2024/11/30

ウィンクワースの紅葉 2

今月の初めに、NT(ナショナルトラスト)唯一の樹木園で、モミジが多い事で知られイングランド屈指の紅葉の名所である「Winkworth Arboretum ウィンクワース樹木園」を夫婦で訪れました。生憎冴えないお天気の日でしたが、イギリスの秋冬は概ね悪天候が多く、他に選択がありませんでした。

紅葉を楽しむのにのは、天気の良さと共に、水辺(海以外)である事も重要だといつも思います。この庭園には湖があり、その周囲は確かに紅葉スポットのハイライトの一つとなっています。

ここで特に目を引いていたのが、この蛍光カラーのような二本の樹木。

植物札を確認しませんでしたが、極東原産のニシキギではないかと思います。

その側には、カラマツのように紅葉落葉する針葉樹もありました。

湖の対岸にも、モミジの密集した場所が。

モミジの葉色にも様々ある中で、この湖畔のモミジは、この庭園内で最も鮮やかで美しく見えました。

カナダ原産のサトウカエデも、この庭園に彩を添えるのに大きく活躍しています。

一方こちらは、英語ではgingkoと呼ばれる銀杏。日本ではお馴染みの木ですが、ヨーロッパではここ数年に街路樹として増えて来ました。

まるで粘土で作ったような実は、極東原産のHarlequin glorybower クサギだそうです。

湖は水鳥達にとっても楽園となっており、この日はcormorant=川鵜を目撃しました。

しばしこのように、大きな羽根を広げたままでした。日干しているようです。

また別の場所で、56羽で一斉に潜水している水鳥を見掛けました。まるで、鳥のシンクロナイズ・スウィミング。最初はカイツブリかと思いましたが、写真で拡大して確認すると、これも川鵜です。もしかしたら親子なのか、川鵜が群れで行動するするのは初めて見ました。

やはり青空の背景や日光がないと、紅葉は映えず霞んで見え、大量に撮った写真も調整してさえ不満足の出来栄えで残念です。本当はこの庭園は、秋の紅葉だけでなく、春はブルーベルの絨毯、巨木のシャクナゲやツツジ、モクレンの開花が見事なのです。

因みにイギリス南東部の紅葉の名所としては、同じくNTの「Sheffield Park & Garden  シェフィールド・パーク&ガーデン」も有名です。やはり外国原産の樹木が多い、大きな湖の在る庭園です。しかし割と最近行ったばかりだったので、今年は紅葉を見るのならウィンクワースに行きたいと思っていました。

広い園内を十分歩き回ったとは言え、午前中から訪問していたので、午後の2時前には樹木園を去りました。

午後に入ると、霧雨のような天気になり、景色は一層霞んで来て撮影も難しくなりました。

前述の通り、いつがイギリスの紅葉の最高潮時かを見極めるのは難しいのですが、普通はこの南東部でも東京より一か月以上早い、10月中旬~下旬頃がピークと認識しています。基本的には、次から次へとやって来る暴風雨に葉を吹き飛ばされる前が見頃のピークです。しかし今年の秋は、雨は多かったものの暴風雨は割と少なく、紅葉を楽しめる時期が異例に長かったようで、11月末のつい先週のストーム直前まで紅葉が楽しめました。

 

 

 


2024/11/29

ウィンクワースの紅葉 1

久々~に、最近のお出掛け記事です。今年からNT(ナショナルトラスト)の会員に夫婦で復帰し、NTを活発に訪れていますが、イギリス南東部で紅葉が最高潮になったと思われた先月末頃、秋には珍しく快晴と予報された平日がありました。P太が有休を取り、モミジが多い庭園で知られ、イングランドでは屈指の紅葉の名所であるNTの「Winkworth Arboretum ウィンクワース樹木園」に行くのを楽しみにしていました。

