2023/11/26

秋の丘の上のセイント・マーサ教会 2

貴重な快晴の秋の日に夫婦で散歩に訪れた、眺望の素晴らしいSt. Martha’s Hill セイント・マーサの丘で、前回は途中で引き返した教会の東側の尾根上の遊歩道も、今回は出来るだけ進んでみる事にしました。

地面は砂地な上に、こちら側には松の木が多く生え、白樺を除けば、まるで日本の浜辺のような風景に見えます。

イギリスの見晴らしの良い場所には、今も第二次世界大戦時、またはそれ以前のbunker=掩体壕が残っているのを良く見掛けますが、これもその一つ。しかし、こんなところまでドイツ軍が攻めて来るとは思えず、実際戦闘も無かったからこそ残っている訳で、兵士達は専らお茶を飲んで過ごしていたのではと想像します。

丘の上は風が相当強いようで、枝がほとんど地べたを這うように伸びた木も見掛けました。

しばらく歩いて、東端の駐車場に到着。東側の遊歩道の方が起伏が多く、歩き応えがあると感じました。

ここから同じ遊歩道を引き返し、再びサリー丘陵地帯を眺めながら教会を経由し、我々が車を止めている西端の駐車場に戻ります。 

ここを去る頃には、到着した時よりも教会周辺の人は随分減っていましたが、これから犬の散歩等にやってくる人もまだまだ居ました。

今回は帰りに、麓の村から丘の教会を是非眺めたいと思いました。前回は、駐車出来て教会を見上げられる適切な場所を全く見付けられなかった為、見逃していたのです。

が、生憎この時には大分曇って来ていて、陽射しも傾いて方向的に最早教会を照らしておらず、期待通りの眺めには見えませんでした。行きにここを通過して車窓から見た際は、凄く絵になる景色だったのになあ。

そのバッチリな眺めは、また次回のお楽しみにしたいと思います。

 

 

 


2023/11/25

秋の丘の上のセイント・マーサ教会 1

 

夏のお出掛けや一時帰国した際の記事が未だ山程残っていますが、それらをすっ飛ばし、割と最近の秋らしいお散歩のレポートからお伝えします(…その秋もそろそろ終わるが)10月に入りフリマも終了すると、イギリスらしく悪天候続きとなり、お出掛けする事もすっかり無くなりました。そんな合間に、奇跡的に快晴の日が一日だけあり、こんな機会を無駄にしてなるものかと、自然豊かな見晴らしの良い場所へ、夫婦で散歩に出掛ける事にしました。 

選んだ場所は、前にも一度だけ訪れた事のある、ドラマティックな小高い丘の頂上に、教会だけがぽつんと立つSt. Martha’s Hill セイント・マーサの丘。対向車が来ないか緊張するような細い山道を登って、最寄りの無料駐車場まで行きます。その日は日曜日だった上に、我々同様にこんな好天気は見逃せないと考えた人は当然多く、既に駐車場は満杯に近く、やっと空きを一つだけ見付けました。

駐車場から、ほぼ尾根伝いの森の中の遊歩道を通り、教会を目指して歩きます。

この道は、カンタベリーウィンチェスターを結ぶ中世からの巡礼路上でもあります。

10分程歩いて視界が開けて来ると、教会に到着。正式名を、「Church of St. Martha-on-the-hill 丘の上のセイント・マーサ(聖マルタ)教会」と言います。

冬の平日だった前回にも増して、教会周辺はかなりの人で賑わっていました。

この日は教会のボランティアの人達が、クッキーやお手製ケーキ、温かい飲み物を提供していました。料金は寄付金制。P太は最初心惹かれましたが、改めて観察してみて、イギリスらしい極甘の(ぶっちゃけ不味そうな)お菓子ばかりな上、小銭の持ち合わせも余りなかった為に見送りました。

期待した通り、この日は天気だけでなく視界も良く、ここからの見晴らしは抜群でした。

イギリスに良くある田園風景ですが、何度見ても見飽きません。

この時は、紅葉のピークの2,3週間前と言う所でしたが、生憎この後再び悪天候が続き、紅葉を眺めに出掛ける機会には恵まれませんでした。

ここは丘の頂上なのに、教会周辺の地面は浜辺のようにサラサラの砂地なのが独特です。これは、この丘がかつて海の底だった事を証明しているそうです。この丘からは先史時代の痕跡も多く発掘されるそうで、考古学的にも地学的にも興味深い場所です。




