昨年の夏の終わり、バッキンガムシャーのNT(ナショナルトラスト)管理のロスチャイルド家のお屋敷Waddesdon Manor ワデスドン・マナーを夫婦で訪れました。私の嫌いな金持ち過ぎる豪華絢爛屋敷ですが、ここは前から訪れたいと思っていました。何故なら、逆に笑っちゃう位豪華過ぎて、バエがパネエに違いないと思ったからです。
しかし今まで行った事がなかったのは、我が家からはかなり遠い為です。いつものように急に思い立ってフラッとではなく、予めこの日は行くぞと決めて、当日の朝はそれなりに早く出発しなければなりません。
距離的には、良く訪れるアンティークの町Brackley ブラックリーよりは近いものの、高速の出口からが遠く、それ以後スピードの出せる道路が全く通っておらず、くねくねと曲がった田舎道を延々と通らなければなりませんでした。しかし、チルターン丘陵を含むバッキンガムシャーの丘陵地帯が、コッツウォルズに引けを取らない程風光明媚な場所だと改めて気付きました。
場所は、同名のワデスドンと言う村の西の高台に在ります。平地に広大な専用駐車場が設けられていますが、ここから屋敷までは1㎞以上で徒歩20分の登り坂です。駐車料金はNT会員なら無料ですが、駐車場から屋敷までのシャトルバスには、NT会員でさえ有料で、一人5ポンド(約千円)の運賃が掛かります。会場の都合で遠く離れた場所に設けられた駐車場からの輸送バスに千円も掛かるとは、今までイギリスでさえ聞いた事がなく、例えケチな私達じゃなくとも在り得ない…。シャトルバスを利用しているのはお年寄りばかりに見えましたが、高齢者は無料、または割引サービスとかはちゃんと設定されているんだろうか?? 勿論、我々は山道を登って行く事を選びました。
館の見学は入場人数を制限する為に時間割制で、チケットは駐車場のビジターセンターで受け取ります。週末・休日等の混雑する時期は、事前予約を推奨されます。私達が訪れた際は未だ夏休み中でしたが、予約は不要と予めNTのHPで確認しました。
遊歩道は完備され坂は概ねきつくない為、普段から健脚の私達にはどーって事ない距離でした。初めての場所だから、あっと言う間に到着するよりは、自力で歩いた方が遥々やって来た実感が湧きます。
何より、遊歩道の周囲も敷地内の手入れされた庭園公園ではあるのには違いないので、景色を楽しみながらゆっくり移動する価値は十分あります。
丘の頂上に、館が見えて来ました。
「丘の上の宝石箱」と称され、本当にお城、いえ宮殿クラスの規模と煌びやかさです。
このワデスドン・マナーは、19世紀後半にファーディナンド・ド・ロスチャイド(ドイツ名:フェルディナント・フォン・ロートシルト)に寄って、ネオ・ルネッサンス様式でフランスのシャトー風に建てられました。
1874年に建設が始まり、完成まで約10年後の年月が費やされました。現在はロスチャイルド財団が所有し、NTが管理しています。シャトルバスがNT会員でさえ有料だったのは、その為のようです。
18~19世紀に、わざわざ中世のお伽噺のお城風の邸宅や、庭に古代遺跡の偽物まで建てちゃう金持ちは多かったようで、今で言えば裕福者の自分達専用のテーマ・パークです。ここも最高級の建材と建築技術で建てられたのにも関わらず、正直浦安の夢の国と変わらない、ハリボテっぽい嘘臭さと言うか現実味の無さが感じられました。
そしてその手前には、そんな建物にぴったり過ぎる嘘臭い庭園が‼
正にテーマ・パークっぽい現実離れした眺めなので、実際P太と二人で大笑いしました。
本来こんな形式的庭園には惹かれませんが、この場合は余りに建物に似合い過ぎて見事だと感心すらしました。
只でさえ人工美を強調するのがフォーマル・ガーデンな上、原色の花々はまるで造花にしか見ず、疑いなく天然の花なのにも関わらず自然美は皆無です。
植栽されているのは、ぺラルゴ二ウムやベゴニア、サルヴィア等。夏の花壇ではお馴染みの花ばかりで、全く珍しくはありません。
しかし、寄りコントラストが際立つような反対色同士の配置と、数が圧倒的です。
この庭園は、イギリスを代表するヴィクトリア式庭園の一つだそうですが、正直余りにクドくてスゴイとしか言えず(語彙力)、見飽きない眺めなのは確かです。
良く観察すると、ガーデン・エッジは三種類の色違いの植物が植えられた凝りようです。また、花が植えてある部分は木枠で一段高くし、つまり「ライズド・ベッド」になっています。
庭の規模や花の数だけでなく、彫像や噴水等のガーデン・アクセサリーや設備も、財力で顔をブン殴られるような迫力。
そして高台に在る為、かなり遠方まで見渡せる眺望&借景自体も贅沢です。
この部分は、昨年亡くなったロンドン・ロスチャイルド家の先代当主、ジェイコブ・ロスチャイルドを追悼してデザインされたそうです。2400個の小さなサキュレントをモザイク風に植栽し、文字とロスチャイルド家の紋章を描いていると説明されていました。
駐車場から歩いて到着するのは大抵館の南東側で、館の入り口は反対の北西側にあり、東棟端の高級そうなレストランの脇を通って行きます。勿論我々には縁がなく、持って来たお弁当を昼食に食べました。
北西側にも、更に広大な形式庭園に整備されていました。こちらは花がない草や木々の緑が中心のオーナメンタル・ガーデンで、丁度イベントが開催される直前でした。因みにイベント開催時(9月と11~12月)には、NT会員でも追加入場料が必要になるそうです。
こちらが建物の正面玄関になり、シャトルバスは最終的にここに到着するようです。
イベントに伴い移動式遊園地も設置されていたので、益々テーマ・パークにしか見えない眺め…。続いて、チケットの時間が来たので屋敷の内部に入ります。
 
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