昨年の夏に、テームズ河畔の城下町Wallingford ウォリンフォードを訪れた後は、その日のもう一つの目的地、「Wittenham Clumps ウィッテナム・クランプス」と言う眺望の良い丘を目指すことにしましました。
ウィッテナム・クランプスは、ウォリンフォードの北西約6㎞の田園地帯に在ります。ここも前から行きたいと思っていましたが、どうせ行くのならウォリンフォードとセットで、と思っていました。
眺めの良い自然豊かな丘と言うだけでなく、ここには大好きな先史時代の要塞遺跡=hillfort ヒルフォートがあるので、私にとって行かない手はありません。
ウィッテナム・クランプスには、丘の頂上が二つあります。駐車場から伸びる遊歩道に出ると、まず目に入る左手のこの木々の生い茂った場所が、要塞遺跡かと思い勝ちです。
しかし、鉄器時代の要塞遺跡なのは、ほぼ振り返った側の右手の丘の方です。やはり、頂上は木々に覆われています。「clump」とは、ここでは木立の意味です。
遺跡の丘の名前は、「Castle Hill カッスル(キャッスル)・ヒル」と言います。
一見二つとも似通った丘に見えますが、近付くにつれカッスル・ヒルの方には、土塁や空堀と言った結構険しい古代の土木工事跡が確認出来ます。
元々軍事要塞か防衛機能付きの居住区として、一早く敵が攻めて来るのを発見出来る立地に築いた訳で、ここからの眺望は今でも360度ばっちりです。オックスフォードシャーとバークシャーの一帯が見渡せます。
西に見える大きな建物は、Didcotの電力発電所。
考古学的に重要と言うだけでなく、貴重な動植物の保護区として、「Earth Trust」と言う地元団体から整備・管理されています。
鮮やかな青い花は、リンドウの仲間(…ピンボケ失礼)。
黄色い花は、キク科のラグワート。イギリス中何処ででも見られる雑草の上に毒草ですが、背が高く目立つし、群生すると割と見応えがあります。
イギリスの草原では、レース・フラワーのようなノラ・ニンジン、すなわち野生のパセリの仲間も多く見掛けます。ただし、こちらにも毒性を持つ種類が多いので要注意です。
薄青い花は、野生のスカビオーサ。総じてヨーロッパの自然の草原には、日本よりも花が多いと思います。
見るからにアグレッシブなアザミも、沢山生えていました。
こちらTeasel チーゼル(ラシャカキグサ)も、全体的にトゲトゲで過激。こいつは、零れ種で庭に勝手に生えて来た事があります。個性的な見た目なのでドライフラワーとして人気ですが、私は引っこ抜いてしまいました。頂上の森には、立ち入り禁止の柵が巡らされていました。この森は元から在った物ではなく、近代になってから設けられたようです。
そして、「遺跡の側に遺跡在り」なのは鉄則です。要塞遺跡を訪れる際は、必ず周囲に他にも遺跡がないか確認します。カッスル・ヒルのすぐ南東の丘の頂上の木立が在る部分は、実は新石器時代~青銅器時代の古墳なのです。
青銅器と鉄器時代では大雑把に言って2000年以上の開きがありますが、何時の時代も特別な場所は特別で、取り分け眺望の利く場所が重要視されたのは変わらなかったようです。
丘の北と東側には、テームズ川が蛇行しながら流れています。
カッスル・ヒルをほぼ一周したので、続いて北側のもう一つの丘、ラウンド・ヒルに向かいます。
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