2023/11/05

二千年の座標

!アニメ「進撃の巨人」完結。多くの漫画原作のアニメが、せいぜい1期か2期のみで尻切れトンボになったり、一応完結しても酷く話を端折られたりしているのに対し、「進撃」は最初のアニメ化から10年も掛かりましたが、着実に原作に沿って話が進められ、放送局や制作スタジオの変更を乗り越え、ファイナル・シーズン(4)を経て、更に特別版前後編85分放送になってまで華々しく完了しました。アニメ史上でも、中々稀有な素晴らしい事だと思います。制作者側の原作へのリスペクト、また長く支えて来たファン達の偉業とも言えます。

この間、実写映画の大コケ、出演者に死者が出た為舞台化の中止もありました。アニメ1期から2期の間が異様に開いたり、また3期前半の王政クーデター編には巨人がほとんど登場しない為、それを機に作品離れが結構進んだと聞きます(私は王政編は好きだがなー)。しかし、こんなイイ歳になっても10年間変わらずにファンを続けて来て、人生の中でこの作品に出会う事が出来て、私自身は誇りにすら思っています。

一時最終話は劇場公開されるのでは?との噂もありましたが、そうなるとイギリスではすぐには見る事が出来ないので焦りました。しかし、NHKがこんな美味しい番組をわざわざ映画に譲る訳がなく、特番や「おじゃる丸」の進撃化(笑)まで制作してくれました。そんな私のお祝いの気持ちは、流石に打ち上げオンライン・パーティーに金を払う気はなく()、せめてドールで表す事にしました。

まず、「プティットアンティーク」リカちゃん演じる、この話最大の謎で鍵である始祖ユミルさん。身分:奴隷、年齢:二千+α歳。劇中では長らく瞳がはっきりと描かれておらず、また舌を抜かれている為に喋れないので、独白すら一言も台詞がありません。それ故、彼女の思考は今だ謎のままです。

現世での人生を終わらせた時、ユミルは多分20歳代前半で、国王の妻妾の一人としてそれなりの小綺麗な身なりをしていましたが、座標の中では10歳位の子供で奴隷の姿に戻っています。この始祖ユミルの奴隷コス(人間用)も、イギリスのアマゾンで販売されています。

奴隷のドール服を作った事なんて今まで当然なく、一体どうやってボロ感を出すべきか迷いました。素材はどうするか、どの辺まで解れさせて良いものか、汚れはどうするか等です。端は縫い代を折り畳んで縫ったりせず、切りっ放しは基本だと思いました。

が、そうすると縫っている最中からぼろぼろと解れて来て、一応完成しても着用不可能になりそうだったので、結局通常通りに解れ留めはして、完成後に端に切り込みを入れました。

造り自体は極単純で縫う箇所も少なくとも、漫画やアニメで描かれる服を実現するのはやはり大変でした。そして 一番頭を悩ませたのは、実は編み上げの靴です。

世の中にゴマンと存在するリカちゃんでも、奴隷服を着せられる事はないかも…。自分で作っていても、余りに惨めたらしくて流石に楽しくはありませんでした。完成後に霧吹きで湿らせてヨレヨレにすると、何とかそれらしくは見えて来たので、不憫過ぎて汚れまでは着ける気にはなれませんでした。

奴隷と聞くと過去の話のように聞こえるかも知れませんが、実際には今でも度々耳にします。イギリスだと、不法移民が無償の労働=奴隷にさせられる事が多いようです。牢屋に閉じ込められている訳でもなく、脚枷が付けられている訳でもないのに、何故逃げ出さないんだ?と聞かれれば、扱う側は逃げ出せないように精神的にも上手い具合に完全に支配するからです。この始祖ユミルも、途轍もない力を持ちながら、自らの感情に寄る呪縛の為に、座標と言う異空間の中で二千年間も奴隷を続けて来ました。

一方、ジェニー・フレンズの(確か友達のエリーBF)レイフ演じる、主人公エレン・イェーガー氏。職業:兵士(調査兵団所属)、享年:19歳。度々誘拐されるので、主人公なのに長らく登場しない事が多く、最終的には主人公こそが人類最大の敵になると言う、少年漫画らしからぬ衝撃的な展開を迎えました。昨日の敵は今日の友(ジャンプならお約束のパターン)、ただし主人公以外! 殺人数の最も多い主人公として、ギネスに認定されるかも知れません。エレンの最終的な服装は、パーカーもボトムも黒ですが、上下同じ生地にすると制服みたいなフォーマル感が出そうだったので、何気に素材と色を替えました。パーカーはリネンで、ボトムはオックスフォードです。

