今年の春に亡くなった母は、小学校低学年の頃に父親(私の祖父)を失くした。中学生の時、母親を失くした。10歳離れた長姉は既に結婚しており、その後兄や次姉も進学や就職で家を離れ、高校生の時には一軒家で独り暮らしをしていた。その家は、広い昔ながらの墓地に囲まれていた。
その母は、夜間に雨が降ると、墓地で青白い人魂が地中からポオッと登って来るのが、家の窓からしょっちゅう見えた、と言っていた。当時地方では、火葬も一般的だったが土葬も未だ多かった(私が小学生の頃でさえ、農村部では土葬が残っていた…)。人体、特に骨の必須ミネラル成分であるリンは死後も遺体に残る為、埋葬後に地中で腐敗して行く遺体から分解され気化して空中で発光するか、雨で濡れると化学反応を起こして発火する。つまりその人魂は単なる自然現象だと分かっていたから、全然怖くなかった。
…と母は笑って良く言っていたのだが、その後の研究で、リンは自然発火しない事が科学的に判明している。遺体から気化して発光する事もないのが、解明されている。じゃあ母は一体、何を見ていたの?? そもそも濡れるだけで簡単に発火するなら、生きている内はもっとヤバいじゃん。
ところで最近は、伝統的に幽霊に付き物だった人魂や鬼火と言った現象の目撃情報が、実際にめっきり減ったらしくとんと聞かない。多くが単なる見間違いであった事が科学的に証明されたからだが、同時に日本では田舎でさえ土葬がすっかり消えた(イスラム教徒人口の増加に伴い、日本で全く土葬が無くなった訳ではない)。かと言って心霊体験自体は、これ程文明と科学が進んだ現代でも減った訳ではないのが、不思議と言えば不思議。
※以前たわごとブログに掲載した内容の焼き回しです。
撮影地:National Trust, Nymans
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