2022/12/31

彼女の愛が重過ぎる

 

ハチワレ猫の愛娘タラちゃんは、毎年12月頃に定期健診と混合ワクチン接種の為に掛かりつけの獣医さんへ行きますが、その時の体重測定で遂に6㎏越えを記録しました

確かにイギリスでも雌猫としてはガタイの良い方ですが、特に太っている訳ではなく、実際に獣医さんからも肥満を注意された事はありません。しかし毎回抱き上げる度に、腰にズシッと響く程の予想外の重みを感じます。

重さで言ったら、サビ猫ポコちゃんは最高で7㎏を越えた事があり、同じ雌猫でも更に重かった訳ですが、外見的にも明らかに巨猫で太っていたので想定内の重さでした。しかしタラちゃんの場合、見た目からは中々想像出来ない重さに毎回驚愕するのです。もし漬物石であったらなら、正に理想的…。

毎晩数回は、私の胸の上に乗って来てフミフミゴロゴロを始め寝ます。相変わらずP太にはせず、私だけです。せいぜい10分程度で長居はしないのがせめてもですが、流石に6㎏猫に胸に乗られると例え熟睡していても目を覚まさずには居られず、しかし彼女の最高の愛情表現なので、拒否する事は可哀想過ぎて出来ず只耐えています。

因みに最近、近所の人懐こい大きな雄猫の背中を撫でて見たら、骨がゴツゴツしていてこれまた驚きました。余りにも、タラちゃんの背中の手触りと違い過ぎていて! 兎に角タラちゃんは、筋肉がみっちみちに詰まっている感触です。恐らく洗濯してみても(イギリスでは猫を洗う習慣はない)、一般的な猫のように体が大幅に縮む事もなく、大きさは変わらないのではと思います。

健康状態は今まで頗る良好で病気知らずだったタラちゃんですが、今年は初めて定期健診と歯の治療以外に、獣医へ連れて行かなければなりませんでした。

9月の末頃、タラちゃんは異様にトイレに何度も行くようになりました。その割に尿の量が非常に少なく不快だったようで、膀胱炎を疑わずには居られませんでした。軽い膀胱炎なら水分を沢山接種し排出すれば自然治癒出来るので、猫ミルクや鶏肉の茹で汁を冷ました物、ちゅ~るの水溶き等を色々試してみました。が、タラちゃんは普段は水を飲むのが好きな猫なのに、何故かその時は水を中々飲もうとしませんでした。

それで結局獣医で診て貰い、確かに初期の膀胱炎と診断されました。この直前にタラちゃんは下痢気味だったので、そのせいで尿道にばい菌が入ったのかも知れない、と私は推測しました。猫の泌尿器系の病気は雄に多いのですが、膀胱炎は人間共に尿道の構造上女性が罹り易い病気です。専門薬でたちまち完治しますが、それまでは苦痛な事はこの上なく、放っておけば腎臓病にもなり兼ねないので注意が必要です。

タラちゃんも薬ですぐに良くなり、その後はもっと頻繁に水分補給出来るよう水飲み場を増やしました。ところが、それから約一か月後に同じ症状が出て、再び獣医へ連れて行かなければなりませんでした。しかし今度は膀胱にも尿道にも異常はなく、獣医さんは多分ストレスが原因であろうと言いました。

丁度ハロウィーンやガイ・フォークス・ナイト、ディワリが重なるイギリスで一番の花火シーズンで、この騒音を怖がる犬猫は非常に多く、中にはストレスで死んじゃう子も居るそうです。タラちゃんには花火を怖がる様子はないものの、本当は精神的な負担だったのかも知れません。それとも、悪天候続きで庭へ出られない日々の一週間程続いたのが(雨でも無理矢理花火をするイギリス人…)、タラちゃんにとって大きなストレスだったのかも知れません。


猫としては充分大人の年齢になったから、遊びにはもう興味がなくなり要求しなくなったと思っていました。しかし、彼女の好きなタイプの遊びを単に私がして上げなかっただけで、実は今でも遊びたがりだと分かりました。

相変わらず超絶甘ったれの構ってちゃんですが、お留守番には少しは慣れてパニックは起こさなくなったようです。

新年早々辛気臭い事は言いたくないので今言いますが、ここで今年一年を振り返ると、正直私にとっては余り良い年とは思えませんでした。パンデミック最初の年の方が、返ってマシだったと感じる程です。コロナも今だ収束しない上に、ロシアのウクライナへの攻撃や燃料不足&高騰、深刻な経済不況、御粗末な政治交代劇、衝撃的な元首相の暗殺と、その背後にあるカルトと政治の癒着等の問題で、世相的にも暗く遣る瀬ない事が多かったと痛感します。

そしてそれらは、当然来年になっても解決する見通しはまるでない処か、悪化して行く一方の可能性さえあります。個人的には、来年は更なる困難が待ち受けているであろうと覚悟しなければなりません。親達が余りにも高齢で、身体的な衰弱が著しいからです。また実家、義実家ともにその介護等の問題で、ちょっとした意見や価値観のすれ違いから、家族間のドロドロの揉め事に発展しないとは限らないのも恐ろしいと感じます。こう言う時期が遠からず必ず来ると分かっていたはずなのに、備える事なんて結局ほとんど出来ませんでした。

しかし気が滅入る時に只気が滅入ったままでも意味がないので、せめて自分を強く鍛える為の試練とでも捉え、自分自身にこれ以上失望しない程度には努めたいと思います。―――それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。



2022/12/29

荒ぶるラーメンのTシャツ!

義兄へのクリスマス・プレゼントは、今年もTシャツを送るつもりでいましたが、イギリスでは今プリントTが余り流行ではないようで、ブランドのロゴがワンポイントとして胸元に入ったつまらないデザインのTシャツばかりしか見掛けませんでした。そんな時の最後の頼みは、ヲタク屋になってしまったHMVへ行く事です。と言っても、イギリスでわざわざ日本のアニメや漫画のTシャツを買って贈るのも相当アホです。そんな中、かなりキワモノだけど、義兄なら受け入れてくれるかもと思えるこのTシャツを選びました。義兄へのプレゼントは、毎回P太が選んで買う事になっていて、P太本人は「自分で着たい位クールだ」と気に入っています。

北斎の木版画のような大波の海で、小舟も飲み込む程の巨大ラーメン丼が、怒り捲ってヘリコプターを麺で巻き込んでいる様子です。一体何が、「おいしいと危険」なんだ…。左に「醤油、海苔、チャーシュー」と書いてありますが、実際には卵も具として入っていますね。以前義兄に贈った寿司喰うゴジラ柄と同じシリーズのTシャツのようで、HMVでは東京の街を襲う巨大ブロッコリー柄も販売していたように思います。多分デザインはアメリカで、以前鬼滅と進撃のカードで見掛けたふざけたメーカーだと思います。

ついでに、P太へクリスマス・プレゼントとしては、前から希望していたスニーカーと共に、このエヴァンゲリオンのTシャツと、ユニクロのSPY&FAMILYTシャツを送りました。このエヴァTが、ヲタ屋ではなく、イギリスの極一般的なファスト・ファッションのチェーン店で売られているんですよ。その店では、DB、ワンピ、ナルト、ヒロアカ、呪術廻戦柄の衣料も普通に売らていました。以前P太に贈ったワンパンマンのTシャツも、その店で買いました。

ただし初号機のシンジだけで、零号機、弐号機は無し()。エヴァのプラグスーツは体に密着し過ぎてエッチ臭いから、もし少女キャラのプリントのTシャツが販売されている、または街で着ているのを目撃されたら、フェミニスト達にボコられる可能性があるとの配慮かも知れません。しかし地色が白とか黒ではなくエヴァ色なのが、結構分かって拘っているじゃんと思いました。書体も、ちゃんと極太民だしな


 

2022/12/28

ウォルドルフ風ソフビ人形

クリスマス前に訪れたRochester ロチェスターの最初に覗いたチャリティショップで、この今まで見た事のない人形に出会い、一目で惹かれ購入しました。アウトフィットは全て着脱可能で、ちゃんと着せ替えタイプの人形になっています。身長は25cmですが、頭の大きい幼児人形な為、スケールは1/6ドールよりは大き目です。

