2025/05/31

五月の庭便り

 

五月、それはイギリスで最も気候の良い、庭の最も美しい季節だと確信しています。バラを始めイングリッシュ・ガーデンの代表的な植物もこの時期に咲き揃い、有名なチェルシー・フラワー・ショーが開催されるのもこの季節。庭園だけでなく、イギリスの家並みや風景も、この季節が一番絵になると感じます。

五月から六月に掛けて我が家の庭も刻刻と変化し、勿論手入れも忙しい時期です。晴れた日には、欠かず写真を撮らねばならない程です。

例え四季咲き、または返り咲きのバラであっても、一気にぶわっと咲き揃う訳ではなく、品種や立地、生育条件に寄って開花時期は様々です。だからこそ、どんどん庭が変化して見飽きないとも言えます。

我が家の庭で今年最初に咲いたバラは、R(ランブラー)黄八重モッコウバラ、すなわちレディ・バンクス・ローズで、四月下旬には既に咲き始めました。それは予想通りで、元々普通のバラより一早く開花する品種として知られています。

思い描いていた通り、こんもりと茂って花をたっぷりに付けてくれました。四季咲きじゃないのは残念ですが、その分一季咲きのバラは花期が長いようです。

モッコウバラの剪定は花の終わった時の年に一度のみで、今年はその時期に日本に一時帰国しなかった為ようやく剪定する事が出来ました。今は大きく刈り取られ、大分すっきりした姿になっています。

しかし、他の幾つかのバラも、今年はモッコウバラに負けない早さで咲き出しました。R「オープン・アーム」がその一つで、ランブラーとしては小ぶりだそうですが、物凄い大株に育っています。

作り物のような蛍光掛かったピンク色が可愛く、これから初冬まで休まず大量の花を付けます。このバラだけは、花弁が小さいし咲いている位置は高いしで、花殻摘みは面倒臭過ぎてすっ飛ばさせて貰っています。

HT(ハイブリット・ティー)「スパークリング・レッド」(推定)も、同じ頃咲き始めました。やはり高い場所に在る蔓バラだと、日当たりも良く開花が早いようです。今は既に最初の開花期が一旦終わり、花が少なくなっています。

ER(イングリッシュ・ローズ)「ザ・ハーバリスト」とFB(フロリバンダ)「ブルー・フォー・ユー」も、続いて咲き始めました。

その「ザ・ハーバリスト」も、今は最初の花期が終わりつつあります。昨年日本から戻った時(六月下旬)には、最早花が一つも咲いていない状態でした。本来微香だそうですが、我が家のはオールド・ローズ系の香りが強めです。

ERの強香の代表「ガートルート・ジェイキル」は、蔓バラにしてから花付きがずっと良くなりました。

我が家のER「ハイド・ホール」は、いつも一番最後位に咲き始めます。しかし、花数の多さはトップ・クラス。

数年前に増設した花壇に植えたランブラーER「ザ・レディ・オブ・ザ・レイク」は、すっかり蔓バラらしく育っています。しかし何せクライマーではなくランブラーなので、何処まで大きくなるのか覚悟しなければなりません。

この花壇にはギャップ・フィラー(隙間埋め)としてニゲラとマトリカリアを植えましたが、ニゲラが育ち過ぎてしまい、ラベンダー等の生育を妨げているので引っこ抜きました。

もう一つ、この花壇に植えている蔓バラで、我が家には少ない赤バラのHT「ポールズ・スカーレット」は、亡き義父が持って来てくれた物。順調に花を付けシュートも伸びて来ているものの、未だ蔓バラらしくは育っていません。