丈が長目のパーカーは、最初は裏地付きにするつもりでしたが、ドール用では厚みが出過ぎてしまう為、途中から裏地無しに急遽変更しました。4期後半のOPではパーカーのポケットに手を突っ込んで壁の上を歩いているし、ピークからも「ポケットから手を出して」とか言われているので、ポケット付きなのは明らかですが、どんな形態なのかははっきりとは描かれていません。

髪はロン毛にして以来、ちょんまげのように結い上げている場面も多く登場しますが、この長さでは単なる一つ結びのポニテが限界でした。


パーカーの下は本当は長袖シャツですが、重ね着し易いよう半袖にしています。男のフレンチ・スリーブ…、好きじゃありません(笑)。エレンはこのヘンリー・ネックの編み上げのシャツを、子供の頃から成長してもサイズ違いで一貫して着ていて(元々父親グリシャが着ていたようだ)、長袖もあれば半袖版もあります。ジャンと喧嘩する度にシャツが破けるのを気にしていたから、やはりそれなりに気に入って着ているのだと思います。もしくは、破けるとミカサにこっぴどく怒られるから?

この作品に登場する兵団服(軍服)は、規定のジャケットの下のトップスは何を着ても良いようで、エレンは兵団服でもこのシャツを着通しています。白Yシャツを着ている人が一番多いものの、Tシャツを着ている兵士も居るし、兵長だけクラバット付きだし、アニなんかフード付きシャツなんてふざけた格好しているもんね…。

で、タイトルにもした「座標」は?と言うと…、どう頑張ってもクリスマスの電飾にしかなりませんでした~!!! フォトショで多少いじりましたが、いじり過ぎると初めから全部描いた方が余程マシになるので、インチキ具合が半端ありません。更に、遠近感を出す程背景布にもスペースにも余裕がなかった為、張りぼてユミルさんで誤魔化しています。自分で作っといても怖い…()

このドールで見る限り、児童福祉法に引っかかりそうなショットですが、物語の中ではエレンがユミルを奴隷から解放する非常に重要なシーンで、本当はやましさは微塵もありません。

劇中ではエレンは膝で立って背後からユミルを抱きしめていて、ユミルの年端の行かない体躯の小ささを物語っています。しかしリカちゃんとレイフでは、そこまで身長差は無かった為、リカちゃんを台の上に立たせています。

この作品の魅力を語り始めるとキリが在りませんが、手っ取り早い一つに、やはり確立された独特で壮大な世界観があると思います。その進撃の世界観も、絶望的に謎だらけだったストーリー前半と、巨人の謎が大方溶けたマーレ編以降ではガラリと変化しますが、圧倒的に不利な状況で残酷な世界なのは共通していて、それ故に底知れぬ魅力がある設定なのは変わりません。全く空想上の舞台とは言え、現実世界と重なる歴史や社会感があちこちに鏤められ、妙なリアリティがある為に、大人でも話に引き込まれて行きます。

何故アニメ制作会社が途中で変更になったのか長らく疑問でしたが、ウィキに寄れば、最初の制作会社WIT STUDIOは、予め3期で進撃の制作から引退したいと申し出ていたそうです。しかしフィルムの引継ぎは困難を極め、またこれだけ根強い人気作品な上にアニメのレベルも高かったので、後継会社探しは何十社も挫折し非常に難航したとか。そんな中MAPPA(友達の仕事場の近くに在るらしい)が受け継ぎ、完結してくれて本当に有難いと思いました。事実ファイナル・シーズンに入ってから、世界中で進撃の人気がぶり返したそうです。しかし、ドイツのネルトリンゲンを勝手に聖地化し、城壁に進撃の落書きをするのは、同じファンとして恥だから止めてくれ。

今後「進撃の巨人」の公式のエピソードが一切生まれないのは、勿論寂しくもあります。ハリウッドの実写映画化の話もありましたが、その後とんと聞かず、消滅したのかも知れません。元々どう考えても期待出来そうではなかったので、お茶を濁さずこのままそっとしておいて欲しいとも思います。原作漫画に引き続きアニメも完結した今、只ひたすら原作者の次なる新作がどうなるのか興味深々で待ち遠しく思っています。




