昨年の夏、Hereford Cathedralヘレフォード大聖堂で念願のMappa Mundi マッパ・ムンディを見学した後は、しばしヘレフォード市街を散策します。ヘレフォードは今でこそ辺境の地方都市ですが、ノルマン時代はウェールズ国境に接する軍事の要所として栄え、ウィンザー城に匹敵する規模の要塞が存在したそうです。
ヘレフォードは、大聖堂以外は特に見所はないと聞いていましたが、流石に長い歴史を持つ州都なので、古い重厚な建築物は幾つも並んでいました。
大聖堂脇のこの門は、司教宮殿に続いています。今は学校になっているのかも知れません。イギリスの大聖堂には、大抵付属学校が残っています。
大聖堂の側には、ギリシャ懐古様式の黄色い教会。中欧では女帝マリア・テレジアが好んだそうで黄色い(マリア・テレジアン・イエローと呼ばれている)建物を良く見掛けますが、イギリスでは珍しいと思いました。
こちらのイタリア風の建物は、市立博物館&美術館だそうです。
大聖堂の西側周辺には、本物のチューダー時代の木組みの家が幾つか残っているようです。
しかし、例え歴史ある木組みの家でも、手入れされていないと寂れた印象を与えるだけでなく、街全体のの雰囲気を損ねます。
続いて、イギリスで五番目に長いらしいRiver Wye ワイ川に掛かる橋を渡ります。
対岸から大聖堂を眺めたかったからですが、手前の背の高い樹木が視界を遮って、生憎ダラムやウースターと言った他の河畔の大聖堂程は感動的な眺めには見えませんでした。そして、曇天なのがやはり残念。
しかし河畔には飲食店が多く並び、こんな場所で食事するのは心地良さそうです。
The Old Bridgeと呼ばれる古い石橋自体は、絵になります。
起源は15世紀末で、17世紀の市民革命時に損傷し、19世紀に拡張されました。
橋の西側。この上流は、ウェールズ国境に繋がっています。
街の中心部に出ると、ストリート・マーケットが開催され賑わっていました。
しかし、何処の市場へ行っても、買いたくなる物には滅多に出会えない、全く心躍る事のないイギリス…(悲しい)。
市場の立つ広場には、マーケット・ホールと言う建物が。とは言え、今でも屋内市場なのかは分かりません。
木組みの家は、中心部でもあちこちに残っています。
この建物の切妻部分には、実は細かい木彫が施されています。
しかし木組みがきちんと整列している事から、チューダー時代ではなくヴィクトリア時代の建築が多いような。
残る建築年代の建物の多さは、その町の栄えた豊かな時代にも寄ります。
大聖堂都市らしく、教会も多いように見えました。しかし教会へ行く人が激減しているイギリスでは、リストラされる教会も多く、今でも教会として使われているかは分かりません。
お昼時に、イギリスでは意外な光景に遭遇。老舗らしき肉屋に、長い行列が出来ているのです。肉屋では大抵パイ等の食事になる総菜やサンドウィッチを販売しますが、見ればここでは皆ソーセージ・ロールを買っています。
ソーセージ・ロールは、イギリス中の何処でも売られている定番のお惣菜パン(パイ)でイギリス人の好物ですが、イギリスのソーセージ自体が独特の奇妙な食感で、更に安い質の悪い物であれば混ぜ物ばかりで脂っこく、普段は日本人の口に合う食べ物ではありません。しかし、肉屋で質の悪いソーセージを使うとは思えないし、これ程人気とあれば別なはず。我々は例に寄って朝はイングリッシュ・ブレックファーストをがっつり食べてお腹は空いていませんでしたが、帰路の車内での夕食用に試しに買ってみました。
これが、本当に今までのソーセージ・ロールの認識を覆す程美味しかったのです! この肉屋はテキパキした感じの良い接客も評判が良く、スコッチ・エッグも人気だそうです。
朝の到着時には曇天でしたが、午後には随分晴れて来ました。規模もそこそこ大きくて、イギリスとしてはそれなりに楽しい街でした。特にP太は、ここのチャリティショップで嬉しい買い物が出来たので印象は良いはずですが、それを思い出すに付けても、マッパ・ムンディの拝観料はケチった事が腹立たしく怒りがぶり返します。
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