2022/12/25

パストラル・ホリデイ

私にとって最も魅力的に映るクリスマスのドール服、それはカントリー・スタイルかも知れません。

それで、今年のドール用クリスマス服の最後を飾るのは、リカちゃん用のカントリー・ドレスにしました。

着膨れで、見事にもっこもこになってしまった💦 まあ、一応暖かそうには見えるかな(笑)。

コートはドール・コーディネイト・レシピ12の型紙で作った物で、中のワンピースはオリジナルです。

ワンピの下には、パニエ代わりにチュールのスカートを履かせています。

コートは、本に掲載されていた作品は赤いコーデュロイでしたが、私は中厚リネン地で作り、装飾としてビーズ刺繍を施しました。赤いビーズにするといかにもクリスマスらしくなるはずですが、あえて黄色いシード・ビーズにしました。そもそも、赤いビーズの手持ちがもう無かったのです。

コートの茶系のティペットとカフスは、取り外し出来ます。素材は毛足の極短いボア…なんですけど、ほとんどフリースと変わらなく見えます。

カフスは本の説明と違って袖口に縫い付けず、本当にボタンで留めているだけなので(故に油断するとスポッと抜けます)、一応他のアウトフィットにも使用できます。本掲載の型紙では横幅が短過ぎる為、1.5cm長くしています。

ワンピースは、アンティーク・フェアで買った柊柄の生地と、赤いギンガムチェックのコンビ。袖のみ、ピンストライプにしています。袖は、予めピュアニーモSボディ向けに、リカちゃんボディよりも長めに設定しています。

エプロンは、例のクリスマス端布の詰め合わせの中の小さな一枚です。…結局、結構活用しているなっ。

何故エプロンの裾の雪柄のセンターを、きちんと合わせなかったのか、今となっては我ながら謎です。こう言う所に気が十分に回らなくて、一々ズサンな私です💦

エプロンとバブシュカを外してティペットを合わせると、少しだけおめかしになります。

それにしてもピュアニーモ・ボディって、やはり内股で立たせるのが、一番安定良く出来ているみたいです。


 カントリー・ドレスと言う事で、実際モデルさんに田舎にも撮影に出向いて貰いました。 

単なる田舎どころか半端ない僻地で、クリスマスなのに悲しくなる程寂しそう&寒そう(涙)。思わず「荒れ野の果てに~♪」と口ずさみたくなります。

場所は、コーンウォールのBodmin Moor ボドミン・ムーアだそうです。勿論、カレンダーの写真を利用しているだけです。

今年のクリスマス&イブは丁度週末なので、日本でも家族と一緒に楽しめた人が多いのではないでしょうか。イギリスでは元々クリスマス当日は祝祭日だし、翌日の26日もBoxing Dayとして祝日なので、27日が代休となるそうです。イギリスの公休日は、宗教関係の祝日以外はほとんど予め月曜日と設定されている為(近年日本でも多くの休日がそう変更されましたが)、代休と言うのは稀です。

 

 

 

2022/12/24

黄金の聖夜


ウェイクアップ022momoko DOLLに、自分で作ったモッズ、またはスウィンギン・スタイルのクリスマス・ドレスが似合わなかった為、では一体どんなクリスマス・ドレスなら彼女に合うだろうと考えた時、真っ先に思い付いたのは、少し1950年代風の肩が大きく開いてスカートの広がった、光る生地の正統派なイブニング・ドレスでした。念の為、彼女に60sファッションが似合わない訳ではなく、単に私のデザインとスタイリングが悪かっただけです。

そこで、ゴールドでまとめたイブニング・ドレスを彼女に作って着用して貰う事にしました。随分前にフリマでインド人女性から買ったフォーマル用端布の一枚で、このホルターネックのドレスシンディの女王様コスの銀色の生地、またはモキシーに作ったドレスのくすみピンクの生地の色違いです

実物はかなり黄色味の強い金色の布で、巷に溢れる「美女と野獣」のベル人形のドレスを思い出させます。金糸入りのレースやリボン、ブレード等と合わせたら、正直何だか安っぽい既成ドール服みたいだと我ながら思いました。

しかし! 流石にモモコさんは優秀なファッション・ドールだあ。私の作った下手くそでチンケな服でも、華麗に着こなしてくれていると思いました。

スカートはチュールで裏張りしていますが、張りが出過ぎて必要なかったかも知れません。

レース生地のストッキングには伸縮性が全くない為、足首部分の括れを無くして作っています。さもないと、モモコの足は通りません。そのせいで足首が太く見え、またしても子供っぽく見えてしまうのが難点。