2023/11/04

最終回秒読み開始

2013年に開始したアニメ「進撃の巨人」が、いよいよ今夜最終回(完結版後編)を迎えます。世界中で人気が高く、全世界共通のオンライン打ち上げパーティーや音楽イベントも企画されているそうです。自分のカウントダウンとしては、進撃のアニメ全シリーズを通して好きなOP(オープニング)ED(エンディング)ソングを、勝手にランキングしたいと思います。※完結版、総集編劇場版、OAD除く

オープニング編一位「紅蓮の弓矢」1期前半OP 歌: Linked Horizon

これを無くして、進撃アニメ化のヒットは有り得なかったと思える程の、絶大なインパクトのOP。また、この曲のインパクトも、斬新な映像無しでは有り得なかった。中二病漲る歌詞にノリの良い曲と、スピード感溢れる画面のマッチングは抜群。紅白出場曲。歴代のアニソンの中でも、恐らく人気トップ・クラスに入るであろう。

二位「僕の戦争」4期前半OP 歌: 神聖かまってちゃん

イントロからして、いかにもとんでもないドラマが始まりそうな(その通りなんだけど)、不穏な空気に満ち溢れていて期待させる。このシーズンから物語の舞台がガラリと変わったので、OPも今までと全く違っていて丁度良かった。歌詞は英語のみで、映像には主要キャラクターが一人も登場しない等、TVアニメのテーマソングとしては相当掟破りだったが、自分的には一向に問題無く感じた。

三位「The Rumbling」4期後半OP 歌: SiM

進撃にハードロック、意外と合っていて新鮮だった。映像も良い。ただし、絶対地ならし始めるって既にOPでネタバレしている。棒高跳びの始祖ユミル、あの木に向かって走る幼馴染三人、叫ぶエレンの場面が好き。


四位「心臓を捧げよ」2期
OP 歌: Linked Horizon

待ちに待った第2シーズンで、期待通りのOP。リンホラの進撃のOPは、総じて戦意高揚で軍歌っぽい。エレンとミカサの立体機動アクロバット連携シーンには、思わず心が躍るそんな場面は実際には話に登場せず、単なるミカサの希望(妄想)かもだけど

五位「自由の翼」1期後半OP 歌: Linked Horizon

ほぼ軍歌。歌詞にドイツ語が多過ぎて、カラオケで歌い辛いとファンから苦情が出ていた。アニメのOPの映像は、その作品のレベルの高さや制作スタジオの技量をアピールする場でもあるが、立体機動装置のガスボンベのみのドアップで写る場面がやたら長い。確かにあの素材感や映り込みとか、アニメとしては相当高度な技術なんだろうけど…。その割に、主人公はイントロ部分に横顔のみ(しかも「これ誰だ?」って顔)ちょっとしか登場しない。旧リヴァイ班の全員が戦死した後も、OP映像の中では未だ元気に飛び回っているのが切なかった。

六位「憧憬と屍の道」3期後半OP 歌: Linked Horizon

そんなタイトルだったとは今知った。映像に、主人公が(巨人化以外)全く登場しない。悪くない歌だし世界観もバッチリ合っているのだが、流石に新鮮味がなくて飽きた。劇場版も観た人であれば、尚更だろう。因みに、スピンオフ「巨人中学」のリンホラのOPも好き。始業チャイム付きだし。

七位「Red Swan」3期前半OP 歌: YOSHIKI feat. HYDE

進撃の黒歴史とも呼ばれる。歌自体は全く悪くないんだが、何度聴いても物語のイメージに合わず、結局さっぱり心に響かない。思うに進撃のテーマソングには、やはり多少の毒気が必要。ビッグネームを呼んで来りゃ良いってもんじゃない事だけは、重々理解出来た。HYDE大ファンの姉の機嫌を損ねるので一応付け加えると、HYDEのボーカルのせいではなくYOSHIKIの曲のせい! ついでに、英語パートはP太には全く聞き取れなかったそうだ。

エンディング編一位「悪魔の子」4期後半ED 歌: ヒグチアイ

歌だけで聞くと、曲想の展開が唐突過ぎてちぐはぐな印象を受けるが、映像が付くと見事に繋がっていて、文句無しにEDの最高傑作。特に、サビ部分の盛り上がりと映像の劇的な変化の美しさ、その時のエレンの表情には毎回心が震える。その後の廃墟と化した背景は、正に「世界は残酷だが美しい」を表している。最後の、風と共に消えるエレンの場面も物悲しい。丁度ウクライナの戦争が始まった頃だったので、歌詞自体も心に染みる。この時のOPEDも映像から推測するに、当初は四期だけで特別版無しで完結するつもりだったのでは?と勘繰っている。

