2024/07/25

ウォリンフォードのアンティーク・モール 5

 

昨年の七月に「Wallingford Arcade ウォリンフォード・アーケード」の一階には、19世紀から20世紀前半のジュエリーが、まるで博物館のように見事にずらりと並んだ、見応えのあるショー・ケースがありました。

これらは真正のアンティークな訳ですから、コスチュームではなくファイン・ジュエリー(宝飾品)も混じっているはずで、どれも値段は一つ100ポンド以上する為に、私には絶対に手が出ません。

しかしデザイン的に大変美しいのは確かで、また詳しい商品説明も付いていて勉強になるので、ビシバシ写真を撮って記録に残して置く事にしました。

時代や形式的に言うと、ヴィクトリアン、エドワーディアン、アーツ&クラフツ、アール・ヌーヴォーです。

宝飾品が、未だ一般庶民には手が届かず、特権階級だけに許されていた時代の製品なので、意匠や造りや素材的に半端なく贅沢です。

このElizabeth Bontéと言う作家に寄るアール・ヌーヴォーの ネックレスなんて、1250ポンドの値段が付いています。中央の瑪瑙のような光沢のある花モチーフは動物の角製、ビーズにはバルト海の琥珀が使われているそうです。

これらの詳しい商品説明からも、ストール主は相当なアンティーク・ジュエリーの愛好家でエキスパートだと言うのが分かります。

希少性・価値を十分過ぎる程理解しているからこそ、高額な価格を設定するのにも躊躇ないのでしょう。

こう言うストールって、売って利益を得る目的ではなく、元々金銭的に余裕のある人が、私設博物館として自分のコレクションを公開したいが為に出店しているんだろうな…と、つくづく思います。

博物館の管理維持費を考えれば、出店料はそれ程高くないのかも知れません。

期待した通り、建物自体も観る価値がある、迷路のように入り組んでいて冒険気分を味わえる、充実した楽しいアンティーク・モールでした。只、歩き回って足が疲れただけでなく、多くのアンティーク・モール同様に店内が概ね暗い為、眼も凄~く疲れました。




2024/07/24

ウォリンフォードのアンティーク・モール 4

 

16世紀築の元老舗ホテルの建物を利用したアンティーク・モール「Wallingford Arcade ウォリンフォード・アーケード」では、迷路にように入り組んだ店内の本当に隠し部屋みたいな奥まった場所に、ビンテージ・ドレス&アクセサリーのストールがありました。

狭い空間には、天井付近までびっしりと商品が並んでいます。

勿論古着もあれば、バッグ、靴、帽子、ジュエリー等、ファッション・アイテムなら何でも。

古着は、デイドレスやイブニングと言ったフォーマル中心。1950年代の、細く締まったウェストからスカートが大きく広がった優雅なドレスも揃っています。

アスコット帽やファッシネーターも、ずらりと集められています。

これらは基本的に夏のフォーマル用なので、シマナイ等の透ける涼しげな素材が使われています。

恐らくアール・デコ時代にチャールストンを踊る際に被ったような、あのキャップですよね。良くこんな着用可能な状態で残っていると思います。

パーティー用のビンテージ・バッグは、やはり金銀中心。

他のストールでも、比較的買い易いビンテージ・ジュエリーは見掛けましたが、店内が暗い上にガラス・ケース入りで非常に見え辛かった…。

微調整している為、写真で見る方が未だマシです。

イギリスで常々思うのですが、店内の照明が十分じゃないと言うのは、客の購買意欲を大きく損ねるので商売に絶対不利です。

好みの50年代のビンテージ・ジュエリーが集まっているストールでしたが、プラスティック製のコスチューム・ジュエリーなのに、値段が相場と比べても驚く程強気でした。



2024/07/23

ブルガリアの木製人形

 

私にとってのイギリスでの今年最初のフリマでは、このペアの木製人形も買いました。二人とも頭にバラの花を付けていて、その真ん中にはバラの香水の瓶があり、一目でブルガリアのお土産人形だとは分かりました。


人形自体の高さは6㎝位。二体とも、香水瓶と共に台紙に張り付けてあります。まるで、昔の日本の温泉地等の商業こけしのようだと思いました。日焼けて黄ばんだアクリルの箱に入っていた為、人形自体は色褪せず埃も付かず、比較的綺麗なままです。

ボディの基本の土台が円錐形で、人形の造りは以前買ったスロヴァキアのお土産人形に少し似ています。この小ささ&単純さながら、毛糸や羊毛フェルト、ベルベット、スパンコール等、結構様々な素材が使用され、民族衣装をしっかり表現していて、フォークロア感は十分出ています。

台紙にも、フォークロア調の柄がプリントされています。こう言う素朴な味わいのある昔のお土産物に、格安で出会う事も買う事も少なくなって来たと実感します。

 

 


2024/07/22

ウォリンフォードのアンティーク・モール 3

 


Wallingford Arcade ウォリンフォード・アーケード」は、老舗ホテルだった建物を利用した、古い入り組んだ建物自体が興味深いアンティーク・モールでしたが、売られている物自体は、やはり英国全国共通で他のモールと大差ありませんでした。

例えば、陶器類は写実的な植物柄&金彩、ガラス製品は優雅な吹きガラスかカットガラス(またはカットガラス風)中心で、言わばお行儀の良いクラシカルなデザインが人気で多いのです。

そう言ういかにも英国らしいテイストも嫌いではありませんが、生憎我が家には合わず実用的ではありません。

特に食器の金彩は電子レンジで使えない為、現代の生活スタイルには不便です。

ブルーフィローのような藍一色の風景画の陶器も、イギリス人には根強い人気。

バラバラの古い食器を三段に繋げたアフタヌーンティー用のトレイは、イギリスでは割とお馴染みのリサイクルのアイディアです。

 

そんな中、アール・デコやミッド・センチュリーの製品を集めたストールが異彩を放って目を引きました。

クラリス・クリフを始めとする、アール・デコ時代の陶器も人気です。しかしこの時代までの食器は、強度の面で電子レンジや食器洗い機に不向きだったり、やはり実用面では問題があります。

その点、1960年代以降の食器は、問題なく実用出来ます。

ここでは、北欧ビンテージの食器も混じっていました。以前チャリティショップで購入したのと同じ、フィンランドの「アラビア」のソルトボックス。同じく木製の蓋の亡くなったコンディションですが、普通に買うとやはりそれなりの値段。

素焼きじゃないけど、これはどう見ても現代の土偶⁈ てかったオレンジ色が強烈です。

別なストールで、ホーンジーのビンテージ食器を集めたコーナーがありました。

ホーンジーのマグにデザインも技法も似ていますが、別のメーカーの物。

シンプルで可愛い花柄は、昔のトランプ。 プラスティックの専用ケースに入っています。

幼児用のハイバック・チェアのようですが、可愛い水色の木製椅子に、大胆な花柄のビニール・シートを合わせるセンスに時代を感じます。

やっぱり私はクラシックな物より、こんなミッド・センチュリーのレトロ・ポップなアイテムに惹かれます。