2022/11/28

北イングランドの旅 ウェンズリーデール谷


9月に我々夫婦+義母と訪れた湖水地方の旅の滞在ホテルは、高速道路6号線の側と言う交通に便利な立地にありました。この場所は、湖水地方Yorkshire Dales ヨークシャー・デールズと言う二つの国立公園の丁度中間に位置します。それで、旅行最終日である三日目の行き先は、湖水地方とヨークシャー・デールズのどちらが良いか、義母に尋ねました。旅行に適した暖かい季節の天気の良い日の湖水地方が凄まじく混む事は、前日の道路の渋滞やホテルでの団体旅行者の多さで痛感したので、義母はヨークシャー・デールズへ行く事を希望しました。ヨークシャー・デールズの中でも、乳業で全国的に名の知れたWensleydale ウェンズリーデール谷に、チーズを買うのに持って来いの専門店が在る事を告げたのも、食いしん坊でチーズ好きの義母を魅了したようです。

そこで、帰路はヨークシャー・デールズを西から東へ横断し、最終的に高速道路1号線を南下して帰る事にしました。今回の旅の記事のタイトルを、「湖水地方の~」ではなく「北イングランドの~」にしたのはその為です。

ヨークシャー・デールズの景観は、一見湖水地方に似通っていますが、山は低くてなだらかで、氷河で形成されたドラマティックな湖沼はない為に地味です。世界中から観光客が押し寄せる湖水地方に対し、ヨークシャー・デールズを訪れるのは、同じ国立公園とは言え、せいぜいイギリス国内在住のアウトドア愛好者だけです。

前年ここを私達夫婦が訪れた際は、生憎旅行中のほとんどが雨に見舞われた悲しい天気でした。しかし今回は前日同様に快晴で、同じ山()並みも大分印象が違って見えます。

ここは前年滞在した宿Moorcock Innに続く線路沿いの谷で、その時は列車に一度も遭遇せず、もしやコロナ渦で廃線になったのかと疑いましたが、今回はちゃんと列車が走っているのを目撃しました。ロンドン育ちのP太は、列車が三両だけなのに驚いていましたが、田舎もんの私は、ローカル線で三両なら割と多い方だと思いました。

撮り鉄ならずとも、もしもっと早く列車が来るのに気付いていたら、橋のこちら側なら絵になる写真が撮れたかも~と、夫婦二人揃って思いました。恐らく一時間に一本程度の本数だと思いますが、単線ではなく複線なのが意外。

その後この谷からウェンズリーデール谷に入る際に、分岐点の角に立つMoorcock Innの前を通過しましたが、昨年からと違っていたのは、でっかいウクライナ国旗が掲げてある事でした。

そして、義母の目当てのチーズ屋…と言うかチーズのテーマ・パーク的な「Wensleydale Creamery」に到着。私達夫婦も、チーズやら地エールやらを買い込みました。義母はここでチーズを買い過ぎて、後から間違って我々が買った分まで混じってしまったのじゃないかと疑いました。

その後正午を過ぎ、義母が空腹を訴えたので、小腹を満たす為に、牧草地の中にぽつんと立つ17世紀築の歴史的な納屋の建物を利用した、前年訪れたアイスクリーム・パーラーを訪れる事を提案しました。

到着時はほぼ満席でしたが、一階席の先客が気遣って立ち去り席を開けてくれました。ここは店員さんもお客さんも、皆フレンドリーで幸せな雰囲気に溢れています。

義母は、この店で好物のクリーム・ティーを食べる事が出来て満足。一方私達夫婦は、ホテルのビュッフェ朝食をたらふく食べて未だお腹が全く空いていなかった為、アイスクリームだけで済ませました。

アイスクリームの種類は、相変わらず盛り沢山で選ぶのに迷います。

右が私のでアップル・パイ味、左はP太のベリー&エルダーフラワー味だったと記憶しています。この店で昨年からと違った事は、バターミルクのパンケーキはメニューから消えていました。

このアイスクリーム屋にせよ、チーズ屋にせよ、こう言う地元産業に密着しアピールした地産地消の商売が、もっと存在すべきだと義母は強く主張しました。全くその通りだし、日本では観光と地方活性化の為には当たり前の傾向ですが、イギリスでは本当に不思議な程少なく、そう言う発想に至らないのです。

旅費は出して貰ったにせよ、予め覚悟はしていたものの、正直言ってやはり何かとストレスの多い旅行でした。義母自身は喜んでいたので、使命は果たしたと信じていますが、こんなに風光明媚な場所でさえ、心の底からは楽しめない旅行ってあるもんなのだと改めて思いました。我々夫婦にとっても久々の本格的なお出掛けだったと言うのが、一層そう思わせたのかも知れません。私自身の忍耐も歳と共に益々減ったのも、その一因かもと思っています。車のトランク全てを占めてまで運んだ電動車椅子を、結局一度も使う機会がなかったと言うのにも、始終モヤモヤさせられました。高齢者との旅行の難しさや、真実のバリアフリーの難しさを、つくづく考えさせられた旅行です。

 

 



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