二位「衝撃」4期前半ED 歌: 安藤裕子

得体の知れないまったりした曲は、少しだけブルガリアン・ボイスのような民謡調が混じり、ダークな歌詞と相まって神秘的とも言える。ファルコ少年や座標がメインの映像と組み合わさり、かなりスタイリッシュな仕上がりに。巨人化の起源の壮大な謎に、思いをはせる雰囲気。

三位「暁の鎮魂歌」3期前半ED 歌: Linked Horizon

この時のOPが違和感あり過ぎたので、リンホラの安定の世界観には心底ホッとさせられた。映像のメインは幼少時のヒストリアで、子供の合唱が入り、牧歌的でジブリ映画のような映像も良かった。「立ち位置が変われば正義が牙を剥く」等、歌詞も心に突き刺さる内容。

四位「great escape」1期後半ED 歌: cinema staff

歌詞の内容は、ライナーの気持ちを歌っているのでは?と、ファンの間では専ら言われている。曲もボーカルの声も良いし、映像のセンスやスピード感も良い。歌い易いので、車の中でさんざん聴いて一緒に歌っている。

五位「美しき残酷な世界」1期前半ED 歌: 日笠陽子

充分高レベルなEDなのだが、他が更に優秀なだけ。映像はペンシル・タッチでお洒落。ただし、最後に登場するミカサとエレンが、年齢より随分老けて見える。映像のメインはミカサなのに、歌詞の一人称は「僕」だと最終部で分かり戸惑う。歌っている声優の日笠さんは、このずっと後にヒストリアの異母姉フリーダ役で登場。

六位「Name of Love」3期後半ED 歌: cinema staff

綺麗な歌なんだけど地味過ぎた。映像も、「訓練兵団思い出の卒業アルバム」的な静止画像ばかりで、兎に角印象に残らなかった。今思うと、WITさん本当に進撃に関しては、ここで気力尽きていたのかもなーと。

七位「夕暮れの鳥」2期ED 歌: 神聖かまってちゃん

ひたすら禍々しくて気持ち悪い。一瞬メロディアスかつアコースティックなようで、伴奏が絶妙に半音ズレていたりと狂気に満ちている歌。P太は、歌詞が全て英語である事すら気付かなった。古文書的な画像には、実はファンが躍起に知りたがっていた巨人の秘密が沢山隠されているのだが、怖くてエグくてじっくり見る気になれない。毒あり過ぎ。トラウマになりそうで、二度と聴きたくない。OPと違ってEDには、不安を一層煽るのではなく、ある程度の見終わった安堵感が必要だと痛感させる一曲。

―――とまあこんな具合ですが、進撃はBGM自体も印象的で素晴らしく、挿入歌にも良い物があります。巨人出没時の音楽は、恐怖と緊張感たっぷりで眠気覚ましにぴったりなので、車の中でしょっちゅう聴いています。

ところで悲報! この撮影を始める時、手パーツを替えようとして、あろう事か兵長の右手をパキッと折ってしまいました。ピュアニーモの関節は折れる事があるとは聞いていたけれど、室内気温が低かった訳ではなく、無理な方向に力任せに捩じった訳でもないのに、本当に折れる時はいきなり折れるんですねえ💦 手パーツはまた買えば良いものの、問題は折れた接続の先が手首の穴の中に残ったままで、ほじくり出すのに苦労し心も折れました。

なので、やはり手パーツは出来るだけ替えたくはありません。兵長お得意のティーカップわし掴みポーズは、最早左手のみになってしまいました。

進撃のお気に入りのシーンは多々あれど、「ミカサのヤンデレが加速暴走する」「アルミンがゲス頭脳を発揮する」「ハンジの変態ぶりが滾る」と並んで、「兵長がエレンをどつく」シーンも漏れなく好きです。

最終的に(飛行艇の中で)エレンから座標に呼び出された際も、皆が「僕達が悪かった」とか「お前だって悲しかったんだよな」とか思わず甘っちょろい泣き言を吐いている中、リヴァイだけは「今ならケツに蹴り入れるだけで勘弁してやる」と言い放ち、流石兵長は最後までブレねえなと感心しました。この台詞、「蹴り」が抜けると非常にヤッバい事になりますが…(……大変失礼しましたあ)