ところが、義母からガスコンロが壊れたとのパニックになった連絡が突然入り、その日は諦めなければなりませんでした。

しかし、その週末も珍しく晴れだったので、改めて朝からウィンクワースを目指しました。が、平日ではなく週末とあっては、同じ事を考えていた人達は非常に多かったようで、駐車場は午前中で既に満杯。狭い田舎道には、駐車場の空きを狙う無情の長蛇の車の列。かなり遠く離れた場所に駐車して、歩道のない道路を延々と歩いて来る(危険)人達も見掛けましたが、我々はさっさと諦め、別な場所へ紅葉を見に行く事にしました。

しかし、例えイギリスの自然豊かな森へ行ってみても、イギリス古来の樹木の紅葉は基本的に黄色と茶色(錆色っつうか)だけの為、どうにも日本人には、そして日本の紅葉の美しさを知ってしまった英国人には物足りないのです。

満足出来なかった我々夫婦は、その次の週末、天気はからっきし冴えなかったものの、朝一で再びウィンクワースを訪れました。開園の10時前に到着したし、前の週に比べて天気が良くなかったせいか、今回は駐車場を確保する事が出来ました。しかし余りに人出が多いので回転を早くする為にと、実は前倒しで9時半から入園する事が出来ました。朝早くからテキパキと働くボランティアの方々には、思わず頭が下がります。


入り口には、これからのクリスマス・シーズンに向けてコラボ開催が予定されている、「ひつじのショーン」のディスプレイがありました。

そしてハロウィーンの直後だった為、ショーンの周囲にはカボチャや骸骨が展示されていました。更に、恐らく敷地内で発見されたらしい、アナグマか何かの本物の動物の骸骨も展示されていました(おいおい)。…このドギツいセンス、イギリスならでは。

コロナの間はNT会員を止めていたから数年間ここを訪れていなかった訳で、今までも春のブルーベルの季節とか数回しか来た事がなかったようにも思います。しかし、何せ樹木がメインなので、NTの庭園としては正直地味だし、実際に道路にさえ長い渋滞が出来る程の混雑は、今まで一度も経験がありませんでした。ここの人気がこんなに高まったのは、本当にここ数年の事ではないでしょうか。


いつの間にか駐車場は増設され
ていて(それでも前週は満杯になった)、今までのカフェやトイレも最早小さ過ぎるので、新たに大きなビジター・センターを脇に建設中でした。

確かに入場者はかつて見た事がない程多く、朝から子供の奇声や遠吠えが、広大な敷地内の丘や谷間に響き渡っていました。

やはり一番多いのは白人客(多分生粋の英国人)ですが、その親子連れの多くは、これ程素晴らしい紅葉に大して見向きもしません。聞く話に寄ると、割と近年まで、イギリス人の間では紅葉を愛でに出掛ける、つまり紅葉狩りと言う習慣は、余り一般的ではなかったとか。

次に多いのが中国人で、現在イギリス中の多くの特定の場所で、中国人が急増して集中している事に改めて驚きます。恐らく在英&訪英中の中国人の間のSMSで、「今ウィンクワースがイケてるよ」とかバズっているのかも知れません。もっとも多くの中国人は、ここでは紅葉ではなく栗拾いに夢中になっていました。

イギリスの秋の様子や紅葉は、同じ北半球の温帯と言えど、日本のとは大分違います。日本の紅葉は12週間で野山や森、庭園全体が劇的に色付き変化しますが、イギリスの紅葉は植物の種類や立地に寄って始まる時期がてんでバラバラで、数カ月に渡ります。

早い広葉樹で最早8月から紅葉が始まり、しかし秋に入ると暴風雨が多くなるので、紅葉の進んだ樹木から順に風で葉がとっとと落とされます。

その為、例え数本だけ美しい紅葉の木があったとしても、その隣の木は既に冬木立だったり、逆に未だ夏同様に葉を青々と茂らせている場合もあります。全体的に見事な紅葉のピーク!と言うのは、ここでは期待出来ません。

それ故に、紅葉の色合いの豊かさだけでなく、紅葉が最高に美しく見応えあるのは日本とカナダとされ、この時期を狙ったパック・ツアーも多く組まれているようです。

このウィンクワース樹木園は、20世紀前半に一人の医師に寄って築かれました。彼は環境学には興味があったものの、植物の専門家だった訳でもなく、単に樹木が好きで、自分の農場の敷地にコツコツと数千本の木々を植えたそうです。現在ならまだしも、1930年代当時に、これだけの外国の樹木を個人で集め育てるのは、さぞ大変で熱意(と財力)が必要だったと想像します。