ER「モリニュー」は、今年はやたら酸っぱい黄色に咲きました。

三、四月と雨が異様に少なく、庭の水撒きも大変でしたが、五月に入って行っ一定数の雨が降るようになりました。雨上がりの庭にも、独特な美しさがあります。

我が家で唯一のOR(オールド・ローズ)の「マダム・イザーク・ぺレール」(推定)は、ころんと丸い蕾が可愛い。

花が開くと、意外にも花びらの端が反り返った剣弁咲き(高心ではない)です。青味の強い濃いピンク色が一際目を引き、ラズベリーのようなフルーティーな強いオールド・ローズ香は絶品。どうも私は、鮮やかなピンクのバラに一番惹かれるようです。

その一方で、ER「スカボロー・フェア」とER「ザ・ラーク・アセンディング」の繊細な花色は別格です。

今は、シャクヤクも咲き始めました。 

気候変動やアジア産スズメバチの出現で、イギリスのミツバチやマルハナバチが激減していると聞きます。しかし我が家の庭は、ハチの羽音が絶えません。

イギリスはガーデニングの国として知られているでしょうが、近所の裏庭を見渡すと、植物を愛でて育てている家は思いの他の少なさです。多くは、例え芝生やペイヴィングで良く手入れされてはいても、大抵は単なる休憩場所か子供の遊び場で、せいぜい飾りとして鉢植えやハンギング・バスケットが数個置いてある程度。こんなに花が少なくては、ハチが激減しているのも頷けます。

ところで、今年のバラはアブラムシがとんでもなく多い! …いえ、二年続けてこの時期のイギリスに居なかったので、今年が特に多いのかは定かではありません。

 

毎日毎日、指でプチプチと潰していますが追い付きません。結局これが、オーガニックで最も確実な方法です。蕾が膨らんだ後に薬剤を吹き付けると、花色が傷んでしまいますから。

勿論ゴム手袋を嵌めて潰していますが、体液がゴムから染み出て指に付く程の多さ(苦笑)。義母からは「うえ~」と気味悪がられましたが、一日見逃すだけでバラの花芽をダメにされる事もあるので躊躇はしていられません。

アブラムシを捕食してくれるはずのテントウムシは、一体何処に居るのか、とんと見掛けません。

アブラムシは人間を刺したり噛んだりは決してしませんが、このプチプチ行為を続けていると、何だか体中が痒くなって来る気分。毎夜寝る時に、「今日も大量に殺したなあ…」としみじみ思い出しながら眠りに付きます。

まだまだやるべき庭仕事は山程ありますが、これからイギリスでも暑くなるので、今よりは勤しめなくなります。夏の気温は日本に比べたらずっと低い割に、太陽の位置が高く日没時間も凄く遅いだけに、日差しの厳しさは意外と半端ないからです。






2025/05/30

「ユニーク・アイズ」のソフィア人形二体目

今年の冬頃に地元の玩具店で大幅に値下げされていたファッション・ドール「ユニーク・アイズ」で、このソフィア人形をエイミーと一緒に買いました。実はソフィアは既に持っていたのですが、すっかり私はその仕様を忘れていて、髪型が全く同じだとは憶えていなかったのです。

しかし、西洋のドールには珍しい前髪付きの魅力には逆らえず、選ばずには居られなかったようです。元は鮮やかなピンクのエナメルのコートに、全面がスパコールで覆われたキラッキラのミニ・ドレスを着用していました。童顔にファンキーなスタイルは、これはこれで可愛いと思います。しかし、そんなグラムなファッションなのにも関わらず、フットウェアは殺人的な高さのピンヒールとかではなく、足首がない為に相変わらずブーツ…と言うかゴム長靴と言うアンバランスさが返って良き。

今は日本のアニメが、配信サイト等で一層簡単に観る機会が増え身近になったせいか、欧米でもアニメ顔風のファッション・ドールが増えて来ています。しかし本人達がアニメ風と狙っているだけで、私達日本人から見ると(P太等外人ヲタクから見ても)「ちっともわかってねーな」的な可愛くない残念なフェイス・デザインがほとんどです。その点このユニーク・アイズは、日本人から見てもバタ臭さが余りなく、普通に可愛く見える所が何気にスゴイと思います。