私が実際に最終回を観るのは、Crunchyrollで英語字幕が付いてからなので(ここの翻訳兵団はディスク版の訳よりずっと優秀!)、日本の放送から数時間後になると思います。因みに前編放送時は、日本に滞在していたのにも関わらず、両親からノロ・ウィルスを移されて体調最悪で寝込んでいた為、リアルタイムで見る事が出来ませんでした。既に原作を読んで物語の結末を知っている私でも、どんな映像化になるのか楽しみでワクワクしています。

 

 

 


2023/11/02

アクアカールみさきちゃんをちょびっとカスタム

今年の一時帰国の際、姪っ子の遊び古したリカちゃん人形達を譲り受け、その中には昔私が姪にプレゼントしたミサキちゃんも混じっていました。しかし実は姪から譲り受ける前に、東京のHOBBY OFFで中古のミサキちゃんを既に購入していました。その位、ミサキちゃんのフェイス・デザインは前々から気に入っていました。

HOBBY OFFで売られている中古ファッション・ドールは、髪はボサボサでマッパでボディが手垢で黒ずんだ状態でさえ、概ね一体1000円近くで売られています。しかしこのミサキちゃんは、それよりは安い300500円程度の更にジャンク品価格でした。もしかしたら、リップのペイントが剥げていたせいかも知れません。髪の状態は姪のミサキちゃん並みに酷いのですが、ボディに難が無い点では勝っています。

いつもなら買った直後にBEFORE写真を撮りますが、上と下の写真は、一応髪は整えて顔や体の汚れは拭き取り、自分で昔作った服を着せているので、髪が爆発してぱんつ一丁で買った時よりは幾分マシな状態にしています。

髪を洗って整えてみると、姪のミサキちゃんと違って前髪がある事に気付きました。

姪のミサキちゃんは、リカちゃんと同じアイドル・ユニットのメンバーと言う設定の「めちゃモリ×MISAKI」と言うお人形でしたが、これはその後にリカちゃんの単なるお友達として再登場した「アクアカールみさきちゃん(←㊟ひらがなに変更)」なのが分かりました。

アイプリの色もメイクも、微妙に違います。めちゃモリの方が青味掛かった瞳をしていて、アクアカールはチークが濃い目に入っています。同じブロンドでも、アクアカールの方が若干髪色が明るめ(プラチナに近い)です。 

アクアカールみさきちゃんは、水で髪を濡らして付属のコテを使用すると、カールやワッフルヘアが楽しめると言う、やはり髪遊びがメインの仕様のお人形でした。

改めて観察して比較してみると、こちらのみさきちゃんの方が、頭頂部にも切れ毛が多く、更に分け目は髪が乏しくなって地肌が透けていて(涙)、姪のミサキちゃんよりも髪の状態は更に劣るのが分かりました。姫髪もカタログで見るより何だか短いし、左右でボリュームが違うし、もしかしたら元持ち主の子供に切られちゃった?? 

色々手は尽くしたものの、やはり髪質の傷み(チリ毛アホ毛薄毛)は目立ち、ヘアバンドで出来るだけ隠してみても隠し切れない程です。こんな事なら、ケチ臭くなるべく安く中古で済まそうとは考えずに、いっそ新品のみさきちゃんを買って置くべきかなとも思いました~。

しかしこちらのみさきちゃんは、髪先だけを整える程度にカットして、ロングのまま残す事にしました。なので、カスタムって程では全くありません。

剥げていたリップは、勿論アクリル絵の具で塗り直しました。

このみさきちゃんには、デフォルト服としては決してお目に掛る事のないような、パキッとシャープな格好をさせてみたかったので、60年代風のレトロ・ポップなアウトフィットを作って着せる事にしました。

身頃とヘアバンドに使用した、円が整列したモノトーンのオプティカル柄布は、数年前にイギリスのフリマで手に入れた物で、「イギリスにもこんなお洒落な布が?! これで作ったらどんなドール服でも素敵になれるのでは~♡」と思って喜んでいました。

 が、いざドール服にしてみると、柄がうるさ過ぎて眼がチカチカする…。

元々黒無地と合わせてこそ柄が映えると思ってはいましたが、このオプティカル柄の布だけでドール服一着全体を仕上げるのは難しそうです。

それと、最初は季節柄(そゆとこは割と気にする)長袖にする予定でしたが、このデザインなら半袖かノースリーブの方がレトロさを強調させるだろうと、途中から急遽半袖に変更しました。

