2023/07/11

ハンザ同盟都市キングス・リン 2

2月に夫婦で訪れたノーフォーク州北西部のKing’s Lyne キングス・リンの中心を、気の向くままに散歩しています。かつての税関所「Custom House」から西へ進むと、波止場に出ました。

石畳に覆われ、昔ながらの港町の雰囲気を良く残しています。もし暖かい季節であれば、この辺りがこの町の観光の要で、観光客でいっぱいなのではと想像します。

The Washと呼ばれる湾状の海からは5㎞程離れた川沿いですが、内陸にある港はイギリスでは珍しくありません。

雰囲気抜群の石畳の小路も、ここから東に向かって何本か伸びています。

Custom Houseを、港側から眺めた所。この建物の脇に、この町出身の18世紀の探検家ジョージ・バンクーバーの像があるはずなのですが、手前の派手なマンモス(orナウマン象)に気を取られて分かりませんでした。

 一方建物に嵌め込まれたこの彫像は、誰だか分からず。

King Streetから名前を変えたQueen Streetに、再び戻りました。この通りにも、興味深い古い建物が並んでいます。

例えばこの玄関のウネウネとした柱が忘れ難い家は「Clifton House」と言い、建物自体は1617世紀築ですが、14世紀築の地下室があるそうです。

こちらの建物には説明がありませんでしたが、もしかしたらカレッジの一部かも。

そして、またもや一際興味をそそる建築物が見えて来ました。

 

この町のもう一つのかつてのギルドホールで、今は市役所兼博物館になっています。名を「Trinity Guildhall 三位一体ギルドホール」と言い、15世紀の建築で、結婚式場としても貸し出される中世のホールが見事だとか。

ノーリッジのギルドホール同様、外壁の市松模様になっているのが印象的です。

黒光りするゴシックの扉もド迫力。

監獄としても使用された事がある為、ここの博物館にはゴーモンや処刑道具とかも展示されているようです。ヨーロッパの博物館や古城では、そう言う展示物にやたら出くわしますよね…。



2023/07/09

ハンザ同盟都市キングス・リン 1

 

帰国前の2に夫婦で出掛けたノーフォークの旅で、イースト・アングリア最大のアンティーク・モールを訪れた後は、King’s Lyne キングス・リンの街の中心部を歩き回ります。キングス・リンは10年以上前に一度訪れた事があるものの、その時は中心部を車で通過しただけでした。しかし、古めかしい家並みが十分魅力的な、歴史のある町に見えました。調べて見ると、キングス・リンはハンザ同盟都市だったのだそうです。ハンザ都市とはバルト海沿岸とドイツ北部、ネーデルラントに発達したと思っていたので、それまでイギリスにもハンザ都市があるとは知りませんでした。正確には、イギリスのハンザ都市は「外部ハンザ」と呼ばれ、ロンドンを含めて北海側に幾つか存在したそうです。因みに、ハンザが同盟そのものを意味するので、本当は「ハンザ同盟」と表記しては、オウメカイドー・アベニューみたいに同じ言葉が二重に連なって陳腐に聞こえるそうです。

キングス・リンは、かつては「Bishop’s Lyne 司祭のリン」と呼ばれ、中世には自治都市として、また英国の最重要な港として貿易で繁栄しましたが、16世紀に教会嫌いだった国王ヘンリー八世に寄って「王の」と改名させられました。しかし、その後北アメリカ等の新大陸が発見されると、貿易の中心が大西洋側に移った為、キングス・リンは主要な港ではなくなって行きました。

街はずれの路上に駐車し(あくまで駐車料金を払いたくないw)、北東から入って行きます。到着した頃は晴れていましたが、生憎どんどん曇って来ました。これでも写真を調整していますが、概ね白飛びしてしまい残念です。

 中心部に向かって歩いて行くと、まず大きな教会が目に入りました。

St. Nicholas’ Chapel セイント・ニコラス礼拝堂」と言い、かつては英国最大の礼拝堂として建てられたそうですが、今は宗教的な役目は終え、イベント会場として使用されています。

9世紀建造の部分があるとの事で興味ありましたが、内部に入る時間はありませんでした。

普通教会や大聖堂の正面玄関は西側で、それ故に西ファサードが一番凝った造りになっています。更に、イギリスの教会では南側に普段一般用の入り口の設けられている事が多いのですが、この教会は南入り口上部の装飾も凝っている点が面白いと思いました。

ここから西へ向かうと、「Woolmarket House ウールマーケット・ハウス」と呼ばれる、15世紀築の商人の家が見えました。

黒光りするゴシックの扉が、何とも重厚です。

興味深い古い建築物が、軒を連ねています。

続いて、かなり大きい広場に出ました。「Tuesday Market Place 火曜市場広場」と言うそうで、一目でここが、かつてこの町のヘソだったのであろうと想像出来ました。


