだけ立ち寄った町の事を鮮明に思い出させてくれ、やはりこのブローチを買って良かったと思いました。
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