2023/11/12

抜群に可愛いマザー・グースの絵本

 

9月最初のフリーマーケットの最終近くに、この古いマザー・グースの非常に魅力的な絵本に気付きました。表紙を見て一目で気に入り、中を眺めて正に好みだと確信しました。しかし値段は4ポンドと書いてあり、フリマの古絵本として高いだけでなく、その日は収穫に多く恵まれた為、既に残金が2ポンドしか持っていませんでした。

それでも駄目元で、もしかしたら半額には値切れるかもと値段を聞いたら、1ポンドと言われ、あっさり値切る事もなく言い値で買いました。記してあった値段は、どうやら古本屋か何かで購入した時の物だったようです。

タイトルには「THE MOTHER GOOSE BOOK」と書いてあるので、アメリカ出版の絵本なのはすぐに分かりました。イギリスでは、マザー・グースとは呼ばず、「Nursery Rhymes ナーサリー・ライム」と呼びます。

サイズはB5程度の横長で、ハードカーバーで状態良好です。見返しにイラストは無し。中表紙の対面は、蔵書表になっています。ここに、本来は持ち主の名前を書き込む仕組みです。

こんな全面イラストだけの頁と、イラストと文章が半々の頁と、ほぼ文章のみの頁の構成になっています。

文章の頁が大多数を占めますが、その文章にもフォークロアっぽい飾り罫が添えられています。 

この飾り罫は全部で三種類あり、どれも可愛いのです。

下から二番目の、フィドル(バイオリンみたいな楽器)を弾いている猫は、特に好き。

発行は1985年で、意外と新し目でした。絵のタッチと印刷の素朴なスタイルから、すっかり1950年代位の物かと思っていました。

しかし、ネットで調べてみると初版は1946年らしく、これは恐らくリニューアル仕様の再版なのではと思います。

普通の4色分解の印刷ではなく、特色3版の指定印刷で、面で構成した絵柄になっています。言わば、シルクスクリーンやリトグラフ、または切り絵のような見た目です。

このたった3色の選択が、お洒落で秀悦。特に渋いオリーブ・グリーンを使用している所に、センスの良さを感じます。シンプルなようで実は良く計算された、全体的に高いデザイン性です。

このページのイラストの、構成の可愛い事。どのイラストも、額装したくなる可愛さです。

イラストはSonia Roetterに寄る物で、ググってみたら、ロシア生まれのアメリカに帰化したイラストレーターだそうです。

彼女はこの他にも、「日本の童話」「中国の童話」と言う創作物語の挿絵を手掛けました。文化・風俗考証的にはかなり怪しいものの(日本の表現がそうなのだから多分中国のも同様であろう)、やはりシルクスクリーンっぽい大変美しいイラストです。

挿絵の題材として選ばれる詩は、どのマザー・グースの絵本でも大抵共通しています。この「メリーさんの羊」のように曲が付いて童謡として親しまれている内容も多く、知名度と表現のし易さが決め手のようです。

今迄も何度かマザー・グースの古い絵本を手に入れましたが、内容は御馴染のアレだけど、可愛い挿絵の絵本が多いと思います。

それだけ古くから長く愛され、手掛けるイラストレーターも非常に多いからですが、この絵本はもしかしたらベストの一冊に入るかも知れません。




 

0 件のコメント: