帰国前の2月に夫婦で出掛けたノーフォークの旅で、イースト・アングリア最大のアンティーク・モールを訪れた後は、King’s
Lyne キングス・リンの街の中心部を歩き回ります。キングス・リンは10年以上前に一度訪れた事があるものの、その時は中心部を車で通過しただけでした。しかし、古めかしい家並みが十分魅力的な、歴史のある町に見えました。調べて見ると、キングス・リンはハンザ同盟都市だったのだそうです。ハンザ都市とはバルト海沿岸とドイツ北部、ネーデルラントに発達したと思っていたので、それまでイギリスにもハンザ都市があるとは知りませんでした。正確には、イギリスのハンザ都市は「外部ハンザ」と呼ばれ、ロンドンを含めて北海側に幾つか存在したそうです。因みに、ハンザが同盟そのものを意味するので、本当は「ハンザ同盟」と表記しては、オウメカイドー・アベニューみたいに同じ言葉が二重に連なって陳腐に聞こえるそうです。
キングス・リンは、かつては「Bishop’s
Lyne 司祭のリン」と呼ばれ、中世には自治都市として、また英国の最重要な港として貿易で繁栄しましたが、16世紀に教会嫌いだった国王ヘンリー八世に寄って「王の」と改名させられました。しかし、その後北アメリカ等の新大陸が発見されると、貿易の中心が大西洋側に移った為、キングス・リンは主要な港ではなくなって行きました。
街はずれの路上に駐車し(あくまで駐車料金を払いたくないw)、北東から入って行きます。到着した頃は晴れていましたが、生憎どんどん曇って来ました。これでも写真を調整していますが、概ね白飛びしてしまい残念です。
中心部に向かって歩いて行くと、まず大きな教会が目に入りました。
「St. Nicholas’ Chapel セイント・ニコラス礼拝堂」と言い、かつては英国最大の礼拝堂として建てられたそうですが、今は宗教的な役目は終え、イベント会場として使用されています。
9世紀建造の部分があるとの事で興味ありましたが、内部に入る時間はありませんでした。
普通教会や大聖堂の正面玄関は西側で、それ故に西ファサードが一番凝った造りになっています。更に、イギリスの教会では南側に普段一般用の入り口の設けられている事が多いのですが、この教会は南入り口上部の装飾も凝っている点が面白いと思いました。
ここから西へ向かうと、「Woolmarket House ウールマーケット・ハウス」と呼ばれる、15世紀築の商人の家が見えました。
黒光りするゴシックの扉が、何とも重厚です。
興味深い古い建築物が、軒を連ねています。
続いて、かなり大きい広場に出ました。「Tuesday Market Place 火曜市場広場」と言うそうで、一目でここが、かつてこの町のヘソだったのであろうと想像出来ました。
羊毛産業で栄えたイースト・アングリアですから、この広場を囲む建物も皆立派で、当時の繁栄ぶりを表しているように見えました。
ただし、イギリスの町の中心の広場に良くある事で、今は概ね駐車場になっている所が、大きく景観を損ねていて興覚めです。
広場で一際眼を引く立派な建物は、劇場兼映画館。
その対面には、由緒ありそうなホテル。何だかドールハウスのモデルになりそうな、絵になる可愛い外観です。
いつもながら地図も眺めず、単に古い建物の多い雰囲気の良さげな通りを、興味の引かれるままに進みます。
後から地図で確認すると、この通りはKing Streetと言うそうです。
これは「St. George Guildhall」と言う建物で、今はナショナル・トラストに管理され博物館になっています。
このKing Streetからは、西側の港の在る川に向かって、イギリスでは珍しくなった昔ながらの石畳の魅惑の小路が何本も伸びています。
川に架かる橋の手前で、また他とは明らかに違う立派な建物が目に入りました。「Custom House」と言い、かつての税関、または両替所で、今はアート・ギャラリーになっています。
その建物に嵌め込まれている、鳩に乗られてマヌケに見えてしまった彫像が誰なのかは、突き止められず。
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