一昨年訪れた秩父市のちちぶ銘仙館で、続いて工場部分を見学します。
本館から、昔の学校に在ったような木造の渡廊下を通って行きます。
織り機がずらりと並んでいます。窓が多く取られて明るい、快適そうな工場に見えます。
この工場部分も造りは洋館風で、当時としてはかなり贅沢だったのではと想像します。
こちらの棟では、銘仙を製造する工程が寄り詳しく説明されています。
銘仙とは絹の平織物の総称で、秩父銘仙は経糸に型染めしてから緯糸を折る「ほぐし捺染」と言う技法が特徴です。仮織りした経糸に染型で柄をズレないよう丁寧に捺染し、染め終わったら布に挟んで巻き、蒸して色を定着させるそうです。伝統的には捺染には和紙と柿渋を用いた型紙と刷毛を利用しましたが、最近は捺染技術の精度を上げて斑が出ないようシルクスクリーンとゴムべらで染めるとか。
これだけでも非常に手の込んだ面倒な工程に聞こえますが、経糸と緯糸の重なりで角度に寄って色が違って見える「玉虫効果」が得られるらしく、秩父銘仙の重要な魅力になっています。また、先染めで生地の柄に裏表の差がない為、表地が褪せた場合に裏返して仕立て直せる利点があるそうです。
これが、仮織りして捺染した経糸の状態のようです。
捺染された経糸を織機に掛け、1,300~1,600本の緯糸を織り込んで生地を作って行きます。沢山のカラフルな糸巻きは、会津木綿の工場を思い出させました。
柄の要である捺染用の紙製の染型(ステンシル)を作るのには、「型彫り師」と呼ばれる専門の職人がいます。木版画もそうですが、それぞれの工程で彫師、刷師等の専門家が居る分業で、信頼あってこその連携作業に日本らしさが感じられます。
この銘仙館では、ハンカチの型染めの体験も出来るそうで、沢山の染型の紙が置かれていました。
これは布への試し刷りかな? これだけでもタペストリーにしたい程素敵です。右端なんて、まるでステンドグラスのような柄です。
こちらの新聞紙も試し染めで、無料で持ち帰り出来るとの事。贈る人を選びますが、もしラッピング・ペーパー代わりに使ったら、ちょっとお洒落かもと思いました。
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