この庭園自体は1952年にNTに寄贈されましたが、脇の高台に私有地のお屋敷が残っているので、もしかしたら今でも其処に医師の子孫が住んでいるかも知れません。NTとしては、全国で唯一のarboretum=樹木園だそうです。

 

 

 


2024/11/27

MTMのブロンド・バービーをリペイント

何体かのバービー人形の顔をリペイントしていて、やはりボディはフル可動式に交換したくなり、ずっと中古でMTM(Made To Move=通称ヨガ・バービー)を探していました。しかし数年見付からず、出会っても足を失って壊れていたり、カーヴィ(デブ)タイプだったりで手に入らず、こりゃ新品を買うしかないかなあと思っていました。

人種の坩堝のアメリカのデザインの人形ですので、MTMボディだけでも約10種類の肌色が存在するらしく、更に体型も基本の他に長身、小柄、太目と用意されています。この中で、バービーとしては最も一般的な日焼け肌色と、赤毛や東洋人に使用される白肌の二種類の基本体型は、自分に必要だと思っていました。

しかし近辺の玩具屋を何度もチェックしても、何故か白人&東洋人の簡易仕様のMTMバービーは長らく売られていません。Amazonで購入するしかないと思っていた矢先、普通(日焼け)肌の方のMTMは、地元チャリティショップで入手する事が出来ました。

販売されていた当時は、こんなヒドイ恰好をさせられていました。実は向かって左の網タイツの下の脚にはテープがべた~っと貼ってあり、もしかして折れてるの?!と焦りましたが大丈夫でした(べたべたは中々落ちなかったが)。多分初めてMTMのスタンダード・ボディの実物をヌードでちゃんと確認し、バランスの良さに改めて惚れ惚れします。何処も誇張されていない、無駄のない健康的で自然で美しいバランスなのです。長身バービーのように、妙に間延びした寸胴でもありません。

クローズ・マウスなので、バービーにしては品が良くバカっぽくもなく中々の可愛さ。気に入らないのはリップの色だけで、もしフェイス・プリントのドットが荒くなければ、別に総リペイントする必要もないんだけどなーと思った程です。ちょっと調べたところ、この顔のモルドには「Millie Close Mouth」と言う名称が付いていて、大人のバービー・ファンの間では人気があるそうです。ツイン団子頭のExtraのバービーも、姉の買ったお高い実写映画版バービーも、恐らく同じ顔型を使用しています。MTMボディのブロンド・バービーには、こんな口を閉じている人形は余り存在せず、一体どのMTMバービーなのかは中々突き止められませんでした。着ているピンクのトップは実はステッフィ人形の物だったから、推測の助けには全くならず。耳から生えているんじゃないかと疑う程深くガッチリ刺さっていた、でっかいループ型のイヤリングのみが、多分このドールのデフォルトで、今では「車椅子バービー」じゃないかと推測しています。

更に、プレイセットや幾つかの小物も勝手にセットされて、チャリティショップでは売られていました。多分、元持ち主から単に一緒に寄付されたのだと思います。流しの付いた調理台は、Doughと言うシリーズの、粘土で食べ物のミニチュアを作る遊びのセットだったようです。

小物は犬用の骨型おやつ、ピザ、医療カルテと聴診器、哺乳瓶?で、これまた雑多な寄せ集めです。見た目も造りもチャチいので、今後ドル活に役立つかどうかは謎ですが、これで合計4ポンドなのは、チャリティショップとしてはかなりお買い得でした。

