イギリスの冬としては珍しく晴れた昨年のクリスマスに、夫婦でケント州の人気の港町Whitstable ウィッツタブルを訪れました。クリスマスと言っても12月26日です。イギリスでは、26日もBoxing Day ボクシング・デイと言うクリスマスの祝日だし、ついでにお正月もクリスマス休暇の一部なのです。それで25日を過ぎても、しばらく街にはクリスマス・デコレーションが飾り続けられたままです。
ウィッツタブルはイギリスで最も独立した(チェーン店ではない)路面店の多い町として知られ、今では貴重になりつつあるイギリスの昔ながらの店構えを多く見る事が出来ます。
ストライプの庇は、古い店構えらしさを引き立てます。
そう言う古風な店舗がクリスマス仕様のディスプレイになっているのは、中々絵になります。
しかし売られている商品自体は全く古風ではなく、斬新で奇妙な品が多いのです。
この店なんて、日本のシャチホコみたいなヴィクトリア時代の形式上のイルカ型ピッチャーが、色違いで延々と並んでいるし(…どう言う人が買うんだろ??)。
全部ツリー用のボーブルです。モデルになっている人物は、今はほとんど死んでいます。
イギリスの観光に人気の街の常で、アート・ギャラリー等も多く、書店もこの通り意識高い系です。
書店で見掛けた、クリスマスのポップアップ絵本。
姉がポップアップ絵本に目がなくコレクションしていますが、海外物でも既に持っている本が多く、下手には買えません。
ボクシング・デイは、伝統的には冬のセールの始まる特売の日として、かつては日本の1月3日同様に商店街が大いに賑わったそうです。
ところがここ数年は、アメリカからブラック・フライデイの習慣が導入され(それすらすっかり下火になったが)、どんどんセール開始が前倒しされるようになり、ボクシング・デイの特売の意味は無くなって来ました。
それ故に、この日にあえて営業しない店舗も今は増えて来ました。
理容室や美容室は、何処の街でも多く見掛けます。「とってもピンク」と言う店名&看板に合わせたのか、くすんだピンク色系のデコレーションが新鮮でお洒落。
近い未来には人間の職業の70%がAIに奪われるらしいのですが、理容&美容業は生き残ると言われています。
一度食事した事のある、バスチーが最高に美味しかったスパニッシュ・タパス屋さん。
この町で気付いたのは、このように細かく白い手描きの同じタッチのイラストが、通りに面した窓全体に描かれた店舗が幾つか在る事。
恐らく、地元近辺在住のアーティスト、または職人が、毎年のクリスマス・シーズンに一気に引き受けて、一店一店コツコツ描いているのだと思います。こんな技術や職業も、AIや大量生産品に代わられては意味がないから、当分奪われる事はなさそう。そう言う手描きの良さを尊ぶ価値観こそ失われないよう、切に願います。
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