髪は、ソフトビニール製の人形としては初めて見た仕様で、縮れた毛糸が植毛されています。茶系のワンピースの上に、どう見ても手編みのカーディガン、マフラー、ポシェット、ワンストラップの靴を着用しています。

人形のスケールの割に編み物の毛糸はローケージな為、足の親指が靴から覗いてしまうのは御愛嬌。

ビンテージ・ドールっぽくも見えますが、ドール本体の造り的には、ワンピースも含めて絶対に現代の製品だと思いました。ワンピースは化繊地で縫製が粗末で、背面の留め具には極薄のベロクロ・テープが使用されている所に、最近の製品なのが伺えます。恐らくこのワンピースのみはオリジナルのアウトフィットで、髪は傷んだ為に元持ち主(の親)が毛糸で植毛し直し、更に手編みのカーディガン等を加えたのではないかと想像しました。だとしたら、髪に結んだコットン・レースのリボンも含め、オーガニック・カラーでこんなに可愛くまとめたコーディネイトに、イギリスとしては相当熟練したドール修復力とセンスの良さを感じました。

ボディにメーカー名等の記載が全くない為、この人形の正体を突き止めるのはネット検索でも苦労しました。が、やっとドイツのシュタイナー教育が生み出したPuppen Waldorf ウォルドルフ人形、それをソフビでファッション・ドール化した製品(多分中国で全く許可無しに)である事を突き止めました。一番下に着ているワンピースだけでなく、手編みにしか見えないカーディガン、マフラー、ポシェット、靴、髪の毛、髪の毛のレースのリボンも、驚いた事に全てデフォルトで、この状態で販売されていたそうです。


しかし植毛技術は、このままで商品だったとは信じ難い程酷く疎らで、後頭部は見事に大禿げになっています。でも毛量は既に凄まじいのだから、これ以上植毛したら収拾が付かなくなるのは目に見えています。

髪色や服のバリエーションが幾つか存在し、御参考までに日本のアマゾンでも購入出来ます。三千円位。しかしウォルドルフに似せて作っているだけで、天然素材に拘った本家のウォルドルフとは全く無関係なのに違いなく、それなのに堂々と「ウォルドルフ人形」と名乗って販売している訳です。こんな模倣品が大量に野放しにされて溢れているアマゾンの無法地帯ぶり(英語版でも)に、改めて呆れ返ります。

その一方で、こちらで見掛けるファッション・ドールとしては破格な素直な愛らしさにも、改めて感心します。人形の顔は、返ってシンプルであればシンプルな程可愛く表現するのが難しい物ですが、この最小限の顔パーツでも可愛く見える的確さは、マドレーヌちゃん人形にも匹敵するデザイン性です。そして、ソフビ製でもウォルドルフっぽさはちゃんと出てていて、バチモンのくせに小憎らしい程です。

こんな好みのナチュラル・ファッションも、イギリスの着せ替え人形としては非常に珍しいスタイルです。しかしそれってつまり、現代のイギリスの子供の好みとは掛け離れている事を意味します。実際これを買って貰った元持ち主の子供には、恐らく気に入れられなかったのでしょうね。遊ばれた形跡もほとんどなく、かなり綺麗な状態でチャリティ屋に手放されていました。

購入後、このお人形を撮影まで日の当たらない場所に仕舞っていましたが、何故か床の上に転がっている事がありました。どうも不思議だと思っていた所、このわしゃわしゃした髪の毛が猫を魅了したらしく、タラちゃんの仕業であった事が発覚しました。

 

 

 

 




2022/12/27

ロチェスターでビンテージ屋巡り

 

クリスマス前の小旅行の目的地をRochester ロチェスターに選んだのは、お城と大聖堂のある川沿いの雰囲気の良い街で、そこそこの観光気分が味わえると言うだけでなく、チャリティショップが結構充実しているからです。値段は他の町と変わらず、店数も町の規模を考えれば特に多い訳ではありませんが、P太も私も毎回のようにこの町のチャリティショップでは収穫に恵まれます。これは、例え地元のチャリティショップを週に一度は全店チェックしても、1~2か月間の内に一個でも買いたい物が見付かれば良い方なのを考えると、我々がロチェスターを訪れるのは年に1、2回にせよ、かなりの高確率です。