羊毛産業で栄えたイースト・アングリアですから、この広場を囲む建物も皆立派で、当時の繁栄ぶりを表しているように見えました。

ただし、イギリスの町の中心の広場に良くある事で、今は概ね駐車場になっている所が、大きく景観を損ねていて興覚めです。

広場で一際眼を引く立派な建物は、劇場兼映画館。

その対面には、由緒ありそうなホテル。何だかドールハウスのモデルになりそうな、絵になる可愛い外観です。

いつもながら地図も眺めず、単に古い建物の多い雰囲気の良さげな通りを、興味の引かれるままに進みます。

 後から地図で確認すると、この通りはKing Streetと言うそうです。

これは「St. George Guildhall」と言う建物で、今はナショナル・トラストに管理され博物館になっています。

このKing Streetからは、西側の港の在る川に向かって、イギリスでは珍しくなった昔ながらの石畳の魅惑の小路が何本も伸びています。

川に架かる橋の手前で、また他とは明らかに違う立派な建物が目に入りました。「Custom House」と言い、かつての税関、または両替所で、今はアート・ギャラリーになっています。

その建物に嵌め込まれている、鳩に乗られてマヌケに見えてしまった彫像が誰なのかは、突き止められず。

 

 

 


2023/07/07

星祭り

昨年買った鉢植えの笹が順調に育っているので、今年もドールに浴衣を縫って七夕のお祝いをしようと思いました。しかし、日本でドール服用の布をどっさり買って帰ったものの、浴衣に相応しい布は全く調達していない事に、イギリスに戻ってから気付きました。予め日本で買うべく手芸用品のリストを上げていたのに、他にもいっぱいあり過ぎて、浴衣用の生地と言うのはすっかり頭から抜け落ちていたのです。

和柄の生地なら一応幾つか買って来ましたが、どう考えてもフォーマルな着物向けの布ばかりで、浴衣としてはピンと来ません。浴衣は着物の中ではカジュアルなのだから、何も和柄の生地に拘らなくても構わないはずですが、七夕祭りに限って言えば、正統派和風のしっとりはんなりなイメージの方が絶対しっくり来ると思っていました。それであれこれ手持ちの布を出して来て見比べ検討した結果、随分前に買っていたアメリカ製の花柄のカット生地で、七夕祭り用の浴衣を縫う事にしました。

綿ローンに近い、薄く滑らかな生地です。全く和風ではないものの、古風でしっとりなイメージはあり、前々から浴衣や着物に似合うだろうとは思っていました。市販のカット生地には珍しく、ドールの着物を裁つのに十分な長さ (横長だけど) はありましたが、27cmドール用の着物を作るのには本当にギリギリの面積でした。

均等な散らし柄なので、布を裁つ時に柄の出方を考慮する必要はありません。しかしそう言う柄の生地は着物としては地味になり勝ちですが、これは意外と大人し過ぎず仕上がったと思います。

後々着物としても着付けし遊びたかったので、袖丈は中振袖にしました。

帯は、使い回しの会津木綿製。単純に、これが一番この浴衣に合うと思ったからです。

七夕飾りも、昨年の使い回し。1/6ドールにとっては明らかに大き過ぎる装飾ですが、笹の葉の大きさを考えると、この位が妥当かなあと。この配置も、あーでもないこーでもないと何度も換えてバランスを取り直しています。

今日七日の夜は、イギリス南東部では晴れそうですが、日本はどうでしょうか?

団扇は、セリアのドル活コーナーで売っている例のアレに、自分で和紙を貼りました。元の「祭」と書いてあるシールを剝がすのが面倒だったので、単にシールの上に貼った方が楽ちんだったかも知れません。

柄や骨をアクリル絵の具で好きな色に塗るって手もありますが、時間が無いのと、万が一色落ちでもしてドールに移っては一大事なので止めました。

この帰国中の四カ月、ドール服を作りたい欲求がムクムクと湧いていました。こうなる事は予想出来たので、いっそ幾つか型紙を持って行って帰国中も作ろかとも考えていましたが、やはり慣れた道具や材料が揃っていないと難しいと実感。また、意外と時間も取れませんでした。こう言うのはスポーツと同じで、毎日のように続けていないと調子が出ません。これからドール服作りに慣れるまで、またしばらく掛かりそうです。




2023/07/05

ビンテージのレース・モチーフ・セット

 

規模の大きさの割にガランとしていて充実感に乏しくイマイチだったキングス・リンのアンティーク・モールでしたが、買いたい物にはちゃんと出会えました。それが、この古いレースや機械刺繍のモチーフ達です。全部纏めて、5ポンドだったと記憶しています。勿論、ドール服に利用出来そうと思い買いました。

小さな刺繍のモチーフと言うかアップリケ自体は、今でも売られている物と大差なく見え、そうビンテージらしさがある訳ではありません。

しかしパッケージを見ると、1950年代のアメリカで売られていたと分かり興味深いのです。

裏面の使用例のイラストは、いかにも50‘sらしさに溢れています。

 一つだけ大き目の刺繍のモチーフは、白と緑の組み合わせが清楚。

この白いレースのモチーフは、早くドール服に生かしてみたくなる程一番のお気に入りです。同じ物が6枚程あり、これらが入っていた紙箱にも、50年代らしいクリスマス・シールが貼ってありました。もしかしたら、このモチーフ達は全て同じ持ち主から渡って来たのかも知れないと想像しています。