2024/11/27

MTMのブロンド・バービーをリペイント

何体かのバービー人形の顔をリペイントしていて、やはりボディはフル可動式に交換したくなり、ずっと中古でMTM(Made To Move=通称ヨガ・バービー)を探していました。しかし数年見付からず、出会っても足を失って壊れていたり、カーヴィ(デブ)タイプだったりで手に入らず、こりゃ新品を買うしかないかなあと思っていました。

人種の坩堝のアメリカのデザインの人形ですので、MTMボディだけでも約10種類の肌色が存在するらしく、更に体型も基本の他に長身、小柄、太目と用意されています。この中で、バービーとしては最も一般的な日焼け肌色と、赤毛や東洋人に使用される白肌の二種類の基本体型は、自分に必要だと思っていました。

しかし近辺の玩具屋を何度もチェックしても、何故か白人&東洋人の簡易仕様のMTMバービーは長らく売られていません。Amazonで購入するしかないと思っていた矢先、普通(日焼け)肌の方のMTMは、地元チャリティショップで入手する事が出来ました。

販売されていた当時は、こんなヒドイ恰好をさせられていました。実は向かって左の網タイツの下の脚にはテープがべた~っと貼ってあり、もしかして折れてるの?!と焦りましたが大丈夫でした(べたべたは中々落ちなかったが)。多分初めてMTMのスタンダード・ボディの実物をヌードでちゃんと確認し、バランスの良さに改めて惚れ惚れします。何処も誇張されていない、無駄のない健康的で自然で美しいバランスなのです。長身バービーのように、妙に間延びした寸胴でもありません。

クローズ・マウスなので、バービーにしては品が良くバカっぽくもなく中々の可愛さ。気に入らないのはリップの色だけで、もしフェイス・プリントのドットが荒くなければ、別に総リペイントする必要もないんだけどなーと思った程です。ちょっと調べたところ、この顔のモルドには「Millie Close Mouth」と言う名称が付いていて、大人のバービー・ファンの間では人気があるそうです。ツイン団子頭のExtraのバービーも、姉の買ったお高い実写映画版バービーも、恐らく同じ顔型を使用しています。MTMボディのブロンド・バービーには、こんな口を閉じている人形は余り存在せず、一体どのMTMバービーなのかは中々突き止められませんでした。着ているピンクのトップは実はステッフィ人形の物だったから、推測の助けには全くならず。耳から生えているんじゃないかと疑う程深くガッチリ刺さっていた、でっかいループ型のイヤリングのみが、多分このドールのデフォルトで、今では「車椅子バービー」じゃないかと推測しています。

更に、プレイセットや幾つかの小物も勝手にセットされて、チャリティショップでは売られていました。多分、元持ち主から単に一緒に寄付されたのだと思います。流しの付いた調理台は、Doughと言うシリーズの、粘土で食べ物のミニチュアを作る遊びのセットだったようです。

小物は犬用の骨型おやつ、ピザ、医療カルテと聴診器、哺乳瓶?で、これまた雑多な寄せ集めです。見た目も造りもチャチいので、今後ドル活に役立つかどうかは謎ですが、これで合計4ポンドなのは、チャリティショップとしてはかなりお買い得でした。

出来る限りオリジナルの顔の造形からは大きく変えないつもりで、こんなリペになりました。元が酷い顔の人形は心置きなく改造出来ますが、元から大して問題のない顔立ちの人形は、果たして改善出来るかどうかそれなりに緊張します。少なくとも、ケバさ&老け顔は回避出来たと自分では思っています。クローズ・マウスってのが、やっぱりつくづく重要。あくまでナチュラルな雰囲気を目指すのって、最小限の表現勝負だから、化粧で盛り捲っても平気なケバい顔にするより返って難しいといつも思います。

モード系は勿論、クラシックな衣装もナチュラルも似合う雰囲気にはなりました。ドールのリペイントが上手くなりたいのは確かですが、それよりも私にとって大事なのは、着せ替えしたくなる、服を作って上げたくなる人形に出来るかどうかと言う事です。


髪の状態も悪くありませんでしたが、どうせなので、お湯パーマでウェイビーに変更し、少しだけ華やかに柔らかい雰囲気を目指しました。リップの色は控え目にし、グロスはパール入りを使用しました。

このバービーには、まず茶系の服装を着せたいと思いました(秋ですし)。そこで、茶系のコットン生地を組み合わせ、ハイウェスト+二段切り替えのスカートのワンピースを作りました。この生地の組み合わせは、派手になり過ぎないよう、しかし寂しくなり過ぎないよう自分なりに結構考えました。

