2026/05/29

五月のロンドン

 

一時帰国で二カ月滞在した日本からイギリスの自宅に戻って一週間後、私は首都ロンドンへ行かなくてはなりませんでした。母が亡くなる前からパスポートの更新を申請していた為にその受け取りと、遺産相続に必要な書類関係で、在英日本大使館へ行かなくてはならなかったからです。現在日本国外ではパスポートを発行するのに申請から一カ月以上掛かり、しかし受け取るのは発行から六カ月以内と期限があり、またイギリスに入国するのにパスポートの残存期間が六カ月は必要なので、今回の帰国に気を揉んだのはそのせいもあります。大使館へ行くのは要予約で、日程と時間は既に日本に居た時から予約していました。海外在住の日本人にとって、日本に関する行政手続きの大半は大使館へ自ら赴かなければならないのが厄介です。それでも我が家からは日帰りで十分ロンドンへ行ける距離なのだから(ロンドンの端へは毎週行っておる)、未だ恵まれていると言えます。幾ら一日出張領事館が主要都市で定期時に行われているとは言え、イギリスの遠隔地に住んでいる日本国籍者は大変だと思います。

ロンドンへ行くのは、高い、面倒臭い、人混み、空気が悪い、治安が悪い、ので正直大嫌いです。本当は我が家からロンドンへは、頻繁に通っている直通列車で30分ちょいで、おまけに家から駅も近いから簡単に行けます。しかし、運賃がとんでもなく高くシステムが複雑な為、わざわざP太に有休を取って貰い、ロンドン市内で混雑税の掛からない、尚且つ駅の近くに奇跡的に無料駐車出来る場所へ自家用車で行き、其処から電車に乗ります。乗車券は、交通アプリを利用してスマホで払います。地下鉄、バスも含め一日乗り放題で凡そ10ポンド(約二千円)。ロンドン郊外からの場合、その方が一日乗車券を買うより、オイスター・カード(Suicaのような課金制電子マネー・カードのロンドン版。ただししょっちゅう誤作動を起こす)を利用するより、安上がりで確実だからです。

ロンドンの空気は汚い処か生命の危機を感じる程で、実際に行った後に何度か病気になった為に、最早ロンドンへ行くのがトラウマになっています。現に地下鉄のホームは、走行の際にレールで削れた車輪?の金属の粉塵が大量に空中に舞っていて霞んで見える程です。これで毎日通勤している人は、きっとその内肺病になるのに違いない…。

一昔前までは一人でロンドンへ行っていましたが、その頃に比べると運賃が爆上がりしているのと、治安が顕著に悪くなって来ている為、最近はP太が一緒に付いて来てくれます。もっともロンドンの本当の中心地にしか行かない為、観光客ばかりだから、返って住民中心の地域よりは治安が若干マシかも知れません。

在英日本大使館はGreen Park グリーン・パークに面していて、この公園で時間を潰したり、私が大使館へ行っている間はP太に待っていて貰います。今回はここの木陰のベンチに座って休んでいたら、童話のような光景に出くわしました。アジア人のおじいさんが一人でやって来ると、彼の周りに野鳥やリス達がどんどん群がって来ました。手にナッツを持っていて与えているのですが、恐らくしょっちゅうそんな風にこの公園に来ているからか、彼の姿を見ただけでワラワラと動物達が集まって来るのです。

おじいさんは、何故か私達にもナッツを分けてくれました。この公園の動物達は、全般的に動物に優しいイギリスの中でも特に人馴れしていますが、おじいさんに懐いている動物達は、特に人を恐れず手から餌を食べる程です。 

その中には、オウムも混じっていました。東京同様に、ロンドンにも逃げ出したペットのオウムが大繁殖して沢山生息しています。 

声がうるさい上に庭の大切な果実を盗み食いするので嫌い、と義母は良く文句を言っていますが、間近で見るオウムは綺麗で結構可愛い物です。

グリーン・パークを南に突っ切ると、すぐにパッキンガム宮殿に出ます。ロンドンの中でも、当然最も観光客率の高い場所の一つです。 

大使館へ行く度にここも訪れますが、毎回特に感動も無く…()。返ってこれだけ外国人が集中していると、テロの格好の標的じゃないかと少し怖くなります。

ただし今回は、まるでお土産にしか見えないコレが実際に居る事に、改めて妙に感心しました。この後、近衛兵軍楽隊に寄る演奏が行われ、柵に観光客が群がって近付けなくなりました。曲目は、最新ポップスやスター・ウォーズのテーマとかでした。

この後、私達は宮殿の東に伸びるSt. James Park セント・ジェームス・パークへ行く事にしました。汗ばむような暑い日だったので、水辺を囲むこの公園は心地良く感じました。

ここから眺めるバッキンガム宮殿は、返って間近の広場からよりも見栄えが良いかも知れません。  

一方こちらは、公園の東の近衛兵博物館方面。 

東西に長い湖は、水鳥達の楽園になっていました。この季節は、雛連れも多く見掛けました。

青鷺も居ましたが、これ程大きく目立つのに、余りに動かないせいで生物と思われなかったのか、大勢の観光客は全く気付いていませんでした。この湖では、白鳥やペリカンも見掛けました。


公園からWaterloo Place ウォータールー広場を通って、Leichester Square レスター広場方面に向かいました。意外にも、ウォータールー広場を通るのは初めてでした。この広場には、歴史的な著名人の彫像が沢山並んでいます。しかし我々の関心を最も引いたのは、このバンクシー作の「Man Blinded by Flag」。盲目的な愛国心を皮肉った作品で、この場所に立っている事が一層効果的です。


レスター広場方面へ向かったのは、その近くのジャパン・センターで日本食が食べたかったから。出来合いの物を加熱しただけだとは思いますが、日本から戻った直後でもちゃんとし美味しく感じる適格に調理された和食で、ふんだんに掛けられた削り節も結構上質でした。単にお弁当を買っただけでもイートインも出来るこの場所は、イギリス国内では真正な和食を最も安く楽しめる場所かも知れません。店の外でフリーレンのTシャツを着た若者(白人)を見掛け、オマ絶対にジャパセンに来たんだろうと思いましたが、意外にも素通りして行きました(笑)。ーーー何だかんだ言っても、結局この日のロンドン訪問も結構楽しめました。




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