ハンドバッグは、ベルベット調のリボンで手作りしました。一応、口が開閉出来る仕組みにしています。ドール用のがま口バッグ用の口金をずっと欲しいと思っていて、日本なら手作りしてる方が居るので売られているはずですが、こちらでは中古も含めてとんと見掛けません。

ヘッドドレスを、どうしようかと考えました。イギリスではフォーマル・ドレスに良くファッシネーターを合わせますが、それは夏のデイドレスの場合だろうと思い、結局何も思い付かずにナシとなりました。ドレスの肩紐等の首回りのボリュームが十分あるので、ネックレス等のアクセサリー類も無し。

ウェストのリボンはブローチ式になっている為、取り外す事が出来ます。このリボンがないと、クリスマス用に限定しない割とシンプルなイブニング・ドレスになります。

冬のイブニング・ドレスでのお出掛けには、毛皮のコートを合わせるのがお約束です。イギリスなので、毛皮は上流階級であろうと勿論フェイクファーです。自分としては初めて、総ボアのコートを作ってみました。

毛足が長いので、写真で見ると結構ゴージャスなのが意外ですが、実は起毛が疎らな(所々禿げて見える)安っちい薄手のボアです。その分、ボアとしては縫い易かったと思います。

今年の夏にフリマで買っておいたボア生地ですが(何でも中古品頼りの私…w)、多分テディベア専用のデアゴスティーニのような付録付き定期購読雑誌の付属品とかだったのでは?と思っています。

実際には、クリスマス及びイブ当日に、こんな格好をする人はまず居ないと思います。何故なら西洋のクリスマスは基本的に家族と実家で過ごす物で、それではまるで日本の正月元旦に、家の中で豪華絢爛振袖を着ているような大袈裟ぶりだからです。これはあくまで、クリスマス前の同僚や友達とのディナー・パーティーに着て行く格好です。

しかしながら、例えおうちで家族で過ごすクリスマスでも、多少は気分を上げるおめかしをしても決して悪い訳ではありません。―――それでは皆様、素敵なクリスマスを!


 

 

2022/12/23

クリスマス前の極寒のロチェスター

12月に入ったのにも関わらず、ニュースは深刻な物価高と貧困、あらゆる公共機関のストライキの嵐、ウクライナでの戦争で溢れ、クリスマスを心待ち出来る雰囲気では全くありませんでした。実際イギリスのクリスマスそのものが、最早私にとっては全く楽しくなく(日本の方がマシ)憂鬱の種でしかありません。地元の街の中心部へ行っても、相変わらず心躍るような商品は皆無。おまけに、本来商売にとって12月は一番の稼ぎ時のはずなのに、この不景気のせいで明らかに活気がありません。そこで、少しでもクリスマスらしさを味わいたいと、P太が金曜日に有休を取った日に、城と大聖堂の在る歴史的な町Rochester ロチェスターに出掛ける事にしました。

この数日後からはイギリス南東部の天気は見事に雨続きと予報され、またクリスマス休暇時期が近付くとガソリン代が値上がりする為、快晴の日のお出掛けはこの日が最良の選択に思えました。問題は丁度記録的な寒波に見舞われていた時期で、最低気温マイナス7度、日中の最高気温でも2度と予報されていた極寒の日だったのです。

大抵はこの町へ来る時は、メッドウェイ川に架かる橋を渡って北西から入り、駅周辺の有料駐車場を利用しますが、今回はナビに従って南側から入りました。実は中心部からそう遠からぬ住宅地の路上に、無料で時間制限無しの駐車スペースがあったので、今回は其処に車を止めました。駐車した場所の近くに、こんな立派な建物が。私立学校かと思いましたが、慈善団体の建物だそうです。建造は17世紀。

更に先に進むと、「Restoration House」なる歴史的な建物に出くわしました。国王チャールズ二世が滞在したと言われる、やはり17世紀築のお屋敷で、航空地図で確認すると庭園が見事なようです。

結構すぐに、ハイストリート(目抜き通り)に到着。この建物は、ビジターセンター兼ユグノー博物館。


市外壁の名残りの側に立つ為、「City Wall」の名を持つパブの看板。ロチェスターはかつては「市」でしたが、今はイギリスでは数少ない、大聖堂を持つのにも関わらず「町」の指定です。ただし、単一自治体(政令指定都市に近いかも)Medway メッドウェイの中にあります。

