マリン・スタイルのrurukoに白いリネンのドレスを作る時、白無地のリネン生地を持っていないので、随分昔に買って置いたビンテージの刺繍布の余白を使用しました。しかし、それは元々刺繍をドール服に生かそうと思って買っていた布ゆえ、もし余白だけを使って肝心の刺繍部分をドール服に使えなかったら本末転倒と、予めmomoko DOLL用に刺繍部分のパターンを切り取ってから、残り部分でruruko用に使用しました。
つまり、その時咄嗟にモモコ用に刺繍の服のデザインをしなければならなかった訳で、尚且つ同時にるるこ用の服の面積もちゃんと残るように考慮しなければならなかったから、まるでパズルのように結構頭を使いました。
イギリスでは、昔は刺繍が女性の典型的な趣味や嗜みだったようで、今でもこんな古い刺繍布は手軽に手に入ります。大きさは「トレイ・クロス」と呼ばれるお盆に敷く為のB4程度のサイズの長方形か、直径10~30cm位のドイリーが多く、フリマかチャリティショップでさえ、50ペンスから3ポンド程度で売られています。
しかしハンガリー等の中欧の刺繍とは異なり、イギリスの刺繍は大抵が大味で図案も平凡で、コレクションしたくなる程魅力的な布には滅多に出会えません。そもそも昔の使い古しだから、糸の解れや擦り切れ、シミ等のダメージが全くない布も稀です。
刺繍そのものの魅力や状態がイマイチでも、部分的にドール服になら活用出来そうな物ならあります。しかし既成の刺繍布を隈なくドール服に生かすとなると、これまた意外と簡単ではありません。刺繍の図案が1/6ドールにとっては大き過ぎたり飛び過ぎていたり、刺繍の位置が不便だったり、布地自体が厚過ぎたり硬過ぎたりするからです。また刺繍が布に対して正確に平行・水平・対称じゃなかったり、布地自体が歪んでいる事も良くあります。
このスカート部分に利用したクロスステッチの布は、メインの図案が短辺の中央にある点は便利でした。しかしその図案と刺繍の入った端が、1/6ドールにとっては離れ過ぎていた為、間にピンタックを入れて縮めました。
身頃までは取る面積や適切な図案が刺繍布になかったので、別布を合わせるしかありませんでした。この布をどれにするか、結構悩みました。最初は余りカントリー調にしたくなく、あくまでモダンなフォークロアを目指したかったのです。しかし最終的に、どうやっても民族衣装風になっちゃうだろうから、とことん垢抜けない布をと思い、一番しっくり来る赤地の小花柄を選びました。
袖部分も、刺繍布から取りました。これまた、ギリギリの面積しか残っていませんでした。
角の刺繍部分も、バブシュカとして活用。
メインの刺繍の図案は同じ物が線対称にもう片側に在るので、もう一着別個にラグラン袖のスモックと言うかチュニックを仕立てる事にしました。
こっちには、袖とバブシュカに赤地の小花柄布を利用しました。
カントリーと言えばその通りなのですが、本当に農作業に向きそうな程田舎らしい格好(笑)。袖切り替えのラグランには、カジュアルでスポーティなイメージがある為、せめてレース・テープを付けて女の子らしさを加えました。
ワンピとして着るには丈が短いので、下には茶系のニッカーボッカーを履いて田舎っぽさを増強(笑)。
行き当たりばったりでデザインした割には、ペア・スタイルっぽくは一応なったと思います。
ちょっと前までは、momoko DOLLにこんなカントリー調な格好をさせる事は、考えすらしなかったしね…。
余り惹かれない刺繍とは言え、かなり細かいクロスステッチなのは確かで、これを自分で刺すとなったら凄く大変…どころか、絶対に自分で刺繍しようと言う気は起きません。それ故に、出来るだけ余すところなく有効利用する事が、今となっては何処の誰が制作したか分からないこの刺繍布を、最終的に手に入れた者のせめてもの使命だと勝手に思っとります。
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