湖までの遊歩道は、両脇とも背が高く伸びた野良ニンジンの白い花で覆われています。この合間に、未だブルーベルも咲いていました。
この季節の緯度の高いイギリスでは、午後8時頃でこの明るさです。思えばこの湖には、コロナ渦中、特に都市封鎖中は、頻繁に訪れ雛の成長を観察していました。
今イギリス南東部では、水不足が懸念される程雨が少なく、湖の水位も大分下がっていました。今年の三月はここ60年の内で最も雨の少ない三月を記録し、普通イギリスで「にわか雨の月」と言われる四月でも雨はほとんど降らず、恐らく記録的に雨が少ない四月だったと思われます。
刈り込まれていた湖岸の草木は再び大きく成長し、湖の眺めを遮っていました。岸辺には、Yellow Flagと言う黄色いアイリスの仲間が咲いていました。
意外と雛を見掛けないね…と思いきや、凄い集団が現れました。
カナダ鴈の親子で、雛の数は凡そ30羽です。一組のつがいからこんなに多くの雛が生まれるのは、他の品種の鳥でも今まで見た事がありません。生まれて未だ一週間程度と言った処に見えます。
必ず片親が先頭に立ち、もう片方がしんがりを務めて雛達の移動を見守り、抜群のチームワークです。水鳥には雌だけで子育てするワンオペ品種も居るそうですが、カナダ鴈は夫婦一丸の子育てです。
そして、ハイイロ鴈の親子も見掛けました。こちらは雛五羽で、孵化して三週間以上は経っているようです。
しかし、何故か親鳥が三羽。成鳥の一羽は親鳥のきょうだいか、雛達のきょうだいなのか?? もしかしたら全く血縁の無い他人(他鳥)で、「わたし独り身ですけど、雛達の面倒を見るから家族に混ぜて」貰っているかも知れません。雛達を守る成鳥は、多ければ多い程安心なはずです。
嘴の赤いバンは、未だ巣で卵を温め中。水の中に生える木の合間で安全な巣に見えますが、 これ以上雨不足で湖の水位が下がり続けると、周囲が干上がってしまって危険なのではと心配です。
我々が水鳥の撮影に夢中になっている脇で、実はリスが木に這い蹲り、擬態化しているつもりなのかも。
この日は快晴だったのに、この散歩時に限って予報に反して雨が降り出し、かなり暗くなって来ました。
その内、先程の大所帯のカナダ鴈一家が陸に上がって来ました。
陸上は雛にとって更に危険度が増す為、親鳥の気が張っているのが伝わって来ます。この場所は野生のキツネも多く出没し、大型犬をリード無しで放して散歩させている無責任な飼い主も多くやって来ます。
ここに生息する水鳥の中では体が大きく、攻撃性も強いカナダ鴈ですが、実際に真鴨が近付くと、怒って追っ払っていました。しかし、鳩はお構いなし。人間も割と平気。
先程のハイイロ鴈の親子も、上陸して来ました。
文字通り低姿勢でカナダ鴈を刺激しないよう、緊張気味に側を横切って行きましたが、カナダ鴈はこれも見逃していました。
カナダ鴈より更に大きく、更に攻撃性の強いのが白鳥。実際この時翼を広げて威嚇していて、カナダ鴈を追い回していました。
つがいではなく一羽しか白鳥を見掛けなかったのは、もしかしたらもう一羽の雌は、この背後の中島の巣で卵を温め中なのかも知れません。
前回訪れた早春に一早く生まれていたエジプト鴈の雛達は、最早親鳥と変わらない大きさの若鳥に成長していました。しかし、声のみは未だぴよぴよのまま。
帰り道の小川では、アオサギを見掛けました。日没時な上に悪天候で、おまけに木が鬱蒼を茂る場所で、撮影するのには暗過ぎ。小川に架かる木橋の欄干に肘を固定してやっと撮影しましたが、未だブレています。
帰宅後、本当に久々のバケツをひっくり返したような土砂降りとなり、植物には恵みの雨となりました。これで孵卵中のバンの巣も、恐らく孵化するまでは干上がらないでしょう。湖の雛達が、無事成長する事を祈っています。
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