白いブーツも数年前にHOBBY OFFで買った中古品で、全体的にみすぼらしくくすんでいる上、向かって右の踵には結構大きくシミがあります。しかしオプティカル柄の布の白地が実はオフホワイトだから、眩しい程真っ白なブーツより返って馴染むと思いました。 元々リカちゃん用のブーツのはずなのに、リカちゃんと同じボディの足でさえ大変履き辛く、やむを得ず自分で後ろに切れ目を入れて着用。

みさきちゃんは、はっきりしたお顔立ちからは意外に、性格はおっとりのんびりした天然系だそうです。確かに正直言って利発そうには思えないんですけど()、もしこの顔でハキハキした性格だったら、ちょっと鼻に付くキャラに見えたかも知れないと想像出来るので、ギャップが丁度良い位かなとも思います。

 

 

 

2023/11/01

彫刻象牙のボタン

九月最初のフリーマーケットで、イギリスで良く見掛ける陶器で花を模ったブローチの幾つかの中に、非常に細かい美しい彫刻の白っぽいカボションが二つ混じって売られていました。こちらは明らかに陶器ではなく、ピンの外れたブローチでもなく、ペンダント・ヘッドでもありません。裏面を見ると、奇妙な突起が出っ張っています。二つで50ペンスで買いました。

二つとも同じ大きさで、直径は約3.5cm。どちらの彫刻もオールド系のバラ、マーガレット等の草花を表しているものの、良く見ると二つの図案は同じではありません。どう見ても手作業でしか出来ない彫りの深さ&角度&立体感で、葉の葉脈まで表現された眩暈のする程の細かさと正確さです。

裏面は、こんな感じ。最初は、セルロイド等の初期プラスティック製だと思って買いました。こんなに繊細な彫りなのに、しかも特に大事に保管されていた訳ではなさそうなのに、良く今まで一つも欠けもせず居たもんだと思いました。しかし家に帰ってから改めて裏面を見て、ありゃりゃ、これ象牙だ~と気付きました。

プラスティックよりは硬く冷たく重く、ボーンより密度が高く滑らかで更に硬質です。そもそもボーンなら、血管や神経の通っていた跡の不規則な黒い筋が見えますし、これ程シャープで緻密には彫刻出来ないはずです。

象牙はセルロイドやボーンより高級な訳ですが、正直嬉しくない時代遅れな素材です。ワシントン条約に寄り、国外持ち出しは御法度です。今でも二本の牙の為に、象が殺されているのは許せない事です。主に中国市場の為に密猟されるそうですが、情けない事に日本人にも協力者が居ると聞きます。

象牙を有難がるから欲しがる人が居る訳で、象牙製品が世間に出回らないよう、密猟撲滅の為に没収した象牙を焼却処分する活動もありますが、どうもイタチごっこで効果は思わしくないようです。

して、この製品はの正体一体何なのかと言うと、良く似た形態の物をやっと突き止め、どうやら「bouton de col ブトン・ド・コル(英語でcollar button)」と呼ばれる付け襟用のボタンのようです。襟の二ヶ所の尖った部分を留める為の物で、基本的にはペアで一組存在するそうです。とは言え縫い付ける為の穴等は一切見当たらなく、恐らくこれだけ繊細な造りのボタンだから、衣類の洗濯の度に破損から守る為に取り外さなくてはならず、カフス・リングのようにボタン穴に突起部分を通すだけの仕組みだったのではと推測します。製造は19世紀で、もしかしたらフランス北西部の港町Dieppe ディエップで製造されたのかも知れません。かつてディエップは象牙彫刻の本拠地で、西アフリカの象牙海岸からの象牙が職人に寄って加工され、ヨーロッパ中に輸出されていたとの事です。

イギリスのアンティーク商では、この手の製品は単品でも2050ポンドで取り引きされているようですが、私はこれを売りに出すつもりはありません。そんな事をしたら、動物保護団体から攻撃を喰らう可能性があります。素材的には罪悪感が残っても、技術工芸品として、またファッション・アイテムとしては大変貴重なので、只一生自分の手元に残して置くつもりです。私が死ぬ時には、服飾博物館にでも寄付して欲しいと思います。