とは言え、全く同じ仕様の人形を二体は必要ないので、こちらはボブヘアに改造しました。元々髪が長過ぎて扱い辛いしバランス悪いし(その内他のユニーク・アイズもカットするかも)、前髪も不揃いでどうせ整えなくてはと思っていたのです。髪先はウェーブ掛かっていましたが、切り落としたら直毛になりました。

レイヤーやらシャギーとかは全く無しに、ほぼざっくり切っただけです。実際の西洋人の髪に合わせて植毛が少ないのか、漉いて毛量を減らす必要もありませんでした。毛端だけはパッツンにならないよう、縦に挟みを入れてギザギザにしています。

ついでに、リップもリぺ…と言うか、元の色の上に濃い目の色を重ねただけ。西洋のファッション・ドールらしく肌色は妙に黒ずんでいるので、濃いリップの方が肌が明るく見えるかもと思ったからです。塗った後で濃過ぎたかもと思いましたが、瞳の青さは一層目立つようになったような。

着物が似合いそうな雰囲気になったと思い、和装をさせてみる事にしました。しかし、最初に以前リカちゃん用に縫った着物を試着させてみたら、非常にクセの強~いボディの為、着付けの凄く難しい事が分かりました。

巨大な頭を驚く程細い首で支えているので、バランスをとる為にか、上半身が異常に仰け反っているのです。前袷すら上手く閉まらず、こりゃ新たに型紙を修正して作るしかないかな…と考えていました。

しかし、着付けに寄って、どんな体型でも着こなす事が出来るのが着物の本領のはず。結局キッチンタオルでぐるぐる巻きに体型補修し、何とかリカちゃんの着物が着られるようになりました。

例え新たに着物を縫ったとしても、一発で上手く行く自信はありませんでしたから安堵しました。やはりふんぞり返って、見事な鳩胸のままですけどね。元々両足首を揃えると上半身より太い程だったので、上半身をぐるぐる巻きに太くした方が都合良かったようです。

この振袖は、以前辰年の新年用に作った物です。丈はそのままで、おはしょりも再調整していません。腕はリカちゃんよりずっと長いので、袖巾が足りないかと思いましたが、肩幅はリカちゃんより狭い為に大丈夫でした。

このデカ足に合うドール用草履なんて当然持っている訳がないから、草履と足袋(+ヘッドドレス)だけは新たに作りました。しかし草履の幅のせいで更に下半身に幅が出てしまい、やはり裾が広がり気味に。

まるで寺社に奉納するのか?と思える程(それは草鞋ですけど)、人形の比率に対しデッカイ草履です。ドールに実際履かせて合わせながら一応作りましたが、足袋を履かせてからだと、やはり草履が履き辛く立たせにくくなってしまい、結局多くは草履無しで撮影しました。 

何だか市松人形のようなバランスには見え、和装がしっくり来る事は来ると思います。茶髪で瞳は青いから、市松人形のコスプレをした西洋人の子供ってところでしょうか。

返って着物は、このクセ強な体型が隠れるので、バランス良く見えるかも。肘の関節は曲がらず肩の関節が動くだけの可動域も、片方のみ(向かって左)は最初から曲がったままの長くて細い腕も、指が長くてこれだけは大人っぽい手の表情も、着物を着こなすのには十分合っているように思います。 

ところで最近フリマで、最初に発売された方の「ユニーク・アイズ」の中古人形が、売りに出されているのを目撃しました。気温はさして高くないものの日差しはかなり強い日で、人形のヘッドの素材が熱で怖い程ぶよんぶよんに柔らかくなっていました。 普段のユニーク・アイズのヘッドは、ソフビのファッション・ドールとしても割と硬い方なのに、一体この素材何で出来ているの…。

草履&足袋の問題さえ克服出来れば、またユニーク・アイズに着物を着せてみたいと思います。