2022/11/08

バービー「マイ・シーン」をリペイント ブルネット・ボブ編

 

今から20年位昔、欧米の子供向けファッション・ドール界でMGA社の「Bratz ブラッツ」が座巻きしていた頃、それに対抗してマテル社では、バービーのスピン・オフ版「My Scene マイ・シーン」を販売していました。八頭身のバービーよりも頭が大き目で(巨頭系人形が溢れている今となっては普通のバランスに見えるのが恐ろしい…)ブラッツ同様に顔が物凄くケバく、特に唇の分厚さが目立ち、露出の多いハスッパな嘆かわしい服装をしていました。取り外し可能の靴と一体化した大き目の足を持つ仕様や、可動式のボディも存在したようです。

が、ブラッツに比べればデフォルメはかなり控え目で、造形的にはマイ・シーンの方がずっと良いと前々から思っていました。特に今見ると、顔型の造り自体は中々良く、自分のリペイントに向いていそうな事に気付きました。しかしながら、西洋の子供はどうもクセの強いデザインの方が好きで、所詮二番煎じは元祖程は成功しないのが常。マイ・シーンは、ブラッツの人気には到底及ばなかったようです。

このマイ・シーンの中古人形も、一時はイギリスで多く出回っていましたが、最近はとんと見なくなりました。それが最近のフリーマーケットで、中古ドールを大量に扱っている玩具専門のストールで、マイ・シーンの何体かに遭遇。その中から、一番肌の色が白めの人形を購入しました。

本当に、こんな濃い化粧なんて今時ドラァグ・クィーンしか居ねえわと思える程、元はきついケバい顔をしていました。特に縁取り付きのリップカラーと言うのが、今も昔も日本人の感覚には受け入れ難いと思います。顔が随分薄汚れているし、髪がザンバラに短くて子供に切られちゃったのかも~と思いましたが、其処で売られていたマイ・シーン中古人形の中では、この人形が仕様的には一番いじり甲斐がありそうで気に入ったのです。

購入時に着ていたアウトフィットは、彼女のデフォルトではなくシンバ社製。ジャケットまでミニーマウス柄のモノグラム風で、これはこれでちょっと可愛いと思います。この人形は足首から先が取り外し出来るタイプではなく、普通のバービー同様に固定式になっています。ボディ・サイズは、2000年代のバービーと大体同じに見えます。肘は曲がらず、膝はクリック式に曲がります。

フェイス・プリントを落としてみて、輪郭や顔の造りが、実は西洋の廉価版ファッション・ドールとしては、最高級位に整っているのではと実感。少なくとも、眼の位置や大きさ、鼻の形は自分の好みにかなり合います。唯一唇の相当厚いのは気になりますが、それはメイクで何とかなるはずと信じました。

今回は、ジェッソを使わず初めからパステル&色鉛筆メインでリぺを始めようと思いました。が、23回失敗しても上手く行かず、結局モンハイの時と同様に、瞳部分の下白のみはジェッソで入れてから色鉛筆で描き進めました。最終的にアクリル絵の具を加えたら、色鉛筆で描いた意味が余りないように仕上がってしまいました。

モンハイのリぺ同様に、瞳にはグロス・メディウムを塗り、ラメ粉を降り掛けています。グロスを盛り過ぎたのかラメを盛り過ぎたのか、瞳が白っぽく濁って白内障のようになりました(汗)。何事も、やり過ぎはいけませんね!

マイ・シーンのドールにも、バービーと名の付く人形以外にはキャラクター分けがあって、これはアジア系のNolee ノリーと言うキャラだそうです。しかしノリ―にこんな短い髪型の仕様の人形は検索しても見当たらず、髪はやはり元持ち主の子供に切られちゃったようです。無残に不揃いだったから、やむを得ず自分で切り揃えました。確かに髪が長かった時の名残りで、良く見るとストレートヘアではなく微妙に畝っています。髪の色は、実はブラックとダーク・ブラウンのメッシュになっています。

そんな不本意にシャープなボブカットになった彼女には、アール・デコ風の格好をさせる事を思い付きました。アール・デコ時代に流行したギャルソンヌ、またはフラッパーと呼ばれるスタイルで、日本ではモガと呼ばれました。

プロダクト・デザイン的には、1930年代も含めてアール・デコ時代と呼ばれる事もありますが、ローウェストでストレート・ラインを強調した典型的なデコの服装とボブカットは、1920年代の流行です。女性をコルセットから解放した活動的なこの時代のスタイルは、実際に女性の行動範囲を広げ、スポーツへの参加をも推進しました。

リぺのメイクアップ的には、アール・デコ時代の流行には全く則っていません。この時代のメイクは、強調されたアイ・ラインと輪郭のはっきりした赤いリップ、強めのチークが流行ったようです。

長~いネックレスも、この時代の流行。本当は、何重にもじゃらじゃらと着用したようです。

フットウェアとしては、先の尖ったパンプスが流行っていたようです。本当はストッキングを着用し、この時代は生足は有り得ないでしょうが、人形の場合は靴をとても履かせにくくなるので省きました。この時代風の服装は、デザインに寄っては現代でも着用可能な物が多いですし、ドール服としても作るのがそう難しくないので私は好きです。

ところで、実は顔型の造形は美しかったマイ・シーンですが、後頭部のボリュームが寂しい、つまり平べったい頭なのが難点。キャップで誤魔化そうと思いましたが、誤魔化し切れていない💦

この時代のスカートの裾には、良くフリンジやひらひら揺れる装飾が付いています。恐らく当時流行っていたチャールストンを踊る際に効果があったからで、その脚を跳ね上げる激しいステップの為に、スカートの丈も短くなって行ったのではと思っています。

西洋女性のファッションは1910年代に足首を見せ始めましたが、その後スカートと髪はどんどん短くなって行き、1927年頃にピークを迎えたようです。しかし1930年代は世界大恐慌に見舞われた為、フラッパーの享楽的なスタイルは時代にそぐわず廃れて行き、女性のファッションは再び保守的に戻って行ったと言われています。

 

 

 

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