2023/11/24

「オータム・リーブス」のロッティ―ちゃん

八月の末の連休の二日連続のフリーマーケットでは、リペイントに向きそうな中古ファッション・ドールを結構買い集める事が出来ました。未だ夏休み中だった事もあり、そのお人形で遊んだ子供本人が店番しているストールも多く見掛けました。とあるストールでは、ありふれたバービーやディズニーの姫人形はマッパで地べた置きで一体50ペンスなのに、Lottie ロッティ―ちゃん人形とそのアウトフィットだけは、チャック式袋に一纏めされ、テーブルの上で3ポンドの別格で販売されていました。ロッティ―は、子供を変に背伸びさせずに健全に子供らしく育てると言う、現代のイギリスの多くの(ハスッパな)ファッション・ドールに真っ向から対抗するコンセプトで生まれたエシカル人形で、普通の量販店ではなく意識高い系のお洒落な玩具店でしか販売されない為、持ち主の女の子にとっても特別な人形だったのだと思います。その女の子に、2ポンドに負けて貰って買いました(…子供相手でも値切るw)

アウトフィットは二組で、その一つは、この人形のデフォルト服と思われるセットです。裏地が水色地の水玉柄のコート、クマ耳帽子、ボーダー・マフラー、Tシャツ、台形のスカート、ボーダー・タイツ、フットウェアで一式揃っています。デザイン名を「Autumn Leaves オータム・リーブス」と言い、秋の森を散歩するロッティ―ちゃんの設定のようです。秋は秋でも、冬間近の晩秋の服装です。

色がてんでバラバラなのに不思議と統一感があり秋らしく、子供らしい服装ながら中々お洒落に見えます。素材感も、起毛の暖かそうなコート、フェルトっぽい帽子、コーデュロイのスカートとバリエーションに富んでいて、ロッティ―人形のアウトフィットの拘りは、実は中々侮れないと感じました。

特に、スウェードをイメージしているらしい、フロッキー加工のブーツはかなりの可愛さ。しかしクマ帽は、ぺったんこの安直な造りで、生憎頭に上手く被せる事が出来ません。

コートの下は、犬柄プリントの長袖Tシャツです。森でワンコとお散歩をするロッティ―ちゃんと言う雰囲気。

もう一組のアウトフィットには、ロッティ―の服としては珍しくメタリック・カラーやラメ地がふんだんに使われています。デザイン名を「Superhero」と言い、正義の味方に扮するロッティ―ちゃんです。元は金色の仮面(目の部分だけの)も付属し、人形無しでアウトフィットのみとして販売されました。

ジャンプスーツにもマントにも、ロッティ―の「L」の頭文字入り

翼の付いた煌びやかな黄金のブーツが、まるで聖闘士☆星矢の「聖衣 クロス」のよう…。

勿論このロッティ―ちゃんも、この後私のリペイントの生け贄になって貰う予定です。コンセプトは優秀、顔型やボディの造形自体も優秀、可動域もシンプルながらまあまあなのに、肝心のフェイス・プリントと中途半端にくすんだ肌の色がいつも残念で、正直可愛くありません。このままでは、どうにもモデルとして使う気になれないからです。

 

 

 

 

 

 


2023/11/23

銀線細工の花型ブローチ

6月に訪れたArdingly アーディングリーのアンティーク・フェアの屋内会場Abergavenny一つどれでも3ポンドのコーナーでは、このブローチも姉用に買いました。はっとする程繊細で美しい、花型のブローチです。

極細の銀製のワイヤーを複雑に一つ一つ手作業で曲げてモチーフを形作る銀線細工、すなわち型押しで作った透かし金具ではない、本来の真正のFiligree フィリグリーです。直径は6cm位で立体感もあり、銀線細工としては相当大きな物です。当然ながら、大きければ大きい程手間と時間が掛かっています。

現在はインドネシアや日本の長崎県の平戸、秋田県が産地の銀線細工ですが、古代エジプトに起源を持ち、中世ヨーロッパでは持て囃されたらしく、ヨーロッパではサルデーニャ島を始めとするイタリア、フランス、ポルトガル、マルタが主な産地だったそうで、今は廃れてしまった所もあります。インドネシア産の銀線細工はやはりデザインが何処か東南アジア的ですし、日本産はやはり和風で日本人らしく非常に繊細で緻密です。これはブローチ・ピンの形態が古い事もあり、恐らくヨーロッパ産の銀線細工ではないかと思っています。

柔軟性を出す為に純度は低いけれど、勿論本物の銀で出来ています。イギリスでは銀製品を海外に発送するのは禁止、または関税が掛る事になっていて、果たしてこれを姉に送れるのか?と思いました。が、銀製である事を証明するホルマークが入っている訳じゃないから、まず問題ないと思います。