出来る限りオリジナルの顔の造形からは大きく変えないつもりで、こんなリペになりました。元が酷い顔の人形は心置きなく改造出来ますが、元から大して問題のない顔立ちの人形は、果たして改善出来るかどうかそれなりに緊張します。少なくとも、ケバさ&老け顔は回避出来たと自分では思っています。クローズ・マウスってのが、やっぱりつくづく重要。あくまでナチュラルな雰囲気を目指すのって、最小限の表現勝負だから、化粧で盛り捲っても平気なケバい顔にするより返って難しいといつも思います。

モード系は勿論、クラシックな衣装もナチュラルも似合う雰囲気にはなりました。ドールのリペイントが上手くなりたいのは確かですが、それよりも私にとって大事なのは、着せ替えしたくなる、服を作って上げたくなる人形に出来るかどうかと言う事です。


髪の状態も悪くありませんでしたが、どうせなので、お湯パーマでウェイビーに変更し、少しだけ華やかに柔らかい雰囲気を目指しました。リップの色は控え目にし、グロスはパール入りを使用しました。

このバービーには、まず茶系の服装を着せたいと思いました(秋ですし)。そこで、茶系のコットン生地を組み合わせ、ハイウェスト+二段切り替えのスカートのワンピースを作りました。この生地の組み合わせは、派手になり過ぎないよう、しかし寂しくなり過ぎないよう自分なりに結構考えました。

ところが!最初はカントリー・スタイルやロハス系、欧米で言うとBOHOっぽいファッションを目指すつもりだったのに、地味顔が仇となり返って老けて見え、単なる田舎のばーちゃんそのものの恰好になってしまった…。

元々グラニー・スタイルは好きだし、大筋は外れていないはずなんですけど、今時の服装らしさはまるでなく、メルヘン界の住民みたいと言うか、虐げられていた時代のシンデレラっつうか。


ベージュ色のショールや籠バッグを合わせたのが、やり過ぎだったかも。

ショールに使用したウール生地は、高級な毛布に使われそうな上質のツィードです。今年の夏頃に山小屋風チャリティショップで、全幅×1m位を1ポンドで手に入れました。

1/6ドールにとっては当然厚めですが、目は詰まってアイロンもまあまあ利くし、シンプルなコート位なら作れそうな生地です。

この樹脂製の籠バッグは、多分玩食のミニチュア。今年東京の姉の家の近所のホビー・オフで、百円程度で買いました。凄く良く細かく出来ていますが、多くのドールに持たせるのには重過ぎるのが難点です。しかしMTMボディは可動式の中では関節がかなり硬い為、珍しくこの籠を持たせる事が出来ます。

元々濃い目の肌の色に馴染み易いように茶系の服装を選んだはずだったのに、やはりこの肌色は撮影し辛い…。髪色が白飛びし易く、ブロンドと肌色が不自然で合っていないのだと思います。

MTMボディ自体は、素材的に割と丈夫そうで、紫外線や経年にも比較的強そうです。しかし比重が高くて重量がある為、更にバービーの足は1/6ドールとしても小さ目なので、ブーツを履かせても安定が悪く、撮影用に立たせるのが結構大変でした。

momoko DOLLのように関節が緩過ぎるのも問題ですが、MTMの関節は足首以外は固過ぎて扱いにくく感じます。

そして、本来MTMボディの肘は180度曲がるはずで、実際に関節自体もそう言う造りになっているのに、このバービーの肘は何故か90度までしか曲がりません。 

力任せに曲げようとしてバキッと折れては本末転倒なので、このままで諦めています。更に、脇は相変わらず締まらない造り。 手を顔に近付けられると、表情が豊かに見えてかなり嬉しい可動域なんですけどね。

Millie(バービーの本名「バーバラ・ミリセント・ロバーツ」から来ている名称のようだ)の顔型は、馬面じゃないし目鼻口等の位置のバランスの良いモルドなのが魅力ですが、 少しでも下から見上げる角度だと、顎のラインが結構角ばっています。西洋では、女性のエラ張りは賢い顔の象徴と見なされるので、もしかしたら知的に見えるように工夫がなされているのかも知れません。

自分史上、最もケバくないバービーには仕上がったと思います。しかし彼女に初めて作ったアウトフィットは満足出来なかったから、今後はもっと似合う格好を追及して作って上げたいと思います。