ところが!最初はカントリー・スタイルやロハス系、欧米で言うとBOHOっぽいファッションを目指すつもりだったのに、地味顔が仇となり返って老けて見え、単なる田舎のばーちゃんそのものの恰好になってしまった…。

元々グラニー・スタイルは好きだし、大筋は外れていないはずなんですけど、今時の服装らしさはまるでなく、メルヘン界の住民みたいと言うか、虐げられていた時代のシンデレラっつうか。


ベージュ色のショールや籠バッグを合わせたのが、やり過ぎだったかも。

ショールに使用したウール生地は、高級な毛布に使われそうな上質のツィードです。今年の夏頃に山小屋風チャリティショップで、全幅×1m位を1ポンドで手に入れました。

1/6ドールにとっては当然厚めですが、目は詰まってアイロンもまあまあ利くし、シンプルなコート位なら作れそうな生地です。

この樹脂製の籠バッグは、多分玩食のミニチュア。今年東京の姉の家の近所のホビー・オフで、百円程度で買いました。凄く良く細かく出来ていますが、多くのドールに持たせるのには重過ぎるのが難点です。しかしMTMボディは可動式の中では関節がかなり硬い為、珍しくこの籠を持たせる事が出来ます。

元々濃い目の肌の色に馴染み易いように茶系の服装を選んだはずだったのに、やはりこの肌色は撮影し辛い…。髪色が白飛びし易く、ブロンドと肌色が不自然で合っていないのだと思います。

MTMボディ自体は、素材的に割と丈夫そうで、紫外線や経年にも比較的強そうです。しかし比重が高くて重量がある為、更にバービーの足は1/6ドールとしても小さ目なので、ブーツを履かせても安定が悪く、撮影用に立たせるのが結構大変でした。

momoko DOLLのように関節が緩過ぎるのも問題ですが、MTMの関節は足首以外は固過ぎて扱いにくく感じます。

そして、本来MTMボディの肘は180度曲がるはずで、実際に関節自体もそう言う造りになっているのに、このバービーの肘は何故か90度までしか曲がりません。 

力任せに曲げようとしてバキッと折れては本末転倒なので、このままで諦めています。更に、脇は相変わらず締まらない造り。 手を顔に近付けられると、表情が豊かに見えてかなり嬉しい可動域なんですけどね。

Millie(バービーの本名「バーバラ・ミリセント・ロバーツ」から来ている名称のようだ)の顔型は、馬面じゃないし目鼻口等の位置のバランスの良いモルドなのが魅力ですが、 少しでも下から見上げる角度だと、顎のラインが結構角ばっています。西洋では、女性のエラ張りは賢い顔の象徴と見なされるので、もしかしたら知的に見えるように工夫がなされているのかも知れません。

自分史上、最もケバくないバービーには仕上がったと思います。しかし彼女に初めて作ったアウトフィットは満足出来なかったから、今後はもっと似合う格好を追及して作って上げたいと思います。

 

 

 



2024/11/26

久々のポーランドの切り売りケーキ

地元の町のポーランド食料品店で、久々~にポーランドの切り売りケーキを買いました。このお店のケーキ、冷蔵ケースに入れて売っていないので、夏の間は買うのを見送っていました。我が家では、一パック分を当日食べ切る訳ではなく、2~3日間に渡って少しずつ食べるので尚更です。

ショーケースにはケーキの名前も値段も記されておらず、見た目でコレ下さいと言った感じで選びます。今回は、多分今まで食べた事のないケーキ一種類を買ってみました。

層の上から、チェリーのコンポート、ポーランドのフレッシュ・チーズ、チョコレート・スポンジです。チェリーに人工的な風味付けもなく、イギリスのお菓子と違い全体的に甘さも控え目で、美味しい組み合わせでした。

チェリーとチーズが対角線に沿って配置されている為、切り分け方によってチェリー多め、チーズ多めとかなり違います。夫婦二人で、交互に選んで食べました。

しかし! ついこの前まで、このプラケース・パック一個分で4ポンド位だったのが、7ポンド以上に値上がっていて驚きました。正直もうお得感はなく、今後しばらくはアジア食料品店のモチ(大福)でいいや…と夫婦で思いました。

 

 

 


2024/11/25

ジブリ映画のような空の丘

昨年の今頃、雨と晴れを繰り返す不安定な天候の日に、国立公園サウス・ダウンズの端の村のアンティーク・モールを訪れた後、ついでにサウス・ダウンズの丘の一つKithurst Hill キットハースト・ヒルに登ってみました。