この町ですらクリスマス前の12月にしては人が少なく活気に欠ける…と思いきや、この日は凍てつく寒さに加え、鉄道の大規模なストライキが行われていたのも原因して、観光客が余り来なかったようです。

クリスマス・ショッピングの人混みでの感染を心配して来た私達夫婦でしたが、拍子抜けしました。感染のリスクは少ないものの、Xmas後に沢山の店が閉店を余儀なくされるんじゃないかと返って心配です。


普段なら結構観光に人気の町なので、イギリスとしては割と個性的な店舗が連なっています。

ここは化石専門店で、店名は「恐竜掘ったる」。

私がロチェスターへ来たかった目的の一つは、この生地屋さんを訪れる事でした。私が知る限り、イギリスで最も魅力的なプリント・コットン生地の専門店です。数年探している柄布がこの店ならあるかもと睨んでいたのですが、品揃えは意外とモダンな柄が中心で、結局ここでも出会えませんでした。しかし、今回も素敵なカット生地を何枚か買う事が出来ました。

歴史的な見応えのある建築物が多い事もあり、街歩きの楽しいロチェスター。これは元ギルドホールで、現在は博物館になっている建物。

この屋根の天辺には、黄金の帆船の風見があります。

その隣の建物も立派。今はイタリアン・レストランですが。


この建物が凄く傾いている事に、今回初めて気付きました。多分傾いたまま、百年以上も立っているんだろうな。

メッドウェイ川に架かる橋を渡って、向こう側にも行きました。


この橋の上は、城全体を眺めるのに格好のスポットで、更に観光気分を味わうのに持って来いだからです。

川は河口に近いので川幅がとても広く、海同様に潮の満ち引きがあります。船も多く利用されている為、港町の雰囲気もあります。 

この川から西は、Stroodと言う別な町で、明らかにロチェスター程は雰囲気が良くありません。ただし大きなチャリティショップが在る為に行きましたが、この店に倒れそうな程酷い咳を始終し続けている女性客が居まして(勿論マスク無し)、例えコロナではなくとも絶対何かの感染症には罹っていそうなので、誤って近付かないよう緊張し、結局怖くて早々と店を出ました。そんなに具合が悪いなら、お願い出歩かないで💦

その後、古代ローマ時代の要塞跡地に建てられた、ノルマン様式の城の最良の見本の一つと言われるロチェスター城も訪れました。ところが、無料の敷地内に入る門はどれも閉ざされていました。城自体だけでなく敷地全体が閉鎖されているなんて、初めて見ます。

雪が積もったので、訪問者が敷地内で滑って転んだりしない為には、塩を撒く等の安全対策をしなくてはならないのですが、多分その費用を出せない&出したくないが為に完全閉鎖したのではないか、と言うのがP太の見解です。

しかし敷地に入らなくとも、午後の西側から城を眺める絶好のスポットを知っていました。


何はともあれ、積雪自体が珍しいイギリス南東部では、雪を被ったロチェスター城を眺められるのは滅多にない機会です。

城壁の窪みには、ホームレスの人々が住み着いていました。この寒さを乗り切るのは、彼等にとって一大事かと。

城の東側の窪地はかつての掘で、また墓地でもありました。墓石の幾つかは、掘の塀脇に未だ残っています。


城のすぐ東側には、イングランドの大聖堂としては二番目に古い起源を持つロチェスター大聖堂が立っています。

大聖堂にしては小ぶりな建物ですが、典型的なノルマン様式の教会建築の特徴を見る事が出来ます。

三時半位の日没とほぼ同時に町を去りましたが、気温は既にマイナス3度になっていました。しかし、ばばシャツやユニクロ・ヒートテックのパンツ、厚手の靴下、一番暖かいコート(キャッチコピーは「着る布団」)等で完全防備して来たので、寒さに縮こまる事もなく快適にお散歩出来ました。


ただし風は余りない日だったから、車の排ガスや暖房の煙等で、空気は喉が痛くなる程淀んで汚れていました。光熱費が恐ろしく値上がった為、薪を燃やして暖を取る家庭が一層増えたのかも知れません。上の写真は、帰路の車内から撮影した、やはりイギリス南東部では余り見られない一面の雪原の風景。