2025/10/23

ロスチャイルド家の至宝! ワデスドン・マナー 3

昨年の夏の終わりに訪れた、世界的な大富豪ロスチャイド家の19世紀築の超豪華屋敷(ほぼ宮殿)Waddesdon Manor ワデスドン・マナーで、続いて上階を見学します。 

その前に、地下の広大なワインセラーも必見。何せ、ロスチャイルド家はワイン財閥と呼ばれる程ワイン製造業に力を入れ、当然ワイン畑も所有しています。

セラーには巨大な酒池肉林な絵画が掲げられていて、この館でも似たような宴が催されたのかとつい想像してしまいます。しかし、この館を建てたファーディナンド・ド・ロスチャイルドは、前途の通り生来病弱だった為に、ワインは毒だと信じて一滴も飲まなかったそうです。

上階(日本風に言うと2階)は、地階と違って部屋の再現と言うよりは、いかにも博物館らしい展示方法になっていました。まずは、ロスチャイルド家の歴史やイスラエルに関わる展示。

この館で使用されていたセーヴル焼き専門の展示も、大きく取られています。

18世紀に初めてマイセンで生産が成功するまで、ヨーロッパでは陶磁器は非常に貴重で、王侯貴族裕福者は中国や日本から大量に輸入していました。

フランスでは、最初にパリ近郊のヴァンセンヌで、マイセンを真似て陶磁器の生産が始まりました。その後国王ルイ15世や愛妾のポンパドール夫人の後援を受け、セーヴルに移って王立窯として発展しました。更にリモージュで磁器用の陶土(カオリン鉱床)が発見されると、主な生産はそちらに移行して行きました。

セーヴル焼きは、豊かな彩色を駆使したロココ様式の絵画表現による装飾が最大の特徴で、特に「ブリュ・ド・ロワ(国王の青)」と呼ばれる鮮やかな濃紺が印象的な高級磁器です。(やる気がなく、ほぼウィキからコピペw)

余りに高級過ぎて有り難みの実感出来ない美術品がひしめくワデスドンで、私が最も心惹かれた展示品は、実はこのボタンでした。

この館の最後の当主ジェームスの母親、男爵夫人エドモンドのコレクションです。19世紀後半に、ボタンを集めるのが流行ったそうです。 

これとて、私には手が出せない貴重で高価な物ばかりですが、やはり大き過ぎない実用品に魅力を感じます。

セーヴルやリモージュを始め、陶器製が多いようです。ウェッジウッドのジャスパーらしきボタンも見えます。

宝石を嵌め込んだ物や、繊細な貝細工(恐らくベツレヘムのピアスド・ワーク)も見えます。本当にいつまで眺めても飽きないコレクションでしたが、人が群がるのでそうも行きません。 

普段からボタンに関心のない人にとっては、こんな他愛ないアイテムでも、これだけ集めるとこんなに興味深いのかと驚くそうです。

レースのコレクションもあり、やはり男爵夫人のコレクションだったようです。

宝飾品等の比較的小さな展示品も、ガラス・ケース入りで紹介されていました。

ロスチャイルド家所縁のジュエリーもあり。割と新しいデザインに見え、三代目当主ジェームスの妻の物かな。

近代の優雅なガラス器もあれば…、

…独特な色合いが魅力的な古代ローマ時代のガラス器もあります。

今でもイギリスでコレクションとして人気のアイテム、トリンケット・ボックス(小さな宝石箱)が、沢山展示されていました。一つ一つ、意匠を凝らした様々な細工がされています。

宝石貴石としては然程貴重ではない瑪瑙ですが、このように宝石箱に利用すると迫力。

こちらは、もしかして琥珀で出来ている? 一見木製ですが、部分的に透けています。

うっとり優美な貝細工の宝石箱もありました。

日本の蒔絵の箱の縁に、西洋の金細工が施されています。蒔絵だけじゃ地味だと思ったんでしょうね…。

やはり、こう言う小ぶりな展示品を眺めるのが、ここでは一番楽しめたように思います。しかし、兎に角暗いのと空気が淀んで息苦しい為、まだまだ展示品はあるのに既に結構ヘバって来ていました。


 


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