チャリティショップは基本的に一般家庭の不用品の寄付を募り、つまりその中古品を販売して利益を慈善事業に使用する訳ですが、その寄付の中からアンティークやビンテージを抜粋して販売する店は今は珍しくありません。ロチェスターには、そんなビンテージ専門、またはビンテージを多く扱うチャリティショップが幾つかあります。

ここも、その一軒。毎回ディスプレイも凝っていて、一瞬チャリティ屋とは気付けない程です。

衣料は、ビンテージと単なるセカンドハンドが半々位。そのセカンドハンドも、個性的でスタイリッシュなブランド品が集まっています。同じチャリティの支店が隣町のStroodにも在りますが、其処は概ね普通のファスト・ファッションの中古品を売るチャリティ屋になっていて、やはり地域を選んだ品揃えにするのだと納得。概ねビンテージは、観光的な町、アート&ファッション関係の学生の多い町、割と裕福な町で人気があります。

ビンテージ布類も多く扱っています。

クロシェ編みののグラニー・ブランケットも、ビンテージ好きには根強い人気。

中々好みのプリント生地ですが、中途半端な端布(元は何か衣料だったのを切り取ったらしい)の割には値段は高目で見送りました。

この町には、アンティーク・モールやビンテージ・ショップも幾つかあります。これはその中で一番大きな店

もう一軒の小さなゴチャゴチャした返って好みのアンティーク・モールは、今回はどうも見付けられませんでした。もしかして店仕舞いしてしまった??

ディスプレイ・ケースの上には、日本のダルマが。

スージー・クーパーの食器セットで、今まで見た事のないデザインです。

このモールの地下には、チャリティショップ並みの値段の商品が並んでいます。ただし地下へ降りる階段が梯子か?と思える程急なので、足元には注意が必要です。


こう言う場所で買いたい物に出会えればラッキーですけど、生憎未だありません。 

このパンチ・セットは、絶対ウラン・ガラスであろうと(最早確認用のブラックライトは持ち歩いていない)P太と意見が一致。まるで海藻のような、不思議なパターンです。

やたらパンチのある陶器製の少女の頭は、妙な尖った帽子が蓋になっていて、もしかしたらビスケット入れなのかも知れません。

日本の木製や張り子の文箱も混じっている、渋い古いトリンケット・ボックスのコレクション。一番上段右端の、日本製に違いない昭和な柿型の器が気になります。


フォルムがお洒落なJGメーキンのポットには、実は柄違いが沢山存在し、同じ形のポットばかりをコレクションしている人も居るそうです。

 二階は、衣料やアクセサリー等のファッション・アイテム中心。

この売り場は、ヴィクトリア時代の建物らしい部屋そのものが毎回絵になっています。

今回ここでは、スージー・クーパーの「ノースゲイ」の食器セットを見掛けました。

長いハイストリートの西端近くに、女性経営者のファッション関係中心のビンテージ屋があります。ビンテージ・ブローチは、色別にトルソーにまとめてあり中々の品揃えです。

この店の地下部分に、初めて入ってみました。やはり階段が凄く急です。結構奥深いのですが、天井がイギリスの家屋としては驚く程低く圧迫感が有ります。

ここは、ビンテージ玩具や昔の子供用品中心のコーナー。

この奥は、かつてのキッチンとバスルームのようです。地下にキッチンって、在る物なのか??

一方ハイストリートの東端には、チャリティショップ「Sue Ryder」の支店がありました。ビンテージ・ドレスも多く扱っています。この店のこの時のディスプレイは、ビンテージ玩具でまとめられていました。

この70年代のBBC版の「スター・トレック」のアニュアル本を、P太は欲しがっていました。スター・トレックは、放送当時は実は余り人気がなかったそうです。再放送で人気を博したそうで、日本にもそう言うドラマやアニメって結構あるなと思いました。

今回も私とP太揃って、この町のチャリティショップで収穫がしっかりあり、充実したお出掛けとなりました。