キットハーストの頂上へ車で行くのには、急な九十九折りの細い坂道を登って行かねばならず、全く高くない海抜の割にかなりスリリングな山道です。

丘の上の無料駐車場に到着した途端、バケツをひっくり返したような土砂降りになり、しばし車の中で待機しました。その直後、北東側に美しい虹が見えました。

天気雨の多いイギリスでは、虹を見掛ける機会は少なくありません。しかし、ここまで色のはっきりした美しい虹(写真では拾え切れませんでしたが)は、中々ないと思いました。

しかも、良く見ると二重の虹です。以前友達がロンドンを旅行した際に、美しい虹を見掛けて感動したのに、周囲の人は誰も気にも留めなかったと不思議がっていました。確かにイギリスで虹は然程珍しくありませんが、忙しさや感性の問題だとは思います。庭園を訪れたり野山を散歩するようなイギリス人は、時間にゆとりがあるし自然に関心があるので、虹に気付いて心を留める余裕があるはずです。

先程大雨を降らせたドス黒い雲は、あっと言う間に東に移動していました。そして、空は見事な清々しい蒼さに劇的に変わりました。

 

真っ白な雲が殊更映え、まるでジブリ作品の背景のようだと夫婦揃って思いました。 前回は月面のような荒涼とした丘の頂上だったのに対し、この時は青々とした緑で覆われていた効果も大きかったと思います。

遊歩道脇に赤く見える木々は紅葉ではなく、サンザシか何かで実を大量に付けているようです。

 
こちらは西方面。イギリスの天候は西から変わる事が多く、更に雨雲がやって来そうな気配。

前回来た時も思ったけど、この丘の上には、まるで雉牧場のように雉がいっぱいです。雉はイギリスの古来種ではなく、19世紀に食用として中国から輸入されたのが、ここまで野生化&繁殖したそうです。

サウス・ダウンズ丘陵地帯は、概ね北側が崖に近い急な斜面で、頂上は丘の上とは思えない程平坦。南側は、なだらかに標高が下がりながら海岸線に続く事が多いようです。

それ故、樹木にさえ遮られなければ、北側の眺望は抜群です。

先程眺めたプルボローの氾濫原は、見下ろすと確かに湖のようでした。

大雨の直後で、チョーク質の遊歩道が余りにもドロドロにぬかって滑りそうだったし、その後も雨が降りそうだった為、この日は丘の上では大して歩かず、車中でお茶を飲んでさっさと去りました。しかし、短時間の内に美しい虹と、平凡なようで文句無しに素晴らしい風景を眺める事が出来て満足しました。

 

 

 

 

 

 


2024/11/24

アラン川の氾濫原

 

Pulborough プルボロー(パルバラ)のアンティーク・モール「The Cornstore コーンストア」は、River Arun アラン川の沿いの18世紀築の石橋の袂に在ります。この石橋は今は強度が十分でない為に歩行者専用で、直ぐ横に自動車用の新しい橋が設けられています。この店を訪れる度に、石橋を渡って川を眺めます。

このアラン川の下流には、まるでお伽噺のような絵になる城下町Arundel アランデルが在ります。イングランドの川の多くは、標高差が余り無い為か、「何故こんな方向に?」と不思議に思える程蛇行しながら流れます。

アラン川は実はこの右側にも分かれて流れており、その中州部分には低い牧草地が広がっています。雨の多い秋から冬は、この場所は漏れなく氾濫原になります。

最早牧草地だとは気付きにくく、湖にしか見えません。

恐らくこの地は一年の半分近くが湖化しているのではと思われ、本当に氾濫原として放って置いても問題ないのか、実は洪水浸水の被害に遭っているのかは分かりません。もしかしたら昔はこれ程水浸しになる事はなく、気候変動でどんどん氾濫が頻繁&長くなって来ているのかも知れません。兎に角この風景を眺めると、これ程土地の概ね平坦なイングランド南部で、川の直ぐ近くに住むのは怖いと実感します。

しかし、野鳥の楽園である事は確かです。

鴨やカナダ雁、カモメ、時にコブ白鳥が居る事もあります。この日は、エジプト雁を見掛けました。

自然の恐ろしさを感じつつ、ここを訪れる度に見ずには居られない、秋冬の田舎のイギリスならではの風景です。しかし、この脇のアンティーク・モールが閉店してしまった今、ここに立ち寄る機会はもうないかも知れません。