昨年の夏にHungerford ハンガーフォードでアンティーク・モール巡りをした後、未だ日の長い季節で十分明るかったので、北の「White Horse Hill 白馬の丘」方面へ行く事にしました。この一帯は先史時代の遺跡の宝庫で、イギリス有数のスピリチュアル・スポットとも言われています。地名の元となっている約三千年前から存在すると言われるヒルフィギュア(チョーク質の丘の斜面の草地を削って描いた地上絵)「アフィントンの白馬」の他、古墳や要塞遺跡が集まっています。州の最高地点で眺望も良く、太古から特別の地と見なされていたのでしょう。しかし今回は白馬の丘の裏側に当たる、南から向うと手前の古墳を目指します。
Lambourn ランボーンの村から、細い農道を上って行きます。周囲は、ひたすら牧草地が広がっています。この一帯は馬(多分競走馬)の飼育や調教、乗馬も盛んなようで、馬舎やレース・コースが点在しています。
車を止めた無料駐車場の脇に、既に古墳らしき盛り土がありました。
説明看板も何もなく、知らなければ誰もそんなに古い人工物で埋葬地だとは気付かないでしょう。古代の土木工事に萌えるもんで(笑)、航空写真で見ても古墳がボコボコと集まっていると分かるこの場所には、前から是非行ってみたいと思っていました。
日本の古墳時代は紀元3世紀中頃~7世紀頃ですが、これらの古墳はそれより遥か昔の青銅器時代(紀元前3300 ~ 1200 年頃)の築造になります。
こちらの盛り土も、古墳のようです。青銅器時代の古墳は主に円墳で、その中にも釣鐘型や椀型、皿型、指輪型、円盤型、池型等に分類され、ここの古墳は椀型だそうです。
ところが! 実は古墳は馬牧場の私有地の中にあり、この時期の日は長いものの、多分夕方5時位で牧場の門が閉められていた為に、最も古墳の集まる部分(木製の柵で囲まれている場所)には近付いて見る事が出来ませんでした。
地図から見ただけでは分からない、とんだガッカリでしたが、自然豊かで風光明媚な場所なのには違いありません。このバークシャーとオックスフォードシャーに跨る丘陵地帯はLambourn Downsと呼ばれ、古墳のある丘には正確には Wellbottom Downと言う名前が付いています。また古墳自体は、「Seven Barrows」と言う名称で地図に記されていますが、実際には10基以上の古墳が存在するようです。
この一帯は、考古学的だけではなく動植物の宝庫として、バークシャー、バッキンガムシャー、オックスフォードシャー三州の野生生物保護団体に管理されています。
こちらは帰路の、ランボーンの村方面。
そして最近またハンガーフォードを訪れた帰りに、再びこの古墳の丘に寄ってみました。
日暮れ間近で遊歩道もぬかり捲っていたので行っていませんが、この林の脇にはlong barrow、すなわち長墳があるそうです。
長墳は、青銅器時代より更に時代を遡る新石器時代に多い古墳の形です。
ついでに、この後黄昏時の白馬の丘にも行ってみました。これは、その途中で駐車して撮影した夕焼け。今眺めると、木のシルエットの脇に彗星のような物が??
勿論車で登るとは言え、すれ違うのもやっとの細い急な山道で、ドライブは結構ドキドキでした。
完全に真っ暗になる間際なのにも関わらず、頂上からは未だ散歩している人達の声が聞こえました。
ここで車のフロント・ライトの一つが切れている事に突然気付き、スペアを持っていたので、こんな辺鄙な場所で急遽交換する事に。当然街灯なんて物は一切なく、スマホを懐中電灯代わりに作業しました。通過する車が、心配して止まって声を掛けてくれましたよ…。
黄昏時の古代遺跡が一層スピリチュアルな雰囲気なのは間違いなく、日没が10時近くになるイギリスの夏には決して出来ない、中々